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【世界4K-Hakken伝】 ジョン・マクティアナン監督 『ダイ・ハード』DIE HARD:30TH ANNIVERSARY EDITION

2018年6月16日/映画番長・堀切日出晴


40 Stories High -
with Suspense, Excitement and Adventure on every level!


Release Dates (Theater): July 15, 1988 (USA)
Domestic Total Gross: $83,008,852
(Foreign: $57,759,104)

FILM

ロサンゼルスの高層ビルをテロリストが占拠。妻に会うためにそこを訪れていたニューヨーク市警刑事が、孤軍奮闘、悪漢たちを倒していく。刑事マクレーンをはじめとした登場人物のキャラが明快に描き分けられ、劇画調の派手なアクション、緩急自在な語り口にハラハラドキドキが止まらない。シルヴァスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーのアクションを見慣れた映画ファンの前に、裸足でタンクトップという姿で現れた生身のヒーロー。ちと間抜けな人間臭さと、愛する家族を守るためという姿がウケて、一躍世界の人気者になってしまった。いやはや、映画ファンはもちろん、強者の映画通やシネフィルのハートまでも鷲掴みにした大傑作だ。前作『プレデター』の演出が高く評価され、監督に抜擢となったジョン・マクティアナンの腕の冴えに、たちまち引き摺り込まれてしまうこと間違いナシ。それまでいまひとつパッとしなかったブルース・ウィリスが大奮闘、役もよいが、演技もヨロシ。

原作はロデリック・ソープ(『Nothing Lasts Forever』)。映画化においては『48時間』のスティーヴン・E・デ・スーザが大幅に脚色、新鋭ジェブ・スチュアートとマクティアナンで最終稿を書き上げた。なんせ原作は暗く深刻なトーンで覆われており、初老の刑事の年齢を若返らせ、語り口も徹底した娯楽トーンにお色直し、この判断は大正解であった。ちなみにソープは刑事モノを数冊発表しているが、68年の『刑事』はフランク・シナトラ、90年の『スーパーコップ90』はピーター・ウェラーが好演している。映画の舞台となるナカトミ・プラザは、ロサンゼルスのフォックス・プラザの29階~35階を使用、FOXスタジオでの撮影を含めて、"身内"以外での撮影は開幕/ロサンゼルス空港シークエンスのみ。タイヘン賢く映画を撮り上げている。

共演はアラン・リックマン(『いつか晴れた日に』)、ボニー・ベデリア(『推定無罪』)、アレクサンダー・ゴドノフ(『刑事ジョン・ブック/目撃者 』)、レジナルド・ヴェルジョンソン(『ターナー&フーチ/すてきな相棒』)、ウィリアム・アザートン(『続・激突!/カージャック』)、ジェームズ繁田(『クリムゾン・キモノ』)。ちなみに脚本草稿時のキャスティングは、主演にクリント・イーストウッド、共演ジーン・ハックマン(ヴェルジョンソン扮する巡査パウエル)であった。1988年アカデミー視覚効果・音響・音響効果編集・編集賞ノミネート。

<strong>HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)</strong>

HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)

VIDEO

撮影はポール・ヴァーホーヴェン監督初期作や『ブラック・レイン』『レッド・オクトーバーを追え!』のヤン・デ・ボン。『リーサル・ウェポン3』を撮り上げたのち、『スピード』以降は監督としても活躍。35mm/パナビジョン・アナモフィック撮影。特撮パートの8割をラージフォーマット65mm撮影(プリント35mmフォーマット)。35mmオリジナルネガからの4Kスキャン/デジタルレストア/HDRグレーディング(今年3月限定公開)。DIファイルは4K。映像平均転送レート45.9Mbps (BD/25.9Mbps)。

4Kデジタルリマスターの恩恵は随所に表出。カッティングのテンポが立ち上がり、緊張と陽気さを兼ね備えたカメラワークが映えまくる。最新作の先鋭解像感を期待すると肩透かしを喰うが、微動もしない粒状性、ショットの粘着性、輪郭の滑沢性といったフィルムルックな味わいは映画通に拍手を持って迎えられるに違いない。アナモフィックレンズならではのルックス、フォーカス・キャラクターの再現もタイヘン美味だ。深度や輪郭改善は舞台をナカトミ・ビルに移してからが明快となる。室内のスタイリッシュで無菌な環境において、BD版には真似出来ない多くの質感と細部ディテールを得ることができよう。緊迫の大顔絵はまったくもって魅力的。

HDRグレーディングも巧妙。日没から深夜にかけての時間帯が舞台となるが、発光や反射光、バウンスライト(間接照明)、室内の光源操演にも唸らされる。警察車両のヘッドライトや点滅するライト、重火器の光沢、切り裂くような火花、オフィス外にみるサンセットLAの空からクリスマスツリーの装飾までがアップグレード、被写体の凹凸感、光源照射の方向や距離、灯数や光源の強弱が明快となり、とりわけ光彩フレアやゴーストの妙味が映えまくる。派手な色調を抑えた色彩画であるが、色彩が弱化する痕跡はなく、落ち着いた二次色が目を奪い、色階調も伸長している。原色では青、弾けるような赤色が恩恵を受ける。目を引くほど豊かで深みのある黒のトーン、そこに極微に残留させたヨゴレ感も通好みだ。

リチャード・エドランドによる視覚効果は観どころのひとつ。あくまでもアクション・ドラマと寄り添う創作姿勢が素敵だ。エドランドは86年度アカデミー科学技術賞を得ているが、これは65mm撮影用にオプティカルプリンター(ZAP)の設計開発によるもの。本作では超小型65mmカメラを開発して視覚効果制作が行なわれているが、巧みなミニチュア撮影と神がかりな合成技術と相まって強烈な印象を残している。視覚効果の陰影描写と暗色の拡張、爆発の炎の質量も観逃がせない。

<strong>HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)</strong>

HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)

AUDIO

サウンドデザイン/音響編集監修は『プレデター』『カストラート』『ドーベルマン』のリチャード・ショア。音楽は『未来惑星ブラジル』『リーサル・ウェポン』シリーズで知られるマイケル・ケイメン。DTS-HDマスターオーディオ5.1音声仕様。音声平均転送レート3.67Mbps(48kHz/24bit/07年BD版=2.28Mbps)。

リミックス・ドルビーアトモス/DTS:X未採用はいささかザンネン。とはいえ、休息知らず、活気に満ちるシネソニックに磨きがかかっており、生身のヒーローの戦いを鼓舞するかのようだ。オリジナル録音固有の制限があるが、分解能と明瞭度、ダイナミックレンジは良好。全編に渡って整音が行き届いており、アップミックス再生の特薦盤でもある。アップミックスの有無で、例えば開幕、ジェット機音の再現が大きく変わる。

35mmドルビー4chステレオ・マスターからの5.1ch化となるが、BD版と比較すると随所で差異が明快となる。発声と効果音の混濁感も解消。発声は滑らかな湿度感を保ちながらアクション映画特有の明快さを備えており、イントネーションの描き分けも的確だ(アラン・リックマンの怪しい独語訛りは必聴)。低音域は最新活劇で得られる深みには達しておらず、LFEアクティビティも一定ではないが、活劇シークエンスの重量感醸成をアシスト、アンビエントや効果音深度を伸長する。聴きどころのひとつとなるマイケル・ケイメンの劇伴も好調。テロリストたちのライトモチーフとなる「第九」、4音から成る贅肉を削ぎ落したマクレーンのテーマとの対比も鮮明となる。明瞭度を真したブラスの和音の響きにニンマリするに違いない。フロントステージとサラウンド空間の一体化も密接。とりわけ前述のスコアがサラウンド・チャンネルに効果的にミックスされており、アップミックス再生の聴きどころのひとつとなろう。

FINAL THOUGHTS
製作30周年記念版。本作以降、テレリストに占拠された密室からの人質救出アクションがブームとなり、さまざまな亜流作品が生まれている。1988年を振り返れば全米興行成績のトップは『ロジャー・ラビット』、オスカー作品賞は『レインマン』が獲得している。技術関係のオスカーは『ロジャー・ラビット』が獲得(音響賞は『バード』)、『ダイ・ハード』は無冠であった。とはいえ、これほど面白いアクション映画にはめったにお目にかかれず、88年以降は(並び称される作品はあるものの)すべての面で本作を上回るアクション映画に出会っていない。

UHD BD化に関して、本作のプロデューサーであるローレンス・ゴードンは「HDR技術にはとても関心がある。『トゥームレイダー(2月にUHD BD発売)』は予想以上の効果を得られたし、『ダイ・ハード』でも娯楽映画としてのサスペンス効果が増している。他にもHDR化の話があるが、マスター・クオリティが大切な要因。作品の内容と整合性を取ることも必要だ。(中略)HDR化に関しては慎重になるべきだし、必ずしも良い結果が得られるとも思わない」と語っている(2017年末/アメリカン・シネマトグラファー誌)。さても本作は大成功なり。是非とも家庭劇場でハラハラドキドキ、手に汗握りながらお楽しみいただきたい。必見。

<strong>HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)</strong>

HI-RES SCREENSHOT (1080pix × 608pix)

Disc Specs

Title
DIE HARD:30TH ANNIVERSARY EDITION
Released
May 15, 2018 (from 20th Century Fox)
SRP
$24.99 (amazon: $19.99)
Run Time
2:12:06.918 (h:m:s.ms)
Codec
HEVC/H.265 (Resolution: 4K / HDR10 / BD66)
Aspect Ratio
2.35:1
Audio Formats
English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz/24bit/3672kbps), English DTS-HD Master Audio 2.0, French DTS 5.1, Spanish DTS 5.1, German DTS 5.1, Japanese DTS 5.1, Italian DTS 5.1, Spanish Dolby Digital 5.1, Czech Dolby Digital 5.1, Polish Dolby Digital 5.1
Subtitles
English SDH, French, German, Italian, Japanese, Spanish, Cantonese, Czech, Danish, Dutch, Finnish, Mandarin (Simplified), Norwegian, Polish, Swedish
Supplements
《UHD BLU-RAY》no extras,《BLU-RAY》Commentary by Director John McTiernan and Production Designer Jackson DeGovia / Scene-Specific Commentary by Special Effects Supervisor Richard Edlund / Subtitle Commentary by Various Cast and Crew / The News Casts Featurette / Interactive Style Gallery / Interactive Articles from Cinefex and American Cinematographer / Full-Length Screenplay / Trailers & TV Spots

Film Specs

タイトル
ダイ・ハード
1988
監督
ジョン・マクティアナン
製作
ローレンス・ゴードン, ジョエル・シルヴァー
製作総指揮
チャールズ・ゴードン
脚本
ジェブ・スチュアート, スティーヴン・E・デ・スーザ,《原作》ロデリック・ソープ
撮影
ヤン・デ・ボン
音楽
マイケル・ケイメン
出演
ブルース・ウィリス, アラン・リックマン, ボニー・ベデリア, アレクサンダー・ゴドノフ, レジナルド・ヴェルジョンソ, ポール・グリーソン, ウィリアム・アザートン, ハート・ボックナー, ジェームズ繁田

4K画質評価

解像感
★★★★★★★★☆☆8
S/N感
★★★★★★★★☆☆8
HDR効果
★★★★★★★★☆☆8
色調
★★★★★★★★☆☆8
階調
★★★★★★★★☆☆8

音質評価

解像感
★★★★★★★★☆☆8
S/N感
★★★★★★★★☆☆8
サラウンド効果
★★★★★★★★☆☆8
低音の迫力
★★★★★★★★☆☆8

Score

Film
★★★★★★★★★★10
Image
★★★★★★★★☆☆8
Sound
★★★★★★★★☆☆8
Overall
★★★★★★★★★☆9
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堀切日出晴 プロフィール

堀切日出晴(ほりきりひではる)

スティーブ・マックィーンとパッケージディスクへの情熱はハンパなく、これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。HiVi連載「www.ハイデフ.com」(「世界映画Hakken伝」から改題)は、前身の「今月の輸入盤」から数えて20年を越える、最も人気の高い連載のひとつとなっている。

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