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今月の米国盤:番外地
NO.36
堀切日出晴

第三十六夜 「ジェームス・コバーン&リチャード・ハリスDVD特集」

 さて三十六夜は、急逝したジェームス・コバーンとリチャード・ハリスのDVDを特集いたします。旧作、NEWリリースの中から数作をピックアップしていきましょう。若い頃よし、年を重ねてもよし、晩年もまたよし、の名優さんでしたね。
 それではその前に、まずは恒例行事になりつつあるFeatured-DVD、そのMENE & DISCアートをご紹介。

■MENUアート
MENU-1:「夢」

MENU-2:「LITTLE SECRETS

MENU-3:「THE MASTER OF DISQUISE

MENU-4:「最後の晩餐/平和主義者の連続殺人<未>」





MENU-5:「シャンプー(75)」

MENU-6:「SIMONE

MENU-7:「SWEPT AWAY

MENU-8:「THE TUXEDO


MENU-9:「UNDERCOVER BROTHER


■DISCアート
DISC-1:「FEAR DOT COM

DISC-2:「スパイ・キッズ 2」


 それではジェームス・コバーン&リチャード・ハリスのDVDをご紹介していきましょう。とは言ってもそこは番外の地のお話。あまり有名な出演作は省略いたしますのでご了承を。60年代、70年代の作品が中心となりますかしら、やっぱり。また今夜は追悼の意も含んでいますので、PALもいくつかご紹介していきます。
 まずは10月25日にこの世を去ったリチャード・ハリスの作品から。

THIS SPORTING LIFE

$24.99

PICTURE QUALITY ★★★
SOUND QUALITY  ★★★

 邦題「孤独の報酬(63)」。ハリスはこの作品で初主演、しかもオスカー男優賞にノミネート、カンヌ映画祭主演男優賞を受賞。活躍の場をイギリスからアメリカに移す事となった記念的作品。ハリスは粗野な炭鉱夫に扮します。彼は下宿する家主である美貌の未亡人に恋をするのですが、女に翻弄される孤独な男を熱演しました。
 DVDはLB(1.66:1)仕様ですが、ぜひとも押えておきたいタイトルです。PAL盤再生が可能な環境にある方には、PAL-UK盤がリリースされていますので如何でしょう。但しPAL盤は4:3/フルスクリーン・サイズでの収録です。

PAL-UK盤

ROBIN AND MARIAN

$24.95

●Theatrical Trailers

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★☆

 邦題「ロビンとマリアン(76)」。20年ぶりに故郷シャーウッドの森に戻ってきたロビン・フット。恋人マリアンは今は尼僧に。さぁ、ここからのお話が面白い。ロビンにはショーン・コネリー。マリアンにはオードリー・ヘップバーン。なんとも美味しい顔合わせ。
 監督はリチャード・レスター。「市民ケーン」のジューク・ボックス版である、といまだに称えられる「ハード・デイズ・ナイト」の監督として名を知られ、イギリス映画界に一時代を築いた人ですが、実は彼は生粋のアメリカ人。撮影所からでも演劇界からでもなく、TVの世界から生まれた新しい波。その先陣を切った人でもありました。
 レスターは74年に「ジャガーノート(DVD未発売)」でハリスを主演に迎えていますが、今回は獅子王リチャードを演じさせました。ハリスは脇にまわると、主演映画とは違った意味で美味しい芝居を魅せてくれますなぁ。これは最近再リリースされた「許されざる者」を観てもわかりますね。
 70年代の作品ですが、コントラスト感、色彩感はひじょうに優秀です。時折輪郭にまとわり付くシュートが散見されますが、決してそれは視聴の気をそらせるものではありません。サウンドはナロウ。ジョン・バリーの美しいスコアも、少し手足が縮みがち。しかし、ダイアローグは終始明確に響きます。

THE CASSANDRA CROSSING

$14.98

PICTURE QUALITY ★★★
SOUND QUALITY  ★★★

 邦題「カサンドラ・クロス(76)」。70年代を代表するオールスター・パニック映画の代表作の1本。お題は細菌パニック。イタリアとイギリスの合作なのですが、どこかチープな感が漂うところがいいんですねぇ。とはいえジェリー・ゴールドスミス御大のスコアが流れると、映像に品格のようなものが漂いだすから不思議ですよ。
 クライマックスの大脱線シーンは劇場で強烈な印象だったのですが、ARTISANからの本盤は1.33:1のフルスクリーン仕様。これにはちょっと・・・。しかもジャケットの表紙にハリスのカットがない。
 そういうわけでPAL-UK盤を購入してみると、ハリスのカットもあるし、LB仕様ではありますがビスタサイズ収録ですし。

PAL-UK盤

 でもってこちらはデンマーク盤。ほらほら、ハリスのお顔がド〜ンっと!ほらほら、こうでなきゃね。
PAL-Dk盤

THE FIELD

$14.98

PICTURE QUALITY ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★☆

 日本未公開作(90)。監督は「マイ・レフト・フット」のジム・シェリダン。舞台は30年代のアイルランド。ハリスは、異常なほどに自分の土地に執着する老農夫に扮します。ジョン・フォードの作品にたっぷりと水気を含ませ、粘着質に描いた、とでも喩えましょうか。暗く、冷たい映画。でもハリスの狂演は必見。90年のオスカー男優賞にノミネートされたのも頷けます。共演もジョン・ハート、トム・ベレンジャーと、渋い役者が揃ってます。音楽はエルマー・バーンスタイン!
 DVDのクォリティは決して極上盤と言えるものではないのですが、開幕5分もすると映像に吸い込まれていくはず。これまた不思議。これまたハリスの執念か?

THE WILD GEESE

EUR 19.95

PICTURE QUALITY ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★

 邦題「ワイルド・ギース(78)」。この映画がNTSC-DVD化される日は、一体いつになるのでしょう? それまではPAL-De盤でお愉しみ下さい。とは言っても、フルスクリーン仕様ですし、音声も独語吹き替え。更に現在「メーカー在庫のみ」のようで、ますます入手困難なDVDと化してしまいました。
 傭兵って言ったって、おじさんばっかりじゃないか! などと言う輩は、もう、あっちへ行っちゃいなさい! どうですか、このジャケットに並んだ男の顔。これは見事な男の映画。泣けるなぁ。ハリス絶品なり!
 さぁ、ハリス、今回ご紹介の最後の作品はこの作品。

ORCA:Der Killerwal

EUR 13.89

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★☆

 邦題「オルカ(77)」。製作はディノ・デ・ラウレンティス御大。監督は「80日間世界一周」のマイケル・アンダーソン。撮影は初期の007シリーズを手掛けたテッド・ムーア。音楽はこれまた御大エンニオ・モリコーネ。共演はシャーロット・ランプリング、ウィル・サンプソン、ボー・デレク、ロバート・キャラダインという曲者が揃います。
 ハリスは腕利きの漁師に扮し、彼が殺した雌と子シャチの復讐に燃える雄シャチとの闘いが繰り広げられます。明らかに、柳の下の「ジョーズ」、を狙っているのですが、不思議な味わいの作品になっているのは事実。
 今年3月に登場した本盤に続いて、PAL-It(伊)盤が12月に登場します。本盤にしろ、「ワイルド・ギース」にしろ、NTSC盤での登場が待ち焦がれる方、これはひじょうに多いのではないでしょうか? 僕もその1人なんですけれど・・・。
 ハリスが出演した作品で、彼の魅力を伝える作品のDVD化、これ意外に少ない。NTSC米国盤ではインディアン社会で生きる事となる白人を描いた異色西部劇(後にシリーズ作2作が製作される)「馬と呼ばれた男(69)」も、海上爆弾パニックものの大傑作「ジャガーノート(74)」、前述の「ワイルド・ギース」もリリースされていません。

「馬と呼ばれた男」:
「ジャガーノート」:

 その他に希望するタイトルをざっと挙げても、スティーブ・マックイーンの代役で好演したペキンパー西部劇「ダンディー少佐(64)」。ジョージ・ロイ・ヒルが監督し、ジュリー・アンドリュース、マックス・フォン・シドー、ジーン・ハックマン等と共演したミュージカル「ハワイ(65)」。ショーン・コネリーと共演し骨太な演技を披露した「男の闘い(69)」。「バニシング・ポイント」のリチャード・C・サラフィアンの秀作ニューシネマ西部劇「荒野に生きる(71)」。ジョン・フランケンハイマーが軽妙な活劇を撮り上げた「殺し屋ハリー/華麗なる挑戦(74)」。ジュディ・フォスターの幼き日の名演が楽しめる「別れのこだま(76)」。アリステア・マクリーンの原作の映画化「黄金のランデブー(77)」とキリがありません。

「ダンディー少佐」:
「ハワイ」:
「男の闘い」:
「荒野を生きる」:

 ハリスの遺作は、仏蘭西産の英語アニメーション/アクション・アドベンチャー「KAERA」。ハリスは長老OPAZ、その声の出演。

「KAERA」-1:

「KAERA」-2:

 今後(特に60年代、70年代の)貴重なタイトルがリリースされていくでしょうが、彼のフィルモグラフィーを見るにつけ、その芸域の広さに改めて驚かされてしまいます。中でも脂が乗っていた70年代の作品が最も面白い。是非その作品群の早期リリースを。
 そして、合掌。

 さて続いては、11月18日にこの世を去ったジェームス・コバーンの作品をご紹介。やはり「荒野の七人」「大脱走」といったメジャーどころは敢えて横に置いておいて、まずはこの作品から。

HELL IS FOR HERO

$249.99

PICTURE QUALITY ★★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★★

 邦題「突撃隊(62)」。「荒野の七人」と「大脱走」の間に位置する、ドン・シーゲル監督の骨太戦争映画。「荒野の七人」で共演したマックイーンが主演なのに対し、コバーンはまだ新人扱いでポスターのメイン出演者ロールにも名前はありません。役柄はヘンショー伍長。眼鏡をかけて地味な存在なのですが、後半の彼の見せ場はかなり悲惨な事に。
 とにかく黒が艶やかなDVDで、モノクロームの美学を魅せつけます。それにもまして出演者の瞳の輝きが素晴らしい。今では見られなくなった、素晴らしい男の眼に会えますよ。ちなみにマックイーンとコバーンは映画では3回共演していますが、先に紹介した「ダンディー少佐」でもマックイーンと共演予定でした。その後マックイーンが降り、コバーンはハリスと初共演が実現したわけです。


OUR MAN FLINT

$14.98

●Theatrical Trailers

PICTURE QUALITY ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★☆


IN LIKE FLINT

$14.98

●Theatrical Trailers

PICTURE QUALITY ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★☆

 邦題「電撃フリントGO! GO作戦(66)」&「電撃フリント・アタック作戦(67)」。主人公は、Z.O.W.I.E.(国際連帯秘密諜報機構)のエージェント、デレク・フリント。007の完全パロディとしてアメリカでの人気が今も高いスパイ・シリーズ。作品的にはやはり1作目がお薦め。2作目は少しこぢんまりしちゃいました。
 なんたるモッド60'sの華やかさ! コバーンの長身はやはり大画面で映えますなぁ。2.35:1のオリジナル・アスペクトの映像は、全体的にシュートが散見され苦しみます。しかし眩しいほどに輝く色彩(ヒロイン=ナターシャのアパートの赤はなんなんだ!)が、それを忘れさせてくれるのも事実。クロマアップサンプリング・エラー対策の是非が大きく映像再生にかかわってきますが、対策済みのプレーヤーでの視聴は麻薬的なトリップ感をもたらしてくれます。そして黒。この黒色は実に力強く、時代の勢いを感じさせてくれます。この黒に酔う。いいですよ、この黒。
 モノーラル・トラックのレンジ感はさすがに乏しいのですが、ジェリー・ゴールドスミスのスコアなどは時代の匂いを見事に伝えてくれます。ダイアローグも明快。


BITE THE BULLET

$19.95

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★★

 邦題「弾丸を噛め(75)」。マックイーンとの共演作になるはずだった西部劇で、お題は西部横断レース。とにかくレースの描写が重厚で、そのため西部劇としての爽快感は抑えられてしまいました。製作、監督、脚本が「冷血」のリチャード・ブルックスだから、まぁ、こういう展開になるんでしょう。嫌いではありませんけれど、ちょっと重いかなぁ。
 そんな作品へのインプレッションは別として、2.35:1オリジナル・アスペクトの映像は驚くほど美しい。象徴的に挿入される青空の見事なこと。これがまた汚れなき青空だから、もう、たまりません。確かにリソースの経年変化はあるのですが、陰影描写など30年近い年月が経っているとは思えません。これはナイトシーン然り。灼熱にさらされるスキントーンの描写もドラマの高揚を盛り立てますよ。
 サウンドもモノーラルながらひじょうに力強く、オスカー音響賞、作曲賞にノミネートされた魅力を伝えてくれます。これを5.1chリミックス化しなかったのは、実に賢明。作品同様に骨太なモノーラル音声と言えるでしょう。


HARD TIMES

$14.95

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★★

 邦題「ストリートファイター(75)」。共演はチャールズ・ブロンソン。「大脱走」以来12年ぶりの共演作。脂が乗り切ったブロンソンとコバーンを仕切るのは、これが劇場映画初演出のウォルター・ヒル。ブロンソンは放浪のストリートファイター。コバーンはそのマネージャー。このコントラストが見事。しかも(多少粗削りですが)シャープなヒル演出が、また素晴らしい。
 とにかく撮影のフィリップ・H・ラスロップの映像絵画。これがいいんだなぁ。コバーンとは「卑怯者の勲章」「史上最大の脱出作戦」で仕事をしていますが、「酒とバラの日々(62)」「シンシナティ・キッド(65)」「ひとりぼっちの青春(69)」「夕陽の挽歌(71)」「ロリ・マドンナ戦争(73)」「大地震(74)」「エアポート75(74)」「ザ・ドライバー(78)」「ハメット(82」と、ラスロップ美術にお世話になった作品は決して少なくありません。
 大地に根付いた傑作活劇をどうぞ。


STEINER-Das Eiserne Kreuz

EUR 29.00

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★☆

 邦題「戦争のはらわた(75)」。サム・ペキンパーが初めて描く戦争巨編。しかし実情は製作費の捻出に苦しめられ、完成までに多大な苦労を強いられた作品。撮影日数と製作費だけが膨れ上がり、挙げ句はプロダクションの破産。しかしコバーンはギャラの支払いが危うくなった時も最後まで撮影に参加しました。その後ペキンパーとのコンビ作は2度と作られませんでしたが。
 米国盤は4:3/フルスクリーン仕様。PAL盤ではUK、独、仏盤がリリース済み。ジャケットはその中で最もカッコイイ独盤(但しLB/1.85仕様)から。スクイーズ盤はUK、仏盤。中でも仏盤のクォリティは高く、MENUデザインもキマッてます。
 以下は仏盤のMENU画面。仏盤のタイトルは「CROIX DE FER」。








GIU'LA TESTA

EUR 26.00

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★☆

 邦題「夕陽のギャングたち(71)」。監督はセルジオ・レオーネ。音楽はエンニオ・モリコーネ。もうこの名を聞くだけでマカロニ・ウェスタン・ファンは咽び泣いてしまいます。浅草の名画座でよくかかっておりましたなぁ、この作品。コバーンとロッド・スタイガーの顔合せが妙にインパクトがあって、この作品の上映館に何度も足を運んだ覚えがあります。
 豪華国内盤も登場しますが、スクイーズ収録盤はPAL-It(伊)盤のみ。マカロニ味のメキシコ叙情が見事に匂う傑作盤。一癖も二癖もある輩の臭気が凄い凄い。
 コバーンの作品では、ブレイク・エドワーズと組んだ戦争コメディ「史上最大の脱出作戦(66)」。そしてなんと言ってもペキンパーとの初コンビ作「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(72)」。集団スリの犯罪劇でラロ・シフリンのスコアが小気味いい「黄金の指(73)」。コバーンの主演作としては珍しいミステリー(監督はハーバート・ロス、脚本はなんとアンソニー・パーキンス!)「シーラ号の謎(73)」あたりを観てみたいですねぇ。

「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」

「シーラ号の謎」

 晩年はさすがに脇にまわる作品が多かったですが、話題作に顔を出す機会が多かったためハイクォリティのDVDが多くなっています。しかしオスカー助演賞をとった「白い刻印(98)」がLB仕様だったりと、肝心の作品クォリティがイマイチなのが惜しいなぁ。

「白い刻印」

 コバーンの遺作は骨太なドラマ「AMERICAN GUN(2002)」。

 クリスマスに愛娘を撃たれた男。アメリカの銃社会へのメッセージがここにあります。重く哀しい映画です。コバーンがいないと思うとなおさらに、悲しい・・・。合掌。

 さて「ジェームス・コバーン&リチャード・ハリスDVD特集」はここまで。銀幕のスターさんは死してもスクリーンの中で輝いています。嬉しくもあり、悲しくもあり・・・。
 それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。

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