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HOME > AVID VENUE S6L E-Girls 全国アリーナツアーの枢軸を担う

AVID VENUE S6L E-Girls 全国アリーナツアーの枢軸を担う
注目のプラグインフォーマット
PS これまで「AVID」製のコンソールで大きな特徴となっていたプラグインについては山下さん、どのように進化をしたのでしょうか。

山下 「S6L」ではプラグインモジュールの形式が変わり、対応するのが「AAX DSP」というフォーマットになったのですが、これまでみなさんがお使いだった「WAVES」社はまだこのタイプをリリースしておらず、今後も提供はないと予測されています。したがって今後のシステム展開としては「DiGiGrid」を使い、別CPUの構成で処理することが計画されており、おそらく今年の後半には実用になる見込みです。これまでの「VENUE」で行なってきた使い勝手はやはり実現させたいとのメーカー意向があります。あとは「WAVES」を待たずして、現在さまざまなメーカーがこの隙をねらってプラグイン・ソフトウエアの製品化を進めてきていますので、そのあたりでまた新しいスタンダードができていく可能性も見逃せません。むろん「S6L」に用意された「AVID」オリジナルのプリセット・プラグインも秀逸です。

岡本 特にリバーヴはとても良くなりました。

PS 以前であれば「ReVive」ですね。

山下 「S6L」では「ReVive II」が標準搭載となります。

岡本 空間系のエフェクトについては、もう充分に満足といえます。

PS では使い勝手のほうへ話を少し戻しまして、さて「S6L」使いこなしは難しいコンソールでしょうか。

岡本 自分自身としては、問題に感じるようなところはまったくと言っていいほどありません。字が細かいので少し見えづらい時があるくらいでしょうか。

PS ツアーがここまで進んできて、現段階の思いでかまわないのですが、「S6L」を使っていて苦労している、あるいは難しいと感じる点はありましたでしょうか。

岡本 先ほどもシーケンスの音づくりで話が重複しますが、音の分離がとにかく良いので、シーケンス音源のミックスがまとまるまでに時間を要しました。苦労をした部分といえますね。16のステレオ系統を受け取っているのですが、音がくっきりと出過ぎて、ちょっとしたミスでもごまかせません(笑)

システムエンジニアが見て聴いて感じた「S6L」
PS ではここからは、システムエンジニアとして岡本さんとペアでツアーを回られている「エムエスアイジャパン」PA1課の菅原さんに加わっていただいて、「S6L」の話を中心にまとめていこうかと思います。まず菅原さん、コンソールから信号を受け取る立場として関与されていて、そうした意味では上流からやってくる音は冷静に見守っていく必要があり、また大がかりなスピーカー・システムへとソースを的確に反映させるとても大事な使命があります。そうしたスタンスからの「S6L」への第一印象はいかがでしょうか。

システムエンジニアを務めた菅原拓也氏のブース。決して良い条件とは言えない環境であってもオペレーターが躊躇なく自信を持ってミックスを送り出せるのはシステムエンジニアの存在があってこそ
システムエンジニアを務めた菅原拓也氏のブース。決して良い条件とは言えない環境であってもオペレーターが躊躇なく自信を持ってミックスを送り出せるのはシステムエンジニアの存在があってこそ
菅原氏と岡本氏。2人は歳も近く普段から息の合ったコンビネーションを見せる
菅原氏と岡本氏。
2人は歳も近く普段から息の合ったコンビネーションを見せる
菅原 そうですね、まず解像度がきわめて高いということと、先代の「AVID」製品とはまったく音の世界観が異なります。したがってサウンドの質感としては、これまでと大きな違いを感じましたね。むろんすっかり異なる見た目、外観から受ける印象もむろんあるかと思いますが。

PS それは耳で聴いての印象ということでしょうか。

菅原 そのとおりです。聴感での印象です。計測上の波形ではそうした部分は出てきませんが、明らかに違いを感じ取っていますね。
 機材に現われた傾向と言うことでは、情報量の多さでしょうか。アンプの振れが多めの傾向にあるようで、やはり負荷が微増しているのかなという見解を持っています。

PS いま話に出ました解像度が高い、というところなのですが、システムエンジニアとしてどういった解析を。解像度の高さはどこから来ていると考えられますでしょうか。

菅原 これはあくまで予測の域ですが、処理能力が格段に上がっていることに加え、これまでの「Profile」では入出力やプラグイン、すべてがDSPで処理されていました。「S6L」ではこのアプローチが変わり、入出力処理をCPUで対応しています。DSPはプラグインのほかはさほど重い負荷がかかっていなかったと記憶していまして、やはり軽くなった分、処理能力が上がり、それが音に出ているのかなと見ています。

PS DSPが隨分と楽になっているわけですね。

菅原 そのとおりです。

PS 今回現場で実際に音を聴かせていただいて、先にも話しましたが、これまでとは高域に大きな変化があったように感じました。そのあたりについてはいかがでしょうか。内部処理の数値などは。

菅原 96kHz/24bitで処理が行なわれています。このあたりも旧モデル(48kHz/24bit)とは大きく異なるところです。おっしゃるとおり高域のキャラクターが異なりますので、基本的に受け取った信号を損失なく、そのまま送り出すのが私の仕事ではあるものの、新しいコンソールが持つ特質をシステムエンジニア側でも少し引き取って、それなりの処理を加えていくことも現時点では必要なことかと感じています。

PS 先ほど岡本さんがミックスの完成はまだ道半ばと話されていましたが、その検討項目のなかにはコンソールが持つ新しい特質、使いこなしも含まれていて、ミックスが完成した暁には必要がなくなるかもしれないけれども、過渡的な対応としてシステム側も協力し合って乗り越えて行くと。

菅原 試行錯誤ともいえるのですが、オペレーターもシステムもこれまでのアプローチを敢えて壊すことで、さらなる高みを目指す。「S6L」の登場で、そうした発想も生まれています。

PS システムエンジニア側としても何かしらのさじ加減をしてみることで新しい局面を見出そうということですね。とても果敢なアプローチかと思います。

さいごに
PS では山下さん、「S6L」がハードウェアとして進化しているポイントをピックアップしていただくとすれば。

山下 いま、会話に上がっていたように高域が少しきらびやかになっているのは事実です。サンプルレートやビット長が向上しているところでもあるのですが、それよりもむしろ「AVID」側のサウンド傾向への考え方が変化したと見るのが妥当かと思います。デザインチームは新しいメンバーですし、その分コンセプトに反映されていると言えます。以前のシリーズからはまた別のベクトルを持っているとお考えください。さらに1台のコンソール内で各部署は独立してOSが搭載されています。複数のPCがネットワーク上でつながって動作しているとイメージしていただければ良いかと思います。例えば液晶がNGになったとします。仮に本番中であったとしても、コンソール内部のハブに別の液晶ブロックを接続すれば、いとも簡単に復旧は完了します。むろん残すべきところはしっかりと引き継がれています。プラグインが活躍するというプラットホームや操作体系の根幹、またデータファイルの親和性は高く保たれています。

PS 稼働状態ではカラフルで明るく、視認性がきわめて良好でした。むろんタッチスクリーンという最近の主流なども網羅しています。まとめていただいて岡本さん、そのあたり最後にコメントをお願いいたします。

岡本 使い勝手としては、それはもう大満足です。コンソールとして使いやすい部類だと言い切ることができるでしょう。また、旧モデルと違って複数の同時操作も実現していますし、事実そうした機会も現場では実際にありますので重宝しますね。

PS これまで多くのコンソールはワンマンオペレート用という制限がありました。菅原さんはいかがですか。システムエンジニアから見た「S6L」。

菅原 冷静な判断として見れば、発展途上にあるというのが正直なところです。ただデジタルコンソールですし、アップデートによる性能の向上は今後大いに期待できる部分です。そこはアナログと違い自由度は高い。そうした意味では旧「Profile」がそうであったように、おそらくはこれからスタンダードなコンソールとして認知されていくものと思っています。「Profile」ユーザーは世界中に存在します。もっとも数が多いかもしれません。そこで「AVID」製の次世代製品ということで期待度は高いですね。

PS リリースしたばかりのコンソールはいろいろと不安がつきものかと思います。サブ機を用意してのツアーだったともうかがっていますが、結果的に一度も切り替えることなくここまで走ってこられました。あと少しとなりますが成功を祈念しています。今日は貴重な時間をいただきました。長い時間ありがとうございました。

AVID Senior Market Specialist ロバート・スコヴィル氏に訊く 「S6L」が世界的規模において驚異的なスピードで受け入れられた理由
 昨年のNAB Showで発表され、年末に出荷が開始された「S6L」。そのワールドワイドでの反応と、今後のアップデート予定について、先頃来日した「AVID」本社のライヴ・サウンド製品シニア・マーケット・スペシャリスト、ロバート・スコヴィル(Robert Scovill)氏に話を訊いた(編集部)。
北米/ラテン・アメリカの大手PAカンパニーはほとんど導入
 年末に出荷を開始した「S6L」ですが、我々の予想を大きく上回る反応となっています。「Avid」のライヴ・サウンド製品史上、最高の売り上げを記録しており、イニシャルの出荷台数は「D-Show」システムや「Profile」システムを大きく上回っています。おそらく、北米やラテン・アメリカの代表的なPAカンパニーは、ほとんど導入したのではないでしょうか。そういう会社に導入していただくと、自動的に著名なアーティストのツアーでも使われることになり(笑)、今現在もブラック・サバスやデュラン・デュランのワ-ルド・ツアーで「S6L」は世界中を飛び回っているはずです。

 これほどまでに「S6L」が成功を収めたのには、我々は大きく2つの要因があったと考えています。1つは高いコスト・パフォーマンス。「S6L」で採用されているコンポーネントやテクノロジーは最先端のものであり、その音質や機能を考えると、実はかなり費用対効果が高いんです。「S6L」を導入したPAカンパニーに話を訊いても、そのコスト・パフォーマンスを評価する声をよく耳にします。もう1つはShowファイルの互換性。PAカンパニーの多くは、既に「VENUE」を運用しているところが多いので、ツアーで使用していたShowファイルをそのまま読み込み、その上でより優れた音質と機能を手に入れられる点を高く評価しています。これは「VENUE」を所有しているカンパニーにとっては大きな魅力になっていると思います。「S6L」のデモのときに普段仕事で使用しているShowファイルを持参し、それを読み込んだらすぐに音が出たということで導入を決めた会社もありますし(笑)、ツアーの合間、わずか4週間のブレイク中に「Profile」システムから「S6L」に入れ替えてしまった会社もあります。

ロバート・スコヴィル氏
 「S6L」で当初搭載されていない機能も今後、「VENUE Software」のアップデートによって盛り込んでいく予定です。直近では、I/OシェアリングやDante対応カードやStage 16のサポートなどを予定*しています。また、グラフィックEQのフェーダー・オペレーション、Stage 16のサポート、そして「Waves」製プラグインも将来的には使用可能になる予定ですので、ぜひ今後の展開を楽しみにしていてください。

*本インタビューは2016年5月に実施されました。これらの機能は6月30日にリリースされたVENUE v5.2にて対応済みとなっています。


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