2012年5月 8日/Stereo Sound ONLINE 編集部
東芝から、レグザ55X3にリアル4Kの信号を入力するための、THD-MBA1(オープン価格/実勢20万円前後)が発売された。現在は、パソコンやカメラなどに限られ、まだまだ「リアル4Kソフト」が潤沢にあるとはいえないが、しかし映像世界において、ひとつの壁が取り払われたことは確かであり、この専用アダプターが持つ意義はきわめて大きいといえよう。
今回から二回に渡り、東芝が切り拓いたリアル4Kワールドの可能性を考察したい。第一回目は、開発担当者である同社商品統括部の本村裕史さんに、その狙いを伺った。
本村 昨年弊社では4Kテレビを世界で初めて発売させていただき、おかげさまで大反響をいただきました。
麻倉 ただ、いままではアップコンバートした映像を映し出すしかなかったわけですが、ついに出た「リアル4K」の凄さは、単なるフルHD延長線上にあるのではなく、まさに別の次元を切り拓いたものですね。
本村 昨年、この55X3を発表させていただいた時は「グラスレス3Dテレビ」という部分がクローズアップされたのですが、当初から、我われとしては4K信号の入力にはきっちり対応したい、という思いがありました。
麻倉 それが、今回の4K入力アダプター、THD-MBA1となって結実したわけですね。
本村 はい。現状はまだ接続できる機器が限られますので、ひとまずオプションでの発売とさせていただきました。
麻倉 もちろん"潤沢"といえる状況ではありませんが、ビクターのカメラやソニーのプレイステーションなど、リアル4Kをきっちりサポートする機器を出していこうというひとつの流れが起きたように思います。
本村 そうですね。サポートする機器が整わなければ、4Kという素晴らしい映像の世界の、本当の魅力をお伝えすることができませんから。そういう意味において、JVCさんの4Kカメラの登場が大きなきっかけになったと思います。
麻倉 アメリカの商業出版シーンでは、すでにスチル写真も4K映像で収録し、そこからコマを抜き出す、という手法が採られるようになりました。日本でも、早晩そういう動きがでてくるでしょう(本連載第一回参照)。
本村 おっしゃる通りですね。
麻倉 今日、リアル4Kの映像を55インチという大画面で見せてもらって、改めて高画質&大画面の重要性を強く認識しました。いままで、リアル4Kの映像は、パソコンのモニターで見るしかなかったんですね。しかし、それでは箱庭的な凝縮感、濃密さだけで、やはり「臨場感」はまったく望めませんでした。
本村 そう、臨場感こそ"ワクワク感"につながりますからね。テレビってまさにこの"ワクワク感"がないいとダメだと思うんです。
麻倉 SDからHDになった時も、そのワクワク感はあったけれど、このHDから4Kになってのワクワク感は圧倒的。ズバ抜けていますね。
本村 このリアル4Kの映像世界を体感していただくと、多くのクリエイターの方々がインスパイアされると思うんです。「この映像があるならば、○○ができるかもしれない......」と。
麻倉 インスパイアという意味では、このリアル4Kの世界は映像自体のメッセージがひじょうに強いので――、つまり映像を目で見て、それを脳で検知し、心で感じる――、その結果もたらされる感動が、より大きくなる。そうなると、不思議なもので人は別の思考というか回路にスイッチが入ることが往々にしてありますからね。
本村 まさに、私自身もこの映像が手に入ったがゆえに、今後いろいろな仕掛けができるなぁ、と思い始めました。
麻倉 先日、あるメーカーのトップの方とこれからのテレビ産業はどうなるか、という話をしていたときも、まさに本村さんがおっしゃるように、ワクワク感であったり、ドキドキ感がないと人は欲しがらない。単に「安く買えますよ」だけでは、産業としての将来性もないのですとぉっしゃっておられました。そういう観点からも、この4K映像は、これからのテレビの在り方の、羅針盤になるでしょう。
本村 ワールドワイドで見ても、日本は4K映像に対して理解も深いしたいへんに期待をしてもらっていることを感じます。
麻倉 東芝はテレビがあって、コンピューターも持っている。あとはコンテンツです。そういう意味において、4Kコンソーシアムというか、4Kワールドを広げるために、メーカーを横断してタッグを組むような動きが起ることを期待したいですね。
>>後編に続く
レグザ55X3:東芝のフラグシップモデル。昨年の発表時には裸眼3D機として話題を集めたが、今回のMBA1の登場によって、リアル4Kの入力が可能な唯一の家庭用ディスプレイにもなった。東芝テレビの進化は止まらない
編集部が厳選したおすすめアイテム












オリジナルコンテンツも充実