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羽田空港第2旅客 ターミナル出発ゲート ラウンジに新設された サウンド・インスタレーション
システムの裏ではローランドの「R-1000」と「V-Mixing System」が稼働
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─── アレクサンダー・ゲルマンさんは、この「シンフォキャンバス」を、どのように羽田空港のサウンド・インスタレーションに取り入れようと考えていたのですか?

宮本 1月にゲルマン氏がやって来たときはもうデザイナーさんもゼネコンさんも一緒でほとんど図面も出来ていました(笑)。彼のアイディアは、竹林のような空間にして、竹をモチーフとした筒の中にスピーカーを仕込むというものでした。

─── この「シンフォキャンバス」自体、竹林のような外観なわけですが、アレクサンダーさんは「シンフォキャンバス」にインスパイアされて、竹林を元にした空間デザインというのを思いついたのでしょうか。

宮本 それは彼に訊いてみないとわからないですね。おそらく彼の中で竹林のようなデザインのアイディアがあって、それでこの「シンフォキャンバス」のことを思い出したんだと思いますけどね。

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約30本ある竹筒のうち、4本の先端にスピーカーが仕込んである テーブルに埋め込まれたスピーカーと、サブ・ベース用スピーカー
─── 羽田空港のサウンド・インスタレーションのシステムについて具体的におしえてください。

宮本 空間の中には直径2メートルくらいのテーブルが9つあって、それを突き抜ける形で竹筒が立っています。3本の筒がテーブルを支える形で立っている。そしてそのテーブルの中に24本のスピーカーが仕込んであるというわけです。それ以外に、約30本ある竹筒のうちの4本は先端にスピーカーが仕込んである。他にサブ・ベース用のスピーカーが2台、テーブルの下に設置してあるので、スピーカーの数は全部で30台で30chということになります。ちなみにこの空間は搭乗待合室横にあって、テーブルの上ではお客さんがコーヒーを飲んだり、パソコンを使ったりできるようになっています。

 サウンドの再生システムとしては、「ローランド」の「V-Mixing System」を使用しています。具体的には、サウンドの再生機が48トラック・レコーダーの「R-1000」で、ミキサーが「V-Mixer M-480」が2台、そして出力が「Digital Snake S-4000H」が2台というシステムですね。「M-480」を2台使用しているのは、各スピーカーへの送りをAUXバスで作っているためで、AUXバスが16系統ある「M-480」を2台カスケード接続して使用することで、AUXバスを32系統に拡張して使用しているというわけです。また、現場にコンピューターを持っていって制作するときのために、MADI入出力ユニットの「S-MADI」も用意してあります。

 スピーカーは、ここの「シンフォキャンバス」のスピーカーと同じもので、直径8センチのアルミ・ハニカム製のフラット・スピーカー。川崎の「リードサウンド」というメーカーにお願いして製作してもらったオリジナルです。それを「AMCRON」のパワー・アンプ、「CT8150」が4台で鳴らしています。サブ・ベース用のパワー・アンプは、同じ「AMCRON」の「CTs 600」ですね。スピーカー・マネージメント用に「dbx DriveRack 260」も使用しています。

─── サウンド・システムからは、どのようなコンテンツが再生されているのですか?

宮本 ゲルマン氏自身が自分のスタジオで制作したトラックが再生されています。エリック・サティの『Sarabande』の3番を遅回しにしたピアノだけの楽曲ですね。エリック・サティ独特の癒し系のピアノ曲なんですけど、遅回しにすることによって浮遊感が出ている。元々はモノラルのピアノなんですが、それを6チャンネルの中でゆっくり動かしてもらいました。ですから6本のスピーカーの中をピアノがゆっくり浮遊している感じですね。

─── 筒状のスピーカーは全部で28本とのことでしたが、6chのピアノをどのように割り当てているのでしょうか?

宮本 筒状のスピーカーは全部で28本ですが、そのうち4本は残響用なので、24本のスピーカーへの割り当てですね。それは思案のしどころだったんですけど、最初に2つのパターンを考えました。1つ目は、6本のスピーカーを1つの島と捉えて、そこに6chを割り当てるパターン。つまり空間の中に4つの島があるという考え方です。2つ目は、4本のスピーカーを1つの島と捉えて、それぞれの島に各チャンネルを割り当てるというパターン。1つ目のパターンは島の中でピアノが浮遊している感じですが、2つ目のパターンは空間全体でピアノが浮遊している感じになります。まぁ、誰もが考えつくのがこの2つのパターンだと思うんですけど、実際に現場で聴いてみると両方ともおもしろかったんですよ。1つ目のパターンは、1つのテーブルで浮遊感を味わえますし、2つ目のパターンは動きがとてもダイナミック。それで悩んだんですが、とりあえず今は1つ目のパターンに少し手を加えて再生しています。
特注のプログラムによってシステムを完全に自動化
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サウンド・システムとして導入されたのは、「ローランド」の「V-Mixing System」。音響の再生マシンは、マルチトラック・レコーダーの「R-1000」で、ストレージとしてはSSDが使用されている。ミキシング・コンソールは2台の「V-Mixer M-480」で、「R-1000」とはREACで接続。出力用のユニットは「Digital Snake S-4000H」で、ラック内にはパワー・アンプの「AMCRON CT8150」が4台、サブ・ウーファー用のパワー・アンプ「AMCRON CTs 600」、「dbx DriveRack 260」などもマウントされている
─── サウンドの再生システムとして「ローランド」の「V-Mixing System」を選定されたのはなぜですか?

宮本 「シンフォキャンバス」を始めたときに、サウンド再生用に「ローランド」の「VS-1680」を導入したんですよ。その後、スピーカーが24chになったときに「VS-2480」を導入して、ずっと気に入って使っていたんです。今でも「VS」シリーズは、あれ以上のものは無いハードディスク・レコーダーだと思っていますよ。その流れで「V-Mixing System」を選定した感じですね。「V-Mixing System」には、「R-1000」という優れたレコーダーを組み入れられる点もポイントです。なお「R-1000」は今回SSDで使用しています。

─── 「M-480」ではどのような処理をされているのでしょうか。

宮本 すべてのAUXバスでEQを使っています。EQを使ってスピーカーの共鳴や、向きによる反射を抑制している感じですね。あとはリバーブやリピート・エコーも薄くかけていて、それは竹筒のてっぺんに取り付けた4本のスピーカーから出しています。上からキラキラとピアノが降ってくる感じにして。そういった処理はすべて「M-480」内蔵のエフェクトで行なってますね。

─── システムをオペレートする専属のスタッフがいらっしゃるのでしょうか。

宮本 いいえ。オペレーターがいればラクだったんですけど、そういうスタッフ無しに電源を入れれば稼働するシステムというのが条件だったので、それはいちばん苦労したところですね。なので「ラグナヒルズ」にお願いして、簡単な自動化プログラムを組んでもらったんです。どんなプログラムかと言うと、電源を入れたらすべての機器が落ち着くまで待って、「R-1000」の指定したプログラムをスタートして、そこから吐き出されるタイムコードに同期して「M-480」のシーンを呼び出すというものですね。「M-480」と「R-1000」は、RS-232Cで制御して。人的なオペレーションは完全に不要なシステムになっています。

─── 実際に稼働が開始したのは今年4月とのことですが、トラブルは起こっていませんか?

宮本 今のところまったくありません。朝、決められた時刻で“ドカン”と電源が入って、夜、“ドカン”と電源が落ちるので、いちばん心配だったのが「R-1000」なんですけど、まったくトラブル無く動いていますね。SSD、おそるべしですよ(笑)。

─── 完成したサウンド・システムの仕上がりには満足されていますか?

宮本 そうですね。納得のいくものが出来たと思いますし、それはゲルマン氏も同じように感じていると思います。ああいう場所なので、音楽があまり主張するのはダメなんですよ。音楽に聴き入ってしまって、搭乗に遅れてしまったら大変ですから(笑)。気持ちの良い音楽が流れて、それによって一つの空間が作られるわけですけど、でもその音楽は人の思考の邪魔は決してすることなく、普通に会話することができれば、メール・チェックもできる。もちろん、リラックスしながらコーヒーを飲むこともできますしね。とても良いバランスのサウンド・インスタレーションになったのではないかと思います。

─── 本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

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