HDオーディオ対応AVセンター

■ ミドルクラスAVセンターのスペック・性能比較!

 多くのメーカーが最初にHDオーディオ対応機に参入したのは、このミドルクラスである。このクラスには、トップクラスで紹介された6ブランドに加え、ソニーがフラッグシップモデルを携えて登場。ラインナップがもっとも充実しており、価格も拮抗する。まさに激戦区だ。この価格帯は、新たな技術を導入しやすく、その年のトレンドがもっとも色濃く反映される。ここ数年のトレンドは、TOPページで紹介した『現代AVセンターの4つの購入ポイント』と図らずも一致。おさらいすると(1)自動音場補正の適応範囲の拡充、(2)拡張サラウンド機能の採用、(3)スマートフォン/タブレット端末との連携、(4)ネットオーディオなどコンテンツ対応幅の拡大、の4つがここ数年のトレンド傾向である。
(1)の自動音場補正は、これまでパイオニアが他社より一歩先んじてきたが、ここにきてソニーがスピーカー配置を補正するスピーカーリロケーション技術、ヤマハが部屋の反射音を最適化するYPAO-R.S.C機能を提案し、それぞれ独自の魅力を形成しつつある。一方(2)拡張サラウンド機能の採用は、2009年のドルビープロロジックIIz、Audyssey DSXの登場から本格化。この分野は、これまでヤマハのシネマDSP(プレゼンス音場)の独壇場だったのだが、自社開発ではパイオニアとソニーが、こうしたタイミングで独自音場プログラムの拡張に乗り出した。2011年には、かねてから噂されていたDTS Neo:Xも登場。DTS Neo:XとAudyssey DSXは、未だフル再生(11.1ch)できるモデルがほとんどないのに対し、ヤマハの上位モデルでは、11.1ch再生が当たり前のように搭載されている。次年度こそ、ぜひ対応モデルを増やしてほしい。ヤマハのシネマDSPは、2011年で25周年を迎えた。
 
ミドルクラスモデルのスペック・性能比較

  音声 映像 その他
DSP DAC アップ
コンバート
ロスレス192
/24マルチch
新拡張[仮想]
サラウンド
バイアン
プ、BTL
定格出力
とch数
PC Audio
ファイル
アップ
コンバート
ビデオ
スケーラー
HDMI
端子数
質量
(kg)
THX
認定
発売


AVR-A100 アナログ・デバ
イセズ SHARC
×2(ADSP21
367KSWZ2A,
ADSP21487
KSWZ4B)
旭化成エレクトロニクス
AK4358VQ
×2
AL24
Processing
Plus
プロロジックIIz
DSX(FH&FW&SB)
フロント
バイアン
プ対応
140W(
8Ω, 2ch測
定)× 9ch
【LAN
&USB】
WAV
(48/16)
FLAC
(96/24)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 アンカーベイ・テクノロジー
ABT2015
入力7/
(同時)
出力2
18.5 - 10年
11月
1日
AVR-4311 17.3 10年
10月
中旬
AVR-3312 アナログ・デバ
イセズ SHARC
×1(ADSP21
487KSWZ4B)
旭化成エレクトロニクス
AK4358VQ
×1
音場補正、EQな
どに制約はある
がデコード可能
プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
125W(
8Ω, 2ch測
定)× 7ch
アナログ・デバイセズ
ADV8002-1
11.8 11年
7月
上旬




TX-NA1009 TI
Aureus×1
(DA830)

シーラス
ロジック
CS49834
×1
バーブラウン
PCM1690×1
PCM1789×1
デジタル・
アップサ
ンプリン
グ機能
音場補正、EQなどに制約はあるがデコード可能 プロロジックIIz
DSX(FH&FW)
Neo:X(FH&FW)
フロント
バイアン
プ対応
145W(
6Ω, 1ch測
定)× 9ch
【LAN
&USB】
WAV、FLAC
、WMA
Lossless
(全て96/24)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へ4Kまでのアップスケーリングが可能※2 クアルコム HQV Vida VHD1900、
マーベル Qdeo 88DE2755
入力8/
(同時)
出力2
※1
18.5 THX Select 2 Plus 11年
9月
16日
TX-NA809 バーブラウン PCM1690×1 プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
145W(
6Ω, 1ch測
定)× 7ch
18.3 11年
6月
9日
TX-NA709 140W(
6Ω, 1ch測
定)× 7ch
マーベル Qdeo 88DE2755 12.2 11年
5月
14日




DTR-70.3 バーブラウン PCM1796×6 プロロジックIIz
DSX(FH&FW)
Neo:X(FH&FW)
180W(
6Ω, 1ch測
定)× 9ch
クアルコム HQV Vida VHD1900、
マーベル Qdeo 88DE2755
23.0 THX Ultra2 Plus 11年
9月
25日
DTR-40.3 バーブラウン PCM1690×1 プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
140W(
6Ω, 1ch測
定)× 7ch
マーベル Qdeo 88DE2755 12.5 THX Select 2 Plus 11年
4月
下旬




SC-LX75 TI
Aureus×2
(DA810)
旭化成エレクトロニクス
AK4480×6
Hi-bit32
Audio
Processing
、Digital
フィルター
(SLOW)
音場補正、EQなどに制約はあるがデコード可能 【SC-LX75のみ】
Neo:X(FH/FW)

【SC-LX75と
VSA-LX55】
[バーチャルデプス]

【共通】
プロロジックIIz
Wideサラウンド
(2モード)
Adv.サラウンド
(15モード:FH/FW)
[バーチャルハイト]
フロント
バイアン
プ対応
140W(
8Ω, 2ch測
定)× 9ch
※3
【LAN】
WAV、FLAC
(共に192/24)
【USB】
WAV
(48/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 非公開 入力6/
(同時)
出力2
18.5 THX Select 2 Plus 10年
10月
上旬
VSA-LX55 TI
Aureus×1
(DA810)
バーブラウン
PCM1691×1
なし 110W(
8Ω, 2ch測
定)×7ch
※3
アナログ同士、
HDMI出力への
アップスケー
リングが可能
入力7/
(同時)
出力2
14.0 11年
7月
中旬
VSA-1021 旭化成エレクトロニクス×1
(型番非公開)
100W(
8Ω, 1ch測
定)× 7ch
※3
【LAN】WAV
(192/24)F
LAC(96/24)
【USB】WAV
(48/16)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 入力6/
出力1
10.2 - 11年
6月
下旬


RX-A3010 TI&YAMAHA DA70Y rev.1.2×1

TI
Aureus×1
(DA810)
バーブラウン
DSD1796×4
DSD1791×2
なし シネマDSP HD3(23プ
ログラム中、マルチch
向け5モード)、[VPS]
フロント
バイアン
プ対応
150W(
6Ω, 2ch測
定)× 9ch
【LAN
&USB】
WAV、FLAC
(共に96/24)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 クアルコム HQV Vida VHD1900 入力8/
(同時)
出力2
19.9 - 11年
9月
下旬
RX-A2010 バーブラウン
PCM1789×4
PCM1781×2
シネマDSP 3D<フル
スペック>(23プログラム中、マルチch向け
5モード)、[VPS]
140W(
6Ω, 2ch測
定)× 9ch
17.1 11年
9月
中旬
RX-A1010 TI&YAMAHA DA70Y
rev.1.2×1
バーブラウン PCM1789×4 シネマDSP 3D(17プ
ログラム中、マルチch
向け5モード)、[VPS]
110W(
6Ω, 2ch測
定)× 7ch
480i/pのアナログ入力を最高で1080pのHDMI出力へ 非公開
(国産)
15.1 11年
9月
上旬



AV7005 アナログ・デバ
イセズ SHARC
×1(ADSP21
367KSWZ2A)
旭化成エレクトロニクス
AK4358VQ
×1
なし 音場補正、EQなどに制約はあるがデコード可能 プロロジックIIz
DSX(FH/FW)
フロントバイアンプ方式でプリ出力 - 【LAN
&USB】
WAV
(48/16)
FLAC
(96/24)
HDMI、アナログ入力ともにHDMI出力へのアップスケーリングが可能 アンカーベイ・テクノロジーABT2015 入力6/
出力2
10.1 - 10年
10月
下旬
SR7005 フロント
バイアン
プ対応
125W(
8Ω, 2ch測
定)× 7ch
13.0 10年
9月21日
SR6006 アナログ・デバ
イセズ SHARC
×1(ADSP21
367KSWZ4B)
110W(
8Ω, 2ch測
定)× 7ch
アナログ・デバイセズADV8002-1 入力7/
(同時)
出力2
11.4 11年
7月
下旬
MM7055 - - - - - - 140W(
8Ω, 2ch測
定)× 5ch
- - - - 15.7 10年
10月
下旬


TA-DA5700ES 非公開
×2
バーブラウン
×2(型番非
公開)
※4 プロロジックIIz、Neo:X(FHのみ)、HD-D.C.S.(3モード)、ほかベルリン・フィルハーモニック・ホール、ボーカルハイトなど音楽向け独自音場(9モード) フロント
バイアン
プ対応
120W(
8Ω, 2ch測
定)× 7ch
【LAN&USB
TypeA】WAV
、FLAC(共に
192/24 2ch,
48/24 5.1ch)
【USB TypeB】
WAV、FLAC
(共に96/24)
アナログ入力を最高で1080i(アナログ出力)、1080p(HDMI出力)へ ファロージャ DCDi Cinema STmicro×2
(型番非公開)
入力6/
(同時)
出力2
18.2 - 11年
12月
10日
TA-DA3600ES TI Aureus
×1
(型番非公開)
バーブラウン
×1(型番非
公開)
なし 音場補正、EQなどに制約はあるがデコード可能 プロロジックIIz、
HD-D.C.S.
(3モード)
100W(
8Ω, 2ch測
定)× 7ch
【LAN】
WAV
(48/16)
ファロージャ DCDi 入力4/
出力1
13.7 10年
10月
21日
  • 【新拡張[仮想]サラウンド】には、すべての拡張[仮想]サラウンドモードが掲載されるわけではない。掲載されるものとされないものについては、こちらをご覧いただきたい
  • プロロジックIIzはドルビープロロジックIIz、DSXはAudyssey DSX、Neo:XはDTS Neo:Xの略
  • FHはフロントハイト or フロントハイ or バーチカルハイトなどと呼ばれるもの、FWはフロントワイド、SBはサラウンドバックの略
  • 「FH/FW」は、FHとFWの同時出力不可の意。FH、FWのどちらかとSBの同時出力は、9chプリ搭載機なら可能。「FH&FW」は同時出力可(ただしSB出力時はFH/FW)
  • 「FH&FW&SB」には、組合せの制限がない。FH、FW、SBすべての同時出力も可。一方「FH」はFWが設置できない。SBとの併用は可能
  • 【PC Audioファイル】には、すべての対応ファイルフォーマットが掲載されるわけではない。掲載されるものとされないものについては、こちらをご覧いただきたい
  • ( )内には、対応する「最大サンプリング周波数(単位はkHz)/最大量子化ビット数(単位はビット)」を記載。単位は省略している。例えば、96/24は96kHz/24ビットの意
(3)のスマートフォン対応は、AirPlayをサポートするデノン、マランツ、パイオニアの3社に注目が集まる。iPadやAndroid端末でのリモコン対応は、他社も含めて思いのほかスピーディに進んでおり、2012年には多くのメーカーが対応を完了するだろう。ただしWindows Phoneに関しては、普及が見込めれば専用アプリをつくるところもでてくるかもしれないが、現時点では未知数である。(4)のPCオーディオ対応は、単体でみればソニーのフラッグシップ機TA-DA5700ESが一歩リード。ブランド全体でみれば、オンキヨーがいち早く全モデルで96kHz/24ビットのPCオーディオ対応を果した。逆にオンキヨー&インテグラは、上位モデルが192kHz/24ビットに対応していない。ネットワークオーディオの対応度合いに関しては、パイオニアのラインナップがコストパフォーマンスに秀で、合理的だといえる。外部のネットコンテンツへの接続は、オンキヨー、ソニーが意欲的だ。
 世界経済が未だ回復基調にないなかで、2011年モデルは、進化の歩みがやや衰えていると感じられなくもない。そのなかでもいい意味で実直に進化させてきたのが、パイオニアの全モデルとソニーのフラッグシップモデルだ。今購入を検討されているなら、ぜひこれらのモデルを候補に加えたい。
[上文更新:2011年11月18日]

デノンの中級AVセンターAVR-A100、AVR-4311、AVR-3312

2011年6月3日 更新
 デノンは、2010年モデルから型名をAVC-からAVR-へと改め、海外モデルと名称を共通化している。ミドルクラスの3モデルは、いずれも11chのスピーカー端子を装備し、ドルビープロロジックIIz、Audyssey DSXをデコードする。うちAVR-A100とAVR-4311は、9chのパワーアンプ、11.2chのプリアウト端子を実装。外部パワーアンプを増設して、Audyssey DSXの11.2chサラウンドにフル対応する。これが可能な製品は、今のところデノンの上記2モデルのみだ。とくに11chすべてを外部パワーアンプに割り当てる場合は、パワーアンプ部の信号経路を切り離すことでプリアンプ部のクォリティを高めることができるという。
 一方、2011年モデルAVR-3312は、11ch分のスピーカー端子と7chパワーアンプを内蔵し、うち2ch分のパワーアンプをサラウンドバック、フロントハイト、フロントワイドのいずれかにワンタッチでアサインできる。フロントバイアンプ、ゾーン2、ゾーン3にも割当て可能。2ch分のうち1chをゾーン2モノ、もう1chをゾーン3モノとして使うこともできるという。昨年モデルとの違いとしては、AirPlay機能を標準で装備し、オーバーレイによる日本語GUI、初心者にもわかりやすいセットアップ・ウィザード機能を実装するほか、HDMIの2系統同時出力に対応する。ハイビットプロセッシング&i/pスケーリング映像エンジンには、アナログ・デバイセズ社製の新型ビデオプロセッサーADV8002-1を採用。デノンのAVセンターは、SHARCを2基搭載するAVR-4311と1基搭載のAVR- 3312の間で、ドルビーTrueHD、DTS-HD MAの192kHz/24ビット マルチchデコードの扱いが異なる。
 AVC-A100は、AVR-4311をベースとしたデノン創業100周年記念モデル。光沢ブラックアルミパネルに身を包み、特別仕様のスピーカー端子、鋳鉄製インシュレーター、高品質なブロックコンデンサーが奢られている。

オンキヨー&インテグラの中級AVセンターTX-NA1009/809/709、DTR-70.3/40.3

NEW!
2011年9月29日更新
 オンキヨー&インテグラのミドルクラスモデルは、いずれも11chのスピーカー端子を標準装備しており、あらかじめスピーカーと接続しておけば、 5.1chをベースにTX-NA1009とDTR-70.3は4ch分、他のモデルは2ch分のパワーアンプを【サラウンドバック or バイアンプ】【フロントハイ】【フロントワイド】へ自由にアサインできる。とくにサラウンドバックを使わない方は、映画を観るときに【フロントハイ】や 【フロントワイド】を使い、音楽を聴くときに【バイアンプ】を選択することで、スピーカー端子を差し替えなくても内蔵パワーアンプを有効活用できる。
 ミドルクラス機はいずれも2系統のHDMI出力を持つが、Main OutとSub Outで扱える信号が異なる(※1)。また、Vidaプロセッサーをもたないモデルは、Sub Outがアップスケーリングに対応しない(※2)。これらの話題についてはトップクラスの項を参照いただきたいが、線引きはちょうどミドルクラスのなかで行なわれている。TX-NA1009/809、DTR-70.3といったVidaプロセッサー搭載機は、Qdeoのマーベル社製プロセッサーが4K2Kへのアップスケーリングを、Vidaプロセッサーがi/p変換、1080pまでのスケーリングを担う。下位モデルや昨年モデルとの細かな違いについては、TX-NA809TX-NA709それぞれの記事に詳しく紹介されている。
 インテグラのDTR-70.3は、ミドルクラスで唯一THX Ultra2 Plus認証を取得したモデル。スペック表の上では(DAC部を除いて)トップクラスのTX-NA5009とほとんど遜色がなく、価格はTX- NA1009と同じ。TX-NA5009と同様、DSPが3チップから2チップへと変更になり、480pまでのダウンスケーリング、アナログ同士のアップスケーリング、BTL機能が省かれ、HDMI出力への4Kまでのアップスケーリング、DTS Neo:X、ネットストリーミングサービスradiko.jp、AUPEO! への対応を果す。

パイオニアの中級AVセンターSC-LX75、VSA-LX55、VSA-1021

NEW!
2011年10月17日更新
 SC-LX75とトップクラスのSC-LX85は、2010年モデルSC-LX83で好評だったHi-bit 32 Audio Processing機能を、さらに進化させて実装した。SC-LX83の場合、マルチch音声では元の信号が48kHz/24ビット以下でないとこの機能を使うことはできなかったが、SC-LX75は、ソースの信号が96kHz/24ビットでも32ビットに拡張処理できる(2ch音声は、両機とも192kHz/24ビットまでサポート)。またSC-LX85/75は、Hi-bit 32 Audio ProcessingのON/OFFに関わらず、SLOW/SHARP/SHORTの3つのデジタルフィルターが選択可能に。SC-LX83では、Hi-bit 32/Hi-Sampling動作時がSLOWロールオフ、非動作時がSHORTロールオフに固定されていた。SLOWは、以前、パイオニアのレガートリンクに使われていたフィルターで、インパルス前後のエコーが少なく応答性に優れている。音楽的には、柔らかな表現が得意だ。SHARPは、20kHzの正弦波を正確に再現するといった性質から一般的によく使われるフィルターだが、インパルスの前後にリンギングを伴う。再生音は、骨格がしっかりと表現される傾向にある。SHORTは、SHARPに近いフィルター特性をもつが、リンギングのうちプリエコーを排除。音の立ち上がりが急峻で、打楽器などを中心としたリズム系の音楽に向いている。192kHzのHi-Sampling処理は、SLOWモード選択時のみ。いずれも、ネットワークオーディオのハイレゾコンテンツから、BDなどのマルチch音声まで幅広く対応する。DTS Neo:Xは、SC-LX85とSC-LX75のみに採用。
 ミドルクラスの3モデルは、いずれも192kHz/24ビットまでのWAV、FLAC再生をサポートする。ジッターリダクション機能は、ミドルクラスにあって、エントリークラスにはない機能。SC-LX75とVSA-LX55にはハイアキュラシーPLL回路と新リダクションICを加えたジッターリダクションプラスが、VSA-1021にはスタンダードな ジッターリダクション機能が搭載されている。SC-LX85からSC-LX55までは、バーチャルデプス、バーチャルハイト、バーチャルサラウンドバック、ワイドサラウンドモードをすべて掛け合わせることができ、最大で仮想13.2ch音場を実現。VSA-1021/921では、バーチャルデプスを除いた仮想11.1ch音場が掛合せの最大となる。パイオニアの定格出力は、VSA-LX55以上が2ch、VSA-1021以下が1ch駆動時の測定値を示している。SC-LX75の定格出力は、2ch駆動で測定しているので一見SC-LX85の出力値と同じに見えるが、全ch同時駆動時の出力値はそれぞれ810W(SC-LX85)、720W(SC-LX75)と異なる(※3)。
 自動音場補正機能MCACCは、3モデルともフェイズコントロールプラスを備え、VSA-LX55以上でフルバンド対応。SC-LX75とトップクラスのSC-LX85のみ、フロントスピーカーに他のスピーカーの特性をアジャストさせるフロントアライン機能を有する。SC-LX85、SC-LX75には11.2chの、VSA-LX55には9.2chのプリアウト端子が装備されているが、内蔵プリアンプはそれぞれ9.1ch、7.1ch。2ch分は、排他使用となる。VSA-921以上で対応するオートサウンドレトリバー、VSA-LX55以上で対応するストリームスムーサーは、SC-LX85、SC-LX75だと同社製プレーヤーとの密な連携が可能。ファイル情報を共有することで、自動で補正の度合いが調整される。ちなみにサウンドレトリバーは低ビットレートの音声、ストリームスムーサーは低ビットレートの映像を補間する技術。より聴きやすい音、より観やすい映像に自動調整する。

ヤマハの中級AVセンターRX-A3010、RX-A2010、RX-A1010

NEW!
2011年9月9日 更新
 2011年モデルは、これまでのRX-Vシリーズのほかに、型名がRX-Aで始まるAVENTAGE(アベンタージュ)シリーズがラインナップされている。国内では、ミドルクラスがAVENTAGEシリーズ、エントリークラスがRX-Vシリーズと住み分けられた。AVENTAGEは、5年の長期製品保証と円錐形の脚A.R.T. Wedge(アートウェッジ)が採用されている。AVセンターの5点支持は世界初で、A.R.T. Wedgeが筐体の振動をコントロールする。
 RX-A3010とRX-A2010は、内蔵パワーアンプを従来モデルの7chから9chへと拡張。RX-A3010には、これまでフラッグシップモデルDSP-Z11にしか許されなかったシネマDSP HD3が実装された。一方RX-A2010は、従来のシネマDSP<3D>にリアプレゼンススピーカーを加えたフルスペックのシネマDSP<3D>を採用。いずれもソフトウェアプログラムの改善により、従来と同じDSPチップ数でこれを実現した。ここでいうフルスペックのシネマDSP<3D>とは、これまでDSP-Z7などに採用されたシネマDSP3の呼び名を変えたものだ。今後のモデルでは、フルスペックのシネマDSP<3D>で国内外の名称を統一するという。シネマDSP3を知る人には説明の必要がないかもしれないが、シネマDSP HD3とフルスペックのシネマDSP<3D>の違いは情報量の差。すなわちシネマDSP処理で使用する反射音の本数や演算精度などに違いがある。シネマDSP HD3では、反射音の数がシネマDSP<3D>の約3倍、しかも音場処理はダウンサンプリングなし(192kHzを除く)で行なわれるという。192kHz/24ビットのロスレスマルチch再生の扱いについては、トップクラスのヤマハ項を参照いただきたい。外部パワーアンプによるチャンネル拡張は、RX-A3010が最大11ch、RX-A2010は不可。RX-A2010は、9ch出力のうち7ch分しかプリアウト端子を持たない。また、従来機RX-V3067で苦労した外部パワーアンプの割当ても、RX-A3010に関しては自由にアサインできるようになった。
 ネットワークオーディオに関しては、96kHz/24ビットまでのデジタルファイル(FLAC, WAV)に対応。今回は、192kHzへの対応が見送られた。その理由として、AVセンターより先に同社のネットワークオーディオプレーヤーを対応させたい意向があるからだと聞く。実際に実施するかどうかはわからないが、AVENTAGEにはファームウェアアップデートで192kHz対応するための準備が施されていると聞く。USB端子は、iPod/iPhoneのデジタル接続が可能に。AVENTAGE 3モデルのHDMI for Audioは【HDMI 4】入力。

マランツの中級AVセパレートアンプAV7005、MM7055、AVセンターSR7005、SR6006

2011年7月6日 更新
 マランツは、ミドルクラスにAVセンターSR7005、SR6006、AVセパレートアンプAV7005、MM7055をラインナップする。新製品SR6006は、エントリーモデルと異なり、動き適応型i/pコンバーターやクロック・ジッター・リダクション回路を実装。従来モデルSR6004と比べると、AirPlay機能が標準装備され、ネットワークオーディオ機能、オーバーレイGUI、Audyssey DSXなどが新たに採用された。Audyssey DSXの採用により、サラウンドバック用スピーカー端子がフロントハイト、フロントワイド、サラウンドバック、フロントバイアンプのいずれかにアサイン可能な仕様へと変更されている。
 AVコントロールアンプのAV7005は、7.2chのバランスプリアウト端子のほか、11.2chのアンバランスプリアウト端子を搭載する。Audyssey DSX再生においては、サラウンドバック、フロントハイト、フロントワイドスピーカーをプリ出力側で切り替えて使用することが可能。マランツには、ここで紹介する5chパワーアンプMM7055のほか、同出力の2chパワーアンプMM7025があり、AV7005と組み合せることで最大7.2chシステムが構築できる。
 SR7005は、AV7005のコントロール機能とMM7055のパワーアンプ技術を1つの筐体に収めた一体型AVセンター。定格出力こそセパレート型パワーアンプに譲るものの、価格がコントロールアンプだけのAV7005と変らないため、コストパフォーマンスは高い。SR7005、AV7005は、USBによるデジタル接続でFLACの96kHz/24ビット再生に対応。DLNA1.5に準拠し、Compatible with Windows 7認証を取得する。このクラスの2010年モデルには、BluetoothレシーバーRX101がはじめから同梱されている。

ソニー製品の特徴と中級AVセンターTA-DA5700ES、TA-DA3600ES

NEW!
2011年10月27日更新
 ソニーの2011年国内モデルは、最大9.1chのディスクリート再生を実現した最上位のTA-DA5700ES。新設計のハイブリッドデジタル用電源、5.1ch分のパラレル DAコンバーター、iPhone/Android用リモコンアプリES Remoteなどなど、さまざまなフィーチャーが盛り込まれている。なかでもPCオーディオ、サラウンド拡張、自動音場補正に関わる部分の進化は著しい。ネットワークオーディオは、2ch再生で最大192kHz/24ビット、5.1ch再生で最大48kHz/24ビット入力に対応。現時点で、ストリーミング動画を単体で再生でき、USB DAC機能(96kHz/24ビット 2ch)を備える唯一のAVセンターである。

 拡張サラウンドは新たにDTS Neo:Xを搭載し、自社開発の音場プログラムを9chもしくは9.1chに対応させている。シネマ系の独自音場HD-D.C.S.はヤマハのシネマDSPに似ているが、シネマDSPがコンサートホールやライブハウスなどの測定データをもとにしているのに対し、HD-D.C.S.にはソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が保有するダビングシアターの測定データが使われている。HD-D.C.S.は、先述したスピーカーリロケーション with A.P.M.と組み合せることも可能。つまりファントムサラウンドバックを生成して、7chの内蔵パワーアンプでもヴァーチャル9.1chサラウンドがお楽しみいただける。

 自動音場補正機能も、独自の開発がすすめられている。これまでも、スピーカーの位相特性をフロントに揃えるA.P.M.(オートマティック・フェーズ・マッチング)や、ITU-Rが定めた理想的な配置にスピーカーの音をファントム定位させるスピーカーリロケーションなど、家庭のリスニング環境を改善するためのさまざまな提案がなされてきた。今回は、音量を絞ったときに聴感上、聴こえにくくなる低音・高音を補うサウンド・オプティマイザーを新開発。他社の類似機能と異なり、映画製作における基準音量をリファレンスとし、D.C.A.C. EXで測定した個々のスピーカーの能率を加味して、較正される。音圧周波数特性は、ISO226-2003規格の聴感特性カーブをベースに補正をかけるが、単音測定ではえられない部分にもメスが入れられている。さらに言えば、サウンド・オプティマイザーでは、ISO226-2003で規格化されてない位相周波数特性にも独自の補正がかかる。
 ソニーは、ジッターへの取組みにも本腰を入れている。今回新たに採用されたダイレクトクロッキング・コンストラクションでは、クロックとDACチップの距離を近づけ、ノイズ源となるDSPデバイスを遠ざけて配置した。また、同社製SACDプレーヤーSCD-XA5400ESと組み合せたときだけではあるが、HDMIのフロー制御を実現するH.A.T.S. for HDMIも、引き続き採用されている。SACDのDSD信号を受ける時は、32bit DSD-DAC変換機能が有用(※4)。入力されたDSD信号を内部で32ビット処理(フィルター出力は176.4kHz)し、D/Aコンバーター手前まで32ビットのPCMデータを維持する。HDMI規格は、伝送幅が24ビットバスで規定されているので、この機能を使うときは必ずビットストリーム(DSD信号のまま)で受ける必要がある。HDMI for Audioは、TA-DA5700ESがIN3とIN4、TA-DA3600ESがIN4。TA-DA5700ESのIN3はSACD/CD向け、IN4はBD/DVD向けと公表されている。
 電源部には、従来の約1/10に電源ノイズを抑えたハイブリッドデジタル用電源を搭載。また、スタンバイ時専用にスイッチング電源が設けられ、待機時消費電力を大幅に低減させた。このスイッチング電源は、オーディオ用の電源トランスが使われているときには停止し、回路からリレーで完全に切り離される。ちなみにドルビーTrueHD、DTS-HD MAの192kHz/24ビット マルチchデコード時、TA-DA5700ESはポストプロセッシングの制限が取り払われたようだ。一方、他の2モデルは共通して、音場補正、音場付加、EQなどが効かなくなる。
(執筆・編集 加藤 健)

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