HOME > オートサウンドレビュー > 音への情熱が結実した『珠玉の作品』ハイレゾ対応を謳う17年サイバー、カロッツェリアの進化を聴く<前編>
2017年11月24日/Auto Sound Web・黛健司
最初に言いきってしまおう。カロッツェリア・サイバーナビの2017年モデル『901』シリーズのハイレゾ再生対応製品群は、カロッツェリア開発陣の『音』にかける情熱が結実した『珠玉の作品』だと。
わずかW180×H100×D165mmほどの本体シャーシの中に、ナビとオーディオ関係のあらゆる機能を組み込み、ハイレゾ音源の再生まで対応しながら、圧倒的な高音質を実現しているのは、カロッツェリアが長年にわたって蓄積したさまざまな知見、ノウハウがあって初めて可能になったものだろう。カロッツェリア開発陣はハイレゾ再生に取り組むにあたって、ハイレゾがなぜ高音質なのかを、聴感試験と物理データの分析の両面から解明することから着手した。一般的にハイレゾ音源の高音質の理由として、(1)20kHzを超える高域再生が可能になること、(2)量子化ビット数の拡張による広大なダイナミックレンジの実現があげられるが、カロッツェリアでは、ハイレゾ楽曲を忠実に再現するための物理指標を独自に作成するところから始めた。まず、ハイレゾ再生の本質を解明しようという姿勢に、カロッツェリア開発陣の本気を感じる。さらに、実際の製品開発にあたっては、電気設計、機構設計、ソフト開発、音響解析、DSP技術などなど、カロッツェリア技術陣の叡智を集結、数々の高音質部品を新規採用するだけでなく、それらの能力を最大限に発揮させる徹底的なチューニング作業の甲斐もあって、2017年モデル『901』シリーズは、かつてない高みに到達している。
ハイレゾ音源の再生可能なファイル形式が多様なことにも目を見張る。FLAC、WAV、ALACは96kHz/24bitのネイティブ再生が可能。WAV、ALACは192kHz/32bitまで、FLACは192kHz/24bitまでの音源にも(再生時は「96kHz/24bit」のダウンサンプリング再生となるが)対応している。さらに、1bitのDSD音源(2.8MHz、5.6MHz)も再生可能だ。いまやカーオーディオには必須のクロスオーバー、タイムアライメントやイコライザーなどのデジタル信号処理には、DSD信号をリニアPCM信号へ変換する必要がある。そこでカロッツェリアは、FIRフィルターを用いた『DSD-PCM変換処理モジュール』を独自に新規開発。DSD信号を96kHz/24bitのLPCM信号に変換して再生可能とし、高度な音質・音場調整機能とDSD再生の両立を図っている。
サイバーナビ2017年モデル『901』シリーズは、オーディオ最優先の設計思想『マスターサウンド・アーキテクチャー』に則って開発されたことも大きな特徴だ。ナビ関連の回路、オーディオ関連の回路、その他システム系の回路を明確に分け、それぞれの回路を完全に独立してレイアウト。デジタル映像、マイコン、位置認識システムなど、アナログオーディオに悪影響を与える回路ブロックをオーディオ基板から分離。これらをカーナビ基板に集約して、アナログオーディオの高音質を担保するとともに、ナビ関連回路をコンパクトに集約してノイズ輻射を徹底的に抑制している。さらに、熱雑音による音質劣化を抑えるために、熱源はナビ基板へ集約してオーディオ基板の低温化を実現。結果的に高音質化を可能にした。また、熱源をナビ基板へ集中させることで、オーディオ基板周辺には熱による風の流れが起こらない構造とし、風が原因の振動による音質影響をも排除している。さらに、内部冷却のためどうしても必要な放熱ファンの振動による音質劣化を阻止するため、背面シャーシの強度を高め、固定用ビスも増量、堅牢で振動に強い構造とするなど、細部への配慮も怠りがない。
また、回路設計自体も、高音質パーツを積極的に採用し、ナビのオーディオ回路としては過去に例のない回路構成を実現している。高音質化を実現するにあたっては、回路自体の設計だけでなく、プリント基板の回路パターン設計も重要視している。ノイズ低減のための一点アース構造を徹底、各回路ブロックごとの専用電源および電源系統別のグラウンドパターンとするだけでなく、アナログ段の各回路ブロックを最短で出力まで導く『ストレート回路設計思想』が徹底されている。高音質チューニングの要となるDSPには、高精度・高速演算処理が可能な『フルタイム52bit高性能Tripleコア浮動小数点DSP』を新規に採用。D/Aコンバーターには、バーブラウンの高性能32bitアドバンスド・セグメント方式電流出力型D/Aコンバーター『PCM1795DB』を採用。さらに、I/V変換回路をのオペアンプには、新日本無線社『NJM8901E』を採用するなど、最新の高音質高精度パーツを積極的に採用していることにも驚く。
ナビゲーション動作用回路とオーディオ回路をセパレートさせた基板構成で、音質の向上を図っている。画像の上がナビ基板、下がオーディオ基板。この上にDVD/CDドライブが重ねられ、正面にはタッチモニターやハードキーを備えたフロントパネルが組み付けられる。
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