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ナチュラルなトーンはそのままに、「明るいピュアマット」を実現せよ 山本浩司

 様々な素材の中から、ギラツキやテカリが出ず、色再現にクセの少ないポリエステル繊維を選び、モアレ除去のために工夫を重ね、表面はランダムな梨地織り、裏面は規則的なパターンの繻子(しゅす)織り、それを同時に織り上げる特殊な手法をオーエスは確立した。つまり、梨地織りで画素固定型プロジェクターから投写される規則性のある画素の並びとの干渉を防いでモアレの発生を抑え、強度を高める繻子織りでスクリーン自体の平面性を向上させようというわけである。
   ピュアマットは強調感の少ないナチュラルな画調で「賢者の目」を持つAVファンの支持を受けた。しかし、投写光や背面からの光が織り目の間を抜けしまうという弱点があり、スクリーンゲインも0・5程度と暗かった。そこで、透過光を遮り、より一層の高画質化を図るためにバックコートを施して生れたのが、ピュアマットII(5度ゲイン0・81)とピュアマットII plus(同0・80)である。バックコートは、ふつうに裏打ちするとそのコーティング材の色がスクリーン表面上にまだらに浮き上がってしまう。そこで色のついた樹脂を織物に染み込ませる発泡コーティングの手法が採られた。
   「バックコートの色は、当時多くの評論家の皆さんにも意見をうかがって、最終的に濃いグレーを採用しました。それがピュアマットIIです。いっぽうゲインが少し下がり、バックコートの細かいキズが目立ちやすく製造に手間がかかるという弱点を抱えながらも、独得の濃厚な映像が味わえる黒コーティングを施したのが、ピュアマットII plusです。故朝沼予史宏先生がこの黒コートを強く支持してくださったのですが、02年12月に亡くなられ、ピュアマットII plusをご堪能いただけなかったのが今なお心残りで……」と神崎さんはいう。

3Dへの対応力も身につけた当代最高性能の趣味のスクリーン

   以後、ピュアマットII、ピュアマットII plusは、迷光対策が施された完全暗室のリファレンススクリーンとして多くのAVファンの支持を受けてきた。しかし、3Dプロジェクターの登場を控え、このナチュラルな画調を活かしつつ、3Dメガネ越しに観る3D映像の暗さを補えるスクリーンが必要だという意見が市場から出始め、ピュアマットIIの改良作戦が始まることになる。拡散型スクリーンでありながら、スクリーンゲイン1・0に限りなく近づけるという試みだ。
   製品開発に従事する井口さん、前田さんたちの奮闘が始まった。様々な手法を検討した結果、スクリーン表面のコーティング材に白の顔料の基本である酸化チタンの配合を工夫することで、ゲイン向上を図ることにしたのだが……。
   「これが予想以上にたいへんでした。材料メーカーさんと一緒にその配合を決めていったのですが、ターゲットの1・0に近づけるのがとても難しいんです。いっそのこと1・5とか1・8とハイゲイン化するほうが断然簡単なんですよ。まさに指の皮一枚の微調整を繰り返し、ターゲットに近づけたのです」と井口さんはいう。
   「いっぽう酸化チタンの配合を変えることで、同時に基準色温度D65からの偏差を極小化することも目標としました。いくらゲインが理想値に近づいても、ホワイトバランスが不自然では商品になりませんから」と前田さんが付け加える。
   そんな苦労を乗り越えて完成したピュアマットII EX。Hi Vi視聴室に取り付けられたこのスクリーンに、ソニーの4KプロジェクターVPL-VW1000ESの映像を映し出してみたが、なるほどピュアマットIIに比べて、よりいっそう輝かしいハイフォーカスな映像が楽しめることがわかった。とくにその差が大きいと実感したのが3D映像。米国盤BD「ヒューゴの不思議な発明」の、パパジョルジュの絵コンテが乱舞するシーンの立体描写のすばらしさ、その表現力の豊かさに思わず息をのんだ。
   3D&4K時代を見据え、時間をかけて注意深く開発されたピュアマットII EX。当代最高性能の趣味のスクリーンとして、完全暗室を実現したこだわりの大画面ファンにぜひお勧めしたいと思う。



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地道な試行錯誤の繰り返しが、理想のスクリーン生地を生み出した
↑ピュアマットII plusの表面 ↑ピュアマットII EXの表面
ピュアマットII plusとII EXの表面拡大写真。基本的な素材や織り方は同じなので、その点では変化はないが、よく見るとII EXの方が輝きが強いのがわかるだろうか

↑ピュアマットシリーズの開発に当っては、バックコートの色や濃さを変えたスクリーンを試作した。右上がその背面で、上から赤、青、黒、グレー(濃さ違い)の5種類。左はその表面の様子だが、確かに白のトーンは異なっている
ピュアな白の再現性が格段に向上
↑オーエスでは、スクリーン上で再現される白が色度図上のどの位置にあるかを、きちんと測定している。上はその測定結果で、6500Kの白に対してオーエスの製品はほとんどが誤差の範囲内に収まるという
高い平面性を求めてさらなる改良も検討中
←同社兵庫工場で試作中のニューモデル。いわゆるサイドテンション式を採用しており、天吊式で平面性の高いスクリーンが欲しいというユーザーからの声に応えたものだという
スクリーンゲインの測定方法
↑ゲインとは、投写された光をスクリーンがどのように反射するかを示す値のこと。5度ゲインとは、スクリーン中央に垂直方向に光を照射し、中心から同一円弧上を左右60度の範囲で5度ずつ移動したポイントでの明るさを測定したものだ

株式会社オーエスエム
知財開発グループ リーダー
井口清之さん
株式会社オーエスエム
知財開発グループ
前田和則さん
株式会社オーエスプラスe
営業チーム リーダー
神崎健太朗さん


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