2012年4月2日/編集部・良
私のようなジャズ初心者でも、自然とジャズに親しめるようになる・・・・・・それが、島田奈央子さんプロデュースのSomething Jazzyシリーズです。現在、そのサイン本がオンライン限定で発売されているのでご紹介します!
ジャズの入門書は、これまでもごまんとあった。雑誌でも特集されていたりして、まずはここから聴け! などと言われると、かえって反抗したりして。とくにオーディオマニアの間でジャズと言えば、レコード、しかもオリジナル盤じゃなければダメだというのです。
でも、Something Jazzyは違います。ボズ・スキャグスもあり!?といわれると、あ、それでいいんだ・・・・・・と嬉しくなります。
「ホームシアター」57号で特集したとおり、そのひとにとっていい音、心地よい音は違います。それは、その人の育った地域性や歴史とは無関係ではいられないのです。私は、いまでこそ専用ルームのオーディオで聴くけれど、学生時代はWALKMANで80年代ロックとポップスを聴いて育ってきた。それが私の歴史だし、音楽鑑賞だった。もちろん、80年代アイドルだって大切だった。
敷居の高かったジャズのエッセンスを、あの島田奈央子さんのお薦めにしたがって聴ける・・・・・・何て幸せなんだろう!素直にそう思って手に取った本とCDは、きちっとジャズを学べるエッセンスを網羅していながら、とても抑制が効いています。音楽ライターなどの仕事の傍ら、ものすごいジャンルの音楽を聴いていることは、掲載曲のラインナップから明らかなのですが、ワンテーマあたり数ページにうまく纏められています。ついつい、あれもこれもと書いてしまいがちななか、読み手の気持ちがよく分かっているのはサスガだなあと思います。
ところで、島田さんの考える「ジャジー」とは、「曲の中に感情を動かすようなフレーズがある」「音の一粒一粒に艶と説得力がある」「演奏の中に自由な雰囲気がある」「いろいろな音楽的エッセンスをにじませながら、次々と新しい世界を作り上げている」といった要素があることを言うのだとか(『パリで、女子ジャズ〜Something Jazzy』まえがき)。これって、ジャズマニアも納得な切り口ではないでしょうか?
また、文章も、基本的には女性に語りかけているスタイルですが、男性が読んでもまったく違和感はありません。表現のフィールドが自由自在で、ジャズを珈琲に例えたかと思えば、音楽を聴いて空を流れる雲の絵を想像するといった描写は、ほんとうに「ジャジー」そのもの。
こんな、もっと気軽にと語りかけるコンセプトのSomething Jazzyシリーズですが、目を瞑って難しそうな顔をしながら聴くのがジャズといったイメージを否定するものではありません。
本「女子JAZZスタイルブック」で島田さんは、『心を傾けてじっくりと聴きたい』の項で、ときにはきちっとオーディオ装置で聴いてみませんか?とも語りかけます。シーンや気分に合せて気軽に音楽を聞き流すのもいいけど、本物の作品の意味を味わうのも大切とは、生のコンサートも主催して本物の演奏を熟知するプロデューサーならではのコメント。正面からひとことひとこと丁寧に「リターン・トゥー・フォーエバー」から論じてみせるあたりには、むしろ男性なら凄みすら感じるはず。
というわけで、個人的に購入してはまったのは、昨年末に発売された、この「女子JAZZスタイルブック〜Something Jazzy」の本なのです。また、別売のCDもお気に入りで、月曜の朝の出勤時に聴くとグンと気分が明るくなりますし(笑)、電車に乗っているだけで、なんだか今日は素敵な出会いがありそうな予感すらしてきますよ。ジャズ好きの男性にもぜひオススメな、本とCDです。
私は今回遡って、2010年に発売されていた「Something Jazzy 女子のための新しいジャズ・ガイド」をサイン本で求めました。すばらしくよくまとまった力作です! 最新刊「女子JAZZ スタイルブック」ともども、ぜひ、Something Jazzy事務局のHPで買えるサイン本で、お手元にどうぞ。
本「Something Jazzy 女子のための新しいジャズ・ガイド」(駒草出版、1800円、2010年2月発売)
本「Something Jazzy 女子JAZZ スタイルブック」(中央公論新社、2200円、2011年12月発売)
CD「Something Jazzy〜毎日、女子ジャズ。」(EMI、2000円、2010年7月発売)
CD「Something Jazzy〜アイランド・クリスマス〜冬の休日、女子ジャズ。」(P-VINE、1980円、2010年11月発売)
CD「パリ旅で、女子ジャズ〜Something Jazzy」(EMI、2000円、2011年12月発売)