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今月の米国盤:番外地
NO.39
堀切日出晴

第三十九夜 
季刊「ホームシアター」 Vol.22 2003年夏号
特集「クライテリオンの総て Part3」その番外編

 今夜は5/26発売の季刊「ホームシアター」2003年夏号/Vol.22との連動企画です。夏号では「クライテリオンの総て」、そのPart3として、昨年2月から今年の4月までにリリースされたCRI-DVD(全40タイトル)を特集しています。
 OPENINGではCRI-DVDの再発盤−−「美女と野獣」「大人は判ってくれない」にスポットを当てていますが、なんせ紙数に限りがあります。本当ですと紙面でご紹介したかった新旧盤の各スペックなんですが、写真スペースが取れません。しかも白黒ページですし。  
 ならばHiVi-Webを利用しまして二元中継でお届けしましょう、という事に。「美女と野獣」「大人は判ってくれない」、その両円盤のREVIEWは夏号で、円盤の詳細比較は番外の地にてと、こういう仕組になっておりますので、夏号片手にゆっくりとお楽しみ下さい。
 ではまずは「美女と野獣」から、その番外編の開幕といきましょう。

 最近のCRI、その勢いは止まる所を知りません。一盤入魂のポリシーはゴージャスな「美女と野獣」を、絵と音を徹底的に磨きこんで再発させました。映像詩人ならマン・レイですねぇ、と答える人はよほどの映画通。そしてマン・レイの映像詩に身を委ねていると、やがてご存じのジャン・コクトーに辿り着きます。





 彼らは映画を美術写真とした上で、更にシュールの衣装を身に纏わせ動く映像の詩をうたいあげます。このモノクローム絵画のなんたる素晴らしさ。DVDのお話をしなくてはならないのですが、本音を言いますとこの円盤絵画は、解像感とかS/Nとかとは別の場所で呼吸しているように感じます。




 コクトーは映画史の流れに関係のない人ですねぇ。この人は絶対にクラシック化しない。ならばかたくなに溺れてみてこそのコクトーでしょう。自らを愛せよ、酔い痴れよ、慰めよ。 これをコクトーが思いのままに描き抜いた作品なれば、必ずやあなたの家庭劇場は至福の空間に変る事でしょう。
 最初にお届けする写真は劇場ポスター各種です。

ポスター GALLERY

 続いては新旧クライテリオン盤のジャケット紹介。

BEAUTY AND THE BEAST:Criterion Collection(NEW)

$39.95、

PICTURE QUALITY ★★★★
SOUND QUALITY ★★★★

BEAUTY AND THE BEAST:Criterion Collection(OLD)

$49.90、

PICTURE QUALITY  ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★

 各円盤の仕様は以下の通りです。新盤のお色直し映像の写真は後ほど紹介するとして、音のお話もしておきましょう。オリジナル音声をアーカイヴ収録すると同時に、ミニマル音楽の巨匠として知られるフィリップ・グラス作曲の歌劇公演版音声(DD-5.1)も収録し、新たな「美女と野獣」も同時に楽しめるようになっています。

NEW-CRITERION

OLD-CRITERION

 気になる転送レートは下記の通り。

NEW-CRITERION

Average Bitrate: 6.60Mbps 
NTSC 704x480 lines 29.97 f/s

OLD-CRITERION

Average Bitrate:4.89Mbps
NTSC 704x480 lines 29.97 f/s

 MENU画面比較です。

NEW-CRITERION




OLD-CRITERION




 ここで新旧DVD-SHOT=画面比較を簡単にしてみましょう。同じカットが2枚レイアウトされますが、上が旧盤、下が新盤となります。

DVD-SHOT(旧盤)(1) 

DVD-SHOT(新盤)(1)

 本作がおよそ60年も前の作品であると考えますと、リリース済みの旧盤のクォリティも高い事がわかります。しかしその新盤、解像感、S/N、コントラスト感で明らかに旧盤を上回ります。また旧盤で全体を覆っていた、フィルム・リソースの褪色も修復されています。旧盤では色温度が低めに感じられた方もいらしたでしょうが、ここではガンマの見直しを含めた修復で綺麗なホワイトバランスが確保されています。

DVD-SHOT(旧盤)(2)

DVD-SHOT(新盤)(2)

DVD-SHOT(旧盤)(3)

DVD-SHOT(新盤)(3)

 下の2つのDVD-SHOTに注目して頂くと、リソース上を汚していた傷や塵のクリーニングの是非がはっきりと確認できます。総てのカットに100%のクリーニングが出来たわけではないのですが(これには膨大な時間と予算がかかり過ぎる)、力強く、そして艶やかにお色直しされた野獣の顔と同様に、デジタル・クリーニング&トリートメントの恩恵はいたる所で確認できますよ。嗚呼、なんたる幸せ。

DVD-SHOT(旧盤)(4)

DVD-SHOT(新盤)(4)

 下のDVD-SHOT。随所に登場する光を巧みに使いこなしたモノクローム絵画。これが素晴らしい。なんとまぁ、美しくも見事に蘇った事か。白から黒にかけて、とりわけ黒側の階調表現は良質なグレースケールを見るかのよう。

DVD-SHOT(旧盤)(5)

DVD-SHOT(新盤)(5)

次にご紹介するCRI-DVDは「大人は判ってくれない」です。まずは劇場公開ポスター展から。

ポスター GALLERY

 続いてはジャケット紹介。ここでは新旧クライテリオン盤、そしてこれまた昨年の2月に登場しましたハイクォリティPAL-仏盤も一緒にご紹介いたしましょう。
 旧盤(廃盤)は98年に登場したCRI-DVD第1弾。リリースは5枚組のBOX版で。BOXタイトルは「アントワーヌ・ドワネルの冒険」。えっ、これって?
 トリュフォーの分身でもある主人公の少年アントワーヌ・ドワネルは、「大人は判ってくれない」以降もアントワーヌを演じたジャン=ピエール・レオと共に成長します。彼は素敵な女性と「二十歳の恋(未収録)」をし、「夜霧の恋人たち」となり、「家庭」生活を営み、やがて「逃げ去る恋」を懐かしむ事になるわけです。つまりは、これが“ドワネルもの”と称され愛されている一連のシリーズ。今回はBOX内に収録された一編「大人は判ってくれない」をクローズアップしながらお話を進めていきましょう。

THE 400 BLOWS:Criterion Collection(NEW)

$74.96、

PICTURE QUALITY  ★★★★
SOUND QUALITY  ★★★★




THE 400 BLOWS:Criterion Collection(OLD)

Out Of Print、

PICTURE QUALITY  ★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★☆

LES 400 COUPS:Mk2(PAL-Fr) Collection

£17.99、

PICTURE QUALITY  ★★★★☆
SOUND QUALITY  ★★★★

 各円盤の仕様は以下の通りです。

NEW-CRITERION

OLD-CRITERION

PAL-Mk2

 気になる転送レートは下記の通り。

NEW-CRITERION

Average Bitrate: 6.29 mb/s 
NTSC 704x480 lines 29.97 f/s

OLD-CRITERION

Average Bitrate:5.15
NTSC 704x480 lines 29.97 f/s

PAL-Mk2

Average Bitrate: 5.35 mb/s
PAL 720x576 lines 25.00 f/s

 MENU画面比較です。

 最後に画面比較です。同じカットが3枚続きますが、上がクライテリオン旧盤、中央がクライテリオン新盤、下がPAL−仏盤となります。

DVD-SHOT(旧盤)(1)

DVD-SHOT(新盤)(1)

DVD-SHOT(PAL盤)(1)

 いかがでしょう、上記の3カット。各盤のアスペクト比は前述しましたが(旧盤=2.05:1、新盤=2.26:1、PAL盤=2.35:1)、スクイーズ仕様とLB仕様の差異による解像度の違いもありますが、少年の顔を比較してみますとCRI-旧盤が縦長の画格になっているのがわかります。正規の縦比率はCRI-新盤が正解。PAL-仏盤をみるとサイドのトリミング比率が大きくなっているのがわかります。

DVD-SHOT(旧盤)(2)

DVD-SHOT(新盤)(2)

DVD-SHOT(PAL盤)(2)

 本作の劇場オリジナル・アスペクトは2.35:1(デュアリスコープ方式)ですから、PAL盤の画格がそれに準じており、CRI-新盤はほんの僅かだけですがトリミングされています。
 またCRI-旧盤をみるとスクーターの車輪情報が多いのがわかります。これはどういう事なのでしょうか。これはスコープサイズ作品のDVD化の落とし穴でもあります。通常スコープ作品はアナモフィック・レンズによって左右を圧縮して撮影・プリントします(近年はほとんどこの方式ではなくなりましたが)。
 この時点でのポジフィルムは、圧縮撮影のため縦長の映像が記録されています。これを映写時に横方向に拡大して上映するわけで、フィルムの1コマはスタンダードサイズとほぼ同等。DVD化においてこの縦長の35mmポジが使用されたのですが、まずこの時点でCRIは縦比率を間違えました。更に通常映画館においてオーバースキャンさせる(黒幕等でマスキングさせる)上下情報まで表出させてしまっていたわけです。
 新盤ではこのミスが見直されました。左右の情報に関してのトリミングは、上下方法のトリミング比率に合わせて(オーバースキャン分を考慮して)トリミングが行なわれた模様です。左右情報を全て表出させて2.35:1のスコープ比を重視したPAL盤と、劇場上映のアスペクト比をシュミレーションしたCRI-新盤。これは好みが分かれる選択になると思います。

DVD-SHOT(旧盤)(3) 

DVD-SHOT(新盤)(3) 

DVD-SHOT(PAL盤)(3)

DVD-SHOT(旧盤)(4)

DVD-SHOT(新盤)(4)

DVD-SHOT(PAL盤)(4)

 上記の2カットを見て頂くと、PAL盤の方が幾分輪郭を強調しているのがわかります。その分カットによってシュートが目立つ所もあるのですが。CRI-新盤はひじょうに輪郭描写が柔和。これを軟調だとか、甘い映像だなぁと、カン違いしないで下さいね。

DVD-SHOT(旧盤)(5)

DVD-SHOT(新盤)(5)

DVD-SHOT(PAL盤)(5)

 最後のカットを見ていると、この3つの円盤が同じフィルム・リソースから創られたのがわかります。但しCRI-旧盤にある大きな傷や埃が、デジタル・レストレーションによって殆ど修復されているのもわかるはずです。
 ちなみに本作はFOX LORBER社からもDVDがリリースされており、そのジャケットとMENU画面は以下の通り。結構カラフルです(但し映像はLB仕様)。


Average Bitrate: 7.93Mbps
NTSC 720x480 lines 29.97f/s

 いかがでしたでしょうか、季刊「ホームシアター」2003年夏号/Vol.22との連動企画、その番外編。次回も夏号で紹介したCRI-DVDのスペックを紹介していく予定です。
 それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。

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