NO.44
堀切日出晴
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第四十四夜
このDVDを映画館で観る前に愉しもう。<前篇>
発売中の季刊「ホームシアター」では、「リメイク映画特集」を違った角度からお届けしていますが、この作品も注目のリメイク作品。
「MAN ON FIRE」
原作はクィネルの傑作冒険小説「燃える男」。主人公は初老の元傭兵クリーシィ。この本は、問答無用に面白い! 僕はこの原作が大好きで、短編を含むクリーシィ・シリーズ6作は今でも時々ページを捲ります。クリーシィを演ずるために、デ・ニーロやニック・ノルティが映画化権を得るために動いた時期もありましたが、04年4月、トニー・スコット監督作として映画が全米公開されることに。
クリーシィを演じるのは、なんとデンゼル・ワシントン!
彼が次第に心を通わすようになる実業家の娘(クリーシィはボディガードとして雇われる)に、「アイ・アム・サム」のダコタ・ファニングお嬢ちゃん。
かつては外人部隊で勇名を馳せたクリーシィも今や五十歳目前。虚無感に陥りかけていた彼だが、実業家の令嬢ボディガードに雇われ、少女との心の交流を通じて人生に希望をとり戻してゆく。しかし、そんなクリーシィの心の隙を狙われ、少女は誘拐されてしまう。
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この夏、必見のアクション映画なのですが、実はこの「燃える男」、以前にも一度映画化(87・仏伊合作)されています。
主演は、これまた意表をついたキャスティングで、クリーシィにはスコット・グレンが扮しました。共演も、ジョー・ペシ、ジョナサン・プライス、ブルック・アダムス、ダニー・アイエロと、美味しい顔合わせなのであります。米国盤LDは廃盤。現在ではVHSでの視聴が可能。

Trailer
監督のエラ・シュラキは仏蘭西人監督で、今やオスカー俳優となったエイドリアン・ブロディとアンディ・マクドウェルの共演作「HARRISON'S FLOWERS」を撮った人。
「HARRISON'S FLOWERS」は以前にHiVi本誌でも紹介した骨太の映画(実話が元)。



あらすじは下記の通り。
ニューズウィーク誌に勤務するサラ (アンディ・マクドウェル)の夫は、戦地で写真を取り続ける報道カメラマンのハリソン (デビッド・ストラザーン)。ハリソンは、次の報道の地=戦地ユーゴスラビアへと旅立つ。そんなある日、サラに夫の悲報が届きます。ショックで放心するサラ。しかし、誰も夫の死を目撃した訳ではなく、遺体も発見されてはいない。もしかして夫は生きているのではないか。サラは自ら戦地に旅立つのですが、そこはテレビや写真で見るものとは違う本物の地獄が...。これは、骨太でハードエッジな社会はドラマ。機会があれば、是非ご観賞を。
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話が少し脱線してしまいましたが、87年版は原作の後半部分を大きくカットして製作されました。この後半部分のクリーシィの戦いが見せ場なだけに尻すぼみの印象は拭えません。しかし、原作と異なるエンディングは、なんとも切なく胸を打つものがあります。
DVDリリースは未定。是非ともリメイク版のDVD登場にあわせてリリースして貰いたいものです。

デンゼル・ワシントンと言えば、4月公開予定の「タイム・リミット」も待機中。米国盤は1月登場し、画質&音質ともにクォリティが高く、お薦めの1枚。




舞台はフロリダの小さな港町。そこで若い夫婦が殺される事件が起きます。被害者である妻と密会を重ねていた警察署長のマット=ワシントンだったが、明らかになっていく証拠によって、彼は“殺人犯”として追いつめられていくことになります。
この作品の面白いところは、周囲は彼を犯人と思っていないこと。 彼だけが一人で焦って、精神的に追い込まれていく。かといって、自分に不利な証拠ばかり挙がるわけですから、なんとか自分の無実を晴らさねばならない。


この映画のワシントンは、ちょっぴり情けなくて、でもこれがまたいいんだなぁ。「燃える男」が公開される前にご覧になるのも一興かと思います。
◆COMING SOON! DVD
まずはCOMING-SOON DISCから。
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STAR WARS:Classic Trilogy Ultimate Edition
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本誌「映画Hakken伝:今月の米国盤」のコーナーで、昨年夏頃からスクープしていた「スター・ウォーズ:トリロジー」が、いよいよ9月(スクープ通り)に登場します。既に日本のインターネット上でも大まかな情報が発表されていますが、ここでは詳細情報をご紹介しておきましょう。
(発売中ののHiVi3月号でも簡単に紹介していますが)米国「Widescreen Review」誌と別件でmailのやり取りをしていたのですが、「スター・ウォーズ:トリロジー」に関して以下の詳細が送られてきました。
内容は、「確認済みの情報と、未確認のものとが混ざっているが」としながら、膨大な変更箇所のリストとなっています。各項がフォルダーに分かれていて、とても見やすい構成となっているのですが、オフィシャル・サイトでの添付は禁じられています。
そこで「番外地」では、「掲載可」の許可を貰った項目(ごめんなさい。全文ではありません)を箇条書き(原文)にしてご紹介します。それでもかなりの分量になりますよ。
未確認の情報が混ざっているとはいえ、「スター・ウォーズ」ファンにとってはあっと驚く内容です。
Classic Trilogy Ultimate Edition in the Works
■Episode IV: A New Hope
■Episode V: The Empire Strikes Back
■Episode VI: Return of the Jedi
そして文末にはこの一文が。
We also wanted to tell you something perhaps even more significant.
Episode I: The Phantom Menace is getting a full overhaul as well.
「エピソード1」がオーバーホールって? これって、劇場再公開のため? DVDの再発? それとも、「エピソード1〜3」のトリロジーDVDのための準備?
さて続いては、今宵お届けする「お薦め、この1枚」。
◆PICK UP DISC
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MY FAIR LADY:Two-Disc Special Edition
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PICTURE ★★★★☆
SOUND ★★★★☆
  




邦題「マイ・フェア・レディ」。もう、ご説明不要の名作です。
98年に登場したDVDは、94年に修復、復元された(「めまい」「アラビアのロレンス:完全版」「スパルタカス」等の、修復アーティスト、ロバート・ハリスとジェームス・カッツによるもも)フィルム・リソースをマスターに制作されました。
本盤も同じマスターからの制作になります。ならば、同じ仕上がりなの? という声が聞こえてきそうですが、結論から言いますと本盤の方が高いクォリティ(特に映像面で)を魅せています。


98年=OLD盤は、ひじょうに美しい円盤に仕上がっていたのですが、大画面再生ではシュート等の弊害が散見されました。04年=NEW盤では明らかにその弊害が緩和しており、S/N、カラーパレットといった要素でもOLD盤を上回ります。これは転送レートの差異だけではない、映像トリートメントを含むテレシネ工程の日進月歩をも物語っているような気がします。この6年間の時の流れ、そこから表出してしまうプレゼンテーションの差異はとても大きいですねぇ。



さて、各円盤の仕様は以下の通りです。
98年=OLD盤
04年=NEW盤
転送レートは下記の通り。
98年=OLD盤

Average Bitrate:4.95 Mbps
04年=NEW盤

Average Bitrate:5.58 Mbps
MENU画面比較です。下記のDVDジャケット写真をクリックして下さい。
98年=OLD盤
04年=NEW盤
最後に画面比較=DVD-SHOT(Largeサイズ)です。青い文字をクリックしてください。
まずはレックス・ハドソンのショット。全体にガンマカーブの見直しが行なわれているのがわかります。蓄音機のホーンの光沢、カーディガンの柔らかさに、それが見て取れます。解像度も向上し細部のディテイルが浮き上がり、輪郭描写も柔和になっています。
04年=NEW盤
比較画面その1
前述のショットと同様な差異がわかります。黒服、椅子、壁面の情報量もUP。右側のテーブル、その上に置かれる電話や他小道具のディテイル、光沢感の違いにご注目ください。前述のハドソン同様、人肌の色調の差異にも注目です。
比較画面その2
黒側の情報量の差異。(液晶モニターでご覧の方は判り難い所もあるかもしれませんが)ヘップバーンの服装、帽子、そして表情に注目して下さい。左側の壁面の情報も、どのよう再現されるでしょうか?
比較画面その3
続いての2カットは、白側の表現の差異にご注目ください。白側の階調表現が豊かになることで、それぞれの服装の生地の違いまでよくわかるようになります。当然顔にも照明が当っているわけですから、微妙な肌色の再現の違いを表出させる事となるわけです。
比較画面その4
比較画面その5
やはりヘップバーンは笑顔が良く似合う。
ピンクのドレスの再現、その柔らかな描写に注目です。また観葉植物の情報量の差異も確認でき、この微妙な違いは大画面になればなるほど目にとまりやすくなります。
比較画面その6
そんなわけで、新しく登場した「マイ・フェア・レディ」、立派なお色直しとなっていますよ。前作をお持ちでない方は、是非本盤をご購入ください。当然、4月登場の国内盤もこのようなクォリティの差異が確認できるはずです。
本稿を入稿後、Restration-Artist/ロバート・ハリス氏からmail回答が届きました。98年=OLD盤と、04年=NEW盤との差異についての質問を送っていたのですが、返信内容は興味深いものとなっています。
ここでは原文を紹介しておきますが、造語が幾つか出てきますのでご注意ください。
※例えば、「MFL」=「My Fair Lady」、「hidef」=「high definition (transfer)」、「Oneg」=「orignal negatives」といった短縮造語です
(略)
MFL was an analogue (film sourced) restoration with main titles and approximately half a dozen shots restored digitally in VistaVision from 65mm elements.
The transfer, which was not produced in hidef, was created from a 35mm interpositive created directly from the 65mm restoration negative.
The film has not been cleaned up digitally, and the white spots, known as "sparkle," are minus density due to black detritus embedded within the original negative.
Unlike normal releases, large format films were printed from the orignal negatives. MFL went through the printers over 125 times, which yielded a damaged original with missing sections of Oneg and dirt added during every printing and subsequent cleaning.
I haven't checked individual frames on the transfer, but generally stains or other problems will appear around splices as shots are cut together and glue spreads slightly over the frame. Other than this there is certainly the possibility of a damaged frame, or in the alternative, possible chemical staining to the interpositive element.
Another example of an extremely overprinted original is Rear Window. Although swabs, pins and exacto knives were taken to the Oneg in an attempt to remove some of the larger bits of embedded material, there are thousands of minus density spots still visible, where both the sheer number of them and possibility of damaging the negative were part of the decision to leave well enough alone.
To bring this note back to the proper subject, The original negative of The Godfather was also heavily damaged, original footage (as I recall, over 1,000 feet) lost and overprinted after it left Technicolor Hollywood and was sent to other laboratories. Had it been left at Technicolor, the original negative, would no doubt to this day, still be pristine.
RAH
さて、前篇はここまで。後篇ではFEATURED-DVDをお届けします。
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