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HOME > JBL PROFESSIONAL 数々の最新テクノロジーを投入した新型ラインアレイ VTX-A12

取材協力:ヒビノ株式会社  ヒビノプロオーディオセールスDiv.
写真:原田恵子
多くのプロフェッショナルを唸らせた名機を、次々と市場に投入してきた「JBL」。現在は「ハーマン・グループ」に籍を移し、コンシューマー製品とプロ製品は分けられ「JBL PROFESSIONAL」ブランドになり、世界各地の施設、ツアーなどで使用されている。この度、そのツアリング向けラインアレイ・スピーカーのハイエンドモデル「VTX」シリーズに、新型トランスデューサーと革命的といえるまったく新しい発想のリギング・システムを搭載した「VTX-A12」が加わった。ここでは、その新モデルの開発を主導したプロダクトマネージャー、ジョージ・ゲオルガリス(George Georgallis)氏に、「VTX-A12」に投入されたテクノロジーを訊いた。

培ってきたノウハウとユーザーのフィードバックを受けて生まれた新VTX

「ハーマングループ」ツアー・サウンド・システム部門のプロダクトマネージャーを務めるジョージ・ゲオルガリス氏
「ハーマングループ」ツアー・サウンド・システム部門のプロダクトマネージャーを務めるジョージ・ゲオルガリス氏
PS 最初にジョージさんのプロフィールを教えていただけますか。

GEORGE GEORGALLIS(以下、GG) 私はツアー・サウンド・システム部門のプロダクト・マネージャーを務めています。「ハーマン・グループ」には多くのブランドがありますが、ツアー・サウンド・システム部門はそのブランドの垣根を越えて、ツアリングに適した製品の開発を行っています。ですから、「JBL PROFESSIONAL」のスピーカーだけでなく、「CROWN」のパワーアンプなど、すべてのツアー向け製品の開発を担当しています。

PS それでは、今回ラインアレイのハイエンド・シリーズ「VTX」に加わった「VTX-A12」について訊きたいと思います。まずは、どういったきっかけで12 インチモデルの開発をはじめたのでしょうか。

GG これまで「JBL PROFESSIONAL」のハイエンド・ラインアレイ「VTX」シリーズは、15 インチ・ウーファー2 基の「VTX-V25」、10 インチ・ウーファー2基の「VTX-V20」がありますが、いずれも発売から数年経っています。ラインアレイは、現在SR で使用されているスピーカーシステムの主流ですし、我々もそろそろ新しいラインアレイを開発する時期だと考えました。そこで、いままでの「VTX」シリーズを補完しさらに底上げできるような12 インチ・ウーファーを搭載した製品の開発を始めました。

「VTX-A12」の内部構造。中央に高域ドライバー、その外側に中域と低域のユニットが配置されている。RBI ウェーブガイドは、これまでの「VTX」シリーズと異なりウーファーの前まで伸びている
 私たちは新製品をリリースする度に、それまでに培ったノウハウやユーザーのフィードバックを活かしてきました。この「VTX-A12」は、ラインナップとしては「VTX」シリーズになりますが、トランスデューサーなどの、ほぼすべての部分をこれまでの「VTX」シリーズから一新したモデルです。

 ご存知の通り、現在のマーケット動向を見ると、音質が優れているだけでなく、コンパクトで軽く、セッティングしやすいラインアレイ・スピーカーの開発に各社が力を入れています。我々も次に発表する新型ラインアレイはその市場動向に沿った様々な現場で活躍できるモデルにしたいという目標がありました。また、12 インチウーファー・サイズとすることで、中規模から大規模のホールやライヴで活躍するラインアレイを供給したい、というのも目標の一つでした。加えて、私達がこの「VTX-A12」で目指したのは、よりワイドレンジな周波数特性、低歪み、高出力である事。そして、これまでにないシンプルなリギング・システムを持つモデルにすることでした。

一新されたトランスデューサー

高域ドライバーの「2423K」。ドライバーからの音は、この特殊形状の音道を通ることで優れた高域特性を獲得している
高域ドライバーの「2423K」。ドライバーからの音は、この特殊形状の音道を通ることで優れた高域特性を獲得している
「2423K」に接続されたフェイズプラグと一体化したウェーブガイド。縦のスリットからRBIウェーブガイドに高域成分が放出される
「2423K」に接続されたフェイズプラグと一体化したウェーブガイド。縦のスリットからRBIウェーブガイドに高域成分が放出される
RBI ウェーブガイドの裏面。ウーファー部分がお椀状になっており、低域特性をコントロールする
RBI ウェーブガイドの裏面。ウーファー部分がお椀状になっており、低域特性をコントロールする
PS 「VTX-A12」に投入された音質に関する技術を、順を追って教えていただけますか。

GG まず、ユニット数は「VTX-V25」「VTX-V20」を踏襲し、高域にコンプレッション・ドライバー3 基、5.5 インチのミッドレンジ・ユニット4基、12インチ・ウーファー2 基、合計9 つのユニットを搭載しています。そのすべてが新開発のユニットとなっています。

 それでは、高域を受け持つコンプレッション・ドライバー「2423K」からお話ししていきましょう。まず、ダイアフラムはポリマー製リング・ダイアフラムを採用しました。一般的にコンプレッション・ドライバーのダイアフラムは、チタンやアルミといった金属を採用することが多いのですが、その金属特有の響きが乗ってしまいます。その響きをなくすためにポリマー材を採用しました。また、ポリマー製のダイアフラムは、優れた制動性能により分割振動が起きにくく歪みの大幅な低減にも寄与しています。

 「JBL PROFESSIONAL」は、トランスデューサーの開発から生産まですべて自社で行なえる事が強みなのですが、これまでは各部門それぞれが、より高性能なものを求めて開発していたため、横の連携がうまく取れていませんでした。それを「VTX」シリーズの開発時から、一つの部門に統合して設計するよう組織変更をしました。そうしたことで、チーム一丸となって、コンプレッション・ドライバーから特殊な形状の出力口、その先のフェイズプラグやウェーブガイドまで、統合した一つのデザインとして設計できるようになりました。その結果、ドライバーからウェーブガイドまでの距離を短くすることに成功し、20kHz 付近まで伸びる優れた周波数特性を得ることができました。

PS 中域、低域のユニットも一新していますね。

GG はい。ミッドレンジの「2165H」、ウーファーの「2264H」、共に私達が特許を持つ“ ディファレンシャル・ドライブ” を採用しています。開発してから15 年ほど使われている技術で、2 つのボイスコイルを持ったネオジム磁石を搭載した磁気回路を持っています。こうすることで、コーンがより大きく振幅でき、耐入力が増加しています。特にウーファー「2264H」は、第4 世代となり、2 つのボイスコイルそれぞれにネオジム磁石による磁気回路を持ち、より振幅する距離が伸びたことで、サイズを越えた大出力と強力な制動力を獲得しています。
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