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HOME> 中新田バッハホール

中新田バッハホール
 宮城県加美町にある町立のコンサート・ホール、「中新田バッハホール」。1981年2月に開設された同ホールは、その音響設計にNHK総合技術研究所が携わっていることで知られ、音楽家や関係者の間では“音の良いホール”としてとても有名な施設だ。日本音響家協会の“音響家が選ぶ優良ホール100選”でも常に選定されており、都会から離れた田舎町にあるホールながら、著名な音楽家や楽団のコンサートが頻繁に催されている。

 そんな「中新田バッハホール」は先頃、さらに上質なコンサート・ホールを目指して、音響設備を拡充。客席で使用する新しいミキシング・コンソールとして、「ローランド」の「V-Mixing System」を導入した。同ホールにはもちろん、音響調整室が備わっているのだが、オペレーターの音作りのしやすさを考慮し、今後は客席に設置された「V-Mixing System」がメイン・コンソールとして活用されるという。そこで本誌では「中新田バッハホール」に出向き、同ホールの音響管理を手がける小松正俊氏に、新しいコンソール導入の狙いと選定ポイントについて話を伺った。
音楽家や関係者の間で、“音の良い施設”として有名な「中新田バッハホール」
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「中新田バッハホール」の外観
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その音響が高く評価されている「中新田バッハホール」。客席数は684席
——— はじめに、このホールの沿革からおしえていただけますか。

小松 このホールは、1981年2月に開設された加美町直営の施設になります。開設時は、本当に田んぼの中に突如としてホールが出来た感じで、“田んぼの中のコンサート・ホール”として、ちょっとした話題になりました(笑)。建物は著名な故・吉田イサム氏が設計を手がけ、ホールの音響設計は、これも有名な古川建築音響研究所が手がけています。もしかしたらご存じなかったかもしれませんが、クラシック音楽の世界では非常に高く評価されているコンサート・ホールであり、日本有数のホールと言っても過言ではないと思います。実際、著名な室内楽の楽団の中には、“バッハホールでだったらやってもいい”というところもあるくらいなんですよ。日本有数と言いましたが、世界でも指折りの音響特性を持ったコンサート・ホールであると自負しています。

 建築音響的には、残響可変壁によって響きが変えられる点が大きな特徴のひとつです。その日の演奏内容によって、残響成分を変えることができます。あとは、どの席に座っていただいても、音圧差がほとんど無いというのも特徴ですね。最も差がある席でも3dBまで違わないと思います。ですからこのホールには、S席とかA席といった座席の区別が無いんですよ。音響的には、どの席に座っていただいてもS席という(笑)。このバランスの良いクセの無い音響は、演奏者の方からとても好評で、みなさん演奏していて気持ちいいとおっしゃいますね。その違いは、素人さんにも分かるみたいで、カラオケ大会などでも“ここで歌うと、自分の歌が上手くなったように聴こえる”とおっしゃる方が多くいます。

 開設から約32年経っているわけですが、約7年前に音響面での大規模改修を行ないました。ここも他のホール同様、吊り天井なんですが、非常に頑丈に固定しているので、しっかり反射してくれるんです。その天井を、改修時により硬質なものに張り替えました。より安定した反射を得ることで、さらに上の響きを目指したんです。また、そのときに壁や天井の塗装も塗り直して、椅子も交換しました。最初は約800席あったんですが、よりゆったりとした椅子に交換して、現在の座席数は684席となっています。塗装に関しても、もちろん音に影響を与える重要な要素のひとつなので、塗料の粒の大きさまで細かく指定しました。
 ちなみにホールの名称は、開設当時の町長が命名者で、室内楽で筆頭に挙げられる作曲家がJ.S.バッハであり、音楽の父であることから「バッハホール」と名付けたそうです。この名称は子どもたちに特に好評で、“バッハの名前が付いたホールで演奏できる”と喜んでくれる子もたくさんいます。

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「中新田バッハホール」の音響管理を手がける舞台技術スタッフの小松正俊氏
——— ここで催されるイベントは、やはりクラシックの演奏会が多いのですか?

小松 いろいろですね。もちろんコンサートもありますし、カラオケ大会のようなイベントで使われることもあります。しかしクラシックの演奏会というのはずっと行なっていきたいと考えていて、年に4回はホール主催で演奏会を企画しています。正直、営業的には厳しいんですが(笑)、このペースはここしばらく変わってないですね。やはりこの町の方々に、本物の音楽に触れていただきたいですから。

——— 音響機器についておしえてください

小松 最初のコンソールは、「National」製の12ch入力の特注のもので、スピーカーは「RAMSA」でした。そして約7年前に音響的な改修を行なったと言いましたが、そのときに音響機器の入れ替えと電源周りの改修も行なったんです。具体的には、コンソールは「ヤマハ PM5D-RH」に入れ替え、最終段での音響調整用に「ヤマハ DME 64N」なども導入して、パワー・アンプ直前までCobraNetで接続したシステムを構築しました。また、収録卓として「ヤマハ 01V」も導入し、「Alesis HD24」や「Steinberg Nuendo」、「WaveLab」、「ローランド UA-700」といった機材を揃え、レコーディング環境も整えたんです。実際、レコーディングを行なうのは年に数回くらいしかないんですけど、どうせやるのであれば、高いクオリティで収録できるようにしておこうと。

 それとスピーカーに関しては、改修時に「RAMSA」から「d&b audiotechnik」社の「Ci-Series」に更新しました。当時「d&b audiotechnik」社のスピーカーを導入しているホールは東北地方以北にはなくて、少々冒険だったんですけど、試聴したらもの凄く良かったんですよね。生音に非常に近い自然な音であり、原音を忠実に再現している感じで、これはクラシック・ホールには最適なスピーカーだと思って導入を決めました。わざわざ「d&b audiotechnik」ドイツ本社の人に来てもらって調整していただいたんですけど、本当に良い感じで鳴ってくれてますね。今ではこのスピーカーを基準に他の機材を選定している感じです。


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