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HOME > ビーフリーが導入したローランド M-5000

ビーフリーが導入したローランド M-5000
――― 具体的にはどのようなエフェクトを使用していますか?

安念 新たにシミュレートされたリバーブ・エフェクトもかなり良い感じで使えていますし、「ローランド」のヴィンテージ・エフェクトはかなり使っています。往年の「SRV-2000」や「SDE-3000」といったエフェクターが内部で使えるのは「M-5000」の魅力なのではないかと思っています。また、内蔵のEQも積極的に使うようにしています。「M-5000」を使い始めてまだ間もないので、外部のEQを使わずに内蔵EQだけでどこまでできるか試しているんですよ。

――― ステージ上には、ミュージシャン用のモニター・ミキサーとして「ローランド M-48」も6台置かれていますね。

「ビーフリー」が導入した「ローランド」の新型コンソール「O・H・R・C・A  M-5000」。内部構成が自由に定義でき、様々な拡張フォーマットに対応するなど、多くの特徴を備える
「ビーフリー」が導入した「ローランド」の新型コンソール「O・H・R・C・A M-5000」。内部構成が自由に定義でき、様々な拡張フォーマットに対応するなど、多くの特徴を備える
そうる 「M-48」はかなり良いですね。今まではモニター・コンソールからキュー・ボックスで貰うアナログなシステムを使っていたんですよ。しかし長年使ってきたこともあり、ガリが出てきて困っちゃって。「M-48」は今回初めて使ったんですが、音作りもしやすいですしかなり気に入りました。ぼくは相当モニターの音量が大きい方なんですが(笑)、音量に関してもまったく問題ありませんね。ドラマーの中にはキュー・ボックスのボリュームはフェーダーじゃないとダメという人もいますけど、ぼくは「M-48」のようなロータリー・エンコーダーでも気になりません。
「O・H・R・C・A  M-5000」の右脇に置かれたラック。クロック・ジェネレーターの「Apogee Big Ben」は収録のための「Pro Tools」用で、「O・H・R・C・A  M-5000」はインターナル・クロックで使用されている
「O・H・R・C・A M-5000」の右脇に置かれたラック。クロック・ジェネレーターの「Apogee Big Ben」は収録のための「Pro Tools」用で、「O・H・R・C・A M-5000」はインターナル・クロックで使用されている
「O・H・R・C・A  M-5000」のステージ・ボックスとしては、同じ「ローランド」の「Digital Snake S-4000S-3208」が2台使用された
「O・H・R・C・A M-5000」のステージ・ボックスとしては、同じ「ローランド」の「Digital Snake S-4000S-3208」が2台使用された


――― スピーカーは「RCF」のライン・アレイですね。

安念 「RCF」は、昔から付き合いのある「エレクトリ」さんに代理店が移ったタイミングで導入しました。ダンサーなどがいる関係上、舞台袖にパワー・アンプが無い方がいいので、パワードのライン・アレーは便利ですね。それとセッティングが楽なんですよ。いつも2時間程度でセッティングを終わらせないといないので、大忙しなんです。その点このスピーカーは運んできてポンと置いて接続するだけですぐに使えるので助かっています。また演歌の場合、電源がまともに確保できないようなローカルな場所でのライブも結構あるので、省エネ仕様の機材じゃないと絶対にダメなんです。その点でも「RCF」は問題ありませんね。小屋の規模を問わず、あらゆるホールで使うことができます。音質に関してはヴォーカル帯域の解像度も非常に高く、とても気に入っています。また、もともとユニット・メーカーの強みか、各ユニットの性能の良さを凄く感じます。そうそう、「RCF」のスピーカーは設定が弄りがいある点もポイントです。タブレットを使って2階席などの離れた場所から音質を調整したりしています。

演歌のコンサートのミックスでは歌詞を聴き取れるようにすることが何より重要
――― 今回のコンサート・ツアーについての話も聞かせてください。お二人は天童よしみさんのツアーに関わられてどれくらいになるのですか?

安念 ぼくは長いですよ。今年で25年くらいになります。年間150本くらいやっているので、ここ数年演歌の仕事は天童さんのツアーにかかりっきりの状態ですね。

photo
ステージ上では、ミュージシャンのモニター用に「ローランド」のパーソナル・ミキサー「M-48」が6台使用された。そうる氏もかなり気に入っているとのこと
ステージ上では、ミュージシャンのモニター用に「ローランド」のパーソナル・ミキサー「M-48」が6台使用された。そうる氏もかなり気に入っているとのこと
そうる ぼくはレコーディングでは15年くらい前からお世話になっています。ライブで叩くようになったのは天童さんが演歌以外の曲を歌う『こぶしのない夜』というコンサートに呼ばれたのがきっかけで、演歌のセットに呼ばれるようになってからは3年くらい経ちますね。意外に思われるかもしれませんが、天童さん以外の演歌歌手でもドラムを叩かせてもらったことがあるんですよ。

――― 天童よしみさんのコンサートは、他の演歌歌手のコンサートと比べて何か特徴はありますか?

そうる 特徴だらけです(笑)。まず、バンド編成がいわゆる演歌のバンドとは少し違いますね。具体的にはブラス・ロック編成というか、トランペットが2名、トロンボーン、サックスと、ブラス隊が多いのが特徴です。天童さんがブラス好きというのもあるんですが、天堂さんの楽曲はアレンジが凄く凝ってるので、ブラスを入れないと成立しないんですよ。ですから、ステージ上のプレーヤーは全部で13人なので、演歌のバンドとしては多い方だと思います。キーボードも2人いないと再現できないんですね。

――― 同期ものに関しては?

そうる 一応鳴ってますが、最近は生楽器の比重を増やし、同期ものは減らす傾向にあります。ライブって肉弾戦なので、結局DAWではフォローしきれないんですよ。それとおもしろいのは、ぼくも含めメンバーの8割が演歌のツアーの経験が無いミュージシャンということ(笑)。なので音圧は普通のロック・バンドより全然ありますし、音楽性も幅広いですね。例えばジプシーキングスのようなノン・テンポのアコースティック・スタイルって他の演歌歌手のライブでは絶対にやらないですし、そうかと思えば急にジャズになったりブルースになったり。とにかく楽曲スタイルの幅が広いのが特徴ですね。

安念 並のミュージシャンではとてもじゃないですけど対応できない。そうるさんを筆頭に、名うてのツワモノ揃いですから対応できるんですよ(笑)。

そうる それとお客さんは年配の方が多いんですが、今の60代〜70代の世代はビッグバンド・ジャズをはじめ、ミュージシャンがスターだった時代を知ってる人たちなんですよ。だからライブで『嵐を呼ぶ男』なんもやったりもするんですが、ぼくがどんなにドラム・ソロを続けようとお客さんは全然引かない(笑)。今の若い人たちよりもスタンド・プレーに慣れてるんだなと感じますね。

――― 演歌のレコーディングでは、ドラムはやはり生が多いのでしょうか?

「ビーフリー」が持ち込んだ「RCF」社のライン・アレイ・システム。「TTL33-A II」x6、「TTS36-A」x1という構成
「ビーフリー」が持ち込んだ「RCF」社のライン・アレイ・システム。「TTL33-A II」x6、「TTS36-A」x1という構成
そうる もちろん打ち込みが使われることもありますが、圧倒的に生ドラムの方が多いと思います。演歌は基本的に一発録りで、歌もそのままOKテイクになったりしますから、いわゆるポップスのレコーディングとは違いますよね。少し前に生ドラムが減った時期もあるんですが、最近また増えてきています。アメリカでもヒップホップ系で生ドラムが増えていますし、これはジャンルに関係なく世界的な傾向なのかもしれませんね。

――― 最後に、PAサイドからの演歌の音作りについておしえてください。

安念 演歌でとにかく重要なのは、歌詞を聴き取れるようにするということです。演歌のお客さんはポップスのお客さんと違って歌詞の予習をしっかりしてきませんからね(笑)。また、お客さんの求めるものが演歌でもアーティストによって全然違うので、その辺はいつも気を付けています。天童さんのお客さんはやはり歌の上手さと本物志向を求めて来られるんですよ。もともとパワーのあるヴォーカリストの天童さんと、そうるさんをはじめとするメンバーの皆さんが最高の演歌サウンドを創りだすので、お客さんには迫力があるのにうるさくない心地良いサウンドを伝えることに気をつけています。

そうる 普通のポップスのバンドの場合、音圧重視で歌が聴こえづらくなることもありますが、演歌のコンサートでそれは絶対にあってはなりません。安念さんとは、天童さんが語りたいことがしっかりと伝わるバランスにしようといつも話しています。その上で音圧がしっかりしたバランスを作ろうと心がけていますね。例えば歌を重視するあまりバスドラが薄くなってしまうのは避けたい。しっかりした土台と聴き取りやすい歌を両立させるのが理想のバランスだと考えています。

――― 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
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