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HOME > タムコが導入したローランド O・H・R・C・A M-5000

タムコが導入したローランド O・H・R・C・A M-5000
 一昨年の「Inter BEE」で発表され、昨春出荷が開始された「ローランド」の新世代ミキシング・コンソール「O・H・R・C・A M-5000(以下、M-5000)」。最大128chの範囲で入出力やバスの数を自由に定義することができ、またREAC/Dante/MADIなど様々な伝送フォーマットに対応するフレキシブルなコンソールとして、世界中のプロフェッショナルから注目を集めている。昨夏には16フェーダーのコンパクト・モデル「M-5000C」がラインナップされ、年内には「Waves」の「SoundGrid」にも対応予定とのことで、今後より多くの現場で活用されていくに違いない。
 音声収録/制作業務を手がける「タムコ」(東京都・港区)は、そんな「M-5000」をいち早く現場に投入している会社の一つ。昨年9月に導入した同社は現在、歌番組の収録会場のハウス・コンソールとして「M-5000」を活用しているという。そこで本誌では、歌番組の収録が行われていた「中野サンプラザ」にお邪魔し、「タムコ」現業1部 PA課 サウンドエンジニアの宮坂修氏に、「M-5000」を導入した理由とその使用感について話を伺ってみた。
取材協力:株式会社タムコ、ローランド株式会社
コンパクトで96kHz対応のコンソールとして、M-5000を新規に導入
――― 今回の現場で使用されている「M-5000」は、これまで使用してきたコンソールを更新する形で導入されたのですか?

宮坂 いいえ、既存のコンソールの更新ではなくコンパクトなデジタル・コンソールが必要になり、新規で追加した形ですね。「M-5000」に関しては発表以来ずっと注目していて、昨年9月に導入し、すぐに現場で使い始めました。

――― 新たにコンソールを導入するにあたって、どのようなものがいいと考えていたのですか?

宮坂 それほど規模が大きくない現場でも扱いやすいコンパクトなコンソールが欲しかったんです。スタジアムやアリーナクラスの平坦な客席と違って、普通の会場やホールなどではレイアウトを考えます。なるべく卓回りの機材が少ない方が楽ですし早いですからね。その面で「M-5000」は魅力的でした。

「ローランド O・H・R・C・A M-5000」
「ローランド O・H・R・C・A M-5000」

――― いろいろな選択肢があったと思うのですが、最終的に「M-5000」を選定した理由をおしえてください。

photo
宮坂 まずサイズの問題。また弊社では「V-Mixer M-400」を中継などの現場でも使用しており、ステージ・ボックスの「Digital Snake S-4000S-3208」やパーソナル・ミキサーの「M-48」といったREAC対応機器を所有していたので、それらと組み合わせられることを考えると総合的に「M-5000」がいいなと思ったんです。
 あとは96kHzのハイ・サンプル・レートに対応していたことも「M-5000」を選定した理由の一つですね。最近は、対応している機材に関しては、なるべく96kHzで使うようにしているんです。やはり現場で聴いてみると、音質が48kHzとはかなり違いますからね。
 それと今はまだ使っていないんですが、iPadやパソコンからのリモート・コントロールに対応している点も魅力でした。iPadアプリの「M-5000 Remote」に関してはまだ試していないんですが、今後モニター・コンソールとしても使うことを考えると、ステージ上で実際に音を聴きながら微調整できるiPadや、パソコンからのリモート・コントロール機能は大変便利ですね。

――― 「M-5000」のことは、発表以来注目していたとのことですが、最初にスペックや外観などを見たときの印象はどんな感じでしたか?

宮坂 デジタル・コンソールとしては後発なので、各社の製品をよく研究して、あらゆる機能が盛り込まれているなという印象でした。

歌番組の収録現場で、ハウス・コンソールとしてM-5000は活躍
――― 今回の現場では、「M-5000」はどのような使い方をされているのでしょうか?

宮坂 歌番組の公開収録の会場でのハウス・コンソールとして使用しています。「Soundcraft Vi6」と組み合わせて使用していて、「Vi6」が主に楽器のミックス用、「M-5000」がボーカルやMC、SEなどのミックス用という使い分けですね。

「タムコ」現業1部 PA課 サウンドエンジニアの宮坂修氏
「タムコ」現業1部 PA課 サウンドエンジニアの宮坂修氏
――― ハウス・コンソールを2枚併用されているのは?

宮坂 以前は「Vi6」だけでこなしていたのですが、リハーサルにかけられる時間がそんなに多くないので、コンソールを2枚にして、楽器とボーカルを分業制にしました。そうする事で限られた時間で調整できるのと、本番も完パケ収録なので集中してミスすることなく現場をオペレートでき、また音場のクオリティもを上げたかったというのもありますね。

――― 「M-5000」のシステム構成についておしえてください。

宮坂 ステージ・ボックスは「Digital Snake S-4000S-3208」でアナログ32ch入力ですが、ステージ袖に設置し、基本的な入力はすべてそちらで行っています。今日実際に使っているのは22chくらいですね。ボーカルやMCマイクを中心にSEなどを入力しています。

――― 「M-5000」と「Vi6」の接続はどのようになっているのですか?

宮坂 「Vi6」のアナログ出力をステレオで「M-5000」に接続しています。デジタルで接続することもできるんですが、今回はチャンネル数の問題で「Vi6」は48kHz、「M-5000」は96kHzで動かしているので、どこかでサンプル・レートを変換しなければならないこともありますし、トラブルのことを考えて、お互いがバックアップの卓になるようにアナログで接続しています。

ステージ袖に設置された「ローランド Digital Snake S-4000S-3208」をはじめとする各種機材
ステージ袖に設置された「ローランド Digital Snake S-4000S-3208」をはじめとする各種機材
「M-5000」の入出力を担う「ローランド Digital Snake S-4000S-3208」
「M-5000」の入出力を担う「ローランド Digital Snake S-4000S-3208」


96kHzらしい解像度が高く、立ち上がりの速いサウンド
――― 実際に現場で使用されて、「M-5000」はいかがですか?

宮坂 とても分かりやすく、馴染みやすいコンソールだと思います。大型のタッチ・スクリーンの存在が大きいですね。若いスタッフでも問題なく使えているようです。
 音質に関しては、96kHzのコンソールらしい解像度の高さを感じますね。48kHzのコンソールとは違う質感です。あとは、音の立ち上がりの速さというのも感じます。

手慣れた様子で「M-5000」を操作する宮坂氏
手慣れた様子で「M-5000」を操作する宮坂氏
――― 「M-5000」には、自由に機能を割り当てられる4本の“アサイナブル・フェーダー”と、4基のエンコーダー/8基のスイッチ/有機ELディスプレイで構成される“ユーザー・アサイナブル・セクション”が備わっています。今回の現場では、どのような機能を割り当てていますか?

宮坂 “アサイナブル・フェーダー”には、リバーブのリターンを割り当てています。そして“ユーザー・アサイナブル・セクション”のエンコーダーには、リバーブのタイムやプリ・ディレイなど、下の階層にあって頻繁に触るものを割り当てています。そしてライトの明るさやヘッドフォン・レベルなどもそうですね。

――― サーフェースの使い勝手に関してはいかがですか?

宮坂 フェーダー上部に備わった有機ELディスプレイは発色がいいので、ボーカルは何色、MCは何色という感じで、色分けして使っています。後、今回の現場では、特にフェーダーのレイヤーは切り替えずに済んでいるんですが、フェーダーの位置は操作しやすいようにユーザーレイアウトしています。また「アンカーポイント」を設定して任意のフェーダーに素早くアクセスできるのも特徴的な機能の一つで使いやすいですね。

――― 内蔵のエフェクトに関してはいかがですか?

宮坂 “アサイナブル・フェーダー”で操作しているリバーブも内蔵のものですし、クオリティ的には十分だと思います。コーラスやテープ・エコーなど、ローランドの昔のアウトボードも、ヴィンテージ・エフェクトとして搭載されていますしね。アウトボードは特別には使用していなくて、内蔵のもので十分賄えています。

――― 専用のリモート・コントロール・ソフトウェア「M-5000 RCS」は使用されていますか?

宮坂 はい。あらかじめパソコンで設定を行っています。また、現場で使ったプロジェクトはUSBメモリに保存して、次の現場ではそれを叩き台にして作業を始めていますね。

ステージ上で、バンド・メンバーのキュー・ボックスとして使用された「ローランド」のパーソナル・ミキサー「M-48」
ステージ上で、バンド・メンバーのキュー・ボックスとして使用された「ローランド」のパーソナル・ミキサー「M-48」
――― 「M-5000」で特に気に入っている機能はありますか?

宮坂 内蔵のエフェクトでマルチバンド・コンプレッサーがあるんですが、それは重宝していますね。今回のような現場では歌い手さん一人につき1回、1曲3分程度しかリハーサルができません。またそれぞれ専用のマイクというわけではなく、同じマイクを様々な歌い手さんが使い回すことも多いので、1曲ごとにスナップ・ショットを打ち、マルチバンド・コンプレッサーを使って歌声を馴染ませたりしています。それと空いているDSPをインプットにもアウトプットにも卓を立ち上げ直すことなく割り当てられるのもいいですね。

――― 今後は他の現場でも使用される予定ですか?

宮坂 そうですね。先ほども言ったとおり、弊社はパーソナル・ミキサーの「M-48」を使っていますので、それと組み合わせてモニター・コンソールとしても使っていきたいですね。「M-5000」ならAUXを8本くらい出してウェッジやイヤモニ用、残りをバンドのキュー・ボックスに割り当てて、
ローランド O・H・R・C・A M-5000
両方を1枚で管理できると思うのでかなり便利なのではないかと思います。あと実際に使ってみての要望はいろいろと「ローランド」さんにお伝えしているので、今後のバージョン・アップで実装されるのを期待したいですね。

――― 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

ローランド O・H・R・C・A M-5000
問い合わせ:ローランド株式会社
Tel:050-3101-2555(お客様相談センター)
http://proav-jp.roland.com/


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