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HOME > JBL PROFESSIONAL Intellivox 導入レポート:東京カテドラル聖マリア大聖堂

PROSOUND特別企画 JBL PROFESSIONAL Intellivox 導入レポート:東京カテドラル聖マリア大聖堂 取材協力:宗教法人カトリック東京大司教区、株式会社JVCケンウッド・アークス、ヒビノ株式会社 設備音響の世界で今、大きな注目を集めている「JBL PROFESSIONAL」のスピーカー・システム、「Intellivox」。縦長のユニークな筐体デザインが印象的な「Intellivox」は、垂直方向の指向角をDSPで制御することで、空間全体に均一なサウンドを再生することができるコラム型パワード・スピーカーだ。「JBL PROFESSIONAL」独自のテクノロジー、“ビーム・シェイピング(DDS)技術”によって、様々な形状/広さの空間に対応する「Intellivox」は、次世代の設備用スピーカー・システムとして、国内外の多くの施設に導入され始めている。 ここで紹介する『東京カテドラル聖マリア大聖堂』もいち早く「Intellivox」を導入した施設の一つ。この聖マリア大聖堂は、故・丹下健三氏が設計した世界的にも有名な聖堂で、鉄筋コンクリート造による約7秒という非常に長い残響を特徴としていた。しかし、一方で聖堂なので当然、司祭が朗読などを行うのだが、長い残響のために多くの人たちから“言葉が聴き取りにくい”という意見が挙がっていたという。それが今年初めに導入された「Intellivox」によって、大きく改善されたとのこと。そこで本誌では大聖堂にお邪魔し、「Intellivox」導入に至るまでの経緯と、導入後の使用感について関係者の方々に話を伺ってみることにした。
日本最大規模のカトリック教会『東京カテドラル聖マリア大聖堂』
 東京都文京区関口にある『東京カテドラル聖マリア大聖堂』は、カトリック関口教会の聖堂であるとともに、カトリック東京大司教区の中心となる聖堂である。故・丹下健三氏が設計を手がけた世界的にも有名な聖堂であり、ご存じの方も多いのではないだろうか。

 『東京カテドラル聖マリア大聖堂』の創設は1899年(明治32年)のことで、その前年に木造・ゴシック様式で建造され、1920年(大正9年)に司教座聖堂になった。しかし1945年(昭和20年)、第二次世界大戦の東京大空襲によって聖堂は焼失。その後、しばらく新聖堂を建造できない期間が続いたものの、主に同じ敗戦国であったドイツのケルン大司教区の多大な支援により再建設が決定する。そして1963年(昭和38年)4月に起工し、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)12月8日に献堂したのが、現在の聖マリア大聖堂なのである。

東京都文京区関口にある『東京カテドラル聖マリア大聖堂』。日本最大規模のカトリック教会である
東京都文京区関口にある『東京カテドラル聖マリア大聖堂』。
日本最大規模のカトリック教会である
 司教が儀式で被る冠、“ミトラ”を彷彿とさせる独特の意匠が印象的な聖マリア大聖堂。面が捻られたRC造のHPシェルが計8枚、お互いに支持し合うような構造になっており、これだけの規模の建造物でありながら柱が無い(これは、同じ年に建造された丹下氏設計の代々木第一体育館も同様)。空から見下ろすと十字架のようなシンボリックなデザインになっているのも特徴だ。まさに昭和のモダニズム建築を代表する建造物の一つと言っていいだろう。カトリック東京大司教区本部事務局事務局長・法人事務部長で、カトリック司祭である高木賢一神父は、「祭壇の面積が非常に広いことも、この聖堂の特徴」と語る。

「ここは司教座聖堂ということもあり、様々な儀式が行えるよう、祭壇がとても広くなっているんです。おそらく司祭が100人くらい上がれるのではないでしょうか。これだけの広さの祭壇がある聖堂というのはなかなかないと思います。席数は432で、後ろにパイプ椅子を並べればもっと収容できます。先日の復活祭では900人くらい収容しました。丹下健三さんもこの建物にはかなり愛着があったようで、葬儀はここで行われ、納骨もここにされています」(高木神父)

約半世紀に渡り関係者を悩ませてきた長い残響
 素晴らしい建築物である『東京カテドラル聖マリア大聖堂』だが、音響的には竣工以来、大きな悩みを抱えていた。建物は鉄筋コンクリート造で、約7秒と残響時間が非常に長いため、司教をはじめとする司式者の言葉が聴き取りにくかったのである。この約半世紀、教区本部には会衆だけでなく、壇上にあがる司祭からも“朗読が聴き取りにくい”という意見が寄せられていた。高木神父によれば、残響時間が長くなってしまった理由は設計や構造だけでなく、建造当時の儀式がラテン語で行われていたことも大きかったという。

『東京カテドラル聖マリア大聖堂』は、故・丹下健三氏が設計を手がけた。空から見下ろすと十字架のようなシンボリックなデザインになっている
『東京カテドラル聖マリア大聖堂』は、故・丹下健三氏が設計を手がけた。空から見下ろすと十字架のようなシンボリックなデザインになっている
「建造当時は儀式がラテン語で行われていたので、響き重視というか、厳密に内容が理解できなくても特に問題はなかったんです。しかし1962年(昭和37年)から1965年(昭和40年)にかけて、第2バチカン公会議という全世界のカトリック教会を対象とした全教会的な規模の会議がローマで行われ、その中でラテン語で行われていたミサを各国の言葉で行うという方針が打ち出されたんです。これは非常に大きな出来事だったんですが、丹下健三さんが設計を開始したのは第2バチカン公会議の前だったので、残響時間は長いままだったんですよ。自国の言葉でミサを行うようになると、もちろん響きも大切なんですが、言葉が聴き取れるかどうかということが重要になってくる。そこから残響の長い大司聖堂では、その対策に苦労するようになったと言えます」(高木神父)

 言葉の聴き取りにくさを解決するため、カトリック東京大司教区では約半世紀に渡り、様々な策を講じてきたという。しかし、宗教法人カトリック東京大司教区霊園担当の白数正風氏によれば、まったくと言っていいほど効果はなかったそうだ。

「スピーカーを何度か替えましたが、上手くいきませんでしたね。今も残っているんですが、平面振動板のフラット・パネル・スピーカーを導入してみたり……。結局、響きを少なくしようとボリュームを絞ると音が聴こえなくなってしまい、逆に音量を出すとワンワン響いてしまうんです。この大聖堂を建てたときの責任者だった白柳誠一神父が、後に大司教になってから、飛行機で隣り合わせたある会社の社長にある音響施工の会社を紹介してもらったそうなんですが、その会社でもどうにもならないと匙を投げたそうです」(白数氏)
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