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音楽プロデューサー、佐久間正英氏が立ち上げたライブ録音/配信事業「Sound Recording and Streaming Services」取材協力:株式会社ビタミン出版、ローランド株式会社 写真:辻内真理
 ここ数年で、一気に普及したインターネット映像/音声配信。きっとこれを読んでいる多くの人が、Ustreamやニコニコ生放送などで、一度は配信番組を楽しんだことがあるのではないだろうか。

 すっかり“当たり前のメディア”になったインターネット配信だが、よく耳にするのが、その音質に対する不満である。“著名なアーティストのライブ配信を見たのだが、映像はきれいなのに音質が良くなかった”、“喋り声が聴き取りづらくて、何を言っているのか分からなかった”といった声は、特に音にうるさい人たちの間でだけでなく、一般の人たちの間でもよく聞かれる。インターネット配信の音質があまり良くない理由としては、配信用の音響機材が整っていない、たとえ機材が用意できたとしても、それを扱えるオペレーターがいないなど、様々な要因が考えられるが、今後インターネット配信がより“当たり前のメディア”となるために、音質の向上は配信する側にとって大きな課題と言っていいだろう。

 日本を代表する音楽プロデューサーの佐久間正英氏も、インターネット配信の音質に大きな不満を抱いていた一人で、自分が関わるアーティストのライブ配信をチェックした際に、その音質のひどさにガッカリすることも少なくなかったという。それならばと思った佐久間氏は、自らライブ配信用の音響システムを導入。「Sound Recording and Streaming Services(SRSS)」として、インターネット配信とライブ録音の両方を手がける新しいサービスをスタートさせた。はたしてそのシステムはどのようなもので、新サービス「SRSS」は今後、どのように展開していくつもりなのか。佐久間氏と、氏の片腕的なサウンド・エンジニアである中崎文恵氏に話を訊いた。
ライブ配信の音質への不満、それが「SRSS」をスタートしたきっかけ
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日本を代表する音楽プロデューサー、佐久間正英氏(下北沢シェルターにて)
――― 佐久間さんが自らライブ配信のミックスを手がけようと思われたきっかけからおしえてください。

佐久間 Ustreamとかで自分が手がけたバンドのライブ配信をチェックすると、音が情けないことになっている場合が多くて、もう少しどうにかならないものかと前々から感じていたんです。それで配信をやっている側の人たちと話してみると、彼らも音質に関しては不満を感じていたみたいで。今だったらいろいろ機材も出てきていますし、そんなにお金をかけなくてもクオリティを上げることができるんじゃないかと考えたのが最初ですよね。

——— ライブ配信で著名なアーティストのコンサートなどを見て、その音質に不満を感じた人は少なくないと思います。映像はどんどんきれいになっているのに、音質が良くないままなのはなぜなのでしょうか。

佐久間 理由はシンプルで、現状のライブ配信ですと、PAの出力にアンビエンスをミックスしただけのものがほとんどだからです。つまり、ライブ配信用につくられたミックスではないんですよ。しかもそれを扱っているのは映像の側の人なので、彼らは映像に音を足すだけで、それ以外のことは何もやらない。これでは良い音で配信できるわけはありません。

 PAの出力というのは、あくまでもその現場用の音であって、ライブ配信用の音ではないんです。PAのオペレーターとしては、ギター・アンプの音が大きければミキサーのギターを下げるしかないわけですし、そうすると現場で聴くぶんにはいいかもしれないですけど、別の場所で聴くとおかしなバランスになってしまう。現場でハウリングが起こったら、音質とは無関係に、そのポイントをEQで切らなければいけないわけですし。ぼくも最近はPAを手がけることがあるんですけど、長年レコーディングをやってきた人間からすると、結果的に自分でも驚くようなミックスになってしまうことが多いですよね。コンプレッサーの使い方も全然違ってきますし。

―――なるほど。

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佐久間氏が導入したライブ配信用ミックス制作/ライブ収録システムの中核となる「ローランド」の「V-Mixer M-200i」。液晶ディスプレイ/タッチ・スクリーンとしてApple iPadが採用されており、フェーダーやエンコーダーといった物理的な操作子との組み合わせで、快適なオペレーションが可能になっている。本体に十分な入出力が備わっているのも本機の特徴だが、佐久間氏は複数の「Digital Snake S-0808」をREAC接続して使用
佐久間 とは言っても、ライブ配信というのは最近始まったことなので、現場には配信用のミックスをつくるシステムも無ければ、専門のスタッフもいない。どうにかしなければと感じていた人もいたとは思うんですが、システムは無い、人はいないで、どうしようもなかったというのが実際のところなのではないでしょうか。映像を手がけている人もぼくに言っていましたよ。映像はHDになって地上波と同等か、それ以上のクオリティになってきているのに、音に関しては一向に良くならないですね、と。

 それでどうにかならないかなと考えていたときに、「ローランド」の「V-Mixing System」のことを思い出したんです。あのシステムであれば、入出力ユニットとミキサーを切り離すことができますし、案外簡単にライブ配信用のシステムを組めるのではないかと。「ローランド」の“REAC”(編註:「V-Mixing System」で採用されている「ローランド」独自のデジタル・オーディオ伝送規格。CAT-5eケーブル1本で、最大40chのデジタル・オーディオ信号の送受信が行なえる)には前々から興味があったので、改めて調べてみたら、考えていたことができそうだったので導入してみることにしたんです。“REAC“は、他のオーディオ伝送規格と比べると、40chの伝送を双方向で行なえるのがいいですよね。一方通行ではなく、1本のケーブルで、40chのオーディオ信号を“行って来い”できるのがいいんです。

――― ライブ配信用のミックスをつくるためのシステムを、佐久間さんが自ら導入してしまうというのがすごいですね

佐久間 誰かがやってくれればいいんですけど、頼める業者もいませんしね。しかしこのままではマズいと感じていたので、それならば自分で買って始めるしかないと。

――― 導入されたシステムの構成を具体的におしえていただけますか。

佐久間 ミキサーが「V-Mixer M-200i」で、これはApple iPadを使う機種ですね。入出力ユニットは、8ch入出力の「Digital Snake S-0808」が4台で、これは32ch入出力のものが1台あるよりも、8ch単位で細かく分かれていた方が使い勝手がいいと思ったからです。ステージの上手と下手、そして裏手と、アンプや楽器の近くに置くことができますからね。そして今回、配信用のミックスをつくるのと同時にライブ収録もやろうと思って、レコーダーの「R-1000」も導入しました。これまではライブ収録となると、どこかの業者に依頼して、会場の脇にトラックを横付けしてという感じで、どうしても大がかりなことになりがちだったじゃないですか。しかし今の時代、こういった機材を使えば、シンプルに高品位なライブ収録が行なえるんじゃないかと。 ――― システムを導入するにあたって、いろいろな製品を比較されたりしたのですか?

佐久間 最初から“REAC”が気になってはいたんですけど、一応他の製品も見てみました。でも、「ローランド」の「VMixing System」の方が周辺機器が充実していて、融通が利きそうなところがよかったんですよ。「R-1000」というマルチトラック・レコーダーの存在も大きかったですね。あとは可搬性なども考慮して、「V-Mixing System」を導入することに決めました。

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