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HOME > ローランド O・H・R・C・A M-5000/M-5000C 導入レポート Vol.1 〜 PAカンパニー編 〜

「ローランド」が長い開発期間を投じて完成させた新世代ミキシング・コンソール、「O・H・R・C・A M-5000/M-5000C(以下、M-5000)」。一昨年のInter BEEで発表され、昨年出荷が開始されたこのコンソールの最大のフィーチャーは、内部構成を自由に組み替えられる“コンフィギュラブル・アーキテクチャー”が採用されていることだろう。「M-5000」は、ミキサーとしての機能が固定されておらず、最大128chの範囲で入力/出力/AUXバス/マトリクス・バスなどの数を自由に設定することができる。例えばFOH用途なら入力を多めに確保し、モニター用途であれば出力を増やすといった使い方が可能なのだ。この他のコンソールには無いフレシキビリティの高さが評価され、今「M-5000」を導入する会社が増えている。そこで本誌では「M-5000」を活用している会社をいくつか取材し、その使いこなしについて話を訊いてみることにした。
ROLAND O・H・R・C・A事例
Case #1 株式会社スターテック
日本を代表するPAカンパニーの一つ「スターテック」。同社はキュー・ボックスとして「M-48」を大量導入、コンサート・ツアーなどの現場で活用しているが、そのフロントエンド・サーフェースとしての機能性に惹かれて「M-5000C」を導入したとのこと。先日同社が手がけた大規模なツアーでは、「M-5000C」を2台のモニター・コンソール(メイン/バックアップ)のスイッチャー兼、「M-48」の一括コントローラー/監視用サーフェースとして活用したそうだ。「スターテック」のサウンド・エンジニア、堀居洋樹氏に話を訊いた。
キュー・ボックスとして40台以上の「M-48」をフル活用
 弊社では「M-5000C」に先駆けて、2014年にパーソナル・ミキサーの「M-48」を導入したんです。それまでは他社のキュー・ボックスを使用していましたが、チャンネル数が16chと少なく、ミュージシャンの個々のニーズに応えられない点が不満でした。それで最大40ch扱うことができ、それぞれにチャンネルEQが備わっている「M-48」を導入しました。

「スターテック」が導入した「M-5000C」。手前に引き出しが取り付けられており、そこにモニモニ用の「M-48」が収納できるようになっている
「スターテック」が導入した「M-5000C」。手前に引き出しが取り付けられており、そこにモニモニ用の「M-48」が収納できるようになっている
 「M-48」は評判どおり良く出来たキュー・ボックスという印象です。人からは最初のセットアップが少し難しいという話を聞いていたんですが、それさえクリアしてしまえば非常に便利に使えます。音質も良く、これまで現場で使ってきて“このキュー・ボックスは嫌だ”と言われたこともないですね(笑)。今では「M-48」はスタンダードな機材になっているので、ミュージシャン・サイドから“こういう並びにしてほしい”とリクエストがあるくらいです。コンサートSRの現場ではかなり重要な機材になっていると思いますね。

 最初に「M-48」を16台と入力用の「Digital Snake S-4000S」(アナログ40ch入力仕様)、スプリッター/ディストリビューターの「S-4000D」を2台導入しました。コンソールとの接続方法はデジタルも検討したんですが、トータルのレーテンシーが短いとの理由でアナログで接続しています。その後、ツアーが被ることがあったので同じシステムをもう1セット導入し、現在はモニモニ用を含めると「M-48」は42台あります。大きな現場では「M-48」を20台くらい使うこともありますね。

「M-48」の一括コントローラー/監視用サーフェースとして使用できる「M-5000C」
 「M-5000C」は、今年の頭に導入しました。発表になってすぐにデモ機をチェックさせてもらったんですが、コンパクトなのに96kHzで動作し、最大128chの範囲で内部の構成を自由に組み替えられる点が良いと思ったんです。現場のニーズに合わせてインプットやアウトプットを増やせたりするのは便利だと思いました。あとオプション・カードを装着することでREACだけでなくDanteにも対応できるのもいいなと思いました。

上からREAC回線のパワー・ディストリビューター/スプリッターの「S-4000D」、アナログ40ch入力仕様の「Digital Snake S-4000S」、アナログ40ch出力仕様の「Digital Snake S-4000S」
上からREAC回線のパワー・ディストリビューター/スプリッターの「S-4000D」、アナログ40ch入力仕様の「Digital Snake S-4000S」、アナログ40ch出力仕様の「Digital Snake S-4000S」
 しかしこのコンソールを導入した最大の理由は、「M-48」のコントロールに対応しているところだったんです。「M-48」のセットアップは通常、「S-4000RCS」というパソコン用のコントロール・ソフトウェアを使って行うのですが、「M-5000C」を接続すればすべての設定をサーフェース上で行うことができる。また「M-5000」を経由させることによって、コンプレッサーやゲートといった処理を挟めるようになり、さらに自由度が増します。もちろん接続してあるすべての「M-48」を監視することもできますし、これは大量の「M-48」を使用している我々のような会社にとっては最高のコンソールなんじゃないかと思ったんです。

 先日、大きなツアーがあったんですが、そこでは「M-5000C」を2台のモニター・コンソールのスイッチャー兼、「M-48」の一括コントローラー/監視用サーフェースとして活用しました。大きなツアーだったので、モニター・コンソールはメインとバックアップで同じものを2台用意したんですが、その切り替えを「M-5000C」で行えるようにしたというわけです。「M-5000C」の内部構成は80ch入力/40ch出力に設定し、メインのモニター・コンソールからの40ch出力はアナログで「S-4000S」に入力しました。「S-4000S」と「M-5000C」は、もちろんREACで接続しています。
「スターテック」の「M-5000C」は、オプション・ユニット「S-240P」で電源が二重化されている。「S-240P」はハード・ケース内にスマートに収納
「スターテック」の「M-5000C」は、オプション・ユニット「S-240P」で電源が二重化されている。「S-240P」はハード・ケース内にスマートに収納
上からREAC回線のパワー・ディストリビューター/スプリッターの「S-4000D」、アナログ40ch入力仕様の「Digital Snake S-4000S」、アナログ40ch出力仕様の「Digital Snake S-4000S」
「スターテック」のサウンド・エンジニア、堀居洋樹氏
一方、バックアップのモニター・コンソールの40chは、Danteで「M-5000C」に接続しました。そして「M-5000C」のモニター出力は、スプリッター/ディストリビューターの「S-4000D」経由で「M-48」に振り分けたというわけです。

 実際に現場で使用してみて、これはかなり便利なシステムでしたね。「M-5000C」からステージ上のすべての「M-48」をコントロール/監視できるわけですから。また、REACとDanteによって、2台のモニター・コンソールとの接続もシンプルでした。このときはDanteカードからのクロックで「M-5000C」は動いていたわけですが、動作も非常に安定していましたね。

 もちろん今後は「M-5000C」をモニター・コンソールとしても活用していきたいと思っています。機能的には何ら不満はないですし、何より「M-48」を一括コントロール/監視できるのが素晴らしい。先ほども言ったとおり「M-48」は現場でスタンダードな機材になっていますから、それとシームレスに連携できる「M-5000/M-5000C」は、今後さらに注目が集まるのではないかと思います。

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