HDオーディオ対応AVセンター

■ 7社、全46機種のAVセンター(AVアンプ)を価格比較!

 2007年に衝撃のデビューを果したHDオーディオ対応AVセンターは、この数年で熟成の域に達しつつある。10万円超のモデルでは、PLL回路などが当たり前のように搭載され、上位モデルに採用されてきた技術が、徐々に徐々に下位のモデルにも浸透しはじめてきている。モデルチェンジは、おもに30万円クラスから下のモデルで行なわれ、なかでもオンキヨー&インテグラは、毎年のようにすべてのモデルがブラッシュアップされる。同社の製品は、あらかじめマイナーチェンジしやすいよう、設計されていると聞く。またパイオニアも、毎年、準フラッグシップまで一新される。どのメーカーも、春先から秋にかけて、下位モデルから順に新製品が発売される。
 AVセンターの本来の役割は、高いクォリティで「デジタルシネマ音声をデコードし、D/A変換後、増幅してスピーカーに出力すること」にある。しかしながら、昨今のBDプレーヤー上級機には良質のアナログマルチch出力が備わっており、これを中古のアナログマルチチャンネルコントロールアンプやHDオーディオ非対応の旧フラグシップAVセンターに繋いでも、思いのほかいい音で楽しむことができる。そうなると、現代AVセンターを購入するポイントはいったいどこにあるのだろうか。各々のコンポーネント機器が多機能化するなかで、現時点では、(1)より深化した自動音場補正機能、(2)高さ方向を中心としたサラウンド音場の付加機能、(3)スマートフォン/タブレットを使ったかんたん操作、(4)ネットオーディオ・インターネットラジオなど更なる広がりをみせるコンテンツ対応の幅、といったところに代替の利かない価値が見いだせる。単体イコライザーはリアルサウンドラボのCONEQに期待が集まるが、マルチch対応のコンシューマーモデルで音が聴けるのはまだまだ先になりそう。今のところAVセンターの音場補正がもっとも現実的であり、補正項目も多岐にわたる。スピーカー同士の位相特性を合せるだけでなく、小音量時には聴き取りにくい高音や低音のレベル補正までしてくれるのだ。(2)に関していうと、HDオーディオを高さ方向へサラウンド拡張できるのは、現代AVセンターの特権。(4)については、今後もっとも伸び代が期待される分野だ。今や、音楽だけでなく映像コンテンツもAVセンター単体で再生可能になりつつある。このままいくと、そのうちTVチューナーを内蔵したモデルが出てくるのではないかとすら思えてくる。個人的にはB-CASカードを指すAVセンターなんて見たくもないが、あれば色々な機能との連携、色々な機器との接続が期待でき、グッと使いやすくなるに違いない。AVセンターに映像処理回路が加わった段階で、方向性はシフトしてきている。映像処理回路をより有効に活用すべきか、それとも廃止して音のアンプに徹するか。いくらでも多機能にできるAVセンターだからこそ、その役割や意義を見直す時期にきているのかもしれない。
HDオーディオ対応AVセンターの価格比較表
  デノン オンキヨー インテグラ パイオニア ヤマハ マランツ ソニー

AVP-A1HD ¥735,000


POA-A1HD ¥735,000
   
SC-LX90 ¥880,000

DSP-Z11 ¥693,000
   

AVC-A1HD ¥598,500

PR-SC5509 ¥262,500

PA-MC5501 ¥210,000

TX-NA5009 ¥367,500
 
SC-LX85 ¥330,000

DSP-Z7 ¥351,750

AV8003 ¥315,000


MM8003 ¥280,000
 

AVR-A100 ¥294,000

AVR-4311 ¥252,000

TX-NA1009 ¥262,500

DTR-70.3 ¥262,500

SC-LX75 ¥245,000

RX-A3010 ¥260,400

AV7005 ¥199,500


MM7055 ¥136,500

TA-DA5700ES ¥273,000

AVR-3312 ¥131,250

TX-NA809 ¥168,000


TX-NA709 ¥136,500

DTR-40.3 ¥157,500

VSA-LX55 ¥150,000


VSA-1021 ¥108,000

RX-A2010 ¥199,500


RX-A1010 ¥126,000

SR7005 ¥199,500


SR6006 ¥147,000

TA-DA3600ES ¥136,500

AVR-1912 ¥84,000


AVR-1612 ¥50,400

TX-NA609 ¥84,000


TX-NA579 ¥71,400

DTR-20.3 ¥78,750


VSA-921 ¥84,000


VSX-821 ¥49,800

RX-V771 ¥89,250


RX-V571 ¥61,950


RX-V471 ¥49,350

SR5005 ¥92,400

NR1602 ¥84,000

NR1402 ¥50,400

STR-DH710 ¥54,600
↑製品画像、もしくは機種名(価格)をクリックすると、各製品を拡大して正面と背面写真をご覧いただけます

 HDオーディオ対応AVセンター総括特集でも、その時代に合せて、スペック項目の見直しが図られている。今回は、従来の【ジッターレス接続機構】項目を廃止し、【新拡張[仮想]サラウンド】項目を新設。さらには、【LAN端子数】項目を【PC Audioファイル】項目に変更した。【新拡張[仮想]サラウンド】項目には、既存の7.1chに含まれないポジションに、スピーカーを追加する音場拡張機能が記される。ここでいう既存の7.1chとは、現時点でソース側から提供される最大の音声chで、具体的にはセンター、フロント、リア、サラウンドバック、サブウーファーを指す。もとのコンテンツが2chであれ5.1chであれ、ドルビープロロジックIIxのような既存の7.1chまでしか拡張しないサラウンドは、搭載されていてもここには記載しない。おおざっぱに言うと、フロントハイトスピーカー(FH)やフロントワイドスピーカー(FW)などを追加する音場プログラムが対象となる。[ ]内には同様に、既存の7.1chを超えて拡張されるヴァーチャルサラウンド機能を明記。いずれもメーカー独自の音場プログラムは、プログラム数が膨大な場合、個々のサラウンドモードの名称を書かずに( )書きでプログラム数のみを載せる。ヴァーチャルサラウンドと拡張サラウンドは、併用できるものとできないものがある。また拡張サラウンド機能には、活用するのに別途パワーアンプが必要な機種もある。これらの詳細は、各々のHiVi WEB記事ページおよびメーカーホームページを参照いただきたい。ドルビー、DTS、Audysseyの新拡張サラウンドフォーマットの詳細は、こちらで解説している。【PC Audioファイル】は、CDより高音質なPCオーディオ再生を意識して取り上げている項目。よって、MP3を代表する非可逆圧縮ファイルは、再生できてもここには掲載しない。厳密ではないかもしれないが、具体的なフォーマットとしてWAV、FLAC、WMA Lossless(、AIFF、Apple Lossless)などが選択肢となる。スペック表のなかにはメーカー公認の対応フォーマットのみを取り上げ、個別に試してみたら実際には再生できたといったようなケースは扱わない。( )書きで対応する最大サンプリング周波数/最大量子化ビット数、【 】書きで対応する入力端子を表記する。先ほど説明した理由から、ここでの入力端子に既存の光・同軸デジタル端子は含まない。対応ch数は、とくに記述がなければ2chのみ。マルチchのデジタルファイルに対応している場合のみ、チャンネル数が明記される。
 今回の変更により、スペック表の項目枠がギッシリ詰まる結果となった。スペースを少しでも確保するため、質量の単位「kg」を各項から省略。逆に、記述量の少ない「定格出力とch数」枠には余裕ができたので、定格出力の測定条件であるインピーダンスと駆動ch数を( )書きで記述した。例えば、140W(8Ω, 2ch測定)×9chと書かれていたなら、この定格出力140Wは、8Ω、2ch駆動で測定した値である。×9chは、パワーアンプの数が9ch内蔵されていることを示し、けっして9ch同時駆動時に140Wの定格出力値が保証されているわけではない(9ch同時駆動時に140Wの定格出力が測定された場合は、140W(8Ω, 9ch測定)×9chと書かれる)。
 価格帯によるカテゴリー分けは、これまで通り、30万円超がトップクラス、10万円台〜20万円台がミドルクラス、10万円未満がエントリークラス。セパレートAVセンターは、セット価格40万円を境にトップクラスとミドルクラスに分けた。トップ画像下のリンクボタンを押して、それぞれのページを移動していただきたい。いずれも、製品スペックや機能差の比較にとどめ、個別の視聴評価は月刊HiVi誌面に譲るという方針は変わらない。HDオーディオがデコード可能な、セット販売を主目的としない単品コンポーネントのAVセンターのみを扱うものとする。
[上文更新:2011年12月6日]
(執筆・編集 加藤 健)

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