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PROSOUND REVIEW Co-Fusion D-5.5/S-3.0
D-5.5/S-3.0
 今回プロサウンド編集部から「Co-Fusion」の「D-5.5」と「S-3.0」パワーアンプのデモ依頼を受けた。「イースペック」からのメッセージとして、できれば設備で使って欲しいとの要望があったらしく、「池袋Adm」にお声がけをいただいた。先にも述べたが、ライヴハウスということで連日の稼働に加え、電源が入っている時間も長くアンプにとっては確かに過酷な状況に違いない。しかし「設備用」を謳うからには大いに期待をしたいところである。まずは「D-5.5」を見ていく。外見はバフが消された黒のメッシュのパネルを持つ2Uサイズ。背面から吸気しフロントパネル側で排気する仕組みである。電源を投入すると各チャンネルにブルーのLEDが点灯する。暗所でもブルーのLEDは視認性が良く好印象である。出力は8Ωで550W×2、重量は持ち運ぶのにはすこし重めと感じる22kgだが、重いということは良いトランスを搭載していると判断した。スルーレートは40V/μS、ダンピングファクターは400である。

 まずメインボーカルのフットモニターに接続。入力感度は0.8Vを選び「ワン・ツー」で試してみた。フロントパネルのグリーンのLEDが点灯する。アンプのボリュームはカチカチとステップごとに決まるセグメントタイプが採用され使い心地も良い。ボリュームは15時位置で使用してみる。このボリュームは再現性もあり、良いパーツを使用していると感じた。

 4Ωのモニター2本をアンプ設定でパラレルにセット。4Ωだとカタログスペック上850Wの出力で、モニターは300Wの入力。余裕をもってメインボーカルを返すことが出来た。音色は「ワン」の「ン」の中低域の膨らみ、200Hz〜630Hzあたりの中音域が残る印象。ダンピングファクターが400で、普段使用しているアンプの半分以下の数値である。しかし逆を言えば中音域の声の膨らみが好きなアーティストであれば気に入るサウンドである。3日間程センターモニターで使用したが、特にアーティスト側からのクレームは受けず、またアンプも熱くならずに余裕がある。空冷ファンのノイズもドライブ時であっても回転を感じないほど静かだ。デモ期間中にクリップランプが点灯したのは、ウッドベースのスラップ音を返す時にインジケーターがわずかに赤く点灯した程度だった。

池袋Adm
photo
1991年、池袋サンシャインシティにほど近い立地にオープン。正式名称は「池袋LiveGarage Adm」。山本恭司率いる伝説のパワートリオ、WILD FLAGがコケラ落としを務め、以後、アルカラ、BigBrother&The Holdingcompany、村上ポンタ秀一、TheElectros、カルメンマキ、遠藤ミチロウ、氣志團、佐久間正英、打首獄門同好会、PANTA、SHEENA&THE ROKKETS、SOUL D、SUNDAYS、Jimisen、JUNIOR BRETH、JOSY、長谷川浩二、ハンサム兄弟、バックドロップシンデレラ、ブルボンズなど錚々たるアーティストが出演している。床面積は約10×10m、天井高22.8m。メインのスピーカー・システムはJBL4778A(2241H)、同4771(2245H、2380+2445J、2404J)(2ボックス仕様)、パワーアンプはサブウーファーにアムクロンMA2401(アッテネーター:3時位置)、ローミッドにアムクロンCE1000、2445JとトゥイーターにヤマハP2100をそれぞれ使用
 背面には入力に0.8Vか1.6V感度かを選べる2段階のスイッチとステレオかパラレルモノ、もしくはブリッジのアンプ動作切り替えスイッチがある。ブリッジ仕様にした場合、オレンジ色のLEDが点灯するのでスイッチの切り替えミスを未然に防ぐことが出来るようになっている。もしもアンプにノイズが乗った場合はリフトスイッチがあるのでグランドを切り離しノイズの少ない方を選ぶことができる。次にメインの「JBL2380」+「2445J」を鳴らしてみたが、アンプのボリュームは8時位置で充分過ぎるほど鳴る。ホーン+ドライバーの能率の高さからか、クロスオーバー周波数付近の1kHzが出過ぎる印象を持った。こういう場合は感度を1.6Vに下げて使用すべきだろう。

 最後にメインサブウーファー「4778A(2241H)」を鳴らしてみた。550Wのパワーはこのキャビネットに合うスペックである。個人的にはもう少し低域の押し出しが欲しいところだが聴いた印象は色付けのない自然な低音を感じた。ひとつ残念に感じたことは、入力コネクターのXLRがロックタイプではないこと。固定設備での可能性は少ないかも知れないが、仮設の場合では、もしケーブルに足を引っかけてしまった場合など、抜け落ちてしまうことも考えられなくはない。ぜひ、ツメの付いたXLRコネクターを検討いただきたいと思う。その点以外はとても真面目につくり込まれているとの印象で、特に「池袋Adm」においては、フットモニターを鳴らすには最適だと感じた。

 次にモデル「S-3.0」だが、8Ω出力で300W×2、スルーレートは先の「D-5.5」と近似した41V/μS、ダンピングファクターは200 。サイズは1Uラックママウントでスイッチモード電源搭載、重量は8.0kgである。こうした電源部を搭載するアンプのメリットは、まずメンテナンスが便利なこと。さらに熱を持ちにくく、重量はトランスタイプの約半分以下。それでいて出力も大きな数値が出ており、音抜けが良くレンジ感が広く感じる場合も多い。また近年ではDSPを搭載するモデルもあり、目的となるスピーカーに適したプロセッシングを行ない、周波数特性やリミッターを最適化できる機種も増えている。ただ高周波の影響を受けやすいこともあり、例えば動力電源(エレベーターなど)がアンプの近くにある時などノイズに悩まされることもある。実際、今回もこの「S-3.0」で照明のシーンチェンジを行なう際、SCRノイズに反応し「ジー」といったノイズが発生する場面に遭遇している。当ライブハウスの電源事情の相性かと思われるが、時間の制約から原因究明の検証までには至っていない。ただ、こうしたことがなければホーンドライバーなどの高域部を受け持たせるだけの魅力を持っていることは確かである。また外現場でもエフェクターを持ち歩く感覚で2Uラックに入れて現場をこなせるし消費電力も少なく、本番時電源が不安定で低下が見られる時には重宝する。コンパクトなサイズと安定動作、そしてパワー、省エネがこうしたアンプのメリットである。

 このモデル「S-3.0」も「D-5.5」同じくブルーのLEDをアッテネーターの周囲に配置。早速「PEAVEY 2445(4Ω)」モニターに接続したが、「ワン・ツー」テストの段階で能率とのマッチングの影響か、クリップランプがすぐに点灯。サウンド的にも「D-5.5」とはまた趣が異なり、きれいでスムースな音ながら押し出し感がどちらかと言えば少なめで、モニターとしてはバンドサイドのリクエストにも応じにくいかもしれず、ロックバンド向きではないようにも感じた。ただ前述したように今回は時間の制約で実現はできなかったが、ハウスシステムのハイミッド帯域で使ってみればどうかとの印象を持った。次回もしチャンスがあれば、試みてみたいと思っている。

 ちなみに今回のリポートは、「池袋Adm」という、ある限定された機材という条件の下でのひとつの結果であることをお断りしておきたい。試聴に使ったスピーカー・システムは決して最新モデルではなく、また使い込まれてもいるのが実状である。ただ、東京都内だけでも現在ライヴハウスは相当数稼働している。そのなかで最新機材が潤沢に使えるところはどの程度あるのだろう。その点から見れば、このリポートもそれなりの参考になるのではと期待している。多少なりとも参考になれば幸いである。
製品問合せ先 イースペック(株)TEL:06-6636-0372 http://www.e-spec.co.jp
photoS-3.0 Specification

●電源:AC100V 50/60Hz ●消費電力:350W
●出力:8Ω=300W×2、8ΩBTL=840WW、4Ω=420W×4 ●周波数特性:20Hz〜20kHz±0.5dB(8Ω、1W) ●スルーレート:41V/uS ●入力感度:1V/1kHz ●S/N比:95dB以上 ●ダンピングファクター:200以上(8Ω以下) ●外形寸法:H44×W485×D462㎜(1Uサイズ)
●重量:8.0㎏


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