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第五十三夜

 劇場公開中の最新作を家庭劇場で楽しむ_これが米国盤の、たまらない魅力のひとつです。劇場で観てから、自宅で楽しむ。家庭劇場で観てから、映画館で楽しむ。いえいえ、家庭劇場だけで大満足。さぁ、あなたはどのタイプ?


◆PICK-UP DISC:1
TITLE;TORQUE:Widescreen Edition



Studio WARNER HOME VIDEO
Year 2004
Running Time 1:23:53
Aspect Ratio 16x9 encoded 2.40:1(Original Aspect Ratio)
Audio 5.1 DD ENGLISH
Subtitle ENGLISH,FRENCH,SPANISH and NONE
Special Features ■Viginal Traile
■ther Trailer featuring 「Love Don't Cost A Thing」「The Big Bounce」
■Storyboar
■2 Feature/Episode commentaries by
Joseph Kahn, Will Yun Lee, Monet Mazur,
Jay Hernandez, Adam Scott, Matt Schulze, Fredro Starr, Justina Machado, Dane Cook, Matt Johnson, Peter Levy, Eric Durst, Tim Gedemer, Gary Davis, David Blackburn, Peter Hampton
■Chapters 26
Release Date 2004.05.18


THE MOVIE
 
 邦題「トルク」。
 「ワイルドスピードX2」「トリプルX」「S.W.A.T.」のニール・H・モリッツ(製作)と、「マトリックス」トリロジー「オーシャンズ11」のブルース・バーマン(製作総指揮)が贈る、B-MOVIEテイスト満載のハイパー娯楽活劇。監督はミュージック・ビデオ界では名を知らぬものはいないジョセフ・カーン(作品数は200本以上に及ぶ)。
 お話はいたって簡単。映画のヒーローはマーティン・ヘンダーソン(「ザ・リング」)。かつての恋人恋しや、と流れ旅から帰ってきたが、町はバイカーギャングに牛耳られているし、おまけに人殺しの濡れ衣まで着せられてしまいます。さぁ、彼は濡れ衣を晴らし、めでたく恋人と元の鞘に納まるのでしょうか?




 さてもこの映画、観どころはお話にあらず。観るべきは、危機一髪、大連続活劇の面白さ。これをカッティングのテンポ、CG絵画の躍動で、その危機一髪を見せて観せて魅せまくる、観た後グッタリの虚脱感。目にもの見せてくれようのバイク・アクションは、まるでTVゲームの如きの荒唐無稽(デジタル劇画だ)に走れども、家庭劇場を興奮のるつぼに巻き込むこと必至!しかしこの映画が上手いのは、マーロン・ブランドの映画の香りをほんの少しだけだが魅せてくれたこと。ここに注目。

■score;A-

IMAGE-TRANSFER QUALITY
  
 映像はアスペクト2.40:1のスクイーズ仕様。
 DVDのリリースは劇場公開からおよそ2ヵ月後。このスピード・リリースは映像に剃刀のようなシャープさを溢れさせました。痛いくらいの切れ味。しかしカラーパレットは過度なデフォルメによって美しい諧調を見せません。オリジナル・リソースのデザインと言ってしまえばそれまでですが、「チャーリーズ・エンジェル:フルスロットル」のような違和感が付きまとうのも事実です。意図的に沈み込ませた黒レベルは、重く硬い岩のよう。コントラスト・レンジは広いのですが、グレースケール上の白ピークはすっ飛んでいます(こうしたどこか無機質なルックスはオリジナル・リソースによるもの)。
 撮影監督はピーター・レヴィ。「プレデター2」「ブローン・アウェイ/復讐の序曲」「カットスロート・アイランド」「ブロークン・アロー」と諧調表現豊かな活劇絵画を得意としてきた人ですが、本作では180度方向転換の映像挑戦を試みています。

■score;A

AUDIO-TRANSFER QUALITY
  
 サウンドはドルビーデジタル(=DD)5.1音声。
とにかく聴き所はバイクの爆音。走行音。タイアの軋み。スピ−ド感たっぷりのSEが疾走し続けます。いやはや、この音、見事。たとえ爆音にダイアローグが消されたっていいじゃない……そんなことを考えてしまいそうなカイカンが突っ走るのですが、ご心配はご無用。分解能はすこぶるよい。サラウンドも全開。まさにフルスロットル。各スピーカー間の音のパンニングが心地よい。LFEエンハンスは活劇の重量感を演出しますが、ここは突風のような吹き上がり、吹き下がりを再現したいもの。

■score;A+

HiVi-SHOWCASE
  
 この作品で気になるショットと言えば、ミラーを使ったショット。前々回に紹介しました「激突!」を髣髴させますが、緊張感の演出というよりはちょっぴりお洒落に気取って魅せたという感じ。この何気なさがいいんだなぁ。

 続いて拡大DVD-SHOT。流れるような移動ショット。なるべく画面に近づいて視聴するのがおススメ。ただし、三半規管をヤラれぬようにご注意を。

 めまぐるしい活劇シーンでも奥行感の表現は重要なポイント。これが平面的に映ってしまったら、面白さは半減してしまいます。この映画ではCGIショットが盛り沢山ですが、ライブアクション・ショットとは違ってどうしても奥行感が霧散しがちです。黒レベル、階調再現の管理は重要ですぞ。


◆PICK-UP DISC:2
FIELD OF DREAMS:Two-Disc Anniversary Edition



Studio UNIVERSAL
Year 1989
Running Time 1:45:28
Aspect Ratio 16x9 encoded 1.85:1(Original Aspect Ratio)
Audio 5.1 DD ENGLISH,5.1ES DTS ENGLISH,
2.0 DD FRENCH
Subtitle ENGLISH,FRENCH,SPANISH and NONE
Special Features ■Audio Commentary by Kevin Costner, Producers Lawrence and Charles Gordon and Director Phil Alden Robinson
■From Father to Son: Passing Along the Pastime
:Kevin Costner, director Phil Alden Robinson and celebrity baseball players share memories and special father-son moments and discuss baseball's impact on their lives.
■The Diamond in the Husks
:The original movie set still exists. View archive video and hear tales from tourists and the field's owners.
■A Look Inside Field of Dreams
:90-minute "behind-the-scenes" documentary, including a new interview from Kevin Costner
Galena, Illinois, Pinch Hits from Chisholm, Minnesota
■If YOU Build It, They Will Come
■Easter Eggs: Obscure Baseball Trivia including stadium facts and photos developed exclusively for this release
■Chapters 34
Release Date 2004.06.08


THE MOVIE
 
 邦題「フィールド・オブ・ドリームス」。
 “それを創れば、彼は来る”
 トウモロコシ畑で聞いた"お告げ"に従って、ケビン・コスナー扮するレイは"それ"、すなわち野球場を創り、"彼"、すなわち死んだはずの大リーグの名選手たちと出会うこととなります。終幕に訪れる本当の"彼"との再会には、公開15年経った今でも、いやはやもう、涙腺が大決壊。W・P・キンセラが82年に発表した小説「シューレス・ジョー」は、(読んだ方ならわかるでしょうが)なんとも映像化が難しい筆致。これをよくぞここまで魅せました。いやはや立派。そして活字に負けぬ、いえいえそれを上回る映画ならではのリズム、テンポがあるのが嬉しいではありませんか。





 このリズム、このテンポで60年代の申し子であったレイ夫婦が、若き日の夢見る力を取り戻す素晴らしさが浮かび上がりました。“声”に導かれた主人公の、過去への旅。この寓話が語るのは過去に置き忘れてきたものとの和解。このあたりの観せ方が上手いんだなぁ。カウンターカルチャーが香るウィットや白人中産階級の価値観を、幻想譚と巧妙に絡み合せた会心の感動作。古きよきアメリカを感じたければ、この作品こそ必見!

■score;A+

IMAGE-TRANSFER QUALITY
  
 映像はアスペクト1.85:1のスクイーズ仕様
 この静かに夢の世界を駆け巡る秀作が、ようやくスクイーズ仕様となり家庭劇場で上映される日がやってきました。米国盤、PAL盤と幾度かの再発がありましたが、いずれも期待はずれのLB仕様でしたから。但し今回のリリースではFULLSCREENヴァージョンもリリースされています。





 イメージは鮮度が高く変身しており、シャープさが増しています。しかし、あくまでこれは柔和なルックスの上に成り立っており、撮影監督ジョン・リンドレーの映像デザインを目に染み込ませます。ちなみにリンドレーは本作における筆致が注目され、その後「スニーカーズ」「カラー・オブ・ハート」「ユー・ガット・メール」「トータル・フィアーズ」と話題作の撮影監督に抜擢され、近作はSFX大作「ザ・コア」。
 カラーパレットは若干赤味が被るショットがありますが、コスナーが着る美しいブルーグリーンの半袖シャツの描写など息を呑むショットが連続します。屋外における日中シーンにおいて、モスキートノイズ等のMPEG圧縮による弊害が見受けられます。コントラストは抑制されており、「暗い」イメージが付きまとうかも知れませんが、これがこの映画のタッチ。むやみにコントラストを上げて視聴されませんように。

■score;A

AUDIO-TRANSFER QUALITY
  
 サウンドはDD-5.1音声とDTS-5.1ES音声。
 両サウンドトラック共に明快なダイアローグと細密なSE表現を提供します。Dレンジ感はDTSが若干上回ります。しかし最新映画の粒立ちの良さと比較するのは酷。ここはフロント・ステージに寄り添うステレオイメージと奥行表現を楽しみたいもの。
 音楽は、今や映画音楽界の中心的作曲家となったジェームズ・ホーナー。チャプター19に始まるスコアの響きに注目。SE効果はフェイン・パーク球場を訪ねるシークエンスのデザインが聴きもの。ESはノン・フラッグ。サラウンドバック(マトリックス)効果は開幕から味わえますが、極端なパンニングとは無縁。包囲感の再現で活躍します。

■score;A−

HiVi-SHOWCASE


 本盤の転送レートは、平均転送レート7.54mb/s。ちなみに旧LB盤は平均転送レート5.70mb/s(アスペクトは1.80:1)。

 それでは続いて拡大DVD-SHOTのご紹介です。
 まずは開幕のトウモロコシ畑。スクイーズ仕様になったことで奥行感、遠景のディテイルが向上しています。暑い日差しのトウモロコシ畑なのですがコントラストは抑制されます。ここで「暗いなぁ」とコントラストを過度に上げないこと。トウモロコシ畑の地平線。この空に粒状ノイズが散見されます。惜しい。

 "お告げ"に従って野球場を創ったレイ夫婦。日没後のグランドのショットでは、グランドを照らす照明の灯りが彼らの満足感と安堵感を、そしてマゼンタに染まるマジックアワーの夜空が濁りのない魂を描き出します。そしてこの絵の中に漂う掴みどころのない不安感。この微妙なニュアンスを再現したいものです。
 ライティングで美しく、かつ水滴を感じさせるように浮かび上がるグランドのグリーン。マジックアワーのため息の出るようなマゼンタ色。レイ夫婦の洗いざらしのジーンズの質感。このショットだけでも観所はたっぷりです。

 さぁ、現れましたシューレス・ジョー・ジャクソン。イチローの安打記録更新中にもこの名前が何度も登場しました。墨汁のような夜空。ここに漂う薄白色の靄。微妙な階調表現が試されるシークエンスです。ライティングに浮かぶホワイトソックスのユニフォームの質感。それはユニフォームと帽子の質感の差異にも繋がります。陽光ではないライティングの中に再現されるスキントーンにも注目。

 登場しましたよ、往年の名選手。暖色系を巧みにコントロールした映像デザインが秀逸。陽光はトウモロコシ畑の上部を照らし、グランドとトウモロコシ畑の境目、そして選手たちには陽光は当たっていません。屋外ショットにおける(しかも自然光による)間接照明の名ショットの1つ。何気ないショットなのですが、う〜ん、素晴らしい。この光の階調表現が黄泉の国からの訪問者の喜びを表現します。

 さぁ、如何でしたでしょうか、蘇った「フィールド・オブ・ドリームス」。微妙な階調表現を走査線の彼方に埋没させていた旧作との差異は、とても大きいですよ(大画面再生になればなるほどその差異は大きく広がります)。

 そんなわけで、この原稿を執筆中にレッドソックスが“バンビーノの呪い”をはねのけ(呪いはワールドシリーズに優勝するまで解けないのですが)、ヤンキースを破り18年ぶりのワールドシリーズ出場を果しました。心情的には松井秀喜在籍のヤンキースに勝たせたかったのですが、崖っぷちの3連敗の後からの4連勝って、いやはや凄いなぁ。何事も最後まで諦めてはいけないという事を、あらためて教えてもらった気がします。今年はイチローの安打新記録といい、いやぁ、大リーグは楽しませてもらいました。そして松井。頑張れ。来年があるぞ。来年こそ世界一だ!
 それでは次夜まで、おやすみなさいませ。よい夢を。

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