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New Product Update
長年「JBL PROFESSIONAL」で、可搬性に優れたポータブル・システムに付けられてきた「EON」。手軽に高品位なサウンドが聴けるシステムとして人気を博している。今年2月に発売した「EON208P」は4chのマイクアンプを持った8chミキサー部と8インチ・ウーファー搭載のスピーカーからなり、2年前に発表された6インチ・ウーファーと2chマイクアンプを搭載した「EON206P」の上位モデルに当たる。このニューモデルを、エンジニアの阿尾茂毅氏に実際のライヴで使用してもらい、そのインプレッションを語っていただいた。

持ち運びやすさと設置の早さに脱帽

PS 「EON208P」のテストを行なった状況を教えてください。

阿尾 まずは家で音を出して機能の確認をして、藤沢JAMMiN’というカフェで行なったライヴでステージ・モニターとして使いました。
 こういうポータブルPAシステムで、大事なのは持ち運びのしやすさとセッティングの早さ。「EON208P」では、スピーカーとアンプとミキサーが入っているのに、まるでギターケースを持っているんじゃないかというくらい軽いです。スペックでは16kgと書いていますが、持ちやすいのもあって、とても軽く感じます。ケーブルやマイクの収納スペースがあるのも便利です。また、スピーカーを外す時もボタン1つですし、あとは付属のスピーカーケーブルを繋いで、電源に挿せばすぐに使える。非常に早いです。

PS ミキサー部のEQやリヴァーブの効果はいかがでしたか?

阿尾 リヴァーブについては、以前にテストした「EON ONE」と一緒で、クォリティが高く綺麗に掛かるんですが、ディケイが4.5秒くらいと長い。曲のテンポが速いと長すぎます。

PS EQの掛かり具合はいかがでしたか?

阿尾 Trebleは8kHzぐらいから、Bassは125Hzくらいから効いてくる感じです。できれば、マイク用のハイパス・フィルターが欲しいと思いました。Bassでも低域は切れるんですが、マイクの不要な低音はフィルターで切って、Bassは全体の音の調整に使いたいと思いました。よくミッドレンジ用にパラメトリック型EQが入っているコンパクトミキサーがありますが、周波数が固定されていないので、素人には使いにくいんです。そこを高域と低域のシェルビングだけにしたのは、ユーザーのことを考えたいい選択だと思います。
 他の機能は、ちょっと表示がわかりにくいんですが、ファントム電源は1chと2ch同時に、Hi-Zは3chに掛かります。入出力端子は豊富で、Bluetoothも使ってみましたが便利でした。コンパクトなミキサーですが、入出力に関してはかなり豊富だと思います。

不思議に感じるほど ハウリングが起きにくい

PS 阿尾さんはライヴ現場で“不思議なくらい、ハウらない”とおっしゃっていましたね。

阿尾 そうなんです。「dbx」も「JBL PROFESSIONAL」もHARMANグループなので、ハウリング・サプレッサーでも入っているんじゃないかと思うくらい。家でチェックした時、あまりにハウらないので、電源を入れゲインも上げて、スピーカーのグリルにマイクをくっつけました。それでもハウリングが起きない。何か入っていないと、そんなことありえないじゃないですか(笑)。

PS カタログや説明書で触られていないのでハウリング・サプレッサー機能は内蔵されていないようですね。ハウリングが起きるような状態にしたとき、音質に影響はないんですか?

阿尾 音質が変わらないのも不思議なんですよ。家でのチェックも75dBくらい出して試しましたが、ハウリングは起きませんでした。「EON208P」は、音響についてまったく知識のない人にも使ってもらえるようなシステムになっているんだと思います。これだけスピーディにセッティングできるのに、音を出していきなりハウリングしたら“このPAシステム使いにくい”と絶対に思われますからね。

PS 指向角は水平100°、垂直60°と広めですが、いかがでしたか?

阿尾 今回はモニターに使いましたが、あおりの角度がちょうど良くて、充分なモニター・エリアを作ることができました。垂直方向60°も、ポールマウントしても充分なカバーエリアを持っていると思います。また、最大音圧レベル121dBというのも、普通に使うなら問題は起きない音量です。

PS 音質はいかがでしたか?

阿尾 8インチ・ウーファーのイメージからすると、ちょっと低域は早めに落ちていきますが、中域から高域はフラットでピークを感じることはない良い音でした。

PS ミキサー部に、サブウーファーへの出力端子があるので、ハイボックス的な使い方も考えているとか。

阿尾 低域を伸ばすならサブウーファーを加えてください、という設計者からのメッセージかもしれません。おっしゃる通り、ハイボックス的な使い方を考えている可能性はあります。「EON208P」は、聴いた印象ですが85Hz〜100Hzくらいから低域が落ちていくんですよ。サブウーファーとの組合せを考えて、意図的に切っているかもしれません。そうしないと、繋いだときに干渉が起きて、音がわるくなるんです。

PS そこも割り切りが上手いですね。この「EON208P」と組み合わせるサブウーファーとなると、おそらく「EON618S」だと思うのですが、クロスオーバー周波数は80Hz/100Hz/120Hzから選べるようになっています。阿尾さんが聴き分けた周波数とほぼ合っていますね。

阿尾 やっぱり(笑)。セッティングは一瞬だし、低音を豊かにしたければサブウーファーを加える、ハウリングは起きにくい。
 Tester Profile   阿尾茂毅
あお・しげたけ。1956年富山県生まれ。河瀬直美監督作品「殯の森」(2007カンヌグランプリ)、同監督作品「二つ目の窓」の音声を担当。「二つ目の窓」では2014年カンヌ国際映画祭で、唯一エンジニアとしてレッドカーペットを歩く
音響のことを何もわからない人でも簡単に使えるよう、とてもよく考えられた設計だと思います。「EON208P」は無骨なデザインだし、重さも軽いから、ちょっと音を気にする人もいるかもしれませんが、見ためを裏切るしっかりとした音が出てくるので、ぜひ一度聴いてみてください。驚くと思います。

PS ありがとうございました。


Specification
誰もが使える、シンプルかつ直感的に操作できるミキサー部。ポータブルPAシステムに必要とされる機能は揃っており、さらに「AKG」製ハンドヘルド・マイクも付属。3.5mmステレオ・ミニプラグのヘッドフォン端子を持つ
誰もが使える、シンプルかつ直感的に操作できるミキサー部。ポータブルPAシステムに必要とされる機能は揃っており、さらに「AKG」製ハンドヘルド・マイクも付属。3.5mmステレオ・ミニプラグのヘッドフォン端子を持つ
■パワード・ミキサー部●入力:8ch(4モノラル+2ステレオ)●入力端子:1ch〜4ch=XLR/標準フォーンの複合型端子。5/6ch=標準フォーンまたはRCA端子。7/8ch:標準フォーンまたはステレオ・ミニプラグ●出力端子:モニターL/R=標準フォーンまたはRCA。ヘッドフォン出力:ステレオ・ミニプラグ。サブウーファー出力:標準フォーン。スピーカーL/R=標準フォーン●機能:シェルビングEQ=高域/低域(±12dB)。●パワーアンプ:300W(150W×2)、D級●寸法/質量:W301×H465×D206mm/4.7kg■スピーカー部●形式:2ウェイ・バスレフ型●指向角度(水平×垂直): 100°×60°●ユニット構成:LF=8インチ(約203mm)、HF=1インチ(25mm)●クロスオーバー周波数:2kHz●寸法/質量:W296×H457×D259mm/5.7kg■システム共通●周波数レンジ(-10dB):60Hz〜20kHz●最大音圧レベル(ピーク):121dB SPL●寸法/質量:W658×H465×D301mm/16kg(連結時、本体のみ)●付属品:スピーカーケーブル(約4.5m)×2、「AKG」製ダイナミック・マイクロホン、マイクホルダー、マイクポーチ、マイクケーブル(約4m)、電源コード
■価格:オープンプライス(実勢価格69,800円前後、税抜)
■問合せ先:ヒビノ(株) プロオーディオセールスDiv. TEL:(03)5783-3110
スピーカーをミキサー部に取り付けた連結状態。パワーアンプはD級、エンクロージュアはポリプロピレン製で重量16kgと女性でも運べる軽さになっている
スピーカーをミキサー部に取り付けた連結状態。パワーアンプはD級、エンクロージュアはポリプロピレン製で重量16kgと女性でも運べる軽さになっている
8インチ・ウーファーと1インチ・ドームトゥイーター+ホーンの2ウェイ。底面の穴でポールマウントも可能
8インチ・ウーファーと1インチ・ドームトゥイーター+ホーンの2ウェイ。底面の穴でポールマウントも可能


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