第五十夜
発売中のHiVi9月号186から187ページで藤原陽祐さんがレポートしている、米国DVDOから登場した映像プロセッサー「iScan HD」
詳細はHiVi9月号を手にとって頂きたいのですが、「iScan HD」はDVDやデジタルチューナーといった様々な映像機器からの映像信号を、接続するディスプレイにベストマッチする信号に変換して出力します。本機は、i/p変換、解像度変換、画質調整といった機能に加え、リフレッシュレートの設定も可能にしています。
たとえばNTSCのDVDソフトであれば、フレームレート48Hz、60Hz、72Hzのなかから選択できます。つまり、24F収録の映画ソフトを72フレーム/秒(=24フレーム×3=フィルム3等倍)で表示できるわけです。これは今までの単体ラインダブラーには搭載されていなかった機能です。
HiVi9月号がお手元にない方は、ここでちょっと寄り道をしてみましょう。「iScan HD」については、マルチフォニック・サウンドのホームページにて詳しく紹介されています。まずは「iScan HD」の特長を閲覧してみて下さい。
「iScan HD」
● 問合せ先:マルチフォニック・サウンド(株) 電話番号03(3557)4311
いかがですか?その魅力が伝わりましたでしょうか?
実はわたくし、月刊HiViでおなじみの藤原陽祐さんが本機を取材するとき、偶然(?)その場に居合せまして、「iScan HD」が出力するフレームレート72Hz表示の映像にノックアウトされてしまいました。いやぁ、なんと滑らかな映像なんでしょう!
「iScan HD」の8入力端子の中には、DVI入力端子が含まれています(出力はデジタルビデオとアナログビデオの2系統)。わが家のDVDプレーヤーはご存知の通り、エアーD1プログレッシブ。すでにニュービデオボードのヴァージョンアップを施していたのですが、(愛機である三菱の3管式フロントプロジェクターLVP-2001との組合せにおいて)DVIデジタル映像出力に関しては活躍の場がありませんでした。DVI入力端子付きの「iScan HD」と組み合せることで、やっとその活躍の場を得ることができたというわけです。
わたくし、典型的なB型人間ですから、マルチフォニック・サウンドに即テレフォン・コール。そして、その昔、駄菓子屋に飛び込む勢いで、「これ、くぅ〜ださ〜いな!」と、われながら驚きの早業! さてさて、LVP-2001の映像走査周波数の追加調整(固定画素系のプロジェクターは、こういうところは便利なんだなぁ)を経ての視聴の結果は?
視聴は以下の3パターンで。「480P×60Hz=アナログ入力/出力視聴」「480P×72Hz=アナログ入力/出力視聴」、そして「480P×72Hz=DVI入力/アナログ出力視聴」。なんと説明したらよいのでしょうか。視聴する毎に、同じ映像のはずなのに、その印象がどんどん変っていきます。解像度が変るわけではないのですが、見た目の解像感の変化は歴然。そしてこの動きの滑らかさといったら……。
また「iScan HD」はPALプログレッシブ映像信号の入出力にも対応しています。実は愛機LVP-2001はステップスキャン・プロジェクターですので、エソテリックのUX-1に搭載されているPAL4%ダウン出力映像(PALソフトを正規ピッチで再生)の視聴が不可能でした。つまり、PAL4%ダウン出力では、垂直走査周波数48Hz、水平走査周波数は30kHz(通常は31.25kHz)になるためアンロックとなってしまいます。しかしこれはPAL等倍速(2-2プルダウン)に関してのお話で、PAL3等倍速(3-3プルダウン)ではどうでしょうか?
PAL4%ダウン出力映像をPAL3等倍速視聴する場合、垂直走査周波数72Hz(48Hz×1.5)、水平走査周波数は45kHz(30kHz×1.5)となります。実はLVP-2001には、垂直周波数72Hz、水平周波数45kHzの入力信号モードが搭載されています。僕を含めたLVP-2001ユーザーには、PAL4%ダウン出力映像の再生は頭の痛いところでしたが、これで念願のPAL正規ピッチ再生視聴が可能となったわけです。
ただし「iScan HD」のMENU画面で、PAL映像再生時の周波数変換MENU=「Framerate」を表示させると、「50Hz」「75Hz」「Unlock」の項目のみが表示される点に注意してください。民生機器におけるPAL4%ピッチダウン出力の再生は、おそらくまだ日本だけ(UX-1だけ)のはずですから、「72Hz」の表示項目がないのは当然といえましょう。ですので、ここでは「Unlock」を選択し(選択と同時に周期の乱れた映像になりますが慌てずに)、カーソルを動かしてフレームレートを変化させ、「72Hz」に合せてロックさせましょう。
お話が少し脇道にそれてしまいましたが、それにしても驚きは、やはり「480P×72Hz=DVI入力/アナログ出力視聴」の映像。これを観てしまったら、もはや「iScan HD」ナシでは生きていけない体になってしまう! NTSCって、ここまで凄かったんだぁ。
最後にDVI入力端子についてですが、現段階では残念ながらHDCPに非対応。このお愉しみは後日、ということになるのでしょうが、その日が来た暁には3管ユーザーは歓喜の雄叫び(アテネ・オリンピックのゴールドメダリスト、北島の如く)を上げること間違いなし。そしてエアーに代表される海外製光ディスクプレーヤーをお持ちの皆さん、ぜひこの魔法の映像再現に挑戦してみて下さいね。映像機器が新たな呼吸を始めますよ。えっ? エアー、売っちゃった? あらら、そりゃぁ、残念。
今はあれもこれもと、新旧DVDを引っ張り出して映像美に酔い痴れる毎日。この残暑厳しいおり、わが家庭劇場ではシアワセな時に浸っています。
さて、それでは「PICK-UP DISC」のコーナーに移りましょう。今夜お届けするDISCはこの1枚。
◆PICK-UP DISC
TITLE:THE COMMITMENTS:Collector's Edition
| Studio |
20th CENTURY FOX |
| Year |
1991 |
| Running Time |
1:57:33 |
| Aspect Ratio |
5.1 DD ENGLISH,MONO DD ENGLISH,MONO DD SPANISH |
| Audio |
ENGLISH,SPANISH and NONE |
| Subtitle |
ENGLISH and NONE |
| Special Features |
Disc 1
■Commentary by Director Alan Parker
Disc 2
■Making of Alan Parker's Film The Commitments (22:36)
■The Commitments: Looking Back(47:08)
■Dublin Soul: The Working Class(14:52)
■Making of Featurette(8:03)
■Treat Her Right music video with new intros
by Parker and Arkins(5:47)
■2 Original Songs by Cast Members
■Theatrical Trailer(2:18)
■TV Spots
■4 Radio Spots
■19 still photo images in a Still Gallery
■Chapters 40
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| Release Date |
2004.03.16 |
邦題「ザ・コミットメンツ」。
様々な題材に果敢に挑戦するアラン・パーカーですが、彼が91年に撮り上げた監督作_その題材はソウル・ミュージック。
今回の舞台はアイルランドの首都ダブリン。このダブリンに本物のソウル・バンドを作りたいと、縦横斜めに走り回る青年ジミー。やっとのことでメンバーを集め、結成したのが「コミットメンツ」。自分にとことん頑固な監督であるパーカーが、ジミーに姿を借りてこの映画でソウル・バンド「コミットメンツ」を結成させたのは、魂(ソウル・ミュージック)の救済のため。しかし面白いのはここから。魂の救済? それって何? 実はメンバーの誰もがわかっていない。このあたりがパーカーらしく、なんとも愉快。
そしてパーカーは、さらに物語に別の視点を投げかけます。敢えてジミーたちを、成功から分裂というお決りのレールの上を歩かせて、彼らの磨かれていく心の内を炙り出すのです。これで音楽が、観る者の心にたっぷりと深く沁みてくる。
終幕に近づくにつれ、この映画がなんとも純粋な輝きを放っているのがわかってくる。その輝きに家庭劇場で目と耳が触れる時、心のどこかで魂の救済なんてことを考えたくなるはずですよ。
■score;A
LD時代、そして先行DVDリリースにおいても(画面比較は「HiVi-SHOWCASE」で)、なんとも粗末に扱われてきた本作。家庭劇場における絵と音の救済はあるのでしょうか?
仕様はNEWスクイーズ・トランスファー。アスペクトは1.85:1。カラーパレットには大胆なメリハリはありませんが、スキントーンに代表される色彩感はひじょうにナチュラルに再現されます。コントラストは幾分フラットですが、湿った空気感の表現はなんとも見事。陰影描写、とりわけ、コンサート・シーンの描写力に注目。多少黒の引込みが早いショットもありますが、会場の空気の濁りを丹念に描き上げます。
■score;A
アイルランド訛りが飛び交う本盤は、地元のミュージシャンが扮する登場人物が新鮮で、彼らが奏でる音楽も映画に深みを与えています。リミックスDD-5.1音声の恩恵は、とりわけコンサート・シーンで溢れ出るのがわかるはず。
ダイアローグの鮮度や、繊細なSE以上に鼓膜を刺激するのは、やはりコンサート・シーン。絶妙なヴォーカルと楽器のバランス。Dレンジも明らかに向上しており、LFEのエンハンスも巧妙です。サラウンドは映画の雰囲気を演出するためにきめ細かくデザインされており、なんともいえない映画のムードを高めます。ダブリンが生んだ音楽紙芝居、といった雰囲気がとても素敵。
■score;A-
さて、本盤の平均転送レートは、Average Bitrate:8.80Mbps。
「ザ・コミットメンツ」は03年8月に米国盤が登場していますが、こちらはFULLスクリーン(1.33:1)、DD-2.0音声仕様でした。
続いて03年盤と04年盤のMENU画面を比較してみましょう。04年盤は渋さを押し出したデザイン。ブルーがベースの03年盤も綺麗です。
そして決定的な違いは画面アスペクト。本作は35mm撮影され、上下マスキング仕様(1.85:1)のプリント公開(SUPER35仕様ではない)。
まずは03年盤。続いて04年盤。上下、左右の映像情報量に注目して下さい。また、解像感、色温度、カラーパレットの差異にも注目です。
続いて拡大DVD-SHOTです。コンサートのシーンは狭い空間における、窮屈な人物配置が魅力。コンサートの濃縮度を醸し出しながら、微妙な奥行の距離感の再現ができるか。フトモモのチラリズム。ちょっと不健康なお色気も、そんなところから滲み出るモンです。
この窮屈度を横からのアングルでみるとこんな感じ。スモーキーな空気感。照明の温度感。飛んでくる汗が顔にかかりそうです。う〜ん、HOT!
さて気がつけば、終演のお時間。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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