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HOME> Roland VR-50HD

PROSOUND特別企画 Roland VR-50HD
個別の機器を組み合わせたのでは得られない一体型のAVミキサーならではのアドバンテージ
――― プロサウンド誌は、業務用音響の雑誌なので、オーディオ・ミキサー部について深く話を伺いたいと思います。「VR-50HD」のオーディオ・ミキサーは、「VR-5/VR-3」からかなり進化しているのでしょうか。

三上 まず、入力のチャンネル数が、マイク入力が4ch、ライン入力がステレオ4系統の計12chに増加しました。いろいろとリサーチした結果、ワンマン・オペレーションのAVミキサーとしては12chで多くの用途に対応できるとわかったんです。それ以上必要であれば2マン・オペレーションでサブ・ミキサーを使う、という切り分けですね。それと「ローランド」製の最新プロセッサーを搭載することで、内蔵エフェクトの種類を増やしました。チャンネルごとにノイズ・ゲート、コンプレッサー、パラメトリック・イコライザー、ディレイといったプロセッサーを搭載し、ディレイは細かくパラメーターを設定することができるので、映像と音声のリップ・シンク用途に使うこともできます。チャンネル・ボリュームに関しては左側のフェーダーで操作し、各パラメーターに関してはタッチ・モニターに触れて任意のパラメーターを選び、右側のVA­LUEつまみで操作する“タッチ&ターン”のオペレーションとなっています。このあたりは「VR-5/VR-3」と共通ですね。

photo
「VR-50HD」のフロント・パネル。左側がオーディオ・ミキサー、右側がビデオ・スイッチャーというレイアウトになっており、右上には7インチの大型タッチ・モニターを搭載。タッチ・モニターは、「7分割マルチ・ビュー」、「入力の4分割表示」、「USBメモリから読み込んだ静止画」、「プログラム・アウト」をワンタッチで切り替え可能。もちろん、タッチ・モニターなので各種操作は指先で触れて行なうことができる
photo
新製品「VR-50HD」のリア・パネル。音声入力は、XLR/TRSコンボジャック4系統、ステレオTRS 2系統、ステレオRCA 2系統の合計12ch入力を装備。XLR端子はファンタム電源付きで、XLRとRCAの2系統の出力に加え、HDMI、SDI、USB端子にも音声をエンベテッドして同時に出力することが可能になっている。一方、映像入力は、HDMI×4系統、3G/HD/SD-SDI×4系統、RGB/COMPONENT×2系統、コンポジット×2系統の計12入力を装備。入力ごとに搭載されたスケーラーによって入力映像は拡大/縮小されるため、別途コンバーターなどは不要。映像出力は、HDMI×2系統、3G/HD/SD-SDI×2系統、RGB/COMPONENT×2系統の計6系統を同時出力。もちろん、USB端子にもストリーミング出力することが可能で、ここにも出力専用のスケーラーが搭載されているため、たとえばイベント用の映像出力と配信/収録用の映像出力を異なるフォーマットで行なうことも可能になっている
――― タッチ・モニターは、オーディオ・パラメーターを表示させても、その下に映像が透過表示されているんですね。

三上 やはりオーディオ・パラメーターを操作しているときでも、映像は常に確認できる状態でなければいけないので。オペレーターさんの中には、常に何らかのパラメーターを表示させておきたいという方もいらっしゃいますので、タッチ・モニターのマルチ・ビュー表示は外部のモニターにも出力できるようになっています。

――― ビデオ・スイッチャーとオーディオ・ミキサーが別個の機器ではない、一体型のAVミキサーならではのメリットというと?

三上 まず基本的な部分として、機器間の配線が不要だという事です。初期のライブ配信ではシステムの配線自体がトラブルの元になっていました。一体型なら配線が不要なので、カメラとマイクとパソコンを繋ぐだけ、それこそ10分でセッティングが完了します。また、映像機器の音声が活かせる、という点も大きいですね。ライン入力(編註:5/6〜11/12ch)のチャンネルは、HDMIやSDIといった映像信号の音声も選択することができるようになっています。さらに“オーディオ・フォロー”という機能を搭載していて、チャンネル入力を“FOLLOW”にした状態で映像を切り替えると、映像だけでなく音声も自動的にクロスフェードしながら切り替わるようになっています。もちろん、クロスフェード・タイムは可変でき、映像のトランジション・タイムと同期する設計になっています。このあたりは、ビデオ・スイッチャーとオーディオ・ミキサーが一体化されているからこその機能ですね。

photo
タッチ・モニターに、オーディオ・パラメーターを表示させたところ。ご覧のように、背景には映像が表示されたままの状態で操作することができる。これは代表的なオーディオ・パラメーターを一括操作できる画面で、EQやダイナミクスなどはさらに多くのパラメーターを操作することも可能だ
――― これだけ様々な信号が入力できるとなると、フォーマットによるレーテンシーも生じてしまいそうな気がするんですが、そのあたりはどうやって解消しているのでしょうか?

三上 先ほどもご紹介したとおり、オーディオ入力部には入力チャンネルごとに独立したディレイが備わっていますし、さらには出力部にもディレイが搭載されているので、レーテンシーは問題なく補正することができます。

笠井 さらには、AUXバスとメイン・バスそれぞれにディレイが備わっているので、収録現場のモニター返しに使うAUXにはディレイ無し、収録用のメイン送りはシップシンクのディレイを付けるといった使い方も可能になっています。ディレイが共通ですと、遅れなくてもいいところまでディレイがかかってしまいますからね。

三上 ディレイに関しては、現場での使われ方を想定して、リソースを贅沢に使用しました。

笠井 こんなに細かくディレイが設定できるオーディオ・ミキサーというのは他に無いですよね。USB端子にも別系統のディレイがあり、配信でのズレを補正できます。AVミキサー内蔵のオーディオ・ミキサーならではの充実ぶりだと思います。

三上 一見すると、ビデオ・スイッチャーとオーディオ・ミキサーが統合されているだけの機械のようですが、内部ではかなり複雑な処理が行なわれているんですよ。HDMIやSDIの映像信号から音声だけを取り出して、それをアナログ入力の音声とミックスし、ディレイなどの補正を加えて、再度映像信号に戻すという複雑な処理が、「VR-50HD」ならこれ1台だけで行なえるんです。同じような処理をビデオ・スイッチャーやオーディオ・ミキサー、各種コンバーターを組み合わせて行なうとなると、配線がかなり大変なことになりますし、機材全体の導入コストもかなり高くなってしまうと思います。単純にHDMI信号にアナログのオーディオ信号を混ぜるというだけでも、いろいろなコンバーターが必要になりますからね。

――― 内蔵オーディオ・ミキサーのクオリティや機能は、基本的に「V-Mixer」シリーズと同等と捉えていいのでしょうか?

三上 そうですね。ほぼ同等のものが入っていると考えていただいて構いません。

笠井 たとえば入力チャンネルは、代表的なパラメーターが1つの画面で操作できるようになっています。さらにゲートやコンプレッサーなどを細かく追い込む場合には、ワンタッチで開く別画面で詳細に設定できるようになっています。最後のメイン・バスでは、微妙にEQしたり3バンドの帯域分割コンプレッサーで音圧を上げたりといったマスタリング処理を行うこともできます。ライブ配信や収録では、安定した聞きやすい音声がとても重要ですから、これらの処理は欠かせないものだと考えています。

――― 新製品「VR-50HD」のInter BEEでの反応はいかがでしたか?

三上 もうたくさんの方から“待ってました!”と言われました(笑)。みなさん情報は知っていて、中には“注文前の最終チェックに来た”という方もいましたね。我々の想像以上だったのは、ライブ・イベントをメインに手がけられている多くのプロの方から、“こういう製品が欲しかったんですよ”と言っていただいたこと。そういった方は、HD対応のビデオ・スイッチャーとオーディオ・ミキサーを並べて一人でオペレーションされているみたいなんですが、「VR-50HD」があれば1台で事足りてしまうと。もちろんプロの方々だけでなく、自営でライブ動画配信をやられている方や、会議室や学校などの映像設備を手がけられている業者の方からも、かなり褒めていただきました。あとはInter BEEだったからかもしれませんが、放送局の方からもかなり注目していただきましたね。SDIに対応しているということで、サブのAVミキサーや効果用のAVミキサーとして良いと。

笠井 最近、建物内や周辺にイベント・スペースを持っている放送局も多いので、そういった場所で行なうイベント用のAVミキサーとしても注目していただきました。

――― ひとまず満足のいく製品が完成したという感じでしょうか。

三上 そうですね。やりたいことはまだまだあるんですけど(笑)。

笠井 たとえばSDIではオーディオ信号を16chまで扱えますので、それをすべてルーティングできるようにしたりとか、複雑にしようと思えばいくらでもできるんですよ(笑)。でも、まずはワンマン・オペレーションをベースに考えて、シンプルで使いやすい製品に仕上げました。機能的にも価格的にも良いバランスになったと思っています。

photo
三上 フルHDのAVミキサーとして、上手くまとまっている製品だと思いますね。ライブ配信の現場は即応性が重要なので、これ以上複雑にしてしまうと使いにくくなってしまいますし、機能的にも多くの現場にとって十分だと思っています。


ローランド VR-50HD
840,000円(税込)
問合せ:ローランドお客様相談センター
Tel:050-3101-2555
http://www.roland.co.jp/solution/


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