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インターネットを経由した音声伝達技術サービス「ResoNetz」が宿すライブ・でコーディングと音楽リスニングの未来像
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レコーディングに始まり、コンテンツ制作から配信、リスニングまでの一貫したシステムを、音の入り口から出口まで信頼のできるプロダクトを揃え、総合的に提唱するのが、エムアイセブンジャパン、シンタックスジャパン、そしてレゾネッツ・エアフォルクの3社が掲げる “MUSIC EcoSystem”だ。今年のInterBEE(2015年11月18日〜20日)では、同社ブースでこのビジョンのデモンストレーションが行われる。このMUSIC EcoSystemについて、株式会社エムアイセブンジャパンの村井清二氏と、レゾネッツ・エアフォルク株式会社の丹下昌彦氏に話をうかがった。
インタビュー・執筆:伊藤 大輔
株式会社エムアイセブンジャパン 株式会社シンタックスジャパン  代表取締役 村井 清二(むらい せいじ)氏 2004 年 2 月に株式会社エムアイセブンジャパ ン、2006 年 1 月に株式会社シンタックスジャ パンを設立。日本におけるデジタル・オーディ オ・ツールのパイオニアとして、現在まで数多 くのハイテク電子楽器および業務用音響機器製 品の日本市場参入と、市場育成に貢献している
株式会社エムアイセブンジャパン
株式会社シンタックスジャパン
代表取締役 村井 清二(むらい せいじ)氏

2004 年 2 月に株式会社エムアイセブンジャパ ン、2006 年 1 月に株式会社シンタックスジャパンを設立。日本におけるデジタル・オーディ オ・ツールのパイオニアとして、現在まで数多くのハイテク電子楽器および業務用音響機器製品の日本市場参入と、市場育成に貢献している。
——まずは MUSIC EcoSystem の概要と、そのビジョンを発案するに至ったきっかけを教えてください。

村井 音楽業界において、ライブ・ビジネスは右肩上がりの産業です。全国各地で優れた演奏コンサートが数多く行われており、着実に収益を伸ばしています。一方で、特に貴重なコンサートであれば、その生演奏を体験できる人は限られてしまいます。当社はレコーディング用の音響機器を取り扱っていますが、素晴らしいライブの瞬間を切り取り、できるだけ生に近い音で、多くのお客様に届けたいという思いを以前から持っていました。

——ライブコンテンツ「RME Premium Recordings」は、インターネット・ラジオ局のOTTAVAとともに、コンテンポラリー・クラシック作品のリリースもスタートされましたね。

村井 私たちは、CDフォーマットの約8倍の空間表現が可能なハイレゾ録音のサウンドを、いかにホーム・リスニングの環境にお届けし、皆さんに楽しんでもらえるかを常に考えています。「OTTAVA records × RME Premium Recordings」の作品は、単に高域特性を可聴帯域以上に伸ばしただけではない、位相ズレのないナチュラルでピュアなサウンドを目指しています。その目的の達成のために、“タイムドメイン録音”を採用し、レコーディングにRME製品を用いてハイ・サンプリングレートで録音しています。レコーディングだけでなく、コンテンツ制作から配信、リスニングまでの一貫したシステムを、音の入り口から出口まで信頼のできるプロダクトを揃え、総合的に提唱するのが、エムアイセブンジャパン、シンタックスジャパン、そしてレゾネッツ・エアフォルクが掲げる“MUSIC EcoSystem”です。そのなかで中核となるのが、レゾネッツ・エアフォルクの「ResoNetz Link」という技術です。ResoNetzは、レコーディングしたサウンドをIP化してA地点からB地点に伝送する、最新のオーディオIPプロトコル技術=「ResoNetz Link」を用いた伝送技術サービスです。

——音楽を作る側からリスナー側が受け取って聴くまでの環境を、総合的に提唱するのが “MUSIC EcoSystem” というわけですね。遡りますが、タイムドメイン録音についてもう少し詳しく教えていただけますか。

村井 それについては、毎日放送の入交氏よりコメントを頂いていますので、ご紹介しましょう(下記のコラム参照)。

「RME Premium Recordings」の録音も手がける  毎日放送 入交 英雄(いりまじり ひでお)氏の考察
 毎日放送では、ハイレゾ・立体音響による音楽コンテンツの録音事業を開始しました。私たちの目指す録音コンセプトで最も重要なテーマは、コンサート会場の臨場感を、お客様のリスニングルームでも再現できるように収録することです。
 その実現に向けて様々な工夫を行なっています。その一つに、楽器の近くに配置する補助マイクについて、メインマイクとの距離差で生じるディレイを相殺する処理というものがあります。この処理により、音が濁らず、会場の空気感を明確に伝えることが出来ます。
 また、ピアノの独奏でも、会場の空気感を捉えるアンビエンスマイクを8本程度使用し、3次元サラウンド空間で立体音響を再生できるように考慮しています。ステレオにダウンミックスするときも、これらのアンビエンスマイクを調整し、現場の雰囲気を最大限伝えるように工夫しています。
 例えば、8月に「RME Premium Recordings」よりリリースされた古楽アンサンブル、コントラポントの『ヴェスプロ』という作品は、残響時間7秒という教会での収録でしたが、長大な残響と音楽の明瞭度を両立できるように格闘しました。
軽井沢・大賀ホールにて、RME 製品を用いたレコーディングの様子
軽井沢・大賀ホールにて、RME製品を用いたレコーディングの様子
マルチチャンネルで聴くと、まさに教会の中で前から3列目ほどの座席に座っているかのように、芳醇な残響とくっきりした音楽が無理なく同居しています。CDのステレオバージョンでは、マルチチャンネルに比べると残響感はやや控えめになっていますが、音楽の明瞭度と、教会の残響感が紙一重のバランスで両立しているものと思います。
 もし、補助マイクのディレイを合わせなかったとすると、微少ディレイによる音のピントズレによって、ここまで残響感を高めることはできなかったでしょう。再生システムの重要な要件は、インパルスがきちんと再生されることだと考えていますが、録音系でこの思想を実現するためには、ワンポイントマイクか、ディレイ補正を施した録音システムが必要です。村井氏はこのシステムを“タイムドメイン録音”と呼ばれましたが、まさに元波形を正確に再生するという思想に合致した録音方法だと考えています。
——“タイムドメイン録音”とは、ライブの空間で鳴っている音楽をいかにそのままの形で収録し、家庭で楽しめるものにするのかという発想から生まれているものだと分かりました。......それではResoNetzとは、これらのコンテンツを伝送することに着目し、ライブ・ストリーミングを前提に生まれた伝送技術ということになりますか。

村井 その通りです。例えば音響環境の良いホールでのコンサートは、キャパシティの問題などで、すべてのお客様にチケットが行き渡らないということが起こります。このような時に、「ResoNetz Link」を用いて遠隔地の別会場に24ビット/96kHz以上のマルチ音声データを伝送すれば、演奏会場のライブをリアルタイムに体験することが出来ます。また将来的には、自宅環境でも優れたストリーミング・ライブが楽しめるようになるでしょう。それ以外にも、ライブの音声データを遠隔地のスタジオに伝送し、リアルタイム・ミックスを行なうという環境も構築できます。私たちが行なったResoNetzの実地実験では、軽井沢・大賀ホールでのライブのマルチ音声を、インターネット回線を介し、リアルタイムに東京のスタジオへ伝送し、関係者を集めてサラウンド環境で試聴しました。そのときの低遅延で高音質なサウンドからも、ResoNetzのポテンシャルを実証することができました。

——ResoNetz Linkの送受信機が対応するデジタル音声フォーマットに、MADIを採用した理由は?

村井 MADI(AES10)は、録音/放送業界で長年愛用されており、AES3をベースとする安定した規格であると同時に、オープンなフォーマットでもあるのが最もたる理由です。当社では、MADIソリューションとして、RMEを始め予算やサウンドのニーズに対応するため、「Ferrofish」、「SSL」といったメーカーのプロダクトも用意しています。このMADIを遠隔地へ伝送するためにIP化するプロトコル(Audio over IP)として開発したのがResoNetz Linkなのです。

——ResoNetzはどういった顧客にアピールできるものと思われますか。

村井 まずはライブ中継の録音/放送に携わるプロフェッショナルの方々です。また、国内のインターネット・インフラは高いレベルにあり、100Mbps程度のデータ通信はエンドユーザーでも可能ですから、ハイレゾのライブ・ストリーミングに必要な通信環境は、すでに整っていると言えます。ですから、エンドユーザーに届けるという将来も見据え、良い音楽や優れた演奏を高音質で伝送するResoNetzは、今後大きく発展していくものと考えています。
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