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第四十五夜 気になるあのDISC、このDISC。
「気になるあのDISC、このDISC」と題してお届けする、その後編の開幕です。
◆COMING-SOON DVD
| ■TITLE;DUEL:Special Edition |
まずはCOMING-SOON DVDから。リリースが遅延する事、1年。スピルバーグの「激突」が8/17にいよいよ登場です。
映像仕様はFullscreen (1.33:1)。
音声収録はEnglish (Dolby Digital 5.1)、English (DTS 5.1)、English (Dolby Digital Mono)。
収録される特典は_■A Conversation with Director Steven Spielberg■Steven Spielberg and the Small Screen■Richard Matheson■The Writing of Duel■Photograph and Poster Gallery■Theatrical Trailer■Cast and Filmmakers
続いてDISCアートのご紹介です。
◆DISC-ART
| ■TITLE;THE GOOD, THE BAD AND THE UGLY:Extended Version Collector's Set |
邦題「続・夕陽のガンマン」。リリースは5/18。
映像仕様はWidescreen/16×9 (2.35:1)。
音声収録はEnglish (Dolby Digital 5.1)、Italian (Dolby Digital MONO)。
収録される特典は_■Commentary by film historian Richard Schickel■Newly restored, extended three-hour version■"Leone's West" making-of documentary■"The Leone Style" documentary■"The Man Who Lost the Civil War" documentary■"Reconstructing The Good, the Bad & the Ugly": documentary on the audio rerecording■"Il Maestro: Ennio Morricone and The Good, the Bad & the Ugly": featurette on the composer■Deleted scenes■Collectible theatrical mini-posters from around the world
| ■TITLE;ENGLISH PATIENT:Exculsive 2-Disc Collection |
邦題「イングリッシュ・ペイシェント」。リリースは6/29。
映像仕様はWidescreen/16×9 (1.85:1)。
音声収録はEnglish (Dolby Digital 5.1)、English (DTS 5.1)、English (Dolby Digital 2.0)。
収録される特典は_■Master Class with Anthony Minghella (Discussion on deleted scenes)■A Conversation with Saul Zaentz, Anthony Minghella and Michael Ondaatje■Novelist Michalel Ondaatje Featurette■Feature Commentaries with Anthony Minghell and others■Film Reviews.
続いてMENUアートの紹介です。
◆MENU-ART
| ■TITLE;COLD MOUNTAIN:Widescreen Edition |
邦題「コールドマウンテン」。リリースは6/29。
映像仕様はWidescreen/16×9 (1.85:1)。
音声収録はEnglish (Dolby Digital 5.1)、English (DTS 5.1)。
収録される特典は_■Commentary by writer/director Anthony Minghella and editor Walter Murch■Deleted scenes■"Words & Music of Cold Mountain" Royce Hall Special■"Climbing Cold Mountain" documentary■"A Journey to Cold Mountain" making-of special
どうやら6/29は、アンソニー・ミンゲラ監督デーとなりそうです。「イングリッシュ・ペイシェント(6/29リリース)」で、旧きよき聖林、その伝統的なラブストーリーを蘇らせたミンゲラですが、本作「コールド・マウンテン」もその伝統が脈々と息づいています。なんとも見事な作品に仕上がりました。
時は南北戦争末期。ジュード・ロウ扮する南軍兵士インマンは、負傷の傷が癒えぬまま遥か遠くの故郷コールドマウンテンを目指します。脱走兵にまでなって、なぜ? それは3年前にたった1回のキスをして分かれた女性エイダを想っての旅。その想いは狂おしいまでに熱く、深い。
一方、エイダも牧師の父の急死で、シアワセな生活が一変。この温室育ちのエイダにサバイバル術を教えるのが、この作品でオスカー助演女優賞を獲得したレニー・ゼルウィガー。果してインマンとエイダの運命は...。
さて続いては番外地四十五夜・前編でお約束した「キル・ビル」、そして「マスター・アンド・コマンダー」のDVD-SHOTをご紹介といきましょう。
◆DVD-SHOT:KILL BILL.Vol.1



前編でお話した大チャンバラ・シーン_米国盤(モノクロ版)と国内盤(カラー版)の違いです。このスプラッター活劇シーンをカラーで観ると笑いが出ちゃいますが、モノクロームで観ると笑うカットは皆無。奥歯を噛みしめちゃいます。






「キル・ビル」ではチャンバラ・シーン以外にも、米国盤とカラー盤には微妙な違いがあります。これから、その大きく違いがわかるシーンを写真紹介していきますが、正式なレイティングで言うと、米国盤がR-Rated版、国内盤がNC-17版(一部限定=プレミア公開)に指定されています。

まぁ、国内盤のほうがそれだけスプラッター度が高いって事なんですが、気になるクオリティの差異は最後にご紹介しましょう。
■開 幕
まず国内盤には「スター・トレック2」からの引用文が挿入されます。
■ブライド vs. バニータ
ブライドとバニータ・グリーンの格闘。バニータの娘の登場で一時休戦。バニータがブルーのキッチンタオルを取るシーン。米国盤は俯瞰ショットで構成されますが、国内盤は別のアングルからのショットで構成されてます。
米 国 盤

国 内 盤



■アニメーション@
松本親分の子分の一人。米国盤では1度の殴打が、国内盤では2度に。
国 内 盤



■アニメーションA
松本に刀を刺したまま、「ワタシの顔を見なさい」とオーレン石井。刀で腹を裂いていく。松本のアップ。この8秒のシーンが米国盤ではカット。
国 内 盤

■アニメーションB
腹から刀を抜き、血しぶき(1.5秒)。苦悶の松本(2秒)。そして腹を裂かれた松本(6秒)のシーンが米国盤ではカット。
国 内 盤






■ゴーゴー夕張のスプラッター・シーン
下のツーショット写真は、米国盤&国内盤共に共通。
この後、可哀相なお兄ちゃん、内臓をゴーゴーの足元にバラ撒くのでした(ゲロゲロ)
国 内 盤
■ソフィーの片腕切断
綺麗なソフィーおネエさん。ああ、片腕がぁ〜っ。国内盤はブライドとのツーショット(1秒)、ソフィーのショット(0.5秒)が長くなっています。
国 内 盤

■女クレージー88
さて大チャンバラが始まります。米国盤でモノクロ画面になる前に3シーンが国内盤に収録されています。
米国盤でカットされたジュリー真名瀬の串刺しショット(3秒)。このショットは劇場公開「キル・ビル:Vol.2」のエンドクレジットで復活。
国 内 盤

■ブライドの二刀流
国内盤に収録の、ブライドのスピーディな二刀流串刺しショット(2.5秒)。
国 内 盤



■ブライド、バク宙斬り
こ、こ、こ、これは、まさしく「子連れ狼」_拝一刀! 国内盤収録(3秒)のこのショットは、米国TVスポットで使用されています。
国 内 盤







■大 殺 陣
さぁ、いよいよ青葉屋でのスプラッター大殺陣の開幕です。下記の写真をクリックして下さい。モノクロは米国盤。カラーは国内盤のDVD-SHOTです。
ハイキーな白で描写される米国盤。僕は好きだなぁ。このモノクローム映像は、コーエン兄弟の「バーバー」と同様にコンピュータ上で脱色されたもの。よってこのモノクローム映像に余計な色味が着いていてはいけません。「バーバー」同様に“動くカラーバー”となっているわけです。
撮影は「JFK」でオスカーを受賞したロバート・リチャードソン。また極度の残銀処理、挑発的なブリーチ手法による水墨画映像「ヒマラヤ杉に降る雪」(オスカー候補/何故に受賞できなかったか、いまだに不思議)もリチャードソンの仕事。彼の映像の真骨頂はハードエッジなライティング手法にあり、極端なスポット効果_とりわけ真上からの強烈なライティングは彼の専売特許です。
リチャードソン映像様式では、強光に照らされた部分は露光オーバーになって眩しく(しかし柔和に)光り輝き、同ショット構図内の光の届かない被写体は限りなく漆黒に近い。この映像のライティングの不調和性に、偏愛する複雑な移動撮影が絡み合い、特異な幻想映像が表出する事になるわけです。
タランティーノとリチャードソンの過激な映像挑発に想いを馳せれば、米国盤に観るモノクローム絵画は、彼らが求める“自然主義の否定的な様式美”を最も顕著に再現したものであると言えるでしょう。
■大 殺 陣_オリジナル・ショット@
さてこの大チャンバラ・シーン、その中にも国内盤のみに収録されているショットが幾つかあります。まずは抜き手の喉仏攻撃。もがき苦しむソフィー(2.5秒)。
国 内 盤




う〜ん、「激突!殺人拳」だ。「直撃!地獄拳」だ。遥か昔、テアトル蒲田で千葉真一カラテ映画5本立てを一気に観た時を思い出しますなぁ。5本目に突入する頃には、アタマがウニになっていて、しかも“○○拳”の前にくるタイトルが、“激突”や“逆殺”、“直撃”や“子連れ”やらで、もう物語は勿論、登場人物さえ誰が誰だかわかりません。
■大 殺 陣_オリジナル・ショットA
こちらは顔面スイカ割りでござ〜い。これは五社英雄の「雲霧仁左衛門」だぁ。国内盤のみに2秒間収録。
国 内 盤


そういえば「雲霧仁左衛門」の血しぶきは、それまでのテクニックを更に向上させた高度なテクニック(意外と発想は簡単なんですが)が使われていました。今はCG処理されちゃいますし、なんか映画的なハッタリがなくなっちゃったような気がします。
■大 殺 陣_オリジナル・ショットB
米国盤では1回しか出てこないお子ちゃまヤクザ。国内盤では2回に渡ってブライドにお仕置きされちゃいます(10秒)。2回のお仕置き_ギャグの重複=喜劇の基本ですねぇ。しかし、ユマ・サーマンにお尻ペンペン、なんて羨ましい...などと言っている場合ではなく、ここでマスクを取られる彼ですが、暫くしてマスクをして登場してしまいます。これはミス・ショット。
国 内 盤











■大 殺 陣_オリジナル・ショットC
襖に噴射!血の噴水(1.5秒)に、手首バッサリのシーン(3.5秒)。あ痛たた。
国 内 盤








■場 転_モノクロからカラーへ
米国盤でモノクロ画面からカラーに変わるショットは、ブライドの瞼のまばたきがタイミング。国内盤はクローズアップがありません。このまばたきの動作に付けられた音、そのサラウンド(フロントからリアへのパンニング)効果は実に愉快。
米 国 盤

国 内 盤
■ソフィー、無残!
トランクに詰め込まれていたソフィー。「もう1本の腕も貰う」と、ブライドにブッた斬られちゃう。オイオイ...。
国 内 盤



こうしてみると、米国盤と国内盤を1枚ずつ枚購入しなくちゃいけなくなっちゃいますねぇ。でも米国盤と国内盤では、(とりわけ映像の)クォリティの差異が表出してしまいます。
ではユマ・サーマンの両眼のクローズアップをさらに拡大してみましょう。解像感、階調感で米国盤に軍配が上がります。
まずはクローズアップです。
続いて、左眼だけを拡大してみます。前髪、上瞼、まつげ、瞳の充血、鼻から左眼にかけての情報量に注目してください。
 
「キル・ビル」はPAL圏でも続々リリースされていますが、NC-17版は日本のみのリリース。しかし映像クォリティを問えば、米国盤も国内盤もPAL-UK盤に一歩譲ってしまいます。音声の容量が少ない分(米国盤=英語DD-5.1/英語DTS-5.1/仏語DD-5.1、国内盤=英語DD-5.1/英語DTS-5.1/日本語DD-2.0、UK盤==英語DD-5.1/英語DTS-5.1)、画質に有利に働いたことも事実です。
それでは最後に、DVD-SHOTをたっぷりとご覧頂きましょう。
本編の中で意外と好きなのが、ブライドとバニータ・グリーンの格闘。バニータ=別名コパーヘッドに扮するのはビビカ・A・フォックス。「インデペンデンス・デイ」の彼女もパワフル母ちゃんだったけど、バニータも強烈。ちょっぴりお尻がデカくなったビビカですが、その魅力は衰えませんねぇ。
ナイフを使わせては超一流のバニータですが、今では足を洗って主婦(!)になってカリフォルニア暮らし。アメリカの中流家庭! ってな一軒家で殺し合い。このあたりのタランティーノ節が面白い。
殺し合いの最中に、バニータの娘が学校から戻ってきて...。娘の前で平和的な解決? あるわけない。だってタランティーノ節の唄い始めですもの。思いッ切り、COOL!
ところでこのNC-17版ですが、タランティーノのコメントによれば「キル・ビル:Vol.2」の劇場公開が終了した時点で、UNCUT/コレクターズ・エディション(Vol.2も米国ではR-Rated版)として2作リリース(BOXかどうかは未定)の予定とのこと。
ルーシー・リュー演じるオーレン・イシイ。別名コットンマウス。日本人と中国系米国人との混血という設定。ちょっと強引な設定もタランティーノ節のいいところ。9歳でヤクザに両親を殺され、11歳で復讐を果した凄〜いキャラクター。
オーレンの手下の一人が栗山千明扮するゴーゴー夕張。なんで夕張? 93年の第4回ゆうばり映画祭でのこと。審査員タランティーノ曰く_夕張の雪は世界一美しい。この想い出を、敬愛する故深作欣二監督の「バトル・ロワイヤル」で熱演した彼女にダブらせて命名。ゴーゴーは“イケイケ”の意味なんだろうし、タランティーノの大好きな「マッハGOGO」からも拝借しているんでしょうね。
タランティーノ節の真骨頂は、ユマ・サーマンを心の底からミューズとして、愛して愛して愛しちゃったのよ、と歌い上げるところ。同じブッタ斬り映画の「あずみ」がどうにもこうにも未消化なのも、こうした所に決定的な違いがあるからでしょう。
“ワイドスクリーン・バロック=(いい意味での)映画的こけおどし”という言葉がありますが、「キル・ビル」の見事なところは、そのこけおどしで思いッ切り戯んで魅せたこと。いやぁ、朝獲れたばかりの魚みたいに、この映画のイキのよさにあきれ返ります。このイキのよさ、只事じゃない。やっぱりタランティーノ、只者じゃないなぁ。
◆DVD-SHOT:MASTER AND COMMANDER

続いては「キル・ビル」とは対照的に、どっしり重厚なルックスの「マスター・アンド・コマンダー」をご紹介。本作は「Widescreen Edition」「Fullscreen Edition」と、2枚組構成の「Collector's Edition」の3種類のDVDが登場しました。
予算が許すのであるなら、充実の特典を収録した「Collector's Edition」がオススメ度120%。下は「Collector's Edition」のMENUアートです。
「Collector's Edition」の特典内容(DISC-2)は_■"The Hundred Days" 70-minute Documentary■"In The Wake Of O'Brian" Documentary■Cinematic Phasmids 30-minute Documentary■Sound Design 20-minute Featurette■Interactive Sound Recording Demo■6 Deleted Scenes■HBO First Look■4 Multi-Angle Studies■Split Screen Vignette■4 Art Galleries■Theatrical Teaser and Trailer■International Trailer_となっており、特に(オスカー受賞の)撮影手法、サウンド・デモンストレーションは熱きAVナッツ必見でしょう。
なぜかラッセル・クロウが出ると、どこか悲壮感が漂うのが面白いですねぇ。この感覚が、湿気たっぷりの映像の触感と巧みに絡み合う美味しさ。大画面再生では音声_英語DD-5.1EX(448 kbps)、英語DTS-ES(マトリックス/768 kbps)、仏語DD-5.1(384 kbps)、スペイン語DD-2.0(192 kbps)_に転送レートを割かれた弊害(遠景ショット等で)も窺えますが、映画の集中を欠くことはありませんのでご心配なく。
サウンドは極めて分解能がよく、Dレンジに優れ、サラウンドも大活躍します。パンニング効果よりも包囲感重視のサラウンド。EX、ESともに聴かせどころを外しません。最低域(LFEエンハンス)の表現はDTSが若干優勢。
続いてはDVD-SHOT拡大画面です(青い文字をクリックして下さい)。
本作はダークブルーの色調が魅力です。カラーコレクション処理の巧妙さが見事なのですが、暗い海の不気味さをどう出すかが問われます。平均輝度が低いシーンが続きますが、ここで立体感が損なわれるようではいけません。ライブアクションも奥行感が出ることで、握る手の汗の量が変るはずです。
曇天の中の逆光ショット。雲、船体、煙、帆の微妙な階調をきっちりと再現したいもの。ローライトレベルの撮影。「バリー・リンドン」のような特異な撮影手法ではありませんが、ロウソクの炎の柔らかさ、照らされる人物の表情の揺らぎ。作品の雰囲気、ルックスを大切にするならばコントラストは抑えめに。
薄暗い中の凪の海。そこに浮かぶ巨船。シュート等の被害が皆無ではありませんが、再生機器によってマスト部分のシュートが太く出てしまうことも。良質のスケーラー機能を持っているDVDプレーヤーをお持ちなら、(デジタル映像伝送による視聴の)長所を上手く使いこなしてください。
体の汗の光沢。コントラスト表現、ガンマカーブの滑らかさが問われるショットです。汗がギラギラと輝きすぎて、しかも光沢が飛んで階調が霧散する、などという事がないように。
曇天の背景の空。近年、残銀処理の流行と相まって、グレースケールでいうと90%前後の白い背景で表現されるショットが多くなっています。白再現のユニフォーミティ(均一性)はどうか、厳しい眼が注がれます。また、人物に必要以上にシュートが纏わりついていないかどうか、要チェックです。
さて気がつけば、終演のお時間。
ここでお知らせを1つ。6月からHiVi-Webリニューアルに伴って、「今月の米国盤:番外地」「ひでPAL通信」もリニューアルされます。レイアウト作業も進行中で、後は6月のリニューアル公開を待つのみ。えっ、原稿がまだですって? あら、そりゃ、タイヘンだ_などとボケているバヤイではありません。頑張らねば...。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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