HDMIの新規格バージョン1.3では、なにが変わるのか?
HDMIライセンシング社が、技術説明会を開催

2006年11月10日。HDMIライセンシング社が、今年の7月に発表した最新規格HDMI バージョン1.3の技術説明会を行った。HDMIライセンシング社とは、映像および音声のデジタルインターフェース規格HDMIの標準化を進める企業。HDMI規格が作られた2002年に設立され、対応チップを製品化するSilicon Image社が親会社である。本説明会では、HDMIライセンシング社、Silicon Image社のトップが来日し、デモンストレーションを交えて、追加機能や市場概要が語られた。以下に、発表者とそのテーマを記す。ここでは、それぞれの要点をかいつまんで説明する。

1.市場の概況
(発表者:米Silicon Image, Inc 戦略的事業開発部門 総括責任者 ブレット・ゲインズ氏)
2.HDMI Ver.1.3の新しい機能
(発表者:米HDMIモバイル・プロダクツ プロダクト・マーケティング・マネージャー デイビット・クオ氏)
3.Dolby TrueHD、Dolby Digital Plusによるデモンストレーション
(発表者:米ドルビー・ラボラトリーズ コンシューマ・エレクトロニクス シニア・マネージャー グレイグ・エガーズ氏)

市場の概況

 現在、HDMI規格は、世界で460社以上の企業がライセンスを取得しており、中国、台湾といったアジア層に多くの導入企業が集中している(写真3)。上の写真を見ていただきたい。ブルーレイ・ディスク、HD DVDといったメディアを扱える新しいドライブの台頭や、パソコンと家電TVの接続がより身近なものになっていくことにより、PCマーケットのHDMI市場が、急速に拡大していくと想定されている(写真4、5)。一方、家電製品では今年から来年にかけて、HDMI端子を搭載したローエンドモデルが充実し、1製品あたりに搭載するHDMI端子数が増加するとみられている。

HDMI Ver.1.3の新しい機能

 Ver.1.3になって大きく変わったのは、使用できる帯域幅が2倍以上(165MHzから340MHzへ)に広がったこと。これによって映像の解像度、フレームレート速度、色情報が格段に向上している。解像度は、最高でWQXGA(2,560×1,536)、1440p(2,560×1,440:60フレーム/秒)をサポート。フレームレートは、最高で120Hz(1080p)に到達した(従来は60Hz)。ディープカラーと呼ばれる新しい規格に対応し、より多くの色を再現できるのが、一番の特徴である。ほかにも、HDTV規格(デジタルハイビジョン放送の規格)を上回るxvYCC規格の色域をカバーし、リップシンクや、Dolby TrueHD、DTS−HDといった新フォーマットをサポートする。

 下に、HDMIの各バージョンで何がサポートされるのかを、まとめてみた。混乱している方にとっては、リファレンスとなりうるだろう。参考にしていただきたい。

HDMIの進化とバージョンによる違い

  Ver.1.0 Ver.1.1 Ver.1.2 Ver.1.2a Ver.1.3
規格策定日
2002年12月
2004年5月
2005年8月
2005年12月
2006年7月
音声 従来のCD/DVD音声
DVDオーディオ
×
リニアPCM(24ビット/192kHzまで)
2ch
マルチch※
マルチch※
マルチch※
マルチch※
SACD
×
×
Dolby Digital Plus、Dolby TrueHD
×
×
×
×
DTS-HD High Resolution Audio、DTS-HD Master Audio
×
×
×
×
映像 解像度
1080p
1080p
1080p
1080p
1440p
色深度
8ビット
8ビット
8ビット
8ビット
10/12/16ビット
色域規格
sRGB
sRGB
sRGB
sRGB
xvYCC
最大フレームレート
60Hz
60Hz
60Hz
60Hz
120Hz
HDMI Type Aコネクタを使ったPCビデオ形式の完全サポート
×
×
機能 機器間制御(CEC)
×
×
×
リップシンク
×
×
×
×

※次世代音声フォーマットはプレーヤー側でデコードし、このマルチch PCMにして伝送することができる

 ディープカラーについては、デモンストレーションを交えながら、個別に詳細が語られた。Silicon Image社の検証では、バンディングを無くすため、RGB(もしくはYCbCr)それぞれに12ビットの色深度が必要とのこと。しかしながら、実際には、プレーヤーやディスプレイ側の画像処理過程で、それぞれの信号が桁落ちしてしまうため、HDMI ver.1.3では16ビットまで拡張し、サポートしているという。現在、Silicon Image社は、HDMI ver.1.3の出力側チップSil9134、および入力側チップSil9133を製造している。残念ながら、このチップは12ビットまでしか対応していないが、今後16ビットに対応したチップも開発されることだろう。またディープカラーでは、色数が従来の約16万色から、約10億色へと増加している点も見逃せない。

 対応コンテンツに関しては、おそらくゲームコンテンツがいち早くディープカラーを採用するだろうとのこと。映画については、HDMI ver.1.3対応のテレビやプレーヤーが普及してきた時に、コンテンツ制作側も対応するのではないかと考えているようだ。

Dolby TrueHD、Dolby Digital Plusによるデモンストレーション

 説明会では、Dolby TrueHD、Dolby Digital Plusの説明とともに、旧Dolby Digitalと比較したデモンストレーションが行なわれた。実際に聴き比べてみたところ、正直Dolby DigitalからDolby Digital Plusへ切り替えたときは、さほど大きな差を感じなかった。もしかしたらコンテンツや視聴機器によって、違って聴こえるのかもしれないが。逆に、ロスレスコーデックのDolby TrueHDとDolby Digitalの差ははっきりと感じ取れた。ブルーレイ・ディスク「LEGEND of JAZZ」では、Dolby TrueHDに切り替わった瞬間、マーカス・ミラーのベースに厚みが出てきて、弦を弾いたときの音の立ち上がりにキレが加わった。

 今後ドルビーでは、このHDMI ver.1.3を使って、(インタラクティブ機能を省き)次世代音声フォーマットを直接プレーヤーからAVセンターに伝送するオーディオファン機能を提供する予定。また、パナソニックから発売されるブルーレイ・ディーガは、現在7.1chのDolby Digital plusに対応すると発表しているが、こちらはソフトウェアのバージョンアップでDolby TrueHDに対応できるという。こちらも今後に、期待したい。


2006年11月10日
メディアマーケティング部

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