第六十三夜
■ホステージ
■ASSAULT ON PRECINCT 13
■THE GRUDGE:All-New Extended Version

たまたま仕事で新宿にいたのですが、なんだか歌舞伎町が“封鎖”されている。なんだ、なんだと言っているうちに黒山の人だかりとなってしまった。黒山の遥か遠くにいたのですが、やがて、キャー!キャー!と女の悲鳴。それも1人や2人じゃない。とっても大勢の女の悲鳴。遠くだからキャー!というより『きゅわぁわぁわぁ〜っ!』って感じ。翌日、それが“ブルース・ウィルスの歌舞伎町パトロール”と知るのですが、あれじゃ余計混雑を招いてるようなんですが...。
で、6月4日公開の『ホステージ』、その米国盤のご紹介から始めてまいりましょう。
◆FUTURE RELEASES
監督は『スズメバチ』の仏蘭西人監督フローラン・シリ。
人質事件の交渉人である主人公に扮するのがブルース・ウィリス。その彼が自分の家族も人質に取られてしまったため、同時に2つの人質事件に対応せねばならなくなり、やがて精神的にも肉体的にも追い込まれていくというサスペンス活劇。
表向きはアメリカ資本の映画ですが、正式にはアメリカ&ドイツ合作映画で、主要スタッフには仏蘭西のスタッフの名前が多く散見されます。ロバート・クレイスのベストセラーを脚本化したのは、『ダイ・ハード2』『バッド・ボーイズ』のダグ・リチャードソン。撮影は『スズメバチ』のジョヴァンニ・フィオーレ・コルテラッチ。音楽は『スズメバチ』『真珠の耳飾の少女』のアレクサンドル・デプラ。
■仕様
Street Date:2005.06.21
2.35:1 Anamorphic Widescreen
English DD5.1
Audio commentary from director Florent Siri
Behind-the-scenes featurette
Deleted and extended scenes
$29.99
続いては「PICK-UPディスク」のコーナーです。まずはこの作品をご紹介しましょう。
 
今夜の番外地は、近年映画界で流行のリメイク映画、その新作2本をお届けします。

| Studio |
UNIVERSAL STUDIO HOME VIDEO |
| Year |
2005 |
| Running Time |
1:49:10 |
| Aspect Ratio |
16x9 encoded 2.40:1 |
| Audio |
5.1 DTS ENGLISH,5.1 DD ENGLISH,
5.1 DD FRENCH |
| Subtitle |
ENGLISH,FRENCH,SPANISH and NONE |
| Special Features |
■Audio Commentary with Director Jean-Francois
Richet, Writer James DeMonaco and Producer Jeffrey Silver
■Explosive Deleted Scenes
■Featurettes:
・Armed and Dangerous
・Behind Precinct Walls
・Plan of Attack
・The Assault Team
・Caught in the Crosshairs
■Chapters 20
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| Release Date |
2004.05.10 |

邦題未定。オリジナルは『ジョン・カーペンターの要塞警察』。
プロットに変更がありますが、作品のタッチはオリジナルに忠実。オリジナルの舞台はLA郊外の警察署。そこにギャングに娘を射殺され、一味の1人を殺した父親が逃げ込んできます。復讐に燃えるギャング一味の襲撃(ゾンビの如き襲撃)を、迎え撃つ赴任してきたばかりの署長と護送途中の殺人犯。カーペンターが敬愛するハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」へのオマージュが微笑ましく、無駄のない台詞とアクション、異様な緊張感が全編を貫くダークな疾走感が家庭劇場を支配します(本作は驚くほど過小評価されている)。
新作においてもダークな疾走感は変わりません。本作の監督はジャン=フランソワ・リシェ。大雪の大晦日。突如襲撃されるデトロイト最古の第13管区警察署。署内に閉じ込められた警察官と囚人達。聖林の伝統芸である封鎖型サスペンスの面白さ。『要塞警察』(西部劇)にオマージュを捧げた『スズメバチ』(『ホステージ』のフローラン・シリ監督作)との家庭劇場併映も一興ですが、いずれも仏蘭西人監督というのも興味深いところです。

主演はイーサン・ホーク。潜入捜査官であった時の失敗(仲間を皆殺しにされた)を引きずる、決してマッチョではない悩める巡査部長。大雪のために一時警察署に留置されることとなる凶悪犯ビショップに、ローレンス・フィッシュバーン。その他、ガブリエル・バーン、ブライアン・デネヒー、ジョン・レグイザモという渋い顔ぶれが並びます(役柄は映画を観るまでナイショにしておいた方がいいでしょうね)。
オリジナル同様に女優陣も活躍します。『ER/緊急救命室』『コヨーテ・アグリー』『シークレット・ウインドウ』のマリア・ベローもいいんですが、やはり『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』『デュースワイルド』のドレア・ド・マッテオ。ミニスカ&タイハイ・ブーツ姿で、なんとも濃ゆいお姿で(イーサン・ホークにちょっぴり“ホの字”)、マッテオお姉サマ、頑張ってますよ。

■score;A-
映像はアスペクト2.40:1のスクイーズ仕様。
撮影は『マインドハンターズ(原題)』(レニー・ハーリン監督作)の新鋭ロバート・ガンツ。『マインドハンターズ』もダークなルックスでしたが、本作はさらに上を行く低輝度映像が連続します。黒の艶やかさが素晴らしく、中間調から漆黒にかけての階調表現にも長けています。確かに固定画素系のプロジェクターやPDPでの再生は至難となる映像の連続ですが、機器を追い込むことでこのルックスの妙味が浮かび上がってくるはずです。
暗闇でのスキントーンは不健康に浮かび上がりますが、決してカラーパレットが崩壊しているわけではありません。但し色彩表現のチェックディスクには向いていないと思いますが。エンジエンハンスの弊害も僅少。
■score;A
サウンドはドルビーデジタル(以下DD)5.1音声DTS-5.1音声を収録。
本作の音響デザインは、ポーラ・フェアフィールドとカーラ・マーレイの女性2人。本作以降、大作・話題作のオファーも増え、近作は『シン・シティ(原題)』と前述の『ホステージ』。ダイナミックかつ細密なサウンドは必聴で、とりわけ銃火器のSEが痛烈。分解能、Dレンジにも優れ、サラウンドも不気味にデザインされています。
音楽はオーストラリアのインダストリアル・ユニットSPK出身のグレーム・レヴェル。昔はステージで牛を解剖たりしていたのですが、今では聖林を代表する映画音楽家になりましたねぇ(代表作には『クロウ』『ストレンジ・デイズ』『コラテラル・ダメージ』『フレディVSジェイソン』『デアデビル』『リディック』『シン・シティ』があります)。その彼のスコア、本作でも絶好調。
■score;A+
まずはMENU-ARTと特典映像の一部をご覧頂きましょう。
続いて拡大DVD-SHOTです。開幕はブリーチングされたゴールデンアンバー系のルックス(拡大DVD-SHOT(1))。カメラワークも軽快で、バイオレンス・ショットも全開(拡大DVD-SHOT(2))。
潜入捜査ミスを犯し仲間を死なせてしまったイーサン・ホーク。時が経ち平和な大晦日のはずが、再び事件勃発。映像はブルーを基調にした冷徹なタッチに変身します(拡大DVD-SHOT(3))。平均輝度の低いショットの連続となりますが、奥行感、立体感を霧散させないように再生したいものです(拡大DVD-SHOT(4))。大雪の屋外のショットはライティング・レイアウトが見事。実際にはあり得ない照明手法を駆使し、映画的なカイカンを呼び起こします(拡大DVD-SHOT(5))。
意外と見逃しがちなのが、シンメトリー構図となっている人物配置(拡大DVD-SHOT(6))。無機質なプロダクション・デザインと絶妙なコントラストを魅せてくれます(拡大DVD-SHOT(7))。当然その再生には、映像階調表現の滑らかさの是非が問われることとなります。
平均輝度の低いショットの中の奥行表現。使用レンズの効果が表出し、緊迫した状況の中のサスペンスを倍加させます(拡大DVD-SHOT(8))。
さて続いては、この作品のご紹介です。
| Studio |
COLUMBIA TRISTAR |
| Year |
2004 |
| Running Time |
1:48:03 |
| Aspect Ratio |
16x9 encoded 1.85:1(Original Aspect Ratio) |
| Audio |
5.1 DD ENGLISH,5.1 DD FRENCH |
| Subtitle |
ENGLISH,SPANISH,FRENCH and NONE |
| Special Features |
■Feature commentary by director Takashi Shimizu,
producer Taka Ichise and actress Takako Fuji
■15 deleted scenes with optional filmmaker commentary
■Director Takashi Shimizu's original Ju-On short films
"4444444444" and "In a Corner"
■Video diaries from Sarah Michelle Gellar and
KaDee Strickland
■The Grudge House: An Insider's Tour
■Production Designer's Notebook: The Sketches of Iwao Saito
■Sights and Sounds: The Storyboard Art of Takashi Shimizu
■Chapters 28
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| Release Date |
2005.05.17 |
邦題『JUON/呪怨』。
出ましたなぁ。怖かったですなぁ、この作品。
オリジナル版(HDカメラ撮影のため、WOWOWでのハイビジョン放送が凄かった!)の清水崇が演出した本作は、全米で1億ドル突破のメガヒット。その成功の大きな要因の1つは全編を日本で撮影するスタイルを選択した点にあります。この映画に関しては、スタイリッシュに創り上げてはNGです。土着的な怖さがなくなってはいけません。その点で頑張りましたなぁ、清水監督。
製作はサム・ライミ。この人が屋台骨を背負っていたことが作品の出来を左右しました。それゆえ、和製ホラー独特の怪奇趣味を色濃く継承させたあたりの見事なこと。家庭劇場でゆっくりと視聴すると(随所でゆっくりでは済まなくなるのですが)、カッティングのリズムと反復される恐怖サウンドの造形が、各エピソードのパズル的物語構成とパラレルになって、ホラー作品としての統一感の形成に成功していることに気づくはずです。
米国盤(通常盤)はすでに登場済みですが、本盤は通常盤(91分)より7分長いディレクターズ・カット盤。但しこの98分版は『キル・ビル』等と同様に、日本劇場公開版となります。つまり全米公開時にPG-13指定を得るために、過激なショットを7分間編集したものが通常盤。ディレクターズ・カット盤はR指定版とお考え下さい(R指定公開ですと興収入1億ドル突破は不可能だったでしょう)。
■score;A
映像はアスペクト1.85:1のスクイーズ仕様。
通常盤との映像クオリティの差異は僅少です。但し、フェイドアウトされる黒味部分のグラデーション・ウェイブが修復されています。当然、暗部諧調のS/Nが向上。デイライトシーンは通常盤同様、いま少し解像感が欲しいところ。コントラストとブライトを追い込んでいくことで、あっと驚く美味しい映像が広がります。室内シーンにおけるカラーパレットはナチュラル。スキントーンのグラデーションも美しくカーブします。
恐怖シーンの数々は、時に木炭画のようなタッチで観る者を圧倒します。よく観ればクラシカルなルックスなのですが、これがムーディー(少しカビ臭く、湿った)なリズムと見事に絡み合います(DVD-SHOT)。
■score;A
サウンドはオリジナル英語DD-5.1音声を収録。
サウンドは決して攻撃的ではなく、周囲から包み込まれるような雰囲気に富んでいます。次第に恐怖に侵食されるような、神経症的なデザインが出色。意外と言ったら失礼なのでしょうが、まったくもって大人の恐怖サウンド(但し、伽椰子のエフェクト・サウンドは賛否分かれるところだが)。
サウンド・デザインは『スパイダーマン2』(オスカー音響賞・音響編集賞ノミネート)のポール・N・J・オットソンですが、リレコーディング・ミキサーがPG-13版のマーティ・D・ハンフレーからクリス・M・ジェイコブソンに変わっていること。いずれも新鋭の音響技師ですが、サウンドのタッチが微妙に違っている点に注意してお楽しみください。
■score;A
前述しましたが、聖林にとって和製ホラーのリメイクは興行面で美味しい企画。清水監督が“ジャンル監督”に固定されてしまう懸念(これは中田秀夫も同様)もあるのですが、プレミア写真を見ながら、まずは聖林での成功をお祝いしようではありませんか。
最後に拡大DVD-SHOTです。西新宿の一角にある小さな墓地。知人がこの近くに住んでいるのでスクリーンに映し出された時にはハッとしましたけれど、ショット構図、細部の情報、奥行感(このショットはゆっくりとした移動ショット)の描写に邦画的なニュアンスが感じられます(拡大DVD-SHOT(1))。
主演のサラ・ミシェル・ゲラー。恐怖に襲われたシーンの後に続くショットですが、少し不健康なスキントーンのタッチが見事。瞳の美しさは、まさに青い目をしたお人形さん(拡大DVD-SHOT(2))。
リメイク・ブームの昨今ですが、角川映画がクロサワの『用心棒』『椿三十郎』の映画化権を獲得したそうな。もしも過去の名画を辱しめるようなことになるようなら、お願いだから止めて下さいな、この企画。作ってみて、「やっぱりね」じゃすまないと思うんですけれど。いや、これって、マジな話です。
それでは次夜まで、おやすみなさいませ。良い夢を。
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