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インタビュー&レビュー “いい音”を身近に楽しめる エレコムの商品戦略 〜エレコム Text= 中林直樹 Photo= 土屋宏/古山久美/後藤敦子
 年間に生み出される製品はおよそ5,000 点、現行製品はなんと約1 万5 千点にものぼるというパソコンおよびデジタル機器関連製品を手がけるエレコム株式会社。同社がこのところイヤフォン/ヘッドフォンの開発テーマのひとつとして掲げているのが「音質の追求」だ。

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エレコム株式会社
商品開発部開発3課
課長・福良卓二さん

次なるテーマはハイレゾPC分野を牽引してきた同社がPCと親和性の高いハイレゾ分野に挑む
 それを象徴する2つの製品がある。ひとつは6月に発売されたばかりのイヤフォンEHP-CA3580 シリーズだ。「GrandBass System」という、その名の通り重低音の充実を図ったモデルである。開発を指揮したのは商品開発部開発3課課長の福良卓二さん。「昨年の秋に発売したEHP-CA3560 シリーズを皮切りに、GrandBass Systemの第一弾EHP-C3570 シリーズ、そして今回のEHPCA3580シリーズと、お手頃価格を維持しながら高音質を狙う方向に舵を切りました」。

 福良さんは同社が創業して約3年後に入社。社員番号は一桁だそうだ。500 名近い従業員の中にあって、きっとレジェンド的な存在に違いない。また、2006 年に発売したラインストーンをあしらった女性向けイヤフォンEAR DROPS シリーズを開発し、ヒットさせた人物でもある。そんな同社の重要人物が新製品づくりに参画しているのだ。エレコムの会社としての意気込みがここからも伝わってくる。

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イヤフォン エレコムEHP-CA3580 O.P(. 実勢価格4千円前後)

●型式: 密閉型●ユニット: ダイナミック型15.4mm●周波数特性:10Hz 〜22kHz ●インピーダンス:16Ω●プラグ形状: ステレオミニ●感度:100dB/mW ●ケーブル長:1.2m ●質量: 約12g ●備考: イヤーチップ(S/M/L)、コードキーパー、ポーチが付属●発売時期:2014年6月
 EHP-CA3580 は、大口径の15.4mm ドライバーを搭載。さらにその背面にチャンバー(空気室)を設けることで、自然な形で低域を増強する。さらにマグネットをユニットの前面にも採用。磁束密度を高め、レスポンスの向上を図った。さらに、ハウジングにアルミパーツを取り付け、低音のキレをチューニングしている。

 早速本機で、このところのリファレンスアルバム、ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』を聴いてみた。96kHz / 24 ビットのハイレゾファイル。まず感じたのはベースの力強さだ。しかも輪郭が程よく引き締まり、音楽全体が躍動するようだ。ヴォーカルやコーラスはマイルドで聴きやすい。次に超ヴェテランのビブラフォン奏者、ボビー・ハッチャーソンの新作『エンジョイ・ザ・ヴュー』(96kHz / 24 ビット)を再生した。オルガンの低域が分厚く鳴り響く。しかし、それが決して演出的にならないのが好ましい。また、ボリュウムを絞っても低域が痩せずバランスが保たれている。

 ところで同社のワイヤレスマウス、EX-G シリーズを愛用している読者も多いことだろう。これはドイツのiF デザイン賞2014 を受賞したモデルだ。さらに2013 年度のグッドデザイン賞も獲得している。このイヤフォンはそんなEX-G シリーズと同じデザイナーの手によるものだそうだ。スポーツアパレルのような明るめのカラーリングも印象的だ。

 福良さんは言う。「次のキーワードはハイレゾ。私たちの出自はご存知のようにパソコン関連機器です。そこで培ったものを活かし、またお客さまの意見も取り入れ、これまでのオーディオブランドにはないアイデアを形にしたいと思っています」。確かに、ハイレゾはパソコンを介して楽しむことがほとんどだ。つまりエレコムのスタンスと、ハイレゾ環境とはひじょうに親和性が高いのである。エレコムのセンスがどのように注入されるのか楽しみだ。
Bluetooth 対応製品の先駆者 音が良く、長時間使用が可能なBluetooth レシーバーLBT-PAR500AV
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エレコム株式会社
商品開発部開発2課
課長代理・遠藤稔也さん
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Bluetooth レシーバー エレコム LBT-PAR500AV O.P(. 実勢価格7千円前後)

● Bluetooth 仕様:Version4.0/2.4GHz ● 通信距離:Class1(最大100m)●対応プロファイル:A2DP/HFP/HSP/AVRCP ● 対応コーデック:SBC/AAC/aptX ●ヘッドフォン出力:100mW+100mW ●連続待受け時間: 最大約350 時間●音楽再生時間:18 時間(SBC)、12 時間(AAC)、12 時間(aptX) ● 寸法/質量:W23×H68.5×D15.2mm /約25g ●発売時期:2014年4月

エレコムAVD サポートセンター☎ 0570(022)022
 次の製品だが、詳細を記す前にご担当者から紹介したい。商品開発部開発2課課長代理の遠藤稔也さんである。遠藤さんは実はとあるオーディオ&ビジュアル専業ブランドで商品企画などに深く関わっていた人物である。筆者もその時代に幾度となく取材をさせていただいた。そんな彼が新天地として選んだのがエレコムの関連企業、ロジテックだった。ロジテックといえば、おそらく日本で最初にBluetooth 対応製品を発表したブランドだ。ゆえに、この方式に関してはノウハウがあった。「しかし、オーディオ&ビジュアル畑出身者としてはもっと音質を良くしたいという気持ちが常日頃からありました」。そこで2009 年、無線伝送時に欠落した音を補完する技術Sonaptic を用いた耳掛けタイプのLBT-HP120C2 シリーズを開発。そして翌年にLBT-HP04 を発売。これはコンパクトなカナル型のハウジングにBluetooth 送受信部やバッテリーを内蔵したモデル。高域を滑らかにするチューニングも施された。さらに左右合わせて約13g という軽さも魅力で、爆発的にヒット。それはBluetoothがオーディオ用のワイヤレスフォーマットとして認知された瞬間でもあった。

 そんな成功を経て今年5月に登場したのがLBT-PAR500AVである。ちなみに、ロジテックのオーディオ&ビジュアル関連製品は2012 年エレコムブランドと統一されたが、企画開発部隊はそのまま移行されている。だから、ロジテックで培ってきたBluetooth のノウハウは確かに受け継がれているといってよい。

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Bluetooth レシーバー+イヤフォン エレコム LBT-PHP500AV O.P(. 実勢価格8千円前後)

左記でご紹介したBluetooth レシーバー/ LBT-PAR500AV にイヤフォンをプラスしたセットも併売される。10.2mm ドライバーを搭載したイヤフォンはフラットケーブル仕様で絡まりにくい
 さて、本機はもちろんBluetooth 対応で、ヘッドフォンアンプとRF アンプ(電波用)を内蔵する。「Bluetoothについて、お客さまのニーズや不満を調査しました。すると、音途切れする、好きなイヤフォン・ヘッドフォンを鳴らしたいなどといった声が寄せられました。であればそれらをすべて叶えるものを作ってみようというのが開発のきっかけでした」と遠藤さんは言う。

 ヘッドフォンアンプは最大出力100mW + 100mW。30 〜50mW のものが多い中で群を抜くパワーだ。だから、手持ちの大型ヘッドフォンでも余裕で鳴らせる。また、Bluetooth のIC はそれ自体でもClass1 の出力とすることは可能だが、あえて全チャンネルでフラットな特性を持つClass2 に設定。それをRF アンプで持ち上げることによってClass1 性能を獲得した。 これにより全帯域に渡って安定した伝送が行なえるため、音途切れの不安を大幅に解消した。しかもその上で長時間駆動を実現している。その要因は、ディスプレイをあえて排し、その分のパワーをアンプに回したことにある。

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「PC 分野をリードしてきたエレコムが、イヤフォン/ヘッドフォン、さらにBluetooth 対応製品により音楽の聴取スタイルを変えてしまうかも知れない
 「都会で働く方が一週間充電なしで持ち運べるような連続再生時間を目指しました。たとえば、一日往復3時間×5日間で15 時間です。それが目標でしたが、結果的に18 時間とすることができました」。

 本機とイヤフォン、シュアSH846 を組み合せた。BECK の『モーニング・フェイズ』では、ヴォーカルを中心に、アコースティックギターやピアノが周囲に自然に配置される。音場も広く、かつ濃密でワイヤレスであることをまったく感じさせなかった。悠々とした鳴りはやはりアンプの力強さによるものだろう。低域には存在感があるが、それが決して暴れないところもよい。

 そして現在、次のBluetooth対応製品も企画中だという。それは軽量のオーバーヘッド型。室内でゆったりと過ごしたいときに最適な仕様になるそうだ。2モデルが企画され、年内の発売を目指している。

 2人のキーパーソンが語ってくれたエレコムの過去、現在、未来。そこから新たなエレコム像が浮き彫りになってきた。そう、イヤフォンもヘッドフォンも強いエレコム、である。同社には製品の開発タームを極めて短くできるというアドヴァンテージもある。だから、エレコムのチャレンジは、ライバルメーカーにとっては戦々恐々とせざるを得ない一大事なのだ。

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