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2010年秋に発売されたオーエスのピュアマットII EXが、昨今大画面ファンの間で大きな話題となっている。3D化、4K化と近年のプロジェクターの変革、性能向上には目を見張るものがあるが、そのクォリティアップをしっかりと受け止めるハイエンドスクリーンとして、熱心なファンから高い評価を受けているのだ。5月上旬、東京・綾瀬のオーエスプラスe本社を訪ね、この話題のスクリーン、ピュアマットII EX誕生までの経緯を訊いてみることにした。

 ピュアマットII EXは、ポリエステル繊維を織り上げた布地タイプの拡散型マットスクリーンである。光が全方向へ均一に反射する性格を持つ拡散型スクリーンのゲイン(利得/反射率)は、せいぜい0・8強に留まるというのがこれまでの業界の常識だった。しかし、ピュアマットII EXは5度ゲインで0・93、3度ゲインで0・97という驚くべき数値を達成している。ウイスキーのCMコピーではないが、入射光に対して「何も足さない、何も引かない」というのが拡散型スクリーンの理想とすれば、0・97というスペックから、本スクリーンはそれをほぼ達成したと理解していい。ちなみに「○度ゲイン」というのは、幕面に対して垂直をゼロとした場合の、○度の位置から測定した値をいう。
 では、この「理想のマットスクリーン」を開発するにあたって、どんな苦労があったのか、その詳細を聞いてみよう。インタビューに応じてくださったのは、オーエスエム知財開発グループ・リーダーの井口清之さん、同グループの前田和則さん、オーエスプラスe営業チームリーダーの神崎健太朗さんの3人。井口さんは同社テレビ会議システムで兵庫工場から参加いただいた。

あるがままの絵を映し出す理想のスクリーンを求めて

 オーエスは拡散型スクリーンとしてファブリック(布地)タイプの開発を十年以上続けている。初代モデルは2000年12月に発売されたピュアマット、続いて02年2月にピュアマットII、03年4月にピュアマットII plusを発売してきた。つまり、今回のピュアマットII EXは7年ぶりの新製品ということになる。では、なぜオーエスはファブリックスクリーンの開発を始めたのか。いくつかの理由があると神崎さんはいう。
  「ピュアマット以前、われわれはポリ塩化ビニールやPETを用いた安価なホワイトスクリーンを販売していました。しかし、経時変化による折皺の問題と、液晶などの画素固定型プロジェクターの映像を投写した場合のモアレ(干渉縞)発生の問題を完全解決できずにいました。いっぽう当時は塩ビシートの焼却処分時に有害物質ダイオキシンが発生することがマスコミなどで問題にされ始めた時期でした。そんな事情が重なって新素材の探求が急務だったのです。
  そこで当時の開発担当役員が、スクリーンの歴史は綿生地映写から始まっているじゃないか、今こそスクリーンの基本に立ち戻ってオーガニック素材のファブリックを検討しようと言い始めたのです。当時、弊社役員に紡績会社出身の繊維のプロがおりまして、メーカーから数十種類の布地を取り寄せ、どの布地がスクリーンにいちばん相応しいか、モアレを抑えるためにはどのような織り方をすればいいのかを研究し、ピュアマットを完成させたのです」



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ピュアマット進化の歴史
2000年12月
ピュアマット(WF)
●5度ゲイン:0.5±10%●半値角:60度以上
※ファブリック素材を使い、表面をポリエステル梨地織り、裏面は繻子織りとすることでモアレ対策を施した高品質スクリーン

2002年2月
ピュアマットII(WF201)
●5度ゲイン:0.8±10%●半値角:60度以上
※ピュアマットの裏面にグレーのバックコートを施すことで光の透過を抑え、より高いゲインを獲得

2003年4月
ピュアマットII plus(WF202)
●5度ゲイン:0.8±10%●半値角:60度以上
※バックコートをグレーから黒に変更し、より深い黒再現を実現したモデル。ゲインはピュアマットIIとほぼ同じ値をキープ

2010年11月
ピュアマットII EX(WF203)
●5度ゲイン:0.9±10%●半値角:60度以上
※表面コートの成分中の酸化チタンの分量を最適化することで、ゲインを1.0に近づけることに成功。これまでの自然な色再現等を引き継いだまま、明るいスクリーンを実現

ピュアマット幕面の変化
 写真左下から初代ピュアマット→II→II plus→II EXのスクリーン生地を並べてみた。バックコートの有無が主な違いだが、表面の印象もそれぞれ異なっている。意外にもII EXは初代ピュアマットに一番幕面の印象が近い
ピュアマットシリーズの断面図
 ピュアマットシリーズは、表面を梨地織り、裏面は繻子織りという異なる方式を同時に織り上げるという独自の工法を採用している。各シリーズの違いはバックコーティングの素材、色が中心となる
ピュアマットIIのバリエーション


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