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HOME> Pioneer AV CENTER

mainv2.jpg
 マルチチャンネル仕様のパワーアンプ、各種音声デコード、音場処理を行なうDSP回路、さらにハイレゾ音源までカバーするネットワークオーディオ機能などなど、ひとつの筐体に多彩な技術を集約し、ホームシアターシステムの核として機能するAVセンター。ただでさえ、そのサイズは巨大化し、電力消費量も大きくなりやすいが、とりわけクォリティ、機能性を追求した高級機では、その傾向が強くなる。

 こうなると、AVセンターが小型化、高効率化(省エネ化)を図りやすいデジタル増幅に向かうのは自然な流れ。実際、入門機を中心にデジタルアンプ技術を導入するケースが多く、本体の小型化、省エネ化を両立させたスタイリッシュなAVセンターが製品化され、人気を集めている。

 ところがひとたび、高級機に目を向けてみると、状況が一変する。まだまだアナログ増幅全盛で、7チャンネル、9チャンネルのパワーアンプ回路を内蔵しているにも関わらず、消費電力を抑えようという機運はまったくと言っていいほどない。かつて一時期、デジタルアンプ技術を採用するメーカーもあったが、その多くは路線を変更し、現在はアナログ増幅のラインナップを構築している。

 こうしたなかで、デジタルアンプの大きな可能性に着目し、唯一高級機として、音のいいデジタル増幅技術に挑戦し続けてきたのがパイオニアだ。クォリティ、機能性、デザインと、贅を尽くしたフラッグシップモデル、SC - LX90(2008年、愛称はスサノオ)の開発をきっかけに、パイオニアでは「デジタルでなければ表現できない世界がある」(LX90開発担当者)と確信し、その路線を継承しつつ、着実に進化させてきたのである。
パイオニアの音を見直し誰もやったことのない技術にトライ
photo
パイオニアホームエレクトロニクス株式会社
技術部 第一技術部 技術一課
主事 平塚 友久 さん
 「アンプとしての効率ひとつをとっても、アナログでは30%前後が限界ですが、デジタルなら優にその倍の効率が確保できます。クォリティについても、入力信号に対する反応のよさは圧倒的で、ウーファーをしっかりとグリップして、確実に制御する。とにかくローレベルのリニアリティについては、アナログアンプとは比較になりません」。

 パイオニアのオーディオ機器全般の音づくりに深く関わる平塚友久さんがデジタルアンプの音質面の優位性をわかりやすく話してくれた。

 ただこうした優位性を製品として引き出すのはそう簡単ではない。確かにデジタルアンプの増幅技術としての素性のよさは誰もが認めるところだが、実際に音を仕上げていくと、まず正確に、素直に反応することの難しさに悩まされることになる。具体的には、大振幅から微小な信号まで素直に反応するがために、それに伴なうノイズも区別することなく一緒に増幅してしまうし、S/Nやインピーダンス変動など、電源回路の善し悪しがそのまま音として反映されてしまう傾向が強くなる。デジタルアンプはまさに諸刃の剣なのである。

photo ←パイオニアAVセンターの高音質ハイパワー出力の心臓部が「ダイレクトエナジーHDアンプ」だ。この中にあるパワー素子「Direct Power FET」が半導体チップを基板に直結させる独自のシンプル構造を構築。高音質化、ハイパワー化、高効率化を可能にしている(SC-LX87/LX77/LX57/2023)

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↑SC-LX87では出力段前の信号処理部をセパレート化し、アナログ小信号部と大電力部のデバイスをわけて信号処理することで互いの干渉を抑え、残留ノイズを大幅に軽減
 「デジタルアンプは大きなD/Aコンバーターのようなものですから、ノイズ対策、特に高周波ノイズを如何に抑えられるかが重要になります。電源、グラウンドと、大電流を使うノウハウが必要になるわけですか、このあたりはやはりわれわれが手がけた初めての本格デジタルアンプ、SC - LX90の経験が大きな資産になっています。デジタル増幅の素子はICEパワーからIR製へと変わっていますが、そこで培ったノウハウはいまも有効ですし、さらに2世代、3世代と開発を続けてきたことで、わかってきたことも少なくありません」。

 こう話す平塚さんの表情は自信に満ちて、デジタルアンプに対する信頼のようなものがうかがいしれる。そして「パイオニアとしてはその可能性を信じています。ですから今、アナログ増幅に戻る選択はありません」と加えた。
理想の再生環境を創り出すパイオニア独自技術の進化
photo
パイオニアホームエレクトロニクス株式会社
事業企画部 商品企画部 コンポーネント企画課
主事 山田 喜行 さん
 このアンプのクォリティを最大限に引き出し、ユーザーにより大きな感動を体験してもらうための独自の提案も数多い。そのひとつがHDMI接続されたユニバーサルプレーヤーをアンプ側のクロックで制御し、同期させる技術、PQLS(プレシジョン・クォーツ・ロック・システム)である。

 もともとHDMIはPC伝送を想定したDVI規格を元に開発されたこともあって、オーディオ的な配慮、特にジッター(時間軸の変動)に対する意識がほとんどない。つまりいかにジッターを抑え、安定した状態でアンプ側のデコーダー回路へと送り込めるかによってクォリティが大きく左右されることになるわけだが、パイオニアはこの部分を見逃すことなく、鋭いメスを入れたのである。

 「以前、われわれはオーディオ用としてi・LINKを実用化していましたので、デジタル伝送時のジッターがいかに音質に影響を与えるのか認識していました。ですからi・LINKに続いてHDMIでジッターレス伝送をやるというのは当然の流れでした。CD再生からのスタートでしたが、リニアPCMマルチへの対応を経て、現在はビットストリーム、SACDにも対応できる仕様へと進化しています」。LDプレーヤー、DVDプレーヤー、そしてユニバーサルプレーヤーと、歴代のパイオニアのAVプレーヤーの企画を手がけてきた山田喜行さんにとって、PQLSの実用化はひとつの悲願だったに違いない。

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pioneer10.jpg
←今やパイオニアの基幹技術のひとつ、ソフト制作時のLFEチャンネルの時間遅れを自動補正する同機能。精度アップの進化とともに、操作アプリ上で調整値が表示され、きめ細かなレベル調整が可能となっている
 そしてパイオニアAVセンターの存在を広く世に知らしめた技術として忘れてはならないのが、第17回、HiViグランプリの頂点、ゴールドアウォードを射止めたVSA - AX10で実用化された独自の音場補正技術、MCACCである。

 当時、高性能のDSPを駆使し、音場空間を拡げるという提案が一般的だったが、パイオニアの発想はまったく違っていた。音源を制作する現場(ダビングステージ)と、実際にその音源を再生するユーザーの部屋とでは、空間の大きさだけでなく、使われるスピーカーも違えば、部屋としての残響特性も異なる。

 ならばAVセンターで部屋そのものの音響特性までコントロールして、ダビングステージに近い再現性を実現しようではないか。その大胆不敵な発想に我々AVファンは驚嘆し、本当にそんなことが可能なのか、半信半疑でAX10のマルチチャンネル再生を体験することになる。ところがそれは完全な杞憂だった。明確な定位、スムーズな拡がりが得られるだけでなく、自ら身を置いた空間がまるで呼吸しているかのように伸縮し、空気感が変わったかのようなリアリティに、皆、歓喜の声を上げ、その感動を享受したのである。

 「こうした音場補正の研究はかなり以前から手がけてきたわけですが、デバイス(DSP)とアルゴリズムの進化によって、ようやくAX10で実用化することができました。以降、周波数と音圧レベルの2次元補正に、時間軸の概念を追加した3次元での補正を追加したり、従来、難しいといわれていた定在波の制御に踏み込んだり、さらにはスピーカーのネットワークによる位相のずれを全帯域に渡って補正したり、この10年以上、コンテンツ重視の姿勢を崩すことなく、毎年、改善を加えてきました。今年のSC - LX87では、われわれが理想とするダビングステージでの再現性に大きく一歩近づけたのではないかと自負しています」。MCACCやフェイズコントロール等のパイオニア独自DSPアルゴリズム開発を担当した佐野健一さんのコメントである。
ダビングステージのサウンドをそのまま家庭に届けたい
パイオニアホームエレクトロニクス株式会社
技術部 第一技術部 設計二課
副参事 佐野 健一 さん
 今年のトップモデル、SC - LX87でもダビングステージの音を目指すというスタンスは変わらない。地道にクォリティを高めてきた9チャンネル仕様の「ダイレクトエナジーHDアンプ」を核としたキープコンセプト路線で、AVセンターとしての表現力の向上が最大のテーマだ。

 電源回路の低インピーダンス化、アースの徹底管理と、クォリティアップに向けた細かな改善点は少なくないが、最大の話題はやはりESSテクノロジー製の32ビットDAC「SABRE32 Ultra DAC」の採用だろう。すでに高級オーディオ機器を中心に搭載例の多い今が〝旬〞の素子であり、パイオニアとしても昨年リリースしたプリメインアンプ、A70でこの系統のDACを搭載している。

 「アンプとしての潜在能力を最大限に引き出すことが狙いでしたが、DACを変えたことで予想していた以上に情報量が増えて、正直、ちょっと戸惑いました。これまで聴こえなかったものが聴こえてきたって感じですね。それにあわせてアンプとしての基本性能をもうワンランク上げなければならず、開発の現場は混乱しましたが、このおかげでひとつ大きな壁を越えられたのではないか感じています」(平塚さん)。

P I O N E E R A V C E N T E R  L I N E U P
photo音質を徹底的に磨き上げたパイオニアの最上級AVセンター。多チャンネル同時出力能力を高めて、サラウンド再生の最高峰を目指す。基本機能は、弟機SC-LX77とほぼ同等だが、USB DAC機能が追加されている
●パワーアンプ方式:ダイレクトエナジーHD
●定格出力:250W×9(4Ω、2ch駆動)
●同時駆動時出力:810W(8Ω、9ch同時駆動時)
●寸法/質量:W435×H185×D441mm/18kg
photoSC-LX87と同一の基本設計としながら、ハイコストパフォーマンスを実現した注目機。同時駆動時のアンプ出力が合計770Wという値は、このクラスでは異例の存在。ファイル再生機能もひじょうに充実している
●パワーアンプ方式:ダイレクトエナジーHD
●定格出力:230W(4Ω)×9
●同時駆動時出力:770W(8Ω、9ch同時駆動時)
●寸法/質量:W435×H185×D441mm/17.6kg
photo「ダイレクトエナジーHDアンプ」×「ESSテクノロジー製32ビットDAC全ch搭載」という2013年のパイオニアAVセンターの2大技術を搭載した9chアンプ構成のAVセンター。ハイレゾ再生の対応も万全だ
●パワーアンプ方式:ダイレクトエナジーHD
●定格出力:210W(4Ω)×9
●同時駆動時出力:720W(8Ω、9ch同時駆動時)
●寸法/質量:W435×H185×D441mm/15.3kg
photophoto
●パワーアンプ方式:ダイレクトエナジーHD
●定格出力:210W(4Ω)×7
●同時駆動時出力:630W(8Ω、7ch同時駆動時)
●寸法/質量:W435×H185×D441mm/15.3kg
●パワーアンプ方式:ディスクリート
●定格出力:180W(6Ω)×7
●寸法/質量:W435×H168×D365.2mm/9.8kg
photophoto
●パワーアンプ方式:ディスクリート
●定格出力:160W(6Ω)×5
●寸法/質量:W435×H168×D331.5mm/8.6kg
●パワーアンプ方式:Class D
●定格出力:110W(4Ω)×5
●寸法/質量:W435×H85×D316mm/4.1kg


問合せ先:パイオニア(株)カスタマーサポートセンター fd 0120-944-222
 パイオニアではAVセンターの開発において「家庭で理想のサラウンドをいかに実現する」という明確なテーマをかかげている。ダビングステージでの音響特性を実現するためにMCACCを開発し、そこからLFEの遅れの問題、各スピーカーの位相ずれの問題まで踏み込み、さらに多チャンネル同時出力時でも安定したパワーを約束するためにダイレクトエナジーHDアンプを実用化した。

 目的を掲げることで、課題が浮き上がり、それに向けた技術を開発していく。極めてシンプルでわかりやすい図式だが、意外にこの基本的なことができているメーカーは少ない。「ダビングステージのサウンドをそのまま家庭に届けたい」という思いを技術陣が共有し、皆がそこに向かって邁進する。これがパイオニアAVセンターの強さなのだと感じた。

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