HiVi WEB ホーム > PHIATON:TPOで製品を選べる信頼度の高いブランド

OEMで培った技術を自社ブランド「フィアトン」に結集
ラスベガスで毎年開催される世界最大級の家電コンベンションショー、CES。新製品や新技術を発表する場として、毎年多くのメーカーやディーラー、ジャーナリストなどで活況を呈するイベントだ。そんな会場で2008年、ひとつのブランドがお披露目された。それがフィアトンだ。
(Text=中林直樹・Photo=土屋 宏)
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美しいデザインと、良質な音との融合
 フィアトンの母体となるのは、クレシン社。韓国を代表する音響機器の専業メーカーである。同社は、その前進となる大韓軸針製作所時代から、50年以上に渡ってヘッドフォンやイヤフォン、リモコン、バッテリーチャージャーなどをOEMやODMで生産している。クライアントからの高い要求に応える技術力や生産力は、とうてい一朝一夕では蓄積できないものだ。これを自社ブランドに活かそうと考えるのは、極めて自然な発想。そこから優れた製品が誕生すれば、もちろんコンシューマーにとっても好ましいことである。

 そんなクレシン社が100%出資することで船出したフィアトン。設立当初からワールドワイドの市場を視野に入れ、カリフォルニア州アーバインに本拠を構えている。ブランド名は、ギリシャ語で黄金比を表わすPHIと、音色を意味するTONEをANDでつなげたものだ。つまり、美しいデザインと、良質な音との融合を掲げているのである。
“あの赤いヘッドフォンは何だ?!”――発売前から話題に
 ここで、フィアトンの知名度を高めたエピソードを紹介したい。2008年の北京オリンピック。韓国の自由形水泳選手、パク・テファンは金メダル1つ、銀メダル1つを獲得した。これは韓国競泳界史上初めての快挙で、いわば日本における北島康介のようなヒーローである。そんな彼に、大会前、目前に発売を控えたMS400が手渡される。これは韓国にルーツを持つフィアトンが、応援の気持ちから送ったものだ。実は、パクは欧米のメーカーの製品を複数所有する、ヘッドフォン好きであるという。そしていよいよ400m自由形の決勝レースが始まる。プールサイドに登場したパク、その頭にセットされていたのが、まさにMS400だったのだ。そして金メダル奪取。当然、彼の身につけるものにも注目が集まる。こうしてMS400は発売前にも関わらず、一躍脚光を浴びる存在になったのだ。あの赤いヘッドフォンは何だ、と。

 これは決してフィアトンのプロモーション戦略ではなかった。集中して競技に取り組んでほしという純粋な想いから、アスリートに手渡されたものだろう。こうしたひらめきが時として、立ち上がったばかりの企業を大きく回転させていく。
ラインナップは「モデナ」と「プライマル」の2ライン
 現在、わが国で入手できるのは、「モデナ(MS)」と「プライマル(PS)」という2ラインだ。いずれも実売で1万円から3万円のレンジに収まっている。この面だけを考えても、同社がミドルクラス以上のラグジュアリーなブランディング戦略を取っていることがわかる。

 MSはヘッドバンドやイヤーパッドに、ヴィヴィッドな赤を用いたスポーティなデザインが印象的だ。パク選手が愛用したMS400、そのジュニアモデルのMS300をラインナップ。シリーズに共通するのは、ハウジングにカーボングラファイトを採用していることだ。剛性の高さと、軽さを併せ持つこの素材のおかげで、歪みや濁りのない再生音を目指している。ちなみに、この部分の成型は手作業だそうだ。

 一方のPSは型式や機能などが豊富に揃う。インナーイヤーではカナル型のPS200とハーフカナル型のPS210、PS20がラインナップされる。PS210にはiPhoneなどの通話に便利なワンボタンマイク付きリモコンを付属したPS210iというヴァリエーションもある。また、PS20NCは、PS20をベースにノイズキャンセル(NC)機能を追加したモデルだ。ドライバーはPS200がバランスドアーマチュア型(デュアル)で、その他はダイナミック型としている。

 オーバーヘッド型はPS320、PS500とNCタイプのPS300Niの3機種。PS320は同軸上に高域用、中低域用の2つのドライバーを組み込み、広いダイナミックレンジと充実した低域の両立を図っている。PS500は振動板にチタニウム蒸着を施したハイエンドモデルだ。PS300NCiには同社オリジナルのVHST技術が搭載されている。詳しくは別項に譲るが(右記参照)、ノイズキャンセル時に発生しがちな耳への圧迫感や音の歪みを低減するものだ。いずれのデザインもクラシカルで落ち着きのあるトーンにまとめている。
さまざまなリスナーの幅広いニーズに応える“多様性”
 このようにフィアトンの製品群は一見、機能、あるいは音づくりの面において一貫性を排除しているように感じる。だが、それは製品それぞれの違いがくっきりと浮き彫りになっていることに他ならない。つまり、素材やデザインについて徹底した研究がなされ、その結果として産み落とされたひとつひとつのプロダクトなのだ。この多様性こそがリスナーの幅広いニーズの受け皿になる。

【問合せ先】
 フィアトンコーポーレーション(フリーダイヤル:0120-959-234)
 http://phiaton.jp/

“PCオーディオ&iPodはスマート音楽生活を約束”がコンセプト「DigiFi(デジファイ)」No.2(5/6発売)でも、この記事をお読みいただくことができます。

DigiFi
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MS400 価格:オープンプライス(実勢価格25,000円前後)

●型式:密閉型●ドライバー:ダイナミック型●インピーダンス:32Ω●コード長/質量:1.2m/185g(ケーブル含まず)●プラグ形状:ミニ(標準変換プラグ付属)

カーボングラファイトファイバーをハウジングに採用。固さと軽さを兼ね備えており、音の自然な響きを阻む不要な振動を低減する。もちろん、本体の軽量化にもつながっている。また、ハウジングをバスレフ構造とした。これはドライバーユニットの背面から発生する音をコントロールすることで低音の力感をアップさせる狙い。試聴してみればその効果の大きさを痛感するはずだ。ドラムスはパワフルで、押し出し感も上々。ハウジングのサイズを大きく凌駕したような鳴りっぷりだ。ロックのヴォーカルやディストーションギターもざらりと表現、さらに音場が大きいため、音楽の醍醐味を十分に堪能できる。ヘッドバンドやハウジングなど可動範囲も大きくフィットさせやすい。
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PS300NCi 価格:オープンプライス(実勢価格28,000円前後)

●型式:密閉型●ドライバー:ダイナミック型●インピーダンス:32Ω●コード長/質量:1.6m/約140g(充電池含む、ケーブル含まず)●プラグ形状:ミニ(標準変換プラグ付属)●備考:ノイズキャンセリング機能搭載

外部ノイズを約90%カットするというノイズキャンセリング(NC)機能を搭載。そこにVHSTと呼ばれる独自の技術を組み込んだことが最大の特徴だ。NC時にはその回路の副作用として内部の圧力が変化し、鼓膜に圧迫感や違和感をもたらす場合が多い。また、圧力の変化は振動板にも悪影響を及ぼしかねない。それらを回避しようというもので、心臓の弁をヒントに開発されたという。薄いシリコン膜が内部の圧力によって開閉し、空気の流れを調整するのだ。そのおかげもあって、NCがオンでもオフでも音に大きな違いが生じない。まとまりが良く、聴きやすいサウンドだ。ワンボタンマイク付きのケーブル(同梱)と交換も可能。充電パックはUSBからの給電にも対応する。
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PS210 価格:オープンプライス(実勢価格1万円前後)

●型式:ハーフカナル●ドライバー:ダイナミック型●インピーダンス:32Ω●コード長/質量:1.2m/約8.2g(ケーブル含まず)●プラグ形状:ミニ

ハーフカナル型の形状がユニークである。これはインイヤー型のように本体を耳のくぼみで支える構造。本体との設置面が大きいため安定したフィット感をかなえている。音はノズル状に伸びた部分から耳内に放出される。これはカナル型の特徴を取り入れたものだ。だから、インイヤーとカナルのハイブリッド形状と言ってもよいだろう。ドライバーは14.3mmとこのタイプでは大型のもの。さらにデュアルチャンバー(2つの空間)を設け、低音域を自然に増幅している。驚いたのは、奥行きと広がりの表現力だ。見晴らしの良いサウンドスケープを描いている。それにピアノ、ストリングスなどの響きがひじょうにクリーミー。装着感の高さとあいまって、音楽でリラックスしたいときに好適だ。
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PS20NC 価格:オープンプライス(実勢価格13,000円前後)

●型式:ハーフカナル●ドライバー:ダイナミック型●インピーダンス:26Ω●コード長/質量:1.5m/約32.5g(バッテリー含む)●プラグ形状:ミニ、航空機用デュアル●備考:ノイズキャンセリング機能搭載

コンパクトながらノイズキャンセル機能を搭載。スペック上では外部騒音を95%も遮るという。その効果の高さにも驚くが、さらに評価したいのは、オン/オフを切り替えても音質に変化が少ないこと。ある帯域を増幅することでノイズをマスクしたり、NC回路自体のノイズが音に乗ったりすることもない。サウンドは、低音を重視したものである。ドラムやベースにたっぷりとした深みがあり、音楽の鼓動が聴き手に伝わってくる。ギターのボディの鳴りや余韻もしっかり伝えるから、そこに濃密な音空間が広がっていく。ハーフカナルタイプで、装着感も秀抜だ。電源は単4乾電池1本のみ。コントローラー部にはモニターボタンも装備。長押しすることで、外部の音を聴くことができる。
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