若松孝二最新作「キャタピラー」公開!
“手足を失った帰還兵”大西信満に聞く
若松孝二最新作「キャタピラー」は、四肢を失った帰還兵とその妻の壮絶な物語
太平洋戦争が激化する1943年。日の丸を背負い、万歳の掛け声とともに戦場へ送り出された男・久蔵が、顔面が焼けただれ、手足を失った姿で妻・シゲ子の元へ帰還した。胸に勲章をぶら下げられ、“軍神”として村中から讃えられる久蔵。シゲ子は黙って夫に尽くし、求められるままに彼の食欲や性欲に応える。しかし、次第に空虚な思いを胸に抱くようになり……。常に独自の視点から映画を描き続ける鬼才、若松孝二の最新作「キャタピラー」が、8月14日より公開される。HiVi WEBでは、四肢を失い、耳も聞こえず口もきけず、ただ這いずることしかできない帰還兵を、圧倒的な迫力で演じた大西信満(おおにし・しま)にインタビューを行なった。
難しかったのは僕ではなく、妻役の寺島しのぶさん
――まず、この作品に参加したきっかけを教えてください
「僕は、若松孝二監督の前作『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008)にも参加させていただいたんですが、その作品が出品された映画祭か、もしくは舞台挨拶のときだったかな? 帰り道、監督から唐突に“口で字を書く練習をしておいて”って言われたんですよね。そのときは意味がわからなかったんだけど、監督の周辺からは、常に次回作の話が何本も漏れ聞こえてくるから、“あれのことかな?”とは思いました。でも、その時点では具体的な話でも正式なオファーでもなかったので、話半分ぐらいの気持ちでいました」
――では、実際に出演が決まって、どんな準備をされたんでしょうか?
「僕の演じた役は、ほどんど目だけの芝居になるんですね。だから、例えば手足を後ろに縛った状態で這う練習などはしましたけど、身体的なものに関する準備というのは、あまりありませんでした。
それよりも、当時を知ることのほうが重要でしたね。僕たちの世代にとって、この時代はもはや“時代劇”の世界と同じになってしまっているのでは、と思います。何もちょんまげを付けるのだけが、時代劇というわけじゃありませんよね。僕自身は実際に戦争を経験していないし、人々の精神構造も今とは違うわけですから。そのあたりをきちんと理解して、いかに自分の中へ落とし込むかが、準備のすべてだと思っていました」
――手足がなく、声も出せず……という役は、とても難しかったのではないでしょうか?
「それはよく聞かれるんですが、難しいのは僕じゃなく、(シゲ子役の)寺島しのぶさんだと思うんです。僕は目の前にいる寺島さんとの距離感の中で、“2人の密度をいかに濃い物にするか、本物にするか”を考えながら芝居をしました。でも、彼女は観客に対して、久蔵の意思や感情を“通訳”をする役割になるわけだから、カメラの向こう側に向かっていかなければいけない。
もちろん、僕の芝居で“久蔵は今こういう気持ちです”って観客側に伝える方法もあるけど、それだとあざとくなってしまうと思ったんですね。全部を自分で説明しなくても、相手との絡みの中で伝わればいい、と。それよりも、スクリーンの中にひとりの人間としての“存在感”をいかに残すか、ということに一番集中していたような気がします」
――すごく素朴な疑問なんですが、どうやって撮影されたんですか? 顔のやけどの特殊メイクには、どれぐらいかかったんでしょうか
「正面から撮影するときは後ろ手に縛って、後ろ向きのときは前で手足を縛って。そこに特殊メイクで作った、手足の先の部分を付けました。布団で寝ているシーンの場合は、斜めに掘り込んである床の部分に、手足を入れているんですね。そういう、とてもアナログな方法で撮影しました。顔の特殊メイクは、毎日2時間でしょうか」
――毎日2時間の特殊メイクの上に、無理な体勢で撮影していたんですね。肉体的にずいぶんハードな撮影だったんじゃないでしょうか?
「ハードなのは、特殊メイクのみなさんのほうなので(笑)。僕は座っているだけだけど、みなさんは毎朝毎朝大変だったと思います。体勢は確かに無茶だから、痺れるし凝るんですけど、そんなことを感じている余裕もありませんでしたね。それ以上に、もっともっと大事なことがたくさんあったから」
「僕は、若松孝二監督の前作『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008)にも参加させていただいたんですが、その作品が出品された映画祭か、もしくは舞台挨拶のときだったかな? 帰り道、監督から唐突に“口で字を書く練習をしておいて”って言われたんですよね。そのときは意味がわからなかったんだけど、監督の周辺からは、常に次回作の話が何本も漏れ聞こえてくるから、“あれのことかな?”とは思いました。でも、その時点では具体的な話でも正式なオファーでもなかったので、話半分ぐらいの気持ちでいました」
――では、実際に出演が決まって、どんな準備をされたんでしょうか?
「僕の演じた役は、ほどんど目だけの芝居になるんですね。だから、例えば手足を後ろに縛った状態で這う練習などはしましたけど、身体的なものに関する準備というのは、あまりありませんでした。
それよりも、当時を知ることのほうが重要でしたね。僕たちの世代にとって、この時代はもはや“時代劇”の世界と同じになってしまっているのでは、と思います。何もちょんまげを付けるのだけが、時代劇というわけじゃありませんよね。僕自身は実際に戦争を経験していないし、人々の精神構造も今とは違うわけですから。そのあたりをきちんと理解して、いかに自分の中へ落とし込むかが、準備のすべてだと思っていました」
――手足がなく、声も出せず……という役は、とても難しかったのではないでしょうか?
「それはよく聞かれるんですが、難しいのは僕じゃなく、(シゲ子役の)寺島しのぶさんだと思うんです。僕は目の前にいる寺島さんとの距離感の中で、“2人の密度をいかに濃い物にするか、本物にするか”を考えながら芝居をしました。でも、彼女は観客に対して、久蔵の意思や感情を“通訳”をする役割になるわけだから、カメラの向こう側に向かっていかなければいけない。
もちろん、僕の芝居で“久蔵は今こういう気持ちです”って観客側に伝える方法もあるけど、それだとあざとくなってしまうと思ったんですね。全部を自分で説明しなくても、相手との絡みの中で伝わればいい、と。それよりも、スクリーンの中にひとりの人間としての“存在感”をいかに残すか、ということに一番集中していたような気がします」
――すごく素朴な疑問なんですが、どうやって撮影されたんですか? 顔のやけどの特殊メイクには、どれぐらいかかったんでしょうか
「正面から撮影するときは後ろ手に縛って、後ろ向きのときは前で手足を縛って。そこに特殊メイクで作った、手足の先の部分を付けました。布団で寝ているシーンの場合は、斜めに掘り込んである床の部分に、手足を入れているんですね。そういう、とてもアナログな方法で撮影しました。顔の特殊メイクは、毎日2時間でしょうか」
――毎日2時間の特殊メイクの上に、無理な体勢で撮影していたんですね。肉体的にずいぶんハードな撮影だったんじゃないでしょうか?
「ハードなのは、特殊メイクのみなさんのほうなので(笑)。僕は座っているだけだけど、みなさんは毎朝毎朝大変だったと思います。体勢は確かに無茶だから、痺れるし凝るんですけど、そんなことを感じている余裕もありませんでしたね。それ以上に、もっともっと大事なことがたくさんあったから」
真っ暗闇にいると、人はシンプルになっていく
――久蔵を演じてみて、戦争に対する捉え方に変化はありましたか?
「この役を演じたからといって、戦争のことがわかったわけじゃない。というよりも、わかったようなことを言ってはいけないと思うんです。
僕たちの世代でも、戦争について“平和が大事”“戦争はだめ”という人はたくさんいます。でも、その世代が戦争を知るきっかけって、例えばテレビや映画ですよね。みんな、そういうものを通して“戦争”というものに対するイメージが刷り込まれているけれど、ドラマになる部分はやっぱり戦争のごく一部でしかなくて、その裏側には、この映画で描かれているような世界がたくさんあるわけです。だから、その部分をわからずして物の是非は言えないなぁ、というのを今回強く感じました。
そういう意味では、戦争について深く考えるようになりましたし、自分の人生の中に、とても大きく残る出来事になったと思います」
――久蔵は食欲・性欲・睡眠欲という“三大欲求”だけで生きている人間ですが、そういう人物像を演じてみて何を感じましたか?
「この映画って、特に性欲についてはよくピックアップされるんですよ。作品紹介でも、“性欲だけは衰えない”っていう書き方ををされてしまいがちで。もちろん、それはそれで、そういう見方もあると思います。でも、僕の捉え方はちょっと違うんですね。久蔵は、異常性欲者ではありませんから。
人間はいろいろできるからこそ、いろいろな欲求がある。足があるから走りたいし、手があるから何か書いてみようかなと思う。でも、彼はそういうものが制限されて、真っ暗闇にぽつんといるといるわけです。すると、欲望はどんどんどんどんシンプルになっていって、最後は生きるために必要な“寝ること”とか“食べること”が残るんじゃないかなって。性欲に関しても、戦時下ということが大きく影響していると思うんです。極限状態だからこそ、“種を残そうとする本能”が働くというのは、よく聞くことですから。
特に久蔵の場合は、“軍神”という公共の存在にされてしまった。だから、外ではある程度、軍人としてのプライドを保たなければならない。そうすると、素に戻れるのは唯一、シゲ子の前だけですよね。だから尚更、残ったシンプルな部分が浮かび上がるんじゃないでしょうか」
――そのシゲ子を演じた寺島さんとは、『赤目四十八瀧心中未遂』(2003)以来の共演ですよね。一度共演されていると、演じやすいものなのでしょうか?
「以前寺島さんとご一緒した現場も、やっぱりするっと通り過ぎてしまえるようなものではなかったんですね。お互いに相当追い込んで演じたので、そのときの信頼感というものはありました。初対面の挨拶抜きで、いきなり役に入れたこともあって、そのあたりはとてもスムーズだったと思います」
――寺島さんはどんな方ですか?
「それは難しいなぁ。まぁ、トーク番組で観るまんまの方です(笑)。でも、寺島さん本人とシゲ子が全然違うからといって、そこに違和感を感じたりもしない。発している言葉が素であっても芝居であっても、全部自分の言葉にして、聞く人をぐっと惹き付けてしまうんですよね。
『赤目〜』も今回の撮影も過酷でしたけど、“足元がどんなに悪い状況でも、ちゃんとまっすぐ立っていられる方”だと思います」
――先日寺島さんが、この作品でベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しましたよね。その知らせを聞いたときは、どう思われましたか?
「監督が盛んに、“取るんじゃないか”って予言めいたことを言っていたんですよ。だから、“おぉ、本当に来た!”って(笑)」
「この役を演じたからといって、戦争のことがわかったわけじゃない。というよりも、わかったようなことを言ってはいけないと思うんです。
僕たちの世代でも、戦争について“平和が大事”“戦争はだめ”という人はたくさんいます。でも、その世代が戦争を知るきっかけって、例えばテレビや映画ですよね。みんな、そういうものを通して“戦争”というものに対するイメージが刷り込まれているけれど、ドラマになる部分はやっぱり戦争のごく一部でしかなくて、その裏側には、この映画で描かれているような世界がたくさんあるわけです。だから、その部分をわからずして物の是非は言えないなぁ、というのを今回強く感じました。
そういう意味では、戦争について深く考えるようになりましたし、自分の人生の中に、とても大きく残る出来事になったと思います」
――久蔵は食欲・性欲・睡眠欲という“三大欲求”だけで生きている人間ですが、そういう人物像を演じてみて何を感じましたか?
「この映画って、特に性欲についてはよくピックアップされるんですよ。作品紹介でも、“性欲だけは衰えない”っていう書き方ををされてしまいがちで。もちろん、それはそれで、そういう見方もあると思います。でも、僕の捉え方はちょっと違うんですね。久蔵は、異常性欲者ではありませんから。
人間はいろいろできるからこそ、いろいろな欲求がある。足があるから走りたいし、手があるから何か書いてみようかなと思う。でも、彼はそういうものが制限されて、真っ暗闇にぽつんといるといるわけです。すると、欲望はどんどんどんどんシンプルになっていって、最後は生きるために必要な“寝ること”とか“食べること”が残るんじゃないかなって。性欲に関しても、戦時下ということが大きく影響していると思うんです。極限状態だからこそ、“種を残そうとする本能”が働くというのは、よく聞くことですから。
特に久蔵の場合は、“軍神”という公共の存在にされてしまった。だから、外ではある程度、軍人としてのプライドを保たなければならない。そうすると、素に戻れるのは唯一、シゲ子の前だけですよね。だから尚更、残ったシンプルな部分が浮かび上がるんじゃないでしょうか」
――そのシゲ子を演じた寺島さんとは、『赤目四十八瀧心中未遂』(2003)以来の共演ですよね。一度共演されていると、演じやすいものなのでしょうか?
「以前寺島さんとご一緒した現場も、やっぱりするっと通り過ぎてしまえるようなものではなかったんですね。お互いに相当追い込んで演じたので、そのときの信頼感というものはありました。初対面の挨拶抜きで、いきなり役に入れたこともあって、そのあたりはとてもスムーズだったと思います」
――寺島さんはどんな方ですか?
「それは難しいなぁ。まぁ、トーク番組で観るまんまの方です(笑)。でも、寺島さん本人とシゲ子が全然違うからといって、そこに違和感を感じたりもしない。発している言葉が素であっても芝居であっても、全部自分の言葉にして、聞く人をぐっと惹き付けてしまうんですよね。
『赤目〜』も今回の撮影も過酷でしたけど、“足元がどんなに悪い状況でも、ちゃんとまっすぐ立っていられる方”だと思います」
――先日寺島さんが、この作品でベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しましたよね。その知らせを聞いたときは、どう思われましたか?
「監督が盛んに、“取るんじゃないか”って予言めいたことを言っていたんですよ。だから、“おぉ、本当に来た!”って(笑)」
若松監督は怖い!?
――若松作品ということで、やはり監督に触れないわけにはいきません。まず、監督はどんな方なんでしょう。怖いですか?
「怖い……というか、迫力があります。生き様の迫力が(笑)。もちろん監督自身がどうこうということはあるけれど、それ以上に『キャタピラー』にしろ『連合赤軍』にしろ、扱ってるテーマがテーマですから。自分がいくらそのことに関する文章を読んでみても、誰かに話を聞いてみても、そのときの追い詰められている感じというのはどうしたってわからない。だって今の時代に生きる僕らは、よほど特別な場合を除いて、一瞬たりとも“生きるか死ぬか”という緊張感の中に立つことはないじゃないですか。でも、作品にはそういう要素を描いていかなければならない。だから監督は、現場にものすごい緊張感を演出していたと思います」
――監督の演出は、細かく立ち位置などを決めるんですか? それとも、役者さんの自主性に任せるんでしょうか?
「圧倒的に後者です。“先に撮る画を決めて、俳優をはめ込んでいく”というやり方ではなくて、段取りでいきなり“やってみろ”って言われるんですよね。そのとき演じてみた感じで、カメラや照明の位置を決めていく。物理的にカメラなどの位置に制限がある場合以外に、細かく“こう動いて”“こっち向いて”と指示されることは、ほぼないと言っていいと思います」
――『連合赤軍』を観たとき、“相当ハードな撮影だったのでは”と思いました。『キャタピラー』の撮影に入る際、そのあたりの不安はありませんでしたか?
「それはもう、はじめから予測していたことなので。ただ、その2本で大きく違うのは、『連合赤軍』は群像劇だけど、今回は寺島さんと僕の2人だけのシーンがほとんど、ということですよね。『連合赤軍』ではいろいろな部分に分散していたパワーが、今度は全部僕たちに集中するわけですから。それは覚悟していました」
――撮影期間は12日間だったとお聞きしましたが、大体どんなスケジュールで撮影していたんですか?
「若松組は、基本的にナイターをやらないんです。朝7時ぐらいから撮影が始まって、いつも夕方の4時5時には終わっていました」
――お役所みたいですね(笑)
「そうなんです(笑)。そのかわり、撮影時間中はすごくこう……中身がぎゅっと詰っていました」
――精神的にも負担がかかる内容の作品だと思いますが、撮影時間とそれ以外で、オンオフは切り替えられるんですか?
「撮影現場に食堂があるような環境ではなかったこともあって、基本的にみんな、撮影時間以外はずっと自分の部屋に引きこもっていました。それは、もちろん環境だけが理由じゃなくて、映画の内容的なこともあったんじゃないかと思います。日中の撮影がああいうものなので、その日のスケジュールが終わったからといって、一気にわいわいとした雰囲気にはならないんですよね。役を引きずる、というのとはちょっと違うんですが、自然とそうなりました」
「怖い……というか、迫力があります。生き様の迫力が(笑)。もちろん監督自身がどうこうということはあるけれど、それ以上に『キャタピラー』にしろ『連合赤軍』にしろ、扱ってるテーマがテーマですから。自分がいくらそのことに関する文章を読んでみても、誰かに話を聞いてみても、そのときの追い詰められている感じというのはどうしたってわからない。だって今の時代に生きる僕らは、よほど特別な場合を除いて、一瞬たりとも“生きるか死ぬか”という緊張感の中に立つことはないじゃないですか。でも、作品にはそういう要素を描いていかなければならない。だから監督は、現場にものすごい緊張感を演出していたと思います」
――監督の演出は、細かく立ち位置などを決めるんですか? それとも、役者さんの自主性に任せるんでしょうか?
「圧倒的に後者です。“先に撮る画を決めて、俳優をはめ込んでいく”というやり方ではなくて、段取りでいきなり“やってみろ”って言われるんですよね。そのとき演じてみた感じで、カメラや照明の位置を決めていく。物理的にカメラなどの位置に制限がある場合以外に、細かく“こう動いて”“こっち向いて”と指示されることは、ほぼないと言っていいと思います」
――『連合赤軍』を観たとき、“相当ハードな撮影だったのでは”と思いました。『キャタピラー』の撮影に入る際、そのあたりの不安はありませんでしたか?
「それはもう、はじめから予測していたことなので。ただ、その2本で大きく違うのは、『連合赤軍』は群像劇だけど、今回は寺島さんと僕の2人だけのシーンがほとんど、ということですよね。『連合赤軍』ではいろいろな部分に分散していたパワーが、今度は全部僕たちに集中するわけですから。それは覚悟していました」
――撮影期間は12日間だったとお聞きしましたが、大体どんなスケジュールで撮影していたんですか?
「若松組は、基本的にナイターをやらないんです。朝7時ぐらいから撮影が始まって、いつも夕方の4時5時には終わっていました」
――お役所みたいですね(笑)
「そうなんです(笑)。そのかわり、撮影時間中はすごくこう……中身がぎゅっと詰っていました」
――精神的にも負担がかかる内容の作品だと思いますが、撮影時間とそれ以外で、オンオフは切り替えられるんですか?
「撮影現場に食堂があるような環境ではなかったこともあって、基本的にみんな、撮影時間以外はずっと自分の部屋に引きこもっていました。それは、もちろん環境だけが理由じゃなくて、映画の内容的なこともあったんじゃないかと思います。日中の撮影がああいうものなので、その日のスケジュールが終わったからといって、一気にわいわいとした雰囲気にはならないんですよね。役を引きずる、というのとはちょっと違うんですが、自然とそうなりました」
目の前のことを、しっかりとやっていきたい
――『ランニング・オン・エンプティ』(2010)以外の映画出演作は重量級のものばかりですが、これはこだわって選んでいらっしゃるんですか?
「いえいえ。自分が選んでいるわけではなく、自分を選んでくれる方が、そういう話を持ってきてくださるんです(笑)」
――では、オファーがあれば、ジャンルを問わずに挑戦するということでしょうか?
「自分で役柄を限定するつもりはないので、どんな可能性でもあると思います」
――今後どんどん飛躍していくと思いますが、目指す場所などはありますか?
「特にそういったものはありません。というと、捻くれたり後ろ向きになったりしていると思われてしまいそうですが、そうじゃないんです。『連合赤軍』にしろ『キャタピラー』にしろ、ヘビーな作品が続いていることもあって、生半可な気持ちでは役に向かえない。だから、作品ごとに、自分がボロボロになるように演じています(笑)。毎回必死でやっているので、先のことはまったく考えられないですね。
未来って、“目の前にあることを、どれだけちゃんとやるか”ということの積み重ねでしかないんじゃないかなって。だから、“ああいうふうになりたい”“あそこに立ちたい”と考えるよりも、今自分にできることを、しっかりとやっていきたいと思います」
大西信満(おおにし・しま)
1975年8月22日、神奈川県生れ。2003年、「赤目四十八瀧心中未遂」で映画デビュー。初出演ながら主役を務める。その演技は高く評価され、2003年度毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、2003年度日本映画批評家大賞・新人賞を受賞した。そのほかの映画出演作は、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(2008)、「ランニング・オン・エンプティ」(2010)。今回の「キャタピラー」は、「実録・連合赤軍〜」に続く若松孝二監督作品への出演となる
監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ/大西信満/吉澤健/粕谷佳五/増田恵美/河原さぶ/石川真希/飯島大介/地曵豪/ARATA/篠原勝之
プロデューサー:尾崎宗子
脚本:黒沢久子、出口出
撮影:辻智彦、戸田義久
編集:掛須秀一
2010年/日本映画/84分
映倫指定:R15+
配給:若松プロダクション、スコーレ
8/6(金)広島、8/9(月)長崎、8/14(土)全国公開
(C) 若松プロダクション
「いえいえ。自分が選んでいるわけではなく、自分を選んでくれる方が、そういう話を持ってきてくださるんです(笑)」
――では、オファーがあれば、ジャンルを問わずに挑戦するということでしょうか?
「自分で役柄を限定するつもりはないので、どんな可能性でもあると思います」
――今後どんどん飛躍していくと思いますが、目指す場所などはありますか?
「特にそういったものはありません。というと、捻くれたり後ろ向きになったりしていると思われてしまいそうですが、そうじゃないんです。『連合赤軍』にしろ『キャタピラー』にしろ、ヘビーな作品が続いていることもあって、生半可な気持ちでは役に向かえない。だから、作品ごとに、自分がボロボロになるように演じています(笑)。毎回必死でやっているので、先のことはまったく考えられないですね。
未来って、“目の前にあることを、どれだけちゃんとやるか”ということの積み重ねでしかないんじゃないかなって。だから、“ああいうふうになりたい”“あそこに立ちたい”と考えるよりも、今自分にできることを、しっかりとやっていきたいと思います」
大西信満(おおにし・しま)
1975年8月22日、神奈川県生れ。2003年、「赤目四十八瀧心中未遂」で映画デビュー。初出演ながら主役を務める。その演技は高く評価され、2003年度毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、2003年度日本映画批評家大賞・新人賞を受賞した。そのほかの映画出演作は、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(2008)、「ランニング・オン・エンプティ」(2010)。今回の「キャタピラー」は、「実録・連合赤軍〜」に続く若松孝二監督作品への出演となる
監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ/大西信満/吉澤健/粕谷佳五/増田恵美/河原さぶ/石川真希/飯島大介/地曵豪/ARATA/篠原勝之
プロデューサー:尾崎宗子
脚本:黒沢久子、出口出
撮影:辻智彦、戸田義久
編集:掛須秀一
2010年/日本映画/84分
映倫指定:R15+
配給:若松プロダクション、スコーレ
8/6(金)広島、8/9(月)長崎、8/14(土)全国公開
(C) 若松プロダクション
2010年8月6日
(取材・文 鈴木晴子)
最終更新 11.12.20 15:43






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