第六十夜
■エッセンシャル・スティーブ・マックイーン・コレクション
ブリット:2-Disc Special Edition
ゲッタウェイ:Deluxe Edition
パピヨン
シンシナティ・キッド
戦雲
トム・ホーン
■拳銃無宿:シーズン1
■華麗なる週末
■墓石と決闘
■ダンディー少佐:The Extended Cut
■サム・ペキンパー・コレクション
◆FUTURE RELEASES
番外の地、その六十夜を飾る新作米国盤の紹介は、マックイーンのこの作品群!

1年前からアンオフィシャルな情報が伝えられていた『スティーブ・マックイーン:ワーナーDVD-BOX』ですが、タイトルが正式に『エッセンシャル・スティーブ・マックイーン・コレクション』と決定し、5/31に登場することとなりました。収録される作品はワーナー作品6作品。価格は$68.92(単品各$19.97。『ブリット』のみ$26.99)。詳細は以下の通りです。

デジタル・トリートメント盤。米国盤はR-ALL仕様の可能性あり。
街の生の息づかいが聞こえてくるような街頭ロケ。泣く子も黙るカーチェイス。とにかく、サンフランシスコ警察のフランク・ブリット刑事に扮したマックイーンがメガCool!
「ブリット」の大ヒット以後、「ダーティー・ハリー」「フレンチ・コネクション」と刑事(警官)モノのオファーが殺到したマックイーン。「ダーティー・ハリー」の原案は脚本家ハリー・ジュリアン・フィンク(共同脚本)。彼は「ダンディー少佐」の原作・脚本、「北極の基地 潜航大作戦」の脚本家でもあり(いずれもマックイーン主演で企画され流れた作品)、「ダーティー・ハリー」もマックイーン主演を念頭に入れて草案が書かれていた作品。「フレンチ・コネクション」は、ウィリアム・フリードキンと新人同様の脚本家アーネスト・タイディマンが最終稿を練り上げるまでの間、常にマックイーン=ドイル刑事を思い描いていた作品。



刑事ドラマの出演が連続する事を嫌ったマックイーンは2作品への出演を断りますが、実は「ブリット」出演をためらっていたという事実があります。マックイーン本人はプロデューサー(自社ソーラープロ第1作)として作品に関わりたかったのです。これを最初の夫人ニール・アダムスが説得。
彼女曰く「彼は主演を渋っていました。"ブタを演じるのはどうもな"って。あの頃は警官はブタって呼ばれていたんです。私は言いました。"クールなブタにしちゃえばいいのよ"」。こうして「ブリット」が生まれるのですが、このあたりのエピソードが特典映像に収録してあると嬉しいですね。ちなみに特典映像の1本『The Cutting Edge:The Magic of Movie Editing』は以前NHKでハイビジョン放送されたドキュメンタリー。
■仕様
DISC-1:
1.85:1 Anamorphic Widescreen
English DD-2.0
English, French and Spanish subtitles
Commentary by Director Peter Yates
Theatrical Trailer
DISC-2:
2-Feature-Length Documentaries:
・『The Cutting Edge:The Magic of Movie Editing』, narrated by Kathy Bates.
(a fascinating look at the art of film editing featuring award-winning directors Steven Spielberg, George Lucas, Martin Scorsese, Quentin Tarantino and Ridley Scott)
・『Steve McQueen:The Essence of Cool』From filmmaker Mimi Freedman, this all-new documentary uncovers the complex man behind the image by watching McQueen's life and career through the eyes of the people who knew him best and extensive use of film and television clips
(new documentary premiering June 1 on Turner Classic Movies with interviews from Neile Adams/McQueen's first wife, Sir Richard Attenborough, Norman Jewison, Chad McQueen/his son, Peter Yates, Barbara Minty/McQueen's widow and more)
Vintage Featurette:
・『Bullitt: Steve McQueen's Commitment to Reality』
デジタル・トリートメント盤。
マックイーン念願のサム・ペキンパー監督作。実は本作の終幕は3種類あります。まずワールドワイドの劇場公開版。これは日本でも公開されたお馴染みのラストシーン_マックイーン扮するドクとアリ・マッグロウ扮するキャロルが、まんまとゲッタウェイしてしまう終幕。
そしてスペイン公開版。これは開幕の刑務所ショットに戻るかのように、ドクが刑務所に連行されるラスト。当時はスペインの治安が著しく悪く、その実情をワーナーが考慮したもの。このラストシーンを収録したPAL-VHS(4×3アスペクトのトリミング版)は既に廃盤。
そして3つ目は米国の1部の州で公開されたバージョン。ラストシーンはメキシコ国境の検問所でドクとキャロルが射殺されるもの。ワールドワイド劇場公開版ではスリム・ピケンズと共に国境を抜けますが、このバージョンでは「俺たちに明日はない」や「ゴッドファーザー」を髣髴する非情な終幕となっています。エンディングはモノクローム。
今回のデラックス・エディションには残念ながら、スペイン公開版のラストも“ハチの巣”版のラストも収録されていません。
原作はジム・トンプソンの犯罪小説。本作の当初の企画は、あのロバート・エバンスがパラマウントでペキンパーにメガホンを持たせようとしたのが始まり。その後同じくパラマウントのプロデューサー、デビッド・フォスターが企画を譲り受けました。彼が主役に指名したのがマックイーン。当時マックイーンは“ハンフリー・ボガートのようなギャング役”を演りたがっており、フォスターとマックイーンが白羽の矢を立てようとしたのがピーター・ボグダノビッチ監督。
脚本(71年初稿)を執筆したのはジム・トンプソン。しかし自作の脚本化に失敗。フォスターとマックイーンから、“台詞が多すぎる”“暗すぎる”と解雇。トンプソンからバトンタッチしたのがウォルター・ヒル。彼の改稿した脚本では、原作が持つ独特の“色”は全くといっていいほど消え去り、(4つ目の幻の終幕となってしまった) トンプソンが書き上げた幻想的で寓話的なエル・レイ王国でのラストシーンも勿論カットとなっています。
結局本作はパラマウントの手から離れ、マックイーンのファースト・アーティスツ・プロで製作となり、再びペキンパーの元へ監督依頼がやってきます。ペキンパーはドク夫婦を執拗につけ狙うルディ役にジャック・パランスを希望しますが、出演料と撮影スケジュールの折り合いがつけられずに断念(最終的にはアル・レッティエリ。絶品!)。
マックイーン念願のサム・ペキンパー監督作、と前述しましたが、実は本作の最終編集権を握っていたのはマックイーン。ペキンパーの最終編集版が仕上がった後で、マックイーンはペキンパー版を再編集します。ワーナーの試写室で劇場公開用の最終編集版を観たペキンパーは「これは俺の映画じゃない!」と激昂したといいます。その理由の1つはペキンパー組のジェリー・フィールディングの音楽の全面差し替え。使用されたのはクインシー・ジョーンズの楽曲。フィールディングのスコアは「JERRY FIELDING FILM MUSIC Vol.3」(限定盤/92年リリース/廃盤)の中に「ガルシアの首」「ギャンブラー」と共に収録されており(17分39秒)、このスコアを聴く限りではマックイーンの選択が正しかったように思えます。
■仕様
2.40:1 Anamorphic Widescreen
English DD-MONO
English, French and Spanish subtitles
Commentary by DVD Producer Nick Redman, authors Paul Seydor, Garner Simmons & David Weddle
VIRTUAL audio commentary with stills featuring Steve McQueen, Ali MacGraw and Sam Peckinpah
Theatrical Trailer
フランクリン・J・シャフナー監督作品。もう解説無用の大脱獄劇(実話)。
脚本はダルトン・トランボ。聖林を席巻した"赤狩り"の犠牲となった“ハリウッド・テン”の1人。マックイーンは彼の脚本に惚れ込んでの出演となりますが、長期南米ロケの辛さも身にしみることとなります。
撮影はフレッド・J・コーネカンプ。シャフナー組のシネマトグラファーで、シャフナー監督作「パットン大戦車軍団」「海流のなかの島々」(マックイーン主演での企画作)でオスカー候補となり、「タワーリング・インフェルノ」でオスカー受賞。変わったところでは、ラス・メイヤーの愛すべき珍作「ワイルド・パーティー」も彼の仕事。
音楽は御大ジェリー・ゴールドスミス。そういえば昨年、ゴールドスミス入魂の1枚「パピヨン:完全版」が登場。限定盤で全14曲を収録。フランスで保管されていた録音マスターからのハイビット盤で、ジャケットの美しさは格別でした。
すでに国内盤が登場している「パピヨン」ですが、国内盤の仕上がりは及第点にたどり着いていません。そのDVDマスターを使用したWOWOWハイビジョン放送も然り。今回登場の米国盤がデジタル・トリートメント盤かどうかは不明。
■仕様
2.35:1 Anamorphic Widescreen
English DD-5.1
English and French subtitles
『The Magnificent Rebel』12-minute featurette
Cast & Crew Biographies
Theatrical Trailer
非情なポーカー賭博の世界を描くノーマン・ジュイソン監督作品。初DVD化。
本作の脚本(「博士の異常な愛情」「イージー・ライダー」のテリー・サザーンとの共同脚本)も“ハリウッド・テン”の1人、リング・ラードナーJr。「シンシナティ・キッド」は前述したサム・ペキンパー監督作品としてスタート。ラードナーは、監督、キャストが揃っての与えられた1週間の本読み期間で、役者の持つキャラクターに合わせてのリライトまでを担当しました。その彼が創作した脚本のエンディングは2種類。恋人役のチューズディ・ウェルドが絡む、ウェルメイドなエンディングは未収録。
さて監督のペキンパーですが、撮影開始後1週間で解雇。その理由が興味深い。スタジオは“4日もかけて女の裸ばかり撮っている”としてクビにしたのですが、ペキンパーの言い分は“南部の紳士野郎の腐敗を示すために、彼とベットを共にする女の裸を撮ったのさ”ということ。この未公開ショットは、当然ですが未収録。
当初マックイーンは、尊敬するスペンサー・トレイシーをポーカーの大勝負で戦う大物ザ・マンに希望しますが、結局スタジオは往年のギャング・スター、エドワード・G・ロビンソンでGO。マックイーンは撮影中、ロビンソンにのまれっぱなし。多くの若手俳優がそうだったように、大物役者(ここではロビンソン)の眼を凝視できない。芝居の途中に眼をそらす。しかしジュイソンは「それがフィルムに収まると、上手い具合に新鮮で、不敵なイメージとなった」と回想しています。
撮影は「酒とバラの日々」「ピンクの豹」、そして後年「大地震」「エアポート'75」を撮るフィリップ・H・ラスロップ。音楽は「ブリット」「燃えよドラゴン」のラロ・シフリン。キッドを誘惑する悪女にアン・マーグレット!主題歌はレイ・チャールズ!
■仕様
1.85:1 Anamorphic Widescreen
English DD-MONO
English, French and Spanish subtitles
Commentary by Director Norman Jewison
Scene-Specific Commentary by Professional Poker Players
Featurette:Cincinnati Plays According to Hoyle
ジョン・スタージェス監督作品。初DVD化。
第二次世界大戦のビルマで、日本軍相手に戦闘を繰り広げるゲリラ部隊のドラマ。とはいっても作品自体はかなりユルイ描写が散見されるシークエンスもあります。主演はフランク・シナトラ。共演はジーナ・ロロブリジーダ。脇役にチャールズ・ブロンソンの顔もあり、戦闘シーンと懐かしい役者陣に舌鼓を打ってもらいたいものです。
その後のエピソード。「坊や。これは君の映画だな」とマックイーンに語ったシナトラ。「戦雲」でマックイーンを気に入ったシナトラは、何とかシナトラ一家に、とマックイーンを誘惑し続けます。マックイーンは二者選択を迫られる事に。すなわち、シナトラ一家に属すか、映画スターとして独自の道を歩むのか、の二者選択。
例えば「オーシャンと十一人の仲間」。シナトラはこの作品でもマックイーンにラブコール。当時のマックイーンを思い起こせば大抜擢なのですが、本作に出ていたら「荒野の七人」への出演もありませんでした。「荒野の七人」と言えば、監督は勿論ジョン・スタージェス。「戦雲」に続く「荒野の七人」のお話。不思議で、時代の流れを感じさせるエピソードです。
■仕様
2.40:1 Anamorphic Widescreen
English DD-5.1
English, French and Spanish subtitles
西部開拓時代末期の実在の人物トム・ホーン。その晩年を描く静かなる西部劇。監督はウィリアム・ウィアードですが、実際は製作総指揮も兼ねたマックイーンの共同監督作。
撮影監督はジョン・アロンゾ。60〜70年代を代表するメキシコ生まれ撮影監督。砂塵だらけの砂漠での奇跡撮影を敢行した「バニシング・ポイント」。非の打ち所のない絵画芸術「チャイナタウン」。作品の99%をハンドヘルドで撮り上げ、脅威のニュートラル・ライティングを魅せた「ノーマ・レイ」。深い被写界深度に徹底してこだわり、ヘリコプターをまるで美しく舞う鳥のように撮り上げた「ブルー・サンダー」。「ビリー・ホリディ物語」も「さらば愛しき女よ」も「ブラック・サンデー」も「スカーフェイス」も、みんな彼のカメラ美術。
さてこの名手アロンゾですが、映画界での出発は役者業で、「荒野の七人」でガンマンを雇いに旅立つ3人のメキシコ農民の1人を演じています。チャールズ・ブロンソンに「もうお前はライフルを撃つために使うな。殴るために使え。」と呆れられ、でもヘラヘラして「サンキュー」なんて言っちゃう農民役。
スタージェスも、マックイーンも、コバーンも、ブロンソンも、アロンゾや他のメキシコ俳優を大切に扱い(特にマックイーンは遊び仲間としても付き合います)、「荒野の七人」のロケーションはアロンゾにとってよき想い出となったのだそうです。やがてマックイーンが本作に着手した時(ロバート・レッドフォードと競作騒ぎとなり、執念で奪った企画/既に癌に侵されていた)、マックイーンは既に名カメラマンになっていたアロンゾに声をかけます。
西部劇を撮るんだ。でも生のままの冷たい画調が欲しい。魅惑的なモンなんていらないんだ。アロンゾの回想によると、かつてロジャー・コーマンが新人撮影監督のアロンゾに言った台詞そのまま。アロンゾはこの作品の撮影を快く引き受けます。「荒野の七人」から20年。再び “共演する”のは懐かしの西部劇。撮影スペックは「荒野の七人」と同じく、嬉しきパナビジョン・アナモフィックによるスコープサイズ2.35:1。2人が20年の歳月を経て、一流の映画人として同じカメラの前と後ろに立つ。その姿を想像しながらお楽しみください。
■仕様
2.40:1 Anamorphic Widescreen
English DD-MONO
English, French and Spanish subtitles
続いては若きマックイーンの勇姿を。

昨年末国内盤BOXが登場したTVシリーズ「拳銃無宿」。カラーライズ版でのプレゼンテーションでしたが、なんとも懐かしい香りが家庭劇場に漂いました。米国盤での登場はニューラインから。リリースは36話を収録したシーズン1。モノクローム版の仕様は以下の通りです。実はマックイーン、乗馬が大の苦手だったって知っています?
■仕様
Street Date:2005.06.07
1.33:1 Fullscreen
English DD-MONO
English and Spanish subtitles
Wanted: Dead or Alive:Disc-1
Side-A:Episodes 1〜4
(『The Martin Poser』『Fatal Memory』『The Bounty』『Dead End』)
Genesis of Wanted: Dead or Alive
Steve McQueen Biography, Part 1
Colour episode『The Martin Poser』
Side-B:Episodes 4〜8
(『Shawnee Bill』『The Giveaway Gun』『Ransom for a Nun』『Miracle at Pot Hole』)
『The Bounty Hunter』featurette
Photo gallery
Wanted: Dead or Alive:Disc-2
Side-A:Episodes 9〜12
(『The Fourth Headstone』『Til Death Do Us Part』『The Favor』『Ricochet』)
Life in the Fast Lane Documentary, Part 1
Side-B:Episodes 13〜16
(『Sheriff of Red Rock』『Die by the Gun』『Rawhide Breed』『Eight Cent Reward』)
Steve McQueen Filmography
Steve McQueen Biography, Part 2
Colour episode『The Favor』
Wanted: Dead or Alive:Disc-3
Side-A:Episodes 17〜20
(『Drop to Drink』『Rope Law』『Six-up to Bannach』『The Spur』)
『Angel or Devil』featurette
Photo gallery
Side-B:Episode 21〜24
(『Reunion of Revenge』『Competition』『Call Your Shot』『Secret Ballot』)
Life in the Fast Lane Documentary, Part 2
Wanted: Dead or Alive - Disc 4
Side-A:Episodes 25〜30
(『The Corner," "Eager Man』『The Legend』『 Railroaded』『Double Free』
『The Kovack Affair』)
Steve McQueen Biography, Part 3
Colour episode『Six-up to Bannach』
Side-B:Episodes 31〜36
(『Bounty for a Bride』『Crossroads』『Angels of Vengeance』『Littlest Client 』『The Conquerers』『Amos Carter』)
Life in the Fast Lane Documentary, Part 3
『Dead End』featurette
Photo gallery
$39.98
そしてこの作品も登場です。
原作はノーベル文学賞作家、ウィリアム・フォークナーの同名小説。脚色は「肉体の遺産」でフォークナー作品を手がけたアーヴィング・ラヴェッチ(「ハッド」「ノーマ・レイ」)とハリエット・フランク・ジュニア夫妻。
舞台は20世紀初頭のアメリカ南部の町。町で初めて車を買った祖父。その祖父が急用で留守の間に、屋敷の使用人と11歳の孫が車に乗って旅に出ることに。マックイーンは屋敷の使用人ブーンを好演し、なんともほのぼのとした作品に仕上がりました。音楽はジョン・ウィリアムズで、初期の傑作スコア。
監督は役者でもあるマーク・ライデル。後に「ローズ」や「黄昏」のメガホンを握ることとなるのですが、この時点ではまだ映画界での演出家としてのネームは大きくありません。本作はマックイーンのソーラープロ共同製作作品(配給はパラマウント)でもあり、マックイーンは当初、「華麗なる賭け」を撮り終えたばかりのノーマン・ジュイソンを監督に迎えようとしましたが、「ブリット」の撮影監督のウィリアム・A・フレイカーの強い推薦もあってマーク・ライデルを監督に迎えます。
フレイカーは前年に撮り上げた「女狐」(原作は「チャタレイ夫人の恋人」のD・H・ロレンス)でのライデルの演出を高く評価しており、実際映画自体も高い評価を受けていました。ちなみにフレイカーが、その後に初監督したのが「モンテ・ウォルシュ」。その際にオファーを受けたのがマックイーンとダスティン・ホフマン。アメリカの新配給会社CCF=シネマ・センター・フィルムが2人に、仏蘭西からジャンヌ・モローを招いた西部劇に出演して欲しい、と要請したもの。
しかしプロジェクトの進行が遅れ、悲願の「栄光のル・マン」の撮影に取りかからねばならなくなり断念。ダスティン・ホフマンも降り、映画は大幅なキャラクター変更がなされ、70年にリー・マーヴィン(ホフマンの役)主演で完成。マックイーンの役はジャック・パランスが演じました。
■仕様
Street Date:2005.06.14
1.85:1 Anamorphic Widescreen
English DD-5.1
English subtitle
$29.99
企画段階でマックイーンが出演予定だった2作品も登場します。
ジョン・スタージェス監督作品。お馴染「OK牧場の決闘」の後日談。講談調に描いた「OK牧場の決闘」に対し、こちらはぐっと渋いタッチで“実説ワイアット・アープ”を映画化しました。映画はOK牧場での決闘シーンから始まるのですが、画面は終始一貫、緊張感が漲っています。名保安官アープも復讐心を法でカムフラージュして、がむしゃらにクラントン一家を倒していくという、なんとも人間臭い人物として扱われています。
企画が挙がったのは64年。その時点でマックイーンはドク・ホリディを演じる予定でしたが、「ハイウェイ」との間にスケジュール調整が出来ずに降板。結局2年の年月が経ち、66年の製作発表ではホリディ役はジェースン・ロバーツで発表されました。アープ役は当初の予定通りジェームズ・ガーナー。完成は67年。
■仕様
Street Date:2005.05.17
2.35:1 Anamorphic Widescreen & 1.33:1 Fullscreen
English DD-MONO
English, French and Spanish subtitles
$14.95
サム・ペキンパー監督作品。
原作はハリー・ジュリアン・フィンクの同名小説。19世紀後半のインディアン掃討作戦を軸に、アパッチの略奪者捜索に命をかけた、意志強固な北軍少佐の物語。ペキンパー初の大作映画でしたが、現場はトラブルの連続。クランクアップ数週間前に解雇されかかりますが、主演のチャールトン・ヘストンの反対で監督続行(しかしこの時点でヘストンのギャラは超過する製作費にまわされ、ノーギャラ扱いとなっています。)。
本盤はカットされたシーンを追加した12分長い136分エクステンデッド版。しかしラフ編集版は4時間半もの長さで、これをやっとのことで3時間にまとめ、最終的に2時間44分に落ち着きます。しかしまだスタジオのOKがもらえず、ペキンパーは妥協して2時間32分にカット。その後最終編集権を奪われ、スタジオがカットした初公開版が2時間16分版。その後公開されたのが2時間4分版(VHS&LD)と1時間57分版(スペイン他で公開)。今回はスコアも新調されていますが、エクステンデッド版=初公開版ということになりますので、決してディレクターズ・カット版と混同しないように気をつけてください。ちなみに本版は8月に限定公開予定。それゆえにDVDの発売も遅れそうな気配...トホホ。
脚本草案時のキャスティングは、ダンディーにヘストン、南軍大尉タイリーンにアンソニー・クイン、片腕の男ポッツにリー・マーヴィン。63年10月のプリプロダクションの段階で、配役はヘストン、マックイーン、ジェームズ・コバーンに絞り込まれています。マックイーンはペキンパーとのコンビという事で興味を示し、共演陣もジャームズ・コバーン(マックイーンと3度共演)とジム・ハットン(「ガール・ハント」で共演)と気心が知れた役者が揃っていましたが、「大スターのチャールトン・ヘストンと肌が合わない」と降板。
脚本も混乱しており、製作開始は64年の1月にずれ込みます。その間にタイリーン役はリチャード・ハリスに決定。
■仕様
Street Date:2005.05.31
2.35:1 Anamorphic Widescreen
English 5.1
English, Japanese and Korean subtitles
※Sam Peckinpah's first big-budget film was also the first to be taken away and released in a shortened version. But now, 40 years later, most of the missing footage has been located and reinserted with the entire soundtrack remixed in 5.1 Dolby Digital, and a completely new score composed. The new scenes complete the electrifying depiction of an oppressive Union officer who leas a squad of Rebel prisoners, ex-slaves, and criminals into Mexico to hunt down a band of murdering Apaches which raises the question
$19.94
さて何やらつながり多いマックイーンとペキンパーですが、昨年アナウンスされた「ゲッタウェイ:Deluxe Edition」を含むワーナー「サム・ペキンパー・コレクション」のお話もしておきましょう。

収録予定作は「ワイルドバンチ」「砂漠の流れ者」「ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯」「ゲッタウェイ」「昼下りの決斗」。とりわけ「昼下りの決斗」は、戦後公開された西部劇ベスト10に必ずや入る傑作西部劇。鉱脈から採掘された金を運ぶ途中、無法者からの強奪を防ぐために雇われた元保安官。かつては泣く子も黙る拳銃の名手でしたが、今では老眼鏡がないと足元もおぼつかない。かたや相棒のガンマンも同じく拳銃の名手でしたが、よる年波には勝てずに今では腰のリューマチが痛み出すありさま。
演ずるは、堕落した元老保安官ジルに、本作が引退作となったランドルフ・スコット。そして廉直な元連邦保安官スティーブにジョエル・マクリー。この2人の息のあった快演の、なんとも見事なこと。人生の黄昏を迎えた、男の命の炎が燃え尽きる瞬間の輝き。まったくもって男泣きの秀作です。
しかしこの作品(海外での評価はいたって高いのですが)全米公開時は不当な扱いを受けています。当時のMGMの親会社ロウズinc.の重役に忌み嫌われたペキンパーは、なんとMGMスタジオへ出禁。ろくすっぽ試写もされずに“駄作”の烙印を押された本作は、満足な宣伝もされずに2番館での2本立て興行の“添え物”扱いを受けてしまいます。
この作品が収録されている(単品売りあり)というだけでも、小躍りしてしまいそうなBOXセット。しかし今春に登場予定だったのですが、2/23にアメリカン・シナマテークがLAのエジプシャン・シアターで企画上映した「ワイルドバンチ」のドキュメンタリー上映会の席上において、ワーナーから延期が発表されました。延期されリリース予定日は来年の2月...。トホホ。

それでは最後にお届けするHiVi-SHOWCASEは、3/22に登場しました「ガルシアの首」(Title:Bring Me the Head of Alfredo Garcia)をお届けしましょう。
既に国内盤が登場している本作ですが、スクイーズ/1.85:1アスペクトの収録の映像鮮度は国内盤より高くなっています。早いことに劇場公開から30年が経った本作ですが、ザラついた触感を残しながらトリートメントされた映像が魅力的です。
メキシコ権力者の愛娘妊娠させたアルフレッド・ガルシア(拡大DVD-SHOT(1))。怒り狂った父親は、ガルシアの首に100万ドルの賞金をかけることに。その100万ドル目当てのしがないピアノ弾き。その男が愛する女。そして殺し屋たち...。ピアノ弾きは、自分の女の浮気相手でもあった男の首を金のために探しに行くのですが、結局は死んでいた男との奇妙な三角関係の中で女を許していくという、そのペキンパー・タッチの見事なこと。
本作の脚本はオリジナル脚本。原案(アウトライン)をフランク・コワルスキが書き上げ、ゴードン・ドースンがアウトラインを引き継いで脚本化。それをペキンパーがリライト。
主人公ベニーを演じるのは、まさにはまり役のウォーレン・オーツ(拡大DVD-SHOT(2))。しかしアウトラインの段階ではジェームズ・コバーンがキャスティング候補でした。その後ペキンパーがリライト中に、ベニー役はピーター・フォークに決まりかかります。しかし「刑事コロンボ」の撮影との調整ができず断念。
この映画の中でキーパーソンとなるベニーの恋人(歌手であり、娼婦である)エリータは、時間をかけたスクリーンテスト後にメキシコのスター女優イゼラ・ヴェガ(「死の追跡」「ドラム」)に決まります(拡大DVD-SHOT(3)、拡大DVD-SHOT(4))。暗く、重苦しく、バイオレントな本作のタッチですが、ベニーとエリータが木の下で将来の夢を語りながら結婚の誓いをたてるシーンは、美しいことこの上ない。本作の中の静かなる、最高の見せ場といえるでしょう。(拡大DVD-SHOT(5)、拡大DVD-SHOT(6))
とにかくこのシーンまではベニーの情けなさ、優しさ、脆さがじっくりと描かれていくのですが、後半は泥だらけ、埃だらけになりながら"闘う男"の姿を魅せつけてくれます。やはりこの作品のオーツ、絶品ですね。(拡大DVD-SHOT(7)、拡大DVD-SHOT(8))
さて、マックイーンのお話で始まり、ペキンパー作品で終わった今夜の番外地、いかがでしたでしょうか?今から5月が待てない(!)わたくしなのでありました。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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