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[scoreについて]
第四十七夜

 梅雨の季節がやってまいりました。こんなムシムシ、じとじとの日には、エアコンがギンギンにきいた部屋で、おっかな〜いDVDを観ながら震えちゃう。これが一番。
そんなわけで今回ご紹介するDVDは、この円盤。


◆PICK UP DISC:
 TITLE:THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE:New Line Platinum Series Special Edition


Studio New Line Home Entertainment
Year 2003
Running Time 1:38:11
Aspect Ratio 16x9 encoded 1.85:1(Original Aspect Ratio)
Audio 5.1EX DD English,6.1ES DD ENGLISH,2.0 DD English
Subtitle ENGLISH,SPANISH and NONE
Special Features ■1-Alternate Endings
■Screenplay
■2-Documentaries
■Storyboard
■3-Feature/Episode commentaries by
Marcus Nispel, Michael Bay, Andrew Form,
Brad Fuller, Robert Shaye, Daniel Pearl,
Greg Blair, Scott Gallagher, Tervor Jolly,
Steve Jablonsky, Scott Kosar, Jessica Biel,
Erica Leehrsen, Eric Balfour, Jonathan Tucker, Mike Vogel, Andrew Bryniarksi
■2-Original Trailers
■4-Other Trailers:
featuring Highwaymen, Willard,
The Butterfly Effect, Ripley's Game
■7-TV Spots/Teasers
■7-Deleted Scenes
■Weblink/DVD-ROM Material
■Chapters 18
■Crime scene cards
Release Date 2004.03.30


THE MOVIE
 
邦題「テキサス・チェーンソー」。
 言わずもがな、トビー・フーパーが74年に世に贈り出した「悪魔のいけにえ」のリメイク。この極めて低予算だが、腰が抜けるほどおっかないホラーをリメイクした監督は、ビデオ・クリップ界から銀幕デビューを果たしたマーカス・ニスペル(本作が長編劇映画第1作)。
この作品だけでニスベルの実力を評価するのは早計ですが、「セブン」のデイヴィッド・フィンチャーや「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズなど、ビデオ・クリップ界で名を馳せることが劇場映画への登竜門になってしまった感があります。かつてロバート・アルトマンやサム・ペキンパーらが、TV界から劇場映画の世界へデビューしたことを思い出させますね。今回のリメイク作ではこんな人たちが殺られ、殺っちゃいます。

ビデオ・クリップでは短い時間でありったけの表現をすることが必須。そのため長編映画にかかわると、全編、これアイディアのコースター・ム−ビーを創り上げるか、ドラマツルギーに寄り切られて息切れするか、はっきりと明暗が分かれてしまいます。幸い本作は前者に属しますが、明らかに74年版のおっかなさの下地が息づいているからの好結果だとも言えそうです。
 製作は「パール・ハーバー」「バッドボーイズ2バッド」のマイケル・ベイ。製作総指揮が「ラスト・サムライ」のテッド・フィールド。しかもベイは、この作品が自ら立ち上げた映画会社プラチナム・デューンズの第1作になるため、ニスペルへの入念なアドバイスは細部まで徹底されたようです。
 時は1973年8月。5人の若者たちを乗せた1台のワゴン車。テキサスの片田舎で一人の若い女とすれ違った彼らは、異様な姿の彼女が心配になり、ついつい車に乗せてしまいます。異常なほど怯える女。この彼女を車に乗せたことが、やがて起きる血の惨劇の引き金となってしまいます。さわらぬ神にたたりナシ、とはまさにこのこと。
■score;A−

IMAGE-TRANSFER QUALITY
  
 撮影監督はオリジナル「悪魔のいけにえ」を撮り上げたダニエル・バール。トビー・フーパーと再びコンビを組んだ「スペースインベーダー」も彼の作品ですが、「悪魔のいけにえ」以降作品には恵まれていません。その彼が本作において、起死回生のカメラ美術を魅せつけます。このブリーチング絵画は、絶妙にコントラストをコントロールしていて、影は極度な漆黒表現となり、ハイライトは眩しく輝き、色彩はグレー系に偏るかのように抑えられています。
 リソースにデザインされているザラついた触感(極端に強調された粒状性)は、本盤でも十分に味わえます。鮮血さえ埃が混濁したように_どこか乾燥したように描かれるのですが、黒の深み(死を意味する)、艶やかさによって異様な粘質感で描かれるのには驚き。ブリーチングによってディフォルメされたカラーパレットですが、強烈な濃度で描かれる深紅色と、錆びついた茶褐色は強烈な残像となって視覚を刺激します。
 これだけコントラストをディフォルメすると、エッジエンハンスの弊害が強調されがちですが、過度な強調がないため、その弊害も僅少。但し、大画面再生ではシュートの表出が気になるカットもあることは事実。
■score;A

AUDIO-TRANSFER QUALITY
  
 今想えば「悪魔のいけにえ」のチェーンソーの“唸り”は、それ以降のホラー映画のペースメーカーとなっていると言えるかもしれません。すなわちこの“唸り”は、時代毎のホラーの基調低音として近代ホラー映画史の底に深く沈澱し、濁るように横たわっていると言っても過言ではありません。そして今、その時代のホラーの“唸り”が蘇ったわけです。
 この“唸り”をどう再現するか?
 DD-EXとDTS-6.1ESサウンドトラックは、非日常の恐怖を家庭劇場(現実)の恐怖へとトリップさせてしまいます。派手な活劇音(爆発音やカークラッシュのような)はデザインされていないのですが、驚くべきDレンジ感と分解能で観る者を凍らせます。とりわけ高域の伸び方は尋常ではありません。
 総てのチャンネル間の音場も極めて広く、サラウンドも大活躍。LFEは無謀に最低域まで搾り出そうというデザインではなく、強烈なパワーに溢れた瞬発力を演出しているところに注目。DD-EXも終始卓越したサウンドを聴かせますが、どうやら総合的な軍配はDTS-6.1ESに挙がるようです。
 やはり“唸り”は、とんでもなく怖かった...。
■score;A+

HiVi-SHOWCASE
  
 「HiVi-SHOWCASE」は、まずリメイク版のDVD-SHOTをご紹介いたします。
カメラアングルはどちらかと言えばオーソドックスなスタイル。しかし緊張感の盛り上げ方はなかなかのもの。ライティングと陰影描写に徹底的に固守(勿論、その後の現像工程も然りだ)した映像は、意外や意外、聖林趣味のモダンを描き切ります。
 ホラーの鉄則は、行っては行けない所へ行ってしまったり、見てはいけないものを見てしまったりすること。行かなきゃいいのに、見なきゃいいのに。結果、あんなこと、こんなことの惨劇が降りかかるのです。

 最後に74年オリジナル版「悪魔のいけにえ」について簡単に触れておきましょう。
 昨年10月に登場したPioneer Home Entertainmentから登場した再発盤。特典は充実したものの、映像とサウンドのクオリティに大きな進歩はありません。なにしろ映像はLB仕様。先日、アメリカの専門HD衛星放送「VOOM」で、「悪魔のいけにえ」がHD放映されたというのに。フィルム・リソースは16mm(アスペクト1.66:1)。それゆえに(両サイド黒味仕様の)スクイーズ仕様で収録して欲しかったですね。
 さてさて、史上最強のホラーの特色を列記してみましょう。

(1)_スプラッター度では「キル・ビル」にかなり負けている。
(2)_お下劣なユーモアが予測不可能なほどお下劣ゆえに、笑いを誘ってしまう。
(3)_惨殺されるキャラクターに全く共感が持てないからといって、
   恐怖度が薄まることは全くない。

(4)_子供たちへの悪影響が危惧されるのは間違いないが、映画自体は
   文句ナシの大傑作。


 つまり言い換えれば、この類の作品が_強烈な不快感を観客に叩きつけることで勝利する_ということを、高らかに宣した作品だということ。
ん?不快感?_これって本盤がLB仕様でリリースされたことも含むのかなぁ。
 さて気がつけば、終演のお時間。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。

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