【東京インターナショナルオーディオショウ2010】D棟
〜ユキム、スキャンテック販売、アクシス、エイ・アンド・エム篇〜

ELACの300LINEシリーズから美しい“ハイグロス・ブラック仕上げ”が登場、まずはユキムのブースから

 さて、メイン会場のガラス棟とは別棟・D棟には4社がブースを構える。まず伺ったのは、ユキムのブース。同社取扱いのスピーカーブランド・ELACから、同社のエポックメイキング的存在ともいえる300LINEシリーズに待望の新作が登場した。ネットワークは310Cの回路をもとに改良がなされ、アルミ押出し材を用いたキャビネットには本シリーズ初となる“ハイグロス・ブラック仕上げ”がなされた310 IBだ。ブラックで塗装されたトゥイーターリングには、その“ハイグロス・ブラック仕上げ”と色を表す“Indies Black(インディー・ブラック)”の文字がゴールドで記されている。人気シリーズの新製品とあって、来場者の注目を集めていた。

 この日の試聴システムを鳴らしていたアンプたちにも、注目せざるを得ない。モノーラル・アンプPRIVILEGE MONO×2台、プリアンプPRIVILEGE PRE、SACD/CDプレーヤーPRIVILEGE SACDなど、スイス・ORPHEUSの製品がフルラインナップで展示・デモンストレーションされているのだ。いずれも100kgを超える無垢アルミブロックから削り出された“アルミ削出し”の製品で、トップには同社のロゴが美しく刻まれている。電源を入れるとふんわりとペールブルーの光が灯る。オーディオであることが一瞬信じられないような、彫刻のように美しい筐体たちがフルラインナップで試聴できるのは、このブースのひとつの目玉といえるだろう。

 その他、ユキムがはじめて取扱いを手がけるというラック(イタリアのバッソ・コンティニュオの製品)や、ケネス・グランジ氏によるスタイリッシュなデザインが人気のAuraのnote premierなど、さまざまな製品が所狭しと展示されている。ちなみに、この日の夕方は、弊社刊行物やリファレンスレコードの選曲などでもおなじみの傅 信幸氏が同ブースの試聴会に登場し、会場は超満員に。11月6日(土)15:00からは和田 博巳氏とピーター・バラカン氏が、11月7日(日)14:00からは三浦 孝仁氏が同ブースの試聴会に登場する予定だ。

エンジニアの熱い思いを感じられるスキャンテック販売の試聴ブース

「今日の朝できたばかり、できたてホヤホヤです」というAMPHIONの新製品などが試聴できるスキャンテック販売のブース。同社が取扱いをはじめるPAWEL ACOUSTICSのスピーカーに、その“できたて”だというライン専用プリアンプやフォノイコライザーアンプなど、AMPHIONの製品ラインによるシステム、そしてGlass Masterの真空管アンプなどが展示・デモンストレーションされる。なかでも、LYRAのカートリッジKleosとSPIRAL GROOVEのユニピボット型トーンアームCentroidoは一見の価値あり。この日は、双方の製品とも、設計を担当したというエンジニアの方がブースに常駐、設計コンセプトやメカニズム、開発時の思いなどを熱く語ってくれた。

 Centroido――“重量”・“質量”といった意味を持つ名称を持つこのトーンアームは、その名称にコンセプトが象徴されているという。このシンプルな中に、多くのテクノロジーがつまっている」と話してくれたのは、同製品の設計者であり、SPIRAL GROOVEの主宰者でもあるアラン・パーキンス氏。一見シンプルに見えるボディは、もちろん共振を減らすために部品の数を減らしつつ重量を確保。質量をコントロールし、盤に対して常に垂直のトラッキングを実現するという。そして、このCentroidoとカートリッジKleosだ――異なるブランドの製品とはいえ、それぞれの製品はお互いが組み合わさることでより豊かな音楽の世界を拡げてくれるということなのだろう。それは、それぞれの製品に施された小さな“穴”だ。トーンアームとカートリッジそれぞれに小さな穴が空いており、最適な位置に容易にセットアップができるという。「これは今回のショウに向けて、共同のフィーチャーだよ」と、Kleosの設計を手がけたジョナサン・カー氏も笑顔で語ってくれた。

まるでコンサート会場かのような試聴ブースも――アクシス

 “hall D5”と書かれた部屋に足を踏み入れると、まるでコンサート会場のような雰囲気。それもそのはず、このhall 5は、ホールというだけあって、他のブースよりも広く、天井も高い。ここ、アクシスのブースでは、入り口から手前に各ブランドの製品たちが展示され、ホール奥側に試聴スペースが用意されている。

 人集りができていたのは、デンマークのブランド・ARTORAの展示ラックだ。展示されていたのは、フロントに表示パネルがあるものの、一見ボタンなどが見当たらない曲線を帯びたツルッとした“黒い箱”がふたつ。これらは、同ブランドのArtoAmp150とArtoPlayer1000という製品。ArtoAmp150は、3つのライン入力とBluetoothによる16系統の入力を備えるプリメインアンプ。ArtoPlayer1000は、ArtoAmp 150とまったく同じサイズを持つCDプレーヤーだ。いずれも“less/is/More”の3つの操作キーが割り当てられており、トッププレート部に触れることで操作が可能だという。Bow TechnologiesのBow Christensen氏とアーティストのNiels Bjorndahlが立ち上げたこの新ブランド、今後はアクシスの取扱いにて国内発売される。

 Wadiaからは、高音質なデジタル出力ができるiPodドックとして人気の高い170 iTransportの後継モデル・171 iTransportが登場。Apple社から「Made for iPodR」の正式認定を受けた製品だけに、今回はこの時流を鑑みてか、iPadとのデモンストレーションが行われていた。重ねて設置されているのは、同じ筐体・サイズの151PowerDAC mini。アナログ入力を一切排除し、出力の手前まで一貫したフルデジタル処理がなされたD/Aコンバーター内蔵のD級プリメインアンプだ。

 ブース奥では、米・WILSON AUDIOのMAXX3が鳴らされている。その奥には、同じく米・THIELのスピーカーラインナップがズラリと並ぶ。そのほか、米・Ayreの新作、ユニバーサルBDプレーヤーDX-5をはじめ、KRELL、ケーブルメーカーのKRELLといった名だたるブランドの製品たちが一堂に介するアクシスブース、ここはたっぷりと時間をかけて回ってみてほしい。

真空管アンプにこだわるエイ・アンド・エムでは、あの“国産”真空管の音色も

 以前に「第16回 真空管オーディオフェア」のイベントレポート でもフォーカスしてお伝えした、高槻電器工業のST型直熱3極真空管TA-300B。ファンの熱い声に応え、35年ぶりに国産として手がけたものだが、この真空管を使ったアンプが試聴できるのが、エイ・アンド・エムのブースだ。

 今回のショウでは、やはり昨今の時流=「PCオーディオ(デジタル・ファイル・ミュージック)やネットワークオーディオで音楽を楽しむ人が増えてきた」ということをふまえ、製品ラインナップやコンセプトも“デジタル”を意識したものが多く見られたように思うが、そんななか、ここ、エイ・アンド・エムは1986年の創業以来、一貫して真空管を使用したオーディオ・製品づくりにこだわっている。取材時に試聴できたシステムは、HiragaのスピーカーシステムにAIR TIGHTのパワーアンプATM-2001、同コントロールアンプATC-1、そしてTA-300Bを用いたパワーアンプATM-300。アナログプレーヤーには、独・TRANSROTOR社製のTourbillonを使用。真空管が生み出すふくよかで深みのあるサウンドを、ゆったり、じっくりと堪能できるはずだ。



2010年11月6日
(HiVi WEB)

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最終更新 11.12.20 15:44

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