HDオーディオ対応AVセンター

■ トップクラスAVセンターのスペック・性能比較

 HDオーディオフォーマットがもつ底知れないポテンシャルを、2007年当時のフラッグシップモデルは、手探りのなかで引き出してきた。そのため、今となっては20万円から30万円台の最新モデルにその存在を脅かされつつあるのだが、HDオーディオ対応AVセンター総括特集ではすでに生産完了したモデルでも、フラッグシップモデルは敢えて掲載し続けている。フラッグシップには、メーカーの個性や得意分野、ブランドポリシーが色濃く反映されており、それらは当然、下位モデルにも多かれ少なかれ継承されている。各フラグシップ機の持ち味を理解することは、ブランドの全体像を把握することにも繋がるのだ。
 とはいえ、そろそろ新しいフラッグシップモデルが出てきてもいい頃なのでは? という声もちらほら聞こえはじめてきている。音質面では回路もデバイスも技術的に成熟しつつある今、もしこのタイミングでフラグシップ機を造りなおしたら…今度こそ何年も何年もトップに君臨し続けられるモデルが誕生するのではないだろうか(価格はもう少し抑えたほうがよいかもしれないが)。その試金石になるかもしれないのが、フラグシップモデルで唯一、有償アップグレードサービスが実施されたデノンのAVP-A1HDとAVC-A1HDである。新型ではないとはいえ、セパレートタイプのAVP-A1HD&POA-A1HDは、曲がりなりにも2007年のHiViグランプリ ゴールドアウォード モデルである。圧倒的な物量を誇るアナログ部と最新のDSPに置き換わったデジタル部、両者を兼ね備えた最強のパッケージがいったいどんな音を奏でるのか。興味を引き立てられずにはいられない。
トップクラスモデルのスペック・性能比較!

  音声 映像 その他
DSP DAC アップコ
ンバート
ロスレス192
/24マルチch
新拡張[仮想]
サラウンド
バイアンプ
、BTL
定格出力
とch数
PC Audio
ファイル
アップ
コンバート
ビデオ
スケーラー
HDMI
端子数
質量
(kg)
THX
認定
発売


AVP-A1HD
UP grade版
アナログ・デバイセズ
SHARC×3(ADSP
21487KSWZ4B×3)
バーブラウン
PCM1796
×12
Advanced
AL24
Multi
channel
プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
Neo:X(FH/FW)
- - 【LAN
&USB】
WAV
(48/16)
FLAC(
44.1/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 クアルコム HQV REALTA 入力6/
(同時)
出力2
27.5 THX Ultra2 11年
11月
AVP-A1HD
通常版
アナログ・デバイセズ
SHARC×3(ADSP2
1366KBCZ1A×1, 同
21367KBPZ2A×2)
なし 08年
1月
下旬
POA-A1HD - - - - - バイアンプ
、BTL対応
150W(8Ω, 2
ch測定)×10ch
- - - - 60.0
AVC-A1HD
UP grade版
アナログ・デバイセズ
SHARC×3(ADSP
21487KSWZ4B×3)
バーブラウン
PCM1796
×6
Advanced
AL24
Multi
channel
プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
Neo:X(FH/FW)
バイアンプ
対応
150W(8Ω, 2
ch測定)× 7ch
【LAN
&USB】
WAV
(48/16)
FLAC(
44.1/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 クアルコム HQV REALTA 入力6/
(同時)
出力2
36 11年
11月
AVC-A1HD
通常版
アナログ・デバイセズ
SHARC×3(ADSP2
1366KBCZ1A×1, 同21367KBPZ2A×2)
なし 07年
12月
中旬




TX-NA5009 TI Aureus×1
(DA830)、
シーラスロジック
CS49834×1
バーブラウン
PCM1795
×6
デジタル・
アップサン
プリング
機能
音場補正、
EQなどに
制約はあるが
デコード可能
プロロジックIIz
DSX(FH&FW)
Neo:X(FH&FW)
フロントバイ
アンプ対応
200W(6Ω, 1
ch測定)× 9ch
【LAN&
USB】WAV
、WMA
Lossless、
FLAC(全て
96/24)
HDMI、アナ
ログ入力とも
HDMI出力へ
4Kまでのアッ
プスケーリン
グが可能※2
クアルコム HQV Vida VHD1900
、マーベル
Qdeo 88DE2755
入力8/
(同時)
出力2
※1
25.0 THX Ultra2 Plus 11年
9月
25日
PR-SC5509 フロントバイ
アンプ方式で
プリ出力可
- 14.0
PA-MC5501 - - - - -   200W(6Ω, 1
ch測定)× 9ch
- - - - 22.2 THX Ultra2




SC-LX90 アナログ・デバイセズ
SHARC×2、
フリースケール
DSPC56371×1
ウォルフソン
WM8741
×6
SRC(バ
ーブラウンSRC4192
DB 搭載)
音場補正、
EQなどに
制約はあるが
デコード可能
なし バイアンプ
対応
140W × 10ch
or 200W ×7ch
(出力共に8Ω,
10ch測定)※3
【LAN
&USB】
WAV
(64/16)
アナログ入力はHDMI出力にアップスケーリング可 マーベル 88DE2710 入力6/
出力2
35.5 THX Ultra2 Plus 08年
3月
下旬
SC-LX85 TI Aureus×2
(DA810)
旭化成エレクトロニクス
AK4480×6
Hi-bit32
Audio
Process
ing、
Digital
フィルター
(SLOW)
プロロジックIIz、
Neo:X(FH/FW)、
Wideサラウンド
(2モード)、Adv.
サラウンド(15
モード:FH/FW)、
[バーチャルデプス、
バーチャルハイト]
フロント(
+センター
or リア)
バイアンプ
対応
140W(8Ω, 2
ch測定)× 9ch
【LAN】
WAV、
FLAC
(共に192/24)
【USB】
WAV
(48/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 非公開 入力7/
(同時)
出力2
17.8 11年
10月
中旬


DSP-Z11 TI&YAMAHA
DA70Y×3、
300MHz DSP
DA790×1
バーブラウン
DSD1796
×7
なし ※4 シネマDSP HD3
(33プログラム中
、マルチch向け5モード)
フロント
バイアンプ
対応
140W × 7ch
+50W × 4ch
(出力値は共に
6Ω, 2ch測定)
【LAN
&USB】
WAV
(48/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 アイチップ
ス・テクノ
ロジー
IP00C772
入力5/
出力2
34.0 THX Ultra2 Plus 07年
12月
10日
DSP-Z7 TI&YAMAHA
DA70Y (266MHz)
×2
バーブラウン
DSD1791
×5
シネマDSP 3D<フルスペック>(22プログラム中、マルチch向け5モード) 140W(6Ω, 2
ch測定)× 7ch
アンカーベイ・テクノロジー ABT2010 入力5/
(同時)
出力2
19.6 - 08年
11月
下旬



AV8003 TI Aureus×1
(DA788)
シーラス
ロジック
CS4382A
×1
なし DTS-HD MAは
不可。5.1chのD
TrueHD は可(
但しAudyssey
MultEQは無効)
なし - - 【LAN】
WAV
(48/16)
アナログ入力はHDMI出力にアップスケーリング可 非公開 入力4/
出力2
11.6 THX Ultra2 08年
7月
MM8003 - - - - - バイアンプ
対応
140W(8Ω, 2
ch測定)× 8ch
- - - - 17.9 -
  • 【新拡張[仮想]サラウンド】には、すべての拡張[仮想]サラウンドモードが掲載されるわけではない。掲載されるものとされないものについては、こちらをご覧いただきたい
  • プロロジックIIzはドルビープロロジックIIz、DSXはAudyssey DSX、Neo:XはDTS Neo:Xの略
  • FHはフロントハイト or フロントハイ or バーチカルハイトなどと呼ばれるもの、FWはフロントワイド、SBはサラウンドバックの略
  • 「FH/FW」は、FHとFWの同時出力不可の意。FH、FWのどちらかとSBの同時出力は、9chプリ搭載機なら可能。「FH&FW」は同時出力可(ただしSB出力時はFH/FW)
  • 「FH&FW&SB」には、組合せの制限がない。FH、FW、SBすべての同時出力も可。一方「FH」はFWが設置できない。SBとの併用は可能
  • 【PC Audioファイル】には、すべての対応ファイルフォーマットが掲載されるわけではない。掲載されるものとされないものについては、こちらをご覧いただきたい
  • ( )内には、対応する「最大サンプリング周波数(単位はkHz)/最大量子化ビット数(単位はビット)」を記載。単位は省略している。例えば、96/24は96kHz/24ビットの意
 下記では、メーカーごとにトップクラスにカテゴライズされた製品を紹介する。ちなみにインテグラは、オンキヨーのカスタムインストール向けブランド。そのため両社は、どのクラスでも同じ項で製品紹介される。
[上文更新:2011年11月18日]

デノン製品の特徴とAVP-A1HD、POA-A1HD、AVC-A1HD

NEW!
2011年12月6日 更新
 2011年11月よりフラッグシップAVコントロールセンターAVP-A1HD、フラッグシップAVセンターAVC-A1HDのファイナルアップグレードが実施された。これまでも同機は、DENON LINK 4th対応などで有償アップグレードを繰り返してきたが、今回が同機の最後で最大のアップグレードとなる。サービスは、既存製品の純粋なアップグレードのみで、今後出荷される同製品がアップグレード済みのものに変更されるわけではない。内容は、新拡張サラウンドのドルビープロロジックIIz、DTS Neo:X、Audyssey DSXへの対応、HDMI入出力の3Dパススルー機能や自動音場補正機能Audyssey MultEQ XT32の搭載などなど。ただしDTS Neo:X、Audyssey DSXに関しては、フロントハイトスピーカーとフロントワイドスピーカーを同時に鳴らすことはできない。DTS Neo:Xが6.1ch化にも対応するため、DTS Neo:6は削除される。両機は、Audyssey MultEQ XT32を採用したことで、音場補正に用いるマイクが変更された。SHARCプロセッサーは、チップの数こそ変らないものの、処理速度や内部キャッシュが大幅に向上した最新のデバイスに切り替わる。スペック表には、( )書きで違いがわかるようにチップ名を明記することにした。チップ名に「同」と書かれたものは、頭文字のADSPが省略されている(例:同21367KBPZ2Aは、ADSP21367KBPZ2Aの意)。
 今回のアップグレードは、DSPやソフトウェアのブラッシュアップが中心で、他の部分に変更はない。AVP-A1HDのデジタル音声回路D.D.S.C-HDは、信号処理ごとにブロック化し、それぞれがディスクリート設計。同一レスポンス、同一クォリティで構成されている。コントロールアンプ部は、贅沢にもフルディスクリートによるA級アンプを採用。とくにPOA-A1HDとのXLRバランス出力回路には、専用のトロイダルトランスで電源供給し、L側とR側で独立した巻き線、電源を採用するなど、パワーアンプ側に負担をかけない設計となっている。電源回路は、これを含めて、用途別に独立したトランスを7個搭載。各トランスは2次側巻き線部も機能ブロックごとに分割され、電源による相互干渉を防いでいる。一方、POA-A1HDの10chパワーアンプは、全チャンネル同一クォリティ、ディスクリート・モノーラル・コンストラクションで構成される。電源部は、L側とR側で大型トランスを独立させ、それぞれ2つずつ、計4つのトランスを実装する。こちらも2次側巻き線から、各チャンネルが独立した造りになっている。こうしてみても、アナログ部や電源部の充実ぶりは今なお健在で、他の追随を許さない。

オンキヨー&インテグラ製品の特徴とTX-NA5009、PR-SC5509、PA-MC5501

NEW!
2011年9月20日更新
 オンキヨー&インテグラは、毎年、フラッグシップ機からすべてモデルチェンジし、最新の技術、最新のデバイスを投入する。2011年モデルは、DTSのNeo:X、4K2K(3840×2160px)へのビデオアップコンバージョン機能にいち早く対応。インターネットラジオとの連携にも力を入れ、radiko.jp、AUPEO!への対応を果す。TX-NA5009、PR-SC5509のDSPデバイスに関しては、TIのDA788 2チップの働きをシーラスロジックのCS49834 1チップで賄えるため、ミドルクラスのTX-NA1009などと共通仕様になった。32ビットタイプのD/Aコンバーター PCM1795は引き続き採用され、5.1ch以下で再生するときはディファレンシャルに動作する。2010年モデルに備わっていたBTL機能は、2011年モデルには搭載されていないようだ。
 PR-SC5509、PA-MC5501の内部は、アンバランス方式で設計されている。そのためPR-SC5509のバランス出力には、 最後にアンバランス信号をバランス信号に変換する回路が組まれている。一方PA-MC5501では、バランスで入力された信号を内部で扱えるようアンバランス信号に戻す回路が組み込まれている。もし両機を接続するケーブルが充分に短く、そこでノイズをほとんど拾わないとするなら、2度の変換回路を通さない分、アンバランス接続の方が音質的に有利と考えられる。その証拠に同社の試聴室でもアンバランス接続が標準とされている。
 ビデオプロセッサーは、クアルコム社のHQV Reon-VXから最新チップHQV Vida VHD1900にブラッシュアップされた。画質面での向上が期待される一方、アナログからアナログへのアップスケーリング、使用頻度が少ない480pまでのダウンスケーリング機能は省略された。2系統のHDMI出力端子を備えたモデルは、Main OutとSub Outで出力できる信号が異なる。4K2Kへのアップスケーリング、OSD(オンスクリーンディスプレイ)は、Main Outのみの対応(※1)。Sub Outでできることは、Vidaプロセッサー搭載機で1080pまでのアップスケーリング、非搭載機ではA/D変換のみとなっている(※2)。

パイオニア製品の特徴とSC-LX90、SC-LX85

NEW!
2011年10月11日 更新
 パイオニアのAVセンターは、唯一、クラスDのパワーアンプを採用。とくに2011年モデルのSC-LX85とミドルクラスのSC-LX75は、新ダイレクトエナジーHDアンプを搭載し、パワーアンプ数を7chから9chへと拡張した。新ダイレクトエナジーHDアンプは、2010年モデルまでのダイレクトエナジーHDアンプに使われたICE Power社の多重帰還方式をやめて、Direct Power FETによるシンプルな回路構成を採る。これに伴いパワーアンプ段の回路パターンも見直され、信号経路が従来の約75%へと短縮された。このFETはプリント基板に直に接合されており、インダクタンス成分を減少させ、リンギングの低減が図られている。
 内蔵パワーアンプは、従来モデルと比べ、より自由なアサインが可能に。SC-LX85では、5.1chをベースに残り4ch分を【FH/SB】【FW/SB】【SP B/SB】【F-Bi/SB】【SB/ZONE2】【FH/ZONE2】【FW/ZONE2】【F-Bi/ZONE2】【ZONE2/ZONE3】【SP B-Bi】【F-Bi/R-Bi】【F-Bi/C-Bi】に設定できる(FH:フロントハイト、FW:フロントワイド、SB:サラウンドバック、SP B:スピーカーB、F-Bi:フロントバイアンプ、R-Bi:リアバイアンプ、C-Bi:センターバイアンプ、SP B-Bi:スピーカーBバイアンプ、ZONE2:ゾーン2、ZONE3:ゾーン3)。FHとFWを同時に鳴らすことはできないが、5.1ch再生時には、フロントに加えて、リアもしくはセンターのバイアンプ駆動が可能。ちなみに下位のSC-LX75は、フロントバイアンプのみで、前9つ(【FH/SB】〜【ZONE2/ZONE3】)の設置パターンから選択することができる。
 SC-LX85については、電源トランスに独自のチューニングを施すことで、磁束の漏洩を大幅に低減。Hi-bit 32 Audio Processingでも、192kHz/24ビットまでのマルチch入力をサポートする(SC-LX75では96kHz/24ビットまで)。SC-LX90とSC-LX85は、7.1chのアナログ入力端子を装備。SC-LX90の定格出力は一見SC-LX85の出力値と同じに見えるが、SC-LX90側は全ch同時駆動時の値を示しており、SC-LX85側は2ch駆動時の値を示している(※3)。
 パイオニアのAVセンターは、全モデルで、ドルビーTrueHD、およびDTS-HD MAの192kHz/24ビット マルチchデコードを実現。この場合、処理に制限があって、同時に行なえるのが、BASSマネージャー、スピーカーディレイ、リップシンクの機能。さらに、VSA-921以上のモデルに関しては、96kHzにダウンサンプリングすることで、フェイズコントロール、フルバンド・フェイズコントロール、グラフィックイコライザー、定在波制御(それぞれ対応機のみ)などを有効にできる。192kHz/24ビット マルチchリニアPCM入力も同様だ。

ヤマハ製品の特徴とDSP-Z11、DSP-Z7

NEW!
2011年9月9日 更新
 ヤマハと言えば、シネマDSPである。DSP-Z11には、最大11.2chのシネマDSP HD3、DSP-Z7には、最大9.1chのシネマDSP3が用意されている。ともに、プレゼンススピーカーをフロントとリアに設置可能で、高さ方向の空間表現力を向上させる。内蔵されたパワーアンプの数は、型名に記された数と同じで、DSP-Z11が11ch分、DSP-Z7が7ch分。DSP-Z7は外部パワーアンプの増設で9.1chサラウンドを実現する。シネマDSPのプログラム数は、DSP-Z11が63種類、DSP-Z7が45種類。
 DSP-Z11の電源部は、トランスを挟んで、オーディオ系電源回路とデジタル系電源回路を分けて配置し、消費電力の大きなデジタルセクションをトランス至近に置く。パワーアンプ用のラジエーターは左右対称とし、チャンネルセパレーションを高めるとともに、同一クォリティを確保。オーディオ回路は、伝送経路を最短化するため、4層基板や3Dサーキットストラクチュアを採用している。逆にDSP-Z7が、DSP-Z11を上回るのは、主に映像処理回路の部分。アンカーベイテクノロジー社のLSI ABT2010は、外部機器で処理されたプログレッシブ信号を再度インターレース信号に戻し、より高精度なI/P変換を行なうPReP(Progressive ReProcessing)機能などを内包。単体プロセッサー並みの多機能を誇るとされている。
 ヤマハのAVセンターは、192kHz/24ビットのロスレスマルチch音声を再生する際、どのモデルも音場補正やEQに制限がない。シネマDSPを併用する場合は、192kHz/24ビットの音声データが、ミドルクラスのRX-A3010で96kHz/24ビットに、RX-A2010など他のモデルで48kHz/24ビットにダウンサンプリングされる(※4)。RX-A1010以下のモデルは、内蔵DSPがワンチップのみなので、単独でシネマDSPとDTS-HD MAのフルデコードを同時に処理できない。プレーヤーやレコーダー側であらかじめDTS-HD MAをデコードしておけば、RX-A1010以下のモデルでもシネマDSPと掛け合せることが可能だ。

マランツ製品の特徴とAV8003、MM8003

NEW!
2011年12月6日 更新
 マランツは、デノンよりもお求めやすい価格で、セパレートモデルにチャレンジ。価格を抑えても、一体型ではなくセパレートを選択したところに、マランツのブランドポリシーが感じられる。マランツのAVセンターは、映画サラウンドのためというよりもHiFiオーディオの延長線上にあるという印象が強い。TOPページで『現代AVセンターの4つの購入ポイント』を示したが、マランツのAVセンターは、アナログマルチチャンネルアンプが高級BDプレーヤーと組み合わされたときに、満たされない部分を補うよう設計されているかに思える。逆に言うと、それ以外の部分は削ぎ落とされ、DSPチップはフラッグシップモデルでもワンチップしか搭載されない(今回よりスペック表のDSP SHARCプロセッサーはチップ名を掲載することになった)。ワンチップしかないモデルは、HDオーディオデコード時にいくつかの制約を伴うケースが見受けられるが、マランツのAVセンターはそもそもHDオーディオのデコードをAVセンターではなくプレーヤー側で行なうよう求めているかに思える。いずれのモデルもアナログ部が充実しており、HiFiオーディオで培ったノウハウが惜しみなく投じられている。HDオーディオ対応AVセンター総括特集には掲載していないが、セパレート型パワーアンプには、ステレオアンプまで用意するほどの徹底ぶり。マランツのアンプは、マルチチャンネル駆動時でも、2ch駆動で測定した定格出力の約70%以上の出力値が保証されていると聞く。中古のアナログマルチチャンネルコントロールアンプやHDオーディオ非対応の旧フラグシップAVセンターをこれから買いたいとは思わないが、求めているものはHiFiだという方にぴったりの志向がマランツにはある。
(執筆・編集 加藤 健)

ページの先頭へ