Interview:フィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン“

スタジオマスターはステージで感じる95%が再現されています!
――フィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン
   “モーツァルティステン“のメンバー来日インタビュー


西洋音楽界の頂点といわれている、ウィーン国立歌劇場。そのオーケストラであるウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の一員も兼ねている。日本において、毎年元日に開催される「ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート」が特に有名だろう。ベルリン・フィルが近代的、機能的なドイツ的オーケストラの代表だとすると、ウィーン・フィルは18世紀に花開いたモーツァルトやシューベルトなどの歴史を今に受け継ぐ伝統的オーケストラの代表だといえよう(技術的にも最高レベルではあるのは当然だが)。

そのウィーン・フィルのメンバーを中心にして2005年に設立された小編成のアンサンブル集団のフィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン“が現在来日中。このアンサンブルの指揮者で、中心人物であるハンス・ペーター・オクセンホファー氏とチェリストのローベルト・ノージェ氏が、クリプトン・ラボを表敬訪問。お話を聞くことができた。

オクセンホファー氏、今回の来日の理由を語る 

 ●オクセンホファー氏 「今回の来日の目的は、もちろんフィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン“の演奏会を、日本各地で行なうことです。このアンサンブルを創立したいきさつは次の通りです。2006年のモーツァルトイヤー目前の時期に、学友協会ホール(ムジークフェラインザール)で演奏会をするオーケストラを作ろうと相談があったんです。そこでウィーン・フィルのメンバーを中心に集まったオーケストラが結成されたのですが、その評判がよく、アンサンブルを継続することになります。定期的な演奏活動をはじめたのは2007年から。今回は、モーツァルトやシューベルト、ハイドンなどの演目を、われわれのウィーン訛りのある演奏で日本の皆様にお聴きいただきたいと思っています」

このアンサンブルで指揮を担当するオクセンホファー氏は、もともとはヴィオラ奏者。1977年からウィーン国立歌劇場に席を置き、78年には首席ヴィオラ奏者に、80年からウィーン・フィルでメンバーに選出された凄腕だ。室内楽の分野でも長いキャリアを持ち、ウィーン・ヴィルトゥオーゼン、ウィーン弦楽四重奏団のメンバーとしても活躍中である。

 ●オクセンホファー氏 「“モーツァルティステン“を創立したときに誰を指揮者にしようか、という話がありました。アバドやアーノンクールなどいろいろな名前が上がりましたが、ぜひ私にやらして欲しい、と手を挙げたんです」

“受け継がれる伝統”=『ウィーン訛り』とは? 

 ■ノージェ氏 「こんな国際的な社会になっても、オーケストラには土地土地のカラーがあります。たとえばロシアのオーケストラには、縦のライン(=リズム)がしっかり刻まれるような感じがありますよね。われわれの演奏にはいわゆる『ウィーン訛り』があって、それはオーケストラに染みついているものなんです。私はハンガリー出身なのですが、1992年に初めてウィーン国立歌劇場管弦楽団に入ったとき、楽譜が代々受け継がれていることにとても驚いたんです。いろいろな先輩がたが書き込んだ演奏指示が実に細かく残っています。こうした伝統が現代に残っており、それが結果的にウィーン訛りにつながっているのだと思います。もちろんボウイング(弓の弾き方)や肘の使い方なども書き込まれているんですよ」

ノージェ氏は、1966年ハンガリー生れ。6歳からチェロをはじめ12歳にしてハンガリー・ジュニア・コンクールで第1位に輝くなど幼少のころからさまざまなコンクールで優秀な成績を収める。アバド率いるグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラで独奏チェロ奏者として活躍後、92年からウィーン国立歌劇場管弦楽団の団員となり、その後ウィーン・フィルに入団。2005年には第1チェロ奏者となった名演奏家で、オーケストラの団員として、またソリストとして、さらには室内楽奏者(ウィーン・フィルハーモニア弦楽五重奏団に在籍)としての活動を続けている。

クリプトンからリリースされた作品は、両氏も驚きの高音質 

ところで、この“モーツァルティステン“は、日本のクラシックレーベルである、「カメラータ・トウキョウ 」からCDをリリース。そのうち、シューベルトの交響曲第5番と、ハイドンの交響曲第83番「めんどり」は、クリプトンが昨年スタートさせたデジタルファイル販売サイトであるHQMストアで、96kHz/24ビットFLAC形式のスタジオマスターデータのダウンロード販売が行なわれている。さらにハイドンでは、なんと192kHz/24ビットWAV形式のデータディスクで供されており、PCオーディオのファンやリンのDSユーザーにその高音質ぶりで人気が高い。今回、クリプトン・ラボで、これらの音源を彼らに体験してもらうことが、表敬訪問の目的でもある。クリプトンのスピーカー「KX-1000P」を軸にした、現代最高レベルのシステムで、みずからの演奏を聴いたおふたりはちょっと驚いた様子だ。

 ●オクセンホファー氏 「こうした技術的な進化は本当に素晴らしい。オーケストラの中で実際の音として聴こえるものを仮に100%だとすると、この音は95%近くまで満たしているような印象です。それに比べるとCDは40〜50%くらいかもしれません。広く普及しているCDは手軽に聴けますし、特に悪くいうつもりはないのですが。ダウンロードなどの仕組を使って音楽を聴くことは、ややもするとデータをぐっと圧縮する場合が主流のようですが、ここで聴けたハイクォリティな音は、実に見事です。演奏家冥利につきます」



2010年6月8日
(月刊HiVi編集部 辻 潔)

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最終更新 11.12.20 15:44

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