超高音質DVDオーディオ「BIG BAND STAGE」を
フェイズコントロール対応システムで聴く
ゲスト:MALTAさん、角田健一さん、内沼映二さん
ホスト:小原由夫
名曲の数々を、目を見張る高音質サラウンドで収録した「BIG BAND STAGE」。このオーディオファン必須の1作をソースに、アレンジャーでコンダクターの角田健一さん、録音エンジニアの内沼映二さん、そして日本が誇るサックスプレーヤーのMALTAさんという、製作に携わった3人を迎えて5.1chサウンドを体験していただいた。日頃、生の音に囲まれている方々には、最新オーディオが奏でる音はどのように感じられただろうか。ホスト役の小原由夫さんを交えて楽しい視聴が始まった
BIG BAND STAGE 「BIG BAND STAGE 甦るビッグバンドサウンド
/角田健一ビッグバンド スペシャルゲスト MALTA」
¥3,500(送料¥300)
(ミキサーズ・ラボMLZJ2001-2) 
1 Splanky(Neal Hefti)
2 Georgia On My Mind (Hoagy Carmichael)
3 Tuxedo Junction (Erskine Hawkins)
4 Air Mail Special (Benny Goodman)
5 Little Brown Jug (J.E.Winner)
6 In The Mood (Joseph Garland)
7 In A Sentimental Mood (Duke Ellington)
8 Jumpin' At The Woodside (Count Basie)
9 Sing, Sing, Sing (Louis Prima)
10 Take The "A" Train (Billy Stray horn)

All Songs Arranged & Conducted
by Kenichi Tsunoda
●収録音声: PPCM/24bit/192kHz/2ch、PPCM/24bit/96kHz/5.1ch ※1、DOLBY DIGITAL5.1ch ※2、DTS 5.1ch ※3(※2、3はDVDビデオプレーヤーで再生可能。※1、2、3はフェイズコントロール仕様で制作)●同内容のCD付き(リニアPCM/16bit/44.1kHz音声)●プロデューサー: 内沼映二、菊地功●レコーディング&ミキシングエンジニア: 内沼映二●マスタリングエンジニア: 菊地功、田中龍一●録音: ビクタースタジオ、ウエストサイドスタジオ●問合せ先: ミキサーズ・ラボ 電話番号03(6418)0882

小原由夫
小原由夫
小原 本日は「BIG BAND STAGE」の制作に深く携わった角田さん、内沼さん、MALTAさんの3人をゲストに迎えて、本作を最新サラウンドシステムで体験していただこうと思います。収録フォーマットは192kHz/24ビット/2ch、96kHz/24ビット/5.1chの2種類が採用されていますが、今回は5.1ch音声を中心に聴いていきましょう。
 最初にシステムを説明します。スピーカーにはHiVi視聴室の最新リファレンスにも選ばれたパイオニアS-1EXを5本、サブウーファーにパイオニアS-W1EXをデュアル設置しました。ユニバーサルプレーヤーとAVセンターにもパイオニアの最新モデルをチョイスしています。またパワーアンプには、コンパクトで扱いやすいステレオパワーアンプ、ジェフ・ロゥランドDGのモデル102を3台用いています。
        
角田健一ビッグバンド
BIGBAND
「ビッグバンドは永遠に」をテーマに1990年結成。その魅力を追求しつづける、日本有数のビッグバンドのひとつ。シカゴ、デビッド・サンボーン、シャーリー・バッシーなど多数のミュージシャンと競演を果す。スイングジャズから武満徹におよぶ幅広いレパートリーは、すべてリーダーの角田健一がアレンジを行なっている
Conductor , Trombone: 角田健一
Trumpet: 田中哲也、浦田雄揮、高瀬龍一、宮本やすし
Saxophone: 今尾敏道、鈴木直樹、川村祐司
      、河村英樹、丹羽康雄
Trombone: 中路英明、橋本佳明、高橋英樹、朝里勝久
Piano: 井上祐一
Bass: 古西忠哲
Drums: 小山太郎
Guitar: 宮之上貴昭
Special Guest: MALTA (track2,4,7)
MALTA
MALTA
Saxophone
東京芸術大学音楽学部器楽科卒。バークリー音楽大学を卒業後、その同校で公私をつとめる。70年代半ばから、デューク・エリントン楽団やライオネル・ハンプトン楽団などアメリカの名門ビッグバンドに参加。1983年のJVCと契約、デビュー作「MALTA」を発表、瞬く間に人気を獲得する。1986年「スパークリング」(第1回日本ゴールドディスク大賞受賞)など30作およぶアルバムを発表。旺盛な演奏以外にも、教則本の出版や雑誌連載、アマチュア楽団との共演など精力的な活動を繰り広げている(編集部)
角田健一
角田健一
Conductor, Trombone
桐朋学園音楽大学、バークリー音楽大学卒。宮間利之とニューバード、原信夫とシャープス&フラッツ、東京ユニオンを経て、1990年に角田健一ビッグバンドを結成。2001年からは「デューク・エリントンと武満徹」公演を開催、ビッグバンドの新境地を開拓し高い評価を得る。著書は「ビッグバンド完全マニュアル」など。ホリー・コール(Vo)のオーケストラ指揮など多彩な活躍が目立つ。ビッグバンド以外にも吹奏楽の分野でも編曲、クリニックなど活発な活動を行なう(編集部)
内沼映二
内沼映二
Producer, Recording & Mixing Engineer
卓越した技術と豊富な経験と高い見識を兼ね備えた日本を代表するレコーディング&ミキシングエンジニア。1979年にプロフェッショナルな音楽制作集団「ミキサーズ・ラボ」を創立し、90年には自社スタジオ「WESTSIDE」を設立。また2004年には念願の自社レーベルを立ち上げ、DVDオーディオ「CHECKINH DVD BY MUSIC」を初リリース。本作「BIG BAND STAGE」はその第2弾である(編集部)
小原 最初に2曲目の「我が心のジョージア」を聴いていただきました。いかがですか?
MALTA いやあ、素晴らしい。家庭用といっても、本当に生活空間の中でここまでの音で聴いている人がいるのかという気もしますが……(笑)。でも買えるんですね。
小原 ええ。この曲はMALTAさんのソロも入っていますが、ご自身のエモーショナルなソロは、意図した通りに再現されていますか?
MALTA そうですね。細かい息使いまでよく聴こえる。個人的には、ミキシングでもっと分離して前に俺を目立たせてくれよ、とも思うけど(笑)。ビッグバンドですから、各楽器の調和を重視して内沼さんがミキシングしているのがよくわかります。
角田 MALTAさんがノリノリで、実は本来アレンジ上では吹くべきでないパートまで吹いちゃっているんですよ。なのでミキシングは難しかったんじゃないかなあ。
内沼 全体のバランスをみながら、それぞれの個性が活きるように配慮しています。たしかにスタジオモニターで調整した時には、もう少しMALTAさんのサックスが前に出ていた気がするけれど、このシステムで聴くと楽器の距離が適度に揃っている印象です。その分、自然な包囲感がありました。
小原 続いて4曲目の「エアメイル・スペシャル」を聴きました。名曲揃いの本作のなかでも、特に私自身好きな曲です。すごくハイスピードでレベルの変化もダイナミック。オーディオシステムの潜在能力を図るには格好の曲調でもあります。本盤のハイライトですね。
MALTA やっぱりサラウンドっていいものですね。ステレオと比べてエアー感が全然違う。音にならない音が風になって、肌に触れる感触。そんな現場ならではの雰囲気がここでも味わえるとは思わなかった。
小原 確かに演奏スタジオにいるような臨場感を感じます。しかもこの曲はゴージャスで低域がリッチ。聴いていて楽しいですよ。
内沼 コンパクトスピーカーで聴いてもエネルギー感が損なわれないように、若干ウッドベースの低域を持ち上げた部分はあります。演奏自体もウッドベースが前にでる力感のある曲だし、そういった音楽性を理解したうえでバランスをとっています。このS-1EXくらい大きなスピーカーだと、仮にサブウーファーレスの5.0chでも問題はないかもしれませんね。
角田 確かにバランスはスタジオのマスター音源そのものというわけではないけれど、演奏のニュアンスは豊かに再現されるし、これが家庭で聴けることは驚きですよ。「エアメイル・スペシャル」は何しろテンポが速いので、みんな前のめりの姿勢で弾いているんです(笑)。そういったレコーディング現場の緊張感まで伝わってきました。
MALTA 実はこの曲、レコーディング一週間前の練習ではゆっくり演奏してたんですよ。それで安心していたら、本番でいきなり倍くらい速くて騙された(笑)。遅れないように集中して、無心で吹きましたよ。これだけハイテンポで、なおかつピッタリと息があっているビッグバンドの曲は貴重じゃないかな。

フロント重視のサラウンド。
俊敏な低音も魅力的だ

小原 続いて7曲目「イン・ア・センチメンタルムード」を聴きました。デューク・エリントンの代表曲ですね。とてもムーディで雰囲気たっぷりのMALTAさんのサックスがサラウンドサウンドで見事に再現できました。
MALTA やっぱり自分の演奏を冷静に聴くのは難しいなあ。反省点ばかり耳につく。でも、それと同時にデューク・エリントン、ジョン・コルトレーン、チャーリー・パーカーといった偉大な先人達の音楽的遺産を少しでも受け継ぐことができている、ということに幸せを感じます。彼らの時代はアナログレコードだったけれど、僕らにはDVDオーディオのような素晴らしいメディアがあるのだから、なおさらいい音で記録された、いい作品を次代に遺しておくべきなのでしょう。
真の重低音を実現するために
5.1chミュージックの問題点「低音の遅れ」にメスを入れた
音楽制作&再生テクノロジー「フェイズコントロール」とは?
Phase Control
これまでの多くの5.1chなどのソフトでは、フロントLRなどメインの音楽信号に対して低音専用のLFE信号に時間遅れが存在した。その原因はメインの音楽信号からLFE用の低音成分を抽出するローパス・フィルター(以下LPF)。LPFを時間的考慮がない状態で使用する限り(現状は大半だと思われる)、DVDビデオ/オーディオ、SACDなどすべてのメディアでこの現象は発生する。この時間遅れはソフトのみならず、再生側のAVセンターやサブウーファーでも配慮なくLPFを使う限り、同様に発生する。したがって最悪のケースではソフト+AVセンター+サブウーファーの3段階で時間遅れが積み重なる。この時間遅れは、サブウーファーからの遅れた音による違和感が発生しやすいだけでなく、メインの音楽信号をも変質させることが問題。低音感の低下はもとより音の躍動感やグルーヴ、音程感の低下を招く。この問題を解決するのが、パイオニアが提案する「フェイズコントロール」で、制作側から、AVセンター、サブウーファーのすべての段階における、低音遅れへの対応を提案している(亀山信夫)
LPFが入ると、時間遅れ[位相ズレ]が発生
ソフト制作
Phase Control
図のようにLFE信号はメインの音楽信号からLPFで低音部分を抽出して作り出す。この段階で、LPFの性格上、時間的な遅れが発生する。この問題を解決するのが「フェイズコントロール」録音技術だ。これは2005年7月、パイオニアから世界のソフト業界へと提案された。「フェイズコントロール」を適用したソフトには、その証として、ロゴマークが付く。早くもクラッシク作品のSACDからポップス、映画DVDビデオが登場した。「BIG BAND STAGE」はもちろんフェイズコントロール制作のタイトルだ
AVセンター
Phase Control
再生側のAVセンターも同様にLFEに時間的な考慮のないLPFを用いていると遅れが生じてしまう。もちろんAVセンターでLPFを用いなければ時間遅れは生じない。しかしSACDなどの広帯域LFEソフトを考慮するとLPFは必要である。そのためにパイオニアは「フェイズコントロール」搭載のAVセンターを開発した。もしLPFつきの一般的なAVセンターの場合はカットオフ周波数を最大にすることで遅延緩和が図れる。パイオニアの最新AVセンターVSA-AX4ASiはフェイズコントロール機能を備える
サブウーファー
Phase Control
サブウーファーには必ずと言っていいほどLPFが装備されている。ここでも、時間的な考慮のないLPFを使えば、遅れは発生する。その遅れを回避するのがフィルターバイパス機能だ。EXシリーズのサブウーファーS-W1EXにもバイパス機能があり、LPFを経由しないモードを活用すると時間遅れなく低音再生ができる
パイオニアの[フェイズコントロール]対応現行機器
AVセンター
VSA-AX4ASi/VSA-AX2AS/VSA-AX1AV/VSA-1016V
SPシステム
EX series/EURO series/A77 series/S-A3-LR/S-A4 spirit/S-A5C
※サブウーファーはLPFバイパス機能があり、スピーカーはユニットがすべて正相接続とされている
小原 そうですね。この曲ではMALTAさんのほうから、ビッグバンドに積極的に入っていこうという気持ちが、再生していて感じられました。アンサンブルとサックスとが優しく溶け合っていますね。
MALTA 演奏にデューク・エリントンサウンドの現代的解釈を含めたつもりです。多様に変化しながらもムーディーでしょう?
小原 ええ。香気漂うような楽器の響きもサラウンドの醍醐味ですね。
角田 ナイトクラブで聴くような感じで水割りが欲しくなる(笑)。ステレオ再生ではこのしっとりとした情感はでにくいかもしれませんね。
内沼 リアchにはアンビエント成分だけを回しています。あくまで直接音はリスニングポイントから前面120度の範囲だけでミキシングしているので、フロント重視の音場表現には変りありません。しかしそれでも空気感の出方がまったく違ってくるんです。
小原 本作は、低域の位相を合せこんだ「フェイズコントロール」処理がなされていますね。とくに4曲目などのハイスピード感は、この俊敏な低域あってこその表現だと感じました。
内沼 そう。タテのピッチがしっかり揃った、タイトな低域をしっかり出すために位相管理は厳密に行なっています。また、MALTAさんと打合せを重ねて、サックスにわずかながらディレイやホールリヴァーブなどのエフェクトをかけています。ただ録りっぱなしでもいい音ですが、よりよいバランスをめざして作業するのがエンジニアの性ですね。
MALTA 僕もスタジオ録りを重ねてきた経験から、サックスにより色気を出すための手法を得ているんですよ。それで、もちろん不自然にならない範囲で加味している。ただ音楽全体のデザインは角田さん、録音全体の音場デザインは内沼さんに任せてあります。僕はプレイヤーだから、音源としてはほぼモノーラルな存在。それをどう音場の中で、音楽として組み立てるかは、信頼できるミュージシャンやレコーディング&ミキシングエンジニアと巡り合うしかない。本作は全体を通してビッグバンドジャズのサウンドがうまく展開できた、なかなかいいアルバムになっていると思いますよ。ぜひ今日のような音のよいサラウンドサウンドで体験してビッグバンドならではのスケールの大きな空気感を味わっていただきたいですね。
視聴したシステム
Phase Control
スピーカーシステムパイオニア S-1EX \525,000×5
サブウーファーパイオニア S-W1EX \210,000×2
DVDプレーヤーパイオニア DV-AX-5AVi \210,000
AVセンターパイオニア VSA-AX4Si \188,000
パワーアンプジェフ・ロゥランドDG Model 102 \304,500×3
ディスプレイパイオニア PDP-5000EX \1,050,000(スタンド別売)
※問合せ先
パイオニア カスタマーサポートセンター 電話番号0070(800)818122、
ジェフ・ロゥランドDG[大場商事] 電話番号03(3479)5181
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