NO.24
堀切日出晴
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恒例、本誌未紹介DVD特集:後編
第24夜の今夜は、恒例:HiVi本誌未紹介DVD特集、その後編です。
さて、「本誌未紹介DVD特集」、その後編を始めてまいりましょう。
まずはクライテリオンのお話。2月25日には季刊「ホームシアター/2002年春号」が発売されますが、今回の特集は「その後のクライテリオン」。2000年冬号でのCRI特集の続編です。現時点で原稿は入稿済みなんですが、間に合わなかった情報をここで一つ。
「オーシャンズ11」がヒット中のスティーヴン・ソダーヴァーグ監督ですが、彼の強い熱望で前作「トラフィック」がCRI-DVDとして5/28リリースされることが決定しました。仕様は2-DISC。DISC-1は本編とスタッフ・コメンタリー。DISC-2は特典ディスクで、映像デザイン、編集、ダイアローグ編集のデモ解説。その他未公開シーン等を収録して$39.95。
但し、プロデュースのUSAエンターテインメントとの権利問題(通常盤は発売中)で、クライテリオンの正規表記ができるかは現在未定です(おそらく大丈夫とは思いますが)。これはHVC=ホーム・ヴィジョン・エンターテインメントがバルドー作品をリリースした時と同様で、権利の問題で正規表記ができない場合は、パーケージ内のリーフレット上のみの記載となります。
「トラフィック」写真

注:本ジャケットは現在リリース中の通常盤です。
続いてはこのDVDのお話。
「SUOND & VISION」マガジン。聞いたことがありますか? アメリカで購買読者数が非常に多いオーディオ&ヴィジュアル雑誌の一つですね。
HPアドレス(「SOUND & VISION」ONLINE)
:http://www.soundandvisionmag.com/index.asp
この雑誌が全面監修したテストディスクが「SOUND & VISION: Home Theater Tune-Up」です。チューンナップ・ディスクと言えば、ジョー・ケイン監修の「VIDEO ESSENTIALS」が有名ですが、こちらはもう少し初心者にもやさしい内容となっています。各種テスト信号はほとんど網羅していますが、日本語が収録されていませんので映像ガイドは少し退屈かも。テスト信号はかなりわかりやすく(使いやすく)簡略化されていて、ご興味がある方は一度試されては如何でしょう? 定価は$19.99ですが、値引き価格になると$15程度で購入できます。
こうしたチューナップ・ディスクは結構種類が出ているんですが、例えば3管プロジェクターで言えば、基本初期調整(アラインメント等の)に使ってもあまり意味がありません。DVDプレーヤーによって差異が出ますので、基本調整は専用のテスト信号で調整マンにしてもらうことがMUSTです。こうしたDVDは、まず映写映像機器と音声再生機器の基本初期設定が完了した上で、その後の微調整DISCという位置付けで考えておいた方が良いでしょう。更に再生されるDVDソフトは色合い一つとっても全てのソフトで微妙に違いますから、目安をつける、という考え方で使用されるのもいいかもしれません。
特に「映像調整の取っ付き所がわからない」「どこから手を着けたら?」という方には、初めの一歩的な使い方もできますし、意外と現在「良し」としてきた設定で幾つかの画質・音質向上のヒントが見つかるかも。
さてさてディスク紹介に移っていきましょう。後編、まずはこのディスクから。
●$19.98
PICTURE ★★★★★
SOUND ★★★★
  
●Featurette
●Theatrical Trailer and TV-Spot
邦題「魅せられて」。圧巻の高画質DVDです。もう、見事お見事。なぜに本誌で紹介しなかったかと言いますと、実はPAL-UK盤のリリースを待ってUK盤を紹介しようと思っていたんですが、UK盤はリリース延期。そんなかんなで本誌紹介の時期を逸してしまったわけです。後編のTOPは、もうこの作品紹介からしかないでしょう。
イタリアの画匠ベルナルド・ベルトリッチによる1996年監督作で、彼自身「このところ大作ばかり演出してきたので、小品の世界に戻りたかった」と語るように、まさに「魅せられる」愛すべき小品に仕上がっています。しかし、今再見してみると撮影監督が「セブン」のダリウス・コンジだったり、ブレイクする前のレイチェル・ワイズ(「ハムナプトラ」シリーズ)やジョセフ・ファインズ(「恋に落ちたシェイクスピア」/この人がレイフ・ファインズの弟だとは今も信じられないんですが)といった面々が脇を固めていたりと、見所に話題は尽きません。さぁ、この作品の見所。まさに絵画。
ベルトリッチの盟友ビットリオ・ストラーロからバトンタッチしたコンジですが、「ロスト・チルドレン」「セブン」といった――現実を巧妙にコントロールしてディフォルメしたヴィジョンを魅せつける手法から、本作で自然主義的なアプローチに回帰しているのがなんとも嬉しいですね。
ENRによる残銀処理も見受けられますが、これはストラーロの十八番でもありましたから違和感は全くありません。それより何より、19世紀中頃から20世紀初頭にかけての印象派――その後年は後期印象派とジャンル分けされますが――の作品を多分に意識しているということ。おそらくはベルトリッチとのディスカッションで方向付けられたのでしょうが、このルックスが実に素晴らしい。
例えば、コンジの創造性と想像力との圏内に収まる色彩パレットの広さを示す例が、フランスの印象派カミーユ・ピサロのタッチ――光と陰影の描写――の引用であり、それを更にディフォルメするのは後期印象派ポール・ゴーギャンのタッチ――残銀処理を含む色使い――であったりします。
ピサロ/モンフーコーの池
http://art.hotspace.jp/P/Pissarro/pis02.jpg
ゴーギャン/The Swineherd, Brittany
http://isweb21.infoseek.co.jp/art/j-miki/G/Gauguin/ga02.jpg
こうしたタッチのビデオ映像再現は非常に難しく、逆に本作だけをバイアス、ゲイン調整等で追い込んでも他の作品が“ま黄っき”で観れたもんじゃないとか、ソフトの品質+再生映写機器の実力がかみ合わねばなりません。こうした“一筆”のインパクトは、決して解像度やS/Nの是非だけでは判断できませんので、ご自宅でも挑戦し甲斐があるDVDでもあると思いますよ。
●$29.95
PICTURE ★★★☆
SOUND ★★★☆
  
●Audio Commentary With Director Volker Schlondorff
●Theatrical Trailer
監督は「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ。彼の2000年の最新作ですが、やっぱりお話はディープ。ヒロインは西ドイツの実在した女性テロリスト。映画は東西ドイツの統合を、彼女の人生を通じて見つめていきます。ビビアーナ・ビグローが扮するリタは資本主義に反抗するテロリスト。ある時彼女は警官を殺してしまい、仲間とともに指名手配犯となり、東ドイツで過去を消して一労働者として生きようとするのですが……。ベルリンの壁の崩壊から約10年。こうした映画が作れるようになったことの意味を考えるだけでも、映画が持つテーマは深いところにあるのがわかります。映像は残念ながらLB仕様。解像感も色彩感も後退気味ですが、それを補って余りある映画のパワーに圧倒されることは間違いありません。
●$14.95
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★★
  
●Theatrical Trailer
1980年代を代表する役者さんである、好感アンドリュー・マッカーシー&清涼飲料水キム・キャトラル。彼らが共演したロマンティック・コメディ「マネキン」は、これまた1980年代を代表するスマッシュ・ヒットになったのでありました。古代エジプトの美女エマの霊が宿ったマネキンとの恋物語は、今観ても結構胸キュンだったりして。よ〜っく観るとなんとなく大雑把な作りも目立つんですが、そりゃぁ、あなた、こうしたロマンティック・コメディに難しい話は野暮というもの。もう、単純単純のディスコ感覚でお楽しみ下さい。エンドタイトルにかかるは、おおォ、懐かしのスターシップ! 歌うは「NOTHING'S GONNA STOP US NOW/愛はとまらない」! 全米第1位、ミリオンセラーヒットの名曲でありまするぅ!
●$14.95
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★★
  
●Making-Of Featurette
●Theatrical Trailer
邦題「星の流れる果て」。サリー・フィールドが「ノーマ・レイ」「プレイス・イン・ザ・ハート」で2度のオスカーに輝き、絶好調の時期に製作された実話の映画化。イラン人の夫が故国での永住を決めたことから、その妻と幼い娘もイランに移住することに。しかし夫は次第に自国の生活を妻に押し付けるようになり、性格も豹変してしまいます。妻は国外脱出を決意しますが、国の法律では密出国は死刑。やがて妻と娘は決死の逃亡を計るのですが……。今観るとなんだかプロットがタイムリーすぎて恐いんですけれど、クライマックスまで一気に魅せるサスペンスはなかなかのもの。彼女の迫真の演技を後押しするのは、やっぱりこの御人でした。御大ジェリー・ゴールドスミス。この映画音楽のお手本。
●$24.98
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★☆
  
●Play It Again: A look back at Play Misty For Me
●The Beguiled, Misty, Don and Clint
●Clint Eastwood on DVD
●Photograph Montage
●Clint Eastwood Directs and Acts
●The Evolution of a Poster
●Theatrical Trailer
●Production Notes
●Cast and Filmmakers
●DVD-ROM Features
邦題「恐怖のメロディ」。クリント・イーストウッド、1971年監督・主演作品ですが、監督作としては記念すべき第1作。一夜限りの肉体関係だったはずの女性が、次第に常軌を逸したストーカーに豹変していくという、これまたなんとも現代の病巣を示唆していて恐い恐い恐い。数々の有名女優候補の中から勝ち抜いた、当時無名に近かったジェシカ・ウォルターの一世一代の名演技。恐すぎるぅ。「危険な情事」のグレン・クローズも、「ミザリー」のキャシー・ベイツも、彼女と比較すればおぼこのようなもん。原題に使われている「MISTY」とは、ジェシカが毎晩リクエストするガードナーのスタンダード・ジャズのタイトルで、全編を彩るジャズの名曲はイーストウッドならではの選曲。とは言っても、やはり観所はいぶし銀のシネマトグラファー、ブルース・サーティース。その極端に光量を出し惜しんだロー・キーの絵づくり!
●$29.95
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★★
  
●Ed Harris Commentary
●Making-Of Documentary
●Theatrical Trailers
●Link To Website
●Charlie Rose Interview with Ed Harris
●Deleted Scenes
●Filmographies
●Production Notes
ジャクソン・ポロック。1912年アメリカ生まれのアクション・ペインティングの代表的画家。1947年、キャンバスに塗料を滴らせ四方から画面を埋めていくドリッピング技法を創始。従来の表現の概念を超えたこの方法論は、現代美術に決定的な衝撃を与えましたが、1956年事故死。残された作品は、躍動する激しい絵具、塗料の線や飛沫の集合体。全米興行では初登場36位と振るいませんでしたが、本作ではポロックにエド・ハリスが扮し(オスカー・ノミネート)熱い演技を魅せつけます。製作も演出も彼ですから、もう、熱くなるのもわかります。天才にしてアル中。その危ない奇行癖。そんな彼を見守る妻に扮したマーシャ・ゲイ・ハーディンは、もう圧巻の、圧倒的な存在感でオスカーを受賞しましたね。これは当然でしょう。本DVDの映像は切り立った解像感こそないのですが、実に濃厚に観る者を包み込みます。もしも彼の作品に興味があるならば、IMAGEからドキュメンタリーもリリースされていますのでご覧下さいね。
●$24.99
 
ポロック実像:http://www.nga.gov/feature/pollock/pollockhome.html
作品:http://www.nga.gov/feature/pollock/lm1024.jpg
作品制作:http://www.nga.gov/feature/pollock/process1.html
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PINK FLAMINGOS/ FEMALE TROUBLE: The John Waters Collection−Vol.3
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●$29.95
PICTURE ★★★☆
SOUND ★★★
  
●Auido Commentary by John Waters
●Original Theatrical Trailer
●Deleted Scenes with Introduction by John Waters
「ヘアスプレー(1987)」「I Love ペッカー(1998)」をカップリングしたVol.1、「ポリエステル(1981)」「デスペレート・リビング(1976)」をカップリングしたVol.2でしたが、ジョン・ウォーターズの真骨頂は「ピンク・フラミンゴ(1972)」と「フィメール・トラブル(1974)」を収録した本DVDにあります。もちろん監督はBADテイストの帝王、ジョン・ウォーターズ! 鶏とのエッチ、肛門ダンスや、挙げ句は犬の糞まで喰らったりと、下品の極みここにあり! ウォーターズ曰く「悪趣味も趣味のうち。ただ単に趣味が悪いだけ」と、笑い飛ばしてるんだろなぁ。まともな奴が一人として出てこない映画。もう目の前が真っ暗になっちゃう人もいると思いますが、この破壊的なシネマ・ムーブメントに加わらないテはありませんぜ。
●$19.98
PICTURE ★★★☆
SOUND ★★★☆
  
●Theatrical Trailer
邦題「聖衣」。シネマスコープ方式とは、撮影時にアナモフィック・レンズを撮影カメラに装着して横幅を2分の1に圧縮し、映写時には今度は2倍に拡大して実像を再現する撮影方式。実はその歴史は古く、アナモフィック・レンズの原理はすでに1927年には発明されていたといわれます。さぁ、そのシネマスコープの絢爛豪華な劇場デビュー、それこそが1953年に20世紀FOXが製作した本作。FOXはフランスのアンリ・クレティアン教授が開発したレンズのパテントを買い取って、シネマスコープと銘打って発表したんですね。この大型映画の決定版、アスペクトは2.55:1。これは、4本の磁気サウンドトラックによる立体音響=ステレオフォニックの技術によって、光学サウンドが占めていた領域も画像に割り当てたからでして、本DVD、なんとオリジナルのアスペクトで大復活を遂げました。有効走査線数が極度に少ないため、どうしても情報が走査線の彼方に埋没してしまいますが、なんとも嬉しい映画史のプレゼントでもあります。嬉しいなぁ。僕にとってはこの喜びの方が大切です。後はハイビジョン放送での登場を待ちましょうかしら?
●$24.98
PICTURE ★★★★☆
SOUND ★★★★
  
●Theatrical Trailer
監督はカナダをベースに活躍するドゥニ・アルカン。本作は2000年カンヌ映画祭(コンペ外)招待作品のクロージング作品でもあり、アルカンの今後の活躍は注目ですよ。お話は地方の女子アイスホッケー選手だったヒロイン=ティナが、モデルとなり、やがてスーパーモデルになっていく、というものなんですが、劇中で彼女を記録するムービー・カメラの映像が交錯するセミ・ドキュメンタリー・タッチ。カメラに向かって悪態をつくティナの映像が、そのまま映画作品として成り立っているわけでして、このような作り方を好きか嫌いかで評価は分かれるところ。ティナを演じるジェシカ・パレはカナダの期待の新星で、どことなくリブ・タイラー嬢の面影がありGood! とにかく映像のクォリティが高く、時折品質が乱れる数シークエンスを見逃せば5ツ★の仕上がりです。ジャケットの口がバーコードになっているところ、ラストへの皮肉ですのでお楽しみに。
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STAR TREK:THE MOTION PICTURE−THE DIRECTOR'S EDITION
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●$29.99
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★★
  
Disc1:
Group Commentary by
Director Robert Wise, Special Photographic Effects Director Douglas Trumbull, Special Photographic Effects Supervisor John Dykstra, Music Composer Jerry Goldsmith and Actor Stephen Collins
Text Commentary by Michael Okuda, Co-Author of 「The Star-Trekョ Encyclopedia」
Disc2:
New Retrospective Documentaries with Cast & Crew Interviews: Phase II: The Lost Enterprise, A Bold New Enterprise, Redirecting The Future
Teaser Trailer
Theatrical Trailer
New Director's Edition Trailer
8 Television Commercials
5 Additional Scenes (From the 1979 Theatrical Version)
11 Deleted Scenes (From the 1983 TV Version)
Storyboard Archive
New STAR TREK series 「Enterprise」 Promo Spot
劇場版「スタートレック」、DVD初見参。この記念すべき第1作を待った方は、トレッキーだけでなく、きっときっと多いことでしょう。1979年劇場公開版より4分長いディレクターズ・カット版(143分のTV放映版もありましたが)。単純に追加編集されただけでなく、新しい壮観なスペシャル・エフェクツ、マットペインティングの追加等、ロバート・ワイズ監修下でDVDリリースのためのレストア作業が行なわれています。新しいCGIエレメントも制作、追加編集され、リリース前から楽しみだった1枚。
このNEWヴァージョンDVD、今日のソフト・プレゼンテーションの中では極上盤とは言い切れません。映像に関して言えば、確かに切れ味最高! というレベルには到達できておらず、どこかチョット生乾きっぽい。しかしですね、たとえレストアされたといっても、すでに本作のSFXはオールド・ファッションです。それを考えると、多少甘めのルックスはフィルム・エレメントに依存していると考えるべきで、このアナログ的ともいえるフィルム・ライクぶりは、映画SFX史という観点から歓迎されるべきなんでしょう。言い換えれば、昨今のSFX映画と同じ土俵で比較されるべきではないということ。息せき切って闇雲に走りがちなCG-SFX映画が散乱していることを考えれば、僕はこの作品のリズム、とっても好感が持てます。この作品もまた黒が艶めいていて、この黒に関しては切れ味最高! ですよ。
サウンド・レストア&リミックスも派手ではありませんが、旧作のリミックス作品の中では優秀。LD時代から比べて確実にダイナミック・レンジの向上が伺えます。特にジェリー・ゴールドスミス御大のスコア。生き生きとして、実に開放的。宇宙空間には御大のスコアがよく似合います。これは必聴。
●$27.96
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★★
  
●Audio Commentary With Director William Dear
●Theatrical Trailers
●TV Spots
時間移動の科学実験に巻き込まれ、19世紀末の西部にタイムスリップしたフレッド・ウォード扮するエンデューロバイク・ライダー。悪党一味との活劇はあるわ、ロマンスはあるわ、で最後まで飽きさせない娯楽作品。やっぱりタイムスリップものって、カルチャー・ギャップのすれ違いの描写がなんとも楽しいなぁ。「ファイナル・カウントダウン」や「フィラデルフィア・エクスペリメント」よりも本作の方が面白い、という人、結構いるんですけれど、なんせ日本劇場未公開。DVDで是非楽しんで下さい。ちなみに音楽担当のマイク・ネスミスって、モンキーズの、あのマイクですよン。
●$19.98
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★☆
  
●Theatrical Trailer
お洒落な犯罪コメディは? と聞かれて、本作「トプカピ」を挙げる人は数多いはず。監督はジュールス・ダッシン。1940年代はドキュメンタリー・タッチが斬新な新鋭監督として期待されましたが、赤狩りでヨーロッパに活躍の場を移すことになります。ヨーロッパに移ってからはかつてヒッチコックの下で働いた経験が活き、なんとも美味しい作品を連発。1964年に発表されたのが本作で、主人公の女盗賊が狙ったトルコのトプカピ宮殿にある宝剣強奪作戦が最大の観せ場となっています。警戒厳重な防御システムをどう突破するのでしょうか? ほらほら、思い出してくださいな。デ・パルマがこのシークエンスをまるまる「ミッション:インポッシブル」で盗んじゃってましたでしょ。ヒッチ〜ダッシン〜デ・パルマ、という系統図が、はい、出来上がり。残念なのはスクイーズ仕様でリリースされなかったこと。LB仕様でも充分に綺麗なんですけれど……。
●$24.95
PICTURE ★★★★★
SOUND ★★★★
  
●Filmographies
●Theatrical Trailers
サンダンス・フィルム・フェスティバルは毎年有能な新人を発掘していますが(スティーヴン・ソダーヴァーグ等、挙げればきりがない)、ニール・ヒメネズもその一人。後に「メリーに首ったけ」を製作するマイケル・スタインバーグとの共同監督作ですが、1992年度サンダンス・フィルム・フェスティバルで最優秀脚本賞と観客賞を受賞しています。突然の事故で下半身不随になってしまった作家の物語で、これはヒメネズの実体験がモデル(共同監督というのもそのハンディのため)。駆け出しの脚本家だった彼は登山中の事故で下半身不随になるのですが(その後「リバース・エッジ」「フォー・ザ・ボーイズ」という脚本作がある)、その時の体験がベースにあるんですね。ですから、下半身不随の主人公が登場する映画は沢山あれど、本作ほどにリアルな感情をストレートにぶつけた作品は初めてではないでしょうか? しかも、こうした題材の作品のプロット自体に隠された落し穴――つまりは感傷に走り過ぎたり、妙に明るく堅気だったり――に落下してしまいかねないんですね。
若者達が自由の利かない体になる――この運命を辛辣かつユーモアたっぷりで描いていて、特に日常的な問題の扱い方が実に上手い。例えば、メイク・ラブ。セックスの喜びを味わえない男と、彼を愛する女。2人のエクスタシーと不安が衝突するラブ・シーン。
人種や階級の溝に苦悩しながら友情を築く、エリック・ストルツ、ウェズナリー・スナイプス、ウィリアム・フォーサイス。その演技は実に力強い。ストルツの恋人になるのが、ヘレン・ハント。これまた見事!
DVDのクォリティは非常に高いですねぇ。低予算映画にありがちなマスター・クォリティの問題もなく、ニュー・トランスファーに使われたプリントは全くといって良いほど損傷がありません。色彩パレットは実に柔和。青白く見えがちなスキントーンも、フィルム上に意図的にデザインされたもの。エッジ・エンハンスの弊害も僅少。黒側の情報は安定していますが、コントラスト感は強烈ではありません。このトーンもまたフィルム・エレメントに記録されている作品トーンと解釈するべきでしょう。サウンドはドルビーサラウンドですが、どちらかというとモノフォニックというべきでしょうか。その分ダイアローグは堅実に耳に響きます。
●$29.99
PICTURE ★★★★
SOUND ★★★☆
  
●Theatrical Trailers
邦題「地球最後の日」。惑星衝突による地球壊滅の危機を描いた、もう有名な有名なSF映画ですね。なんともまぁ、半世紀前の作品ですね。監督はポーランド出身で「裁かるるジャンヌ」「海外特派員」等の、数々の名作の撮影を担当したルドルフ・マテ。ジャンヌとSF? このギャップがたまらなくいいんですなぁ。本作のヒットで気を良くした製作のジョージ・パル、この後「宇宙戦争」「宇宙征服」といったヒット作を連打することに。半世紀前の作品ということで、純正テクニカラーの経年変化による弊害等も見受けられますが、それはフィルム・エレメントの損傷に負うもの。Film-to-Tape変換の工程は旧作の部類ではハイランクに属しますよ。
●$29.99
PICTURE ★★★★★
SOUND ★★★★★
     
DISC-1
「Between Two Worlds」 Exclusive Feature on the Paranormal
「Moving Pictures: The Storyboard Process」 Exclusive Feature
Collectible 「The Sixth Sense」 Storyboard Sequence
DISC-2
「Music And Sound Design」
「Reaching The Audience」
Rules And Clues
Deleted Scenes
Publicity
Filmmakers' And Cast Bios
さて最後に「ブエナ・ビスタ・シリーズ」と銘打って再発されたハイクォリティ盤をご紹介。
もうお馴染みの「シックス・センス」。2枚組み、DTS音声収録での再登場です。本DVDのマスターはおそらく通常盤と同じと思われますが、明らかにガンマとコントラストの再調整が施されており、カラーパレット上のレイアウトも緻密になっています。この辺りは、通常盤に見られる抑え気味であった(というよりシークエンスによって霧散していた)コントラスト感と色彩感を比較して頂ければわかりますし、シーンによって甘めに映っていたディテイル描写も克明に描かれます。おそらくは入念なデジタル・クリーニングが施されているようで、本盤は全ての映像表現において、映画に息吹いていた抑制された積極性が蘇ったと言えるようですね。
DTS仕様のサウンドも実に巧妙な仕上がり。DD音声とともにレストアされましたが、共に優秀な仕上がりです。なにしろ本作では派手なサウンド・デザインや大げさなスコアもありません。何しろ静謐。このサウンドトラックの深淵に記録されている“気配”の表現が出色。これは恐かったなぁ。360度フォノソニックな気配音場、これが漂うんですねぇ。結構後ろからそそり立ちますよ。
でも前作とのリリース・タイムディレイもさほどないのに、なんで最初からこのクォリティで出さなかったんでしょ? よ〜く考えれば、ちと腹も立つDVDなんですけどね。まっ、いいか。
さぁ、如何でしたでしょうか、「本誌未紹介DVD特集」その後編? 次回は、最近リリースが盛んな1970年代初期の極上DVDを、最新液晶プロジェクターで視聴しましょう、という特別編です。なぜ液晶かと言いますと――最近の旧作DVDは非常にクォリティが高くお色直しがされているんですが、ともすれば当時の香りが霧散しがちです。余りに綺麗綺麗過ぎる。例えば「フレンチ・コネクション」。綺麗なお色直し。でもですね、これ、自宅の3管で観ると綺麗過ぎて弱っちゃう。この作品でフリードキン監督と撮影監督のオーエン・ロイズマンが求めたルックス・コンセプトを考えると、もっと匂いを汚したくなるんですねぇ。
そこで「フレンチ・コネクション」「M★A★S★H」等の作品を使いまして、作品紹介とインプレッションを交えながらお届けしたいと思っています。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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