第五十二夜
◆COMING-SOON DISC
以前からお伝えしていたように、いよいよ12月7日に登場する「The Ultimate Matrix Collection」 ($79.92/10 extras-loaded DVD set )ですが、同日に「The Ultimate Matrix Collection Limited Edition」($129.92)もリリースされます。「Limited Edition」には(「The Ultimate Matrix Collection 」に収録されている)10 extras-loaded DVD setの他に、「ネオ/ミニ・バスト・フィギュア」と「コレクターズ・ブック(80ページ)」が同梱されています。どちらを選ぶかはあなた次第ですよ。
(その前に、10/17にWOWOWでハイビジョン放送される「マトリックス:リローデッド」のクォリティも気になるところですが...。)
近日リリースの気になるDVDといえば、オリバー・ストーン監督、トム・クルーズ主演の「7月4日に生まれて:Special Edition」。過去4回に渡ってリリースされてきた本作ですが、すべてレターボックス(=LB)仕様盤でした。さて今回は? 手元の資料を見ると「2.35:1/Anamorpic」と記されています。サウンドはドルビーデジタル(=DD)-5.1音声に加えDTS-5.1音声も収録。特典映像は「Bad Story:7月4日に生まれて」。リリースは10/19。果して資料どおりスクイーズ仕様(3回目のリリースではスクイーズ仕様とアナウンスされていて、LB仕様だった苦い思い出がある)で登場するのでしょうか? 結果をお楽しみに。
ここでは拡大DVDジャケットとMENU画面を紹介しておきましょう。
さぁ、今夜は10/16発売の月刊HiVi11月号の米国盤レビューの選外とした作品_ちょっとカルトな(?)70年代作品_を紹介しましょう。今回は怒涛の3本立て興行で贈ります。
◆PICK-UP DISC:1 TITLE;HARDCORE:Widescreen Edition
| Studio |
COLUMBIA TRISTAR |
| Year |
1979 |
| Running Time |
1:47:35 |
| Aspect Ratio |
16x9 encoded 1.85:1(Original Aspect Ratio) |
| Audio |
MONO DD ENGLISH |
| Subtitle |
ENGLISH,JAPANESE,SPANISH and NONE |
| Special Features |
■3 Other Trailers
■Chapters 12
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| Release Date |
2004.09.14 |
邦題「ハードコアの夜」。
マーティン・スコセッシの監督作ですぐに思い浮かぶのが、脚本家のポール・シュレイダーの名前。“早くDVDになって欲しい!”彼の脚本作では「ザ・ヤクザ」(よっ、健さん!)、そして「ローリング・サンダー」(当初は監督も担当するはずだった)があります。2作とも“殴りこみ”アクションの傑作(2本とも東映仁侠映画のノリ)ですが、監督第2作にあたる本作も、やっぱり“殴りこみ”精神に溢れています。製作総指揮は「ビッグ・ウェンズデー」のジョン・ミリアス! 日本ではなぜか劇場未公開。
アメリカ、ミシガン州の小さな町で家具工場を経営しているジェイク(これに名優ジョージ・C・スコットが扮する!)。口調は穏やかだが、自分の主張は決して曲げない頑固な苦労人。そして同時に敬虔なオランダ系カルビン派の信者でもあります。雪深きクリスマス。そこで過ごす親戚一同が集う幸せなひととき。こうして映画は、静かに幕を開けます。
ジェイクには一人娘がいるのですが、彼女が旅先で失踪した、という報がジェイクの元に届きます。私立探偵(ピーター・ボイル、絶品)を雇って娘の行方を調べるジェイク。お父さんは心配で心配で夜も眠れません。やがて探偵が娘の情報を持ってきます。探偵がジェイクに見せた1本の映画。そこには彼の娘が写っている。しかしその映画は、粗悪なポルノ映画....。さぁ、ここから映画はどんどん残酷に、どんどん怖くなっていきます。
ジェイクは単身、裏の世界に足を踏み入れることに。その途中で出会い、行動を共にする女ニキに扮するのが、シーズン・ヒューブリー。懐かしいなぁ。「ロリマドンナ戦争」の彼女ですね。日本でも“ボンジュール、お目目サン♪”のCMで有名になりました。憶えている人は少ないかなぁ。彼女の体当たり演技も見ものですよ。
本盤はリージョンALL仕様盤。日本語字幕も収録されています。
■score;A
映像はオリジナル1.85:1アスペクト収録。
撮影は「タクシー・ドライバー」のマイケル・チャップマン。「街頭撮影も、セット撮影も、もっともっと不潔にしたかった。」と後年、本作での仕事が100%満足のいく仕事でなかったと語るチャップマンですが、さまざまなショットで独創的な映像と出会うことができます。とりわけジョージ・C・スコットが娘の姿をポルノ映画のなかに見るシーン。ここでは映写室の映写機の光を彼の後方から当て、顔にはスクリーンに映る映像が反射しています。実際にはこのような現象は起きないのですが、きっちりと映画的なワイドスクリーン・バロックを魅せつけてくれています。
こうした細かな映像設計がわかるほど映像の鮮度は高く、しかしその鮮度はいわゆる“綺麗”とは違った薄汚れた鮮度。このあたりのパフォーマンスが実に見事です。
■score;A−
サウンドはDD-MONO音声。
ダイアローグは明快で、銃声やSEにも力感があります。音楽はジャック・ニッチェ(「カッコーの巣の上で」「愛と青春の旅立ち」)。後半のスコアは独特のサスペンス・サウンドを聴かせます。本作で問題があるとすれば、ダイアローグ、SE、音楽が混ざり合ってくると、個々の鮮明さが後退することです。特にダイアローグが音楽に消されそうになるシークエンスも。
■score;B+
◆PICK-UP DISC:2 TITLE;MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
| Studio |
PARAMOUNT |
| Year |
1974 |
| Running Time |
2:07:47 |
| Aspect Ratio |
16x9 encoded 1.85:1(Original Aspect Ratio) |
| Audio |
5.1 DD ENGLISH,RESTORED MONO DD ENGLISH,
MONO DD FRENCH |
| Subtitle |
ENGLISH and NONE |
| Special Features |
■Agatha Christie:A Portrait
■4-Part Series:Making Murder On The Orient Express
1.All Aboard!
2.The Ride
3.The Passengers
4.The End Of The Line
■Theatrical Trailer
■Chapters 17
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| Release Date |
2004.09.07 |
邦題「オリエント急行殺人事件」。
原作はアガサ・クリスティ。監督は名匠シドニー・ルメット。
本作のヒットに乗じて、クリスティの映画化作品が流行ることになるのですが、映画の創り方の面白さとしては「ナイル殺人事件」の方が見事ですねぇ。しかしクラシカルな雰囲気、演出の巧妙さ、配役の魅力(いい意味でのスター顔見世の面白さ)を取り上げれば、やはり「オリエント急行殺人事件」に軍配が上がります。
この上質なミステリー・サスペンス(2時間をちょっと越えるあたりの長さがいいんだなぁ)には、こんな人たちが出ています。ざっと名前を挙げるだけでも_アルバート・フィニー、ローレン・バコール、マーティン・バルサム、イングリッド・バーグマン(オスカー助演女優賞受賞)、ジャクリーン・ビセット、ジャン・ピエール・カッセル、ショーン・コネリー、ジョン・ギールグッド、ウェンディ・ヒラー、アンソニー・パーキンス、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、レイチェル・ロバーツ、リチャード・ウィドマーク、マイケル・ヨーク、コリン・ブレークリー_といった玄人好みのキャスティング。
原作を読んでから映画を観るか。はたまたその逆か。秋の夜長、ゆっくりと犯人探しの面白さに浸ってください。
■score;A
映像はオリジナル1.85:1アスペクト収録。
撮影は「スーパーマン」「遠すぎた橋」などを手がけた、英国を代表する名手ジェフリー・アーンスワース。本作はパラマウントからのリリースですが、最近ではパラマウントDVD=安心画質のレーベルと言われるように、本盤も30年もの年月を感じさせない仕上がりとなっています。とりわけフィルターやライティングを駆使してじっくりと仕上げた、柔和なルックス(軟調とも言えるが、決して甘い絵ではない)が見どころ。被写体に当る光源の柔らかさ、飽和感は必見です。
黒レベルは豊穣で揺るぎません。諧調再現も見事(クライマックスにかかるにつれ、そのダークな魅力が輝きます)。列車内の美術や衣装のディテイルも細部まで浮かび上がってきます。惜しむらくは、フィルム・リソースの持つ経年変化の傷痕が時折表出すること。時代を代表する傑作なだけに、もう少し入念なトリートメントを期待したかったことも事実。
■score;A−
サウンドはリミックスDD-5.1音声と、レストアDD-MONO音声を収録。
サラウンド・チャンネルの使用は限られていますが、リチャード・ロドニー・ベネットのスコア(オスカー・ノミネート)の響き、包囲感が心地よく、ワルツの旋律を多用したサウンド・トラックは聴きものの1つ。もう1つの主役であるオリエント急行、その列車が奏でる様々なSEの再現もDD-5.1音声の恩恵を受けています。ダイアローグは鮮明とは言い切れませんが、微妙な発音、話し方が醸し出す緊張感はしっかり再現されています。
ノイズ成分をトリートメントしたレストアDD-MONO音声は、思った以上の仕上がりとなっています。少しボリュームを絞って聴いてみるのも一興。
■score;B+
◆PICK-UP DISC:3 ORCA:Widescreen Collection
| Studio |
PARAMOUNT |
| Year |
1977 |
| Running Time |
1:32:15 |
| Aspect Ratio |
16x9 encoded 2.35:1(Original Aspect Ratio) |
| Audio |
MONO DD ENGLISH |
| Subtitle |
ENGLISH and NONE |
| Special Features |
■Chapters 12
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| Release Date |
2004.09.14 |
邦題「オルカ」。
監督は「暁の出撃」「八十日間世界一周」のマイケル・アンダーソン。
明らかに「ジョーズ」のメガ・ヒットからの流れが見えてくるような作品ですが、製作がディノ・デ・ラウレンティスですから、もうここは彼独特のバイタリティを愉しんでしまいましょう。イタリア風味の動物擬人化にビックリの本作は、長らくDVD化が熱望されていた作品でもあります。
お話がまた凄い。愛妻(と言っていいんでしょうね)を殺された雄シャチの復讐劇で、トコトン追い詰められていくのがリチャード・ハリス。彼が出ていることで、ヘンテコな亜流映画にならなかったんですね。シャーロット・ランプリングも美しいんですが、ブレイク前のボー・デレク嬢が出ているところも時代を感じさせますなぁ。但し・マイケル・アンダーソンの演出は50年代、60年代の切れ味はなくなっていますけれど……。
■score;A−
映像はオリジナル2.35:1アスペクト収録。
撮影は初期の007シリーズ=ショーン・コネリーのダークな魅力を引き出したテッド・ムーア。彼独特の黒をぐっと沈ませる映像デザインは健在。ここでは拡大DVD-SHOTでムーア絵画の魅力をご覧いただきますが、まず開幕のショットの美しさに見惚れてしまいます。海洋モノのお手本のようなショット。遠近感のデフォルメが楽しいですねぇ。
こうしたデフォルメの楽しさは、スコープサイズを意識した大胆なカメラアングルと、すばやい編集で見せることでも生れます。冬の海の冷たさも再現されていますが、その寒さを、冷たさをうまく再現できれば、海中から敵を見つめる冷たき視線、その特撮ショットも活きてきます。クライマックスは大胆なショットの連続なのですが、思い入れが強すぎたのか、演出が緩慢になってしまっているのが残念。
■score;A−
サウンドはDD-MONO音声。
本作に関していえば、リミックスDD-5.1音声での登場を期待したかったですねぇ。収録されているモノーラル・トラックはダイナミックレンジが確保されているわけではありませんし、どうしても映像空間とのギャップが出てしまいます。そんなサウンド・トラックではあるのですが、ダイアローグは明快で、爆発音等のSEも力感を保っています。海中撮影のシークエンスでは海水の重力感が再現されており、音の奥行き感も及第点。全編に流れる音楽はエンニオ・モリコーネ御大!
■score;B+
さていかがでしたでしょうか? 70年代の気になる旧作DVDを3本お届けいたしました。映画館での想い出が家庭劇場で蘇る瞬間_是非楽しんでください。
ところで10/14に別冊ステレオサウンド「ビートサウンド」第4号が発売になります。特集記事の「 ロック・ライブはDVD で!」「『ブルース・ムービー・プロジェクト』の全貌」は読み応えがありますよ。「米国盤:番外地」ではなかなか音楽DVDをご紹介できませんから、是非手にとってご覧頂きたいと思います。
また「MEET THE BEAT BOYS/ロックとオーディオに魅せられた男たち」では3菅プロジェクター調整の職人さん、川口修一氏(お世話になった3管ユーザーも多いのでは?)のオーディオ・ルームも紹介されています。これがまた、思いもよらぬオーディオ機器が鎮座していたりでして……。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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