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HOME > ローランド O・H・R・C・A M-5000/M-5000C 導入レポート Vol.3 〜 PAカンパニー編(Part 2)〜

「ローランド」のフラッグシップ・ミキシング・コンソール、「O・H・R・C・A M-5000/M-5000C(以下、M-5000)」。一昨年販売が開始されたこのコンソールの最大の特徴は、何と言っても内部構成を自由に組み替えられる“コンフィギュラブル・アーキテクチャー”が採用されていることだろう。ミキサーとしての機能が固定されていない「M-5000」では、最大128chの範囲で入力/出力/AUXバス/マトリクス・バスなどの数を自由に定義できるのだ。このフレシキビリティの高さが評価され、この数年の間に「M-5000」を導入するPAカンパニーが増えている。そこで本誌では「M-5000」を活用しているPAカンパニーを取材し、その使いこなしについて話を訊いてみることにした。
Case #1 ヒビノ株式会社 ヒビノサウンドDiv.
パーソナル・ミキサーとして多数のM-48をフル活用
 日本を代表するPAカンパニーの一つ、「ヒビノサウンドDiv.」。同社は現在業界標準になっているパーソナル・ミキサー、「M-48」をいち早く導入した会社でもある。そのきっかけについて、「ヒビノサウンドDiv.」東京ブランチ PA課の上條聡太氏は次のように語る。

「私はかれこれ20年、徳永英明さんのライブ・ツアーのモニターを担当しているんですが、以前使用していたパーソナル・ミキサーの音質に関してはずっと不満だったんです。そんなときに「ローランド」さんから「M-48」が発売になり、試しに使用してみたところ、それまでのパーソナル・ミキサーとは比べものにならないくらい音質が良かった。特に内蔵ヘッドフォン・アンプのクオリティが非常に高く、ミュージシャンから“次のツアーも「M-48」にしてほしい”というリクエストがあるほどでした。確かに一度あの音質を体験してしまうと他社のパーソナル・ミキサーが使えなくなってしまうくらい、現在市場に出回っている製品の中では飛び抜けて音質が良いと思います」(上條氏)

 最初はとりあえず1セット導入されたという「M-48」だが、その後どんどん数が増えていき、現在は東京と大阪合わせて80台近くの「M-48」が稼働しているという。コンソールとのハブとなる「Digital Snake」も「S-2416」や「S-1608」など、多数取り揃えているとのことだ。

「音質が良いのもそうですが、「M-48」はチャンネル数が40chと多く、設定の自由度が高いのも魅力なんです。他社のパーソナル・ミキサーですと大体16chなので、ボーカルとクリックで2ch使うことを考えると、14chでやりくりしなければならない。その点「M-48」なら、40chの範囲でミュージシャンが必要な音をアサインすることができる。金管楽器や弦楽器、さらにはバンドも入ってという編成の場合、ミュージシャンの方々はそれぞれ欲しい音が違うんですが、「M-48」ならかなり要望に応えることができるんです。これは本当に大きな魅力ですね」(上條氏)

「ヒビノサウンドDiv.」東京ブランチ PA課所属のサウンド・エンジニア、上條聡太氏
「ヒビノサウンドDiv.」東京ブランチ PA課所属のサウンド・エンジニア、上條聡太氏
徳永英明のライブ・ツアーで、モニター・コンソールとして使用された「M-5000」
徳永英明のライブ・ツアーで、モニター・コンソールとして使用された「M-5000」
M-5000は、使い方次第でどうにでもなるコンソール
 「M-48」の優れた音質と柔軟性の高さを評価する上條氏だが、不満が無い訳ではなかったという。その不満とは、DA/ADコンバージョンに起因するレーテンシーだ。

「モニター・コンソールの出力をアナログで「Digital Snake」に入力すると、どうしてもDA(モニター・コンソールの出力)とAD(「Digital Snake」の入力)の部分でレーテンシーが生じてしまうんです。「S-MADI」を導入してコンソールと「M-48」をデジタルで接続するという手段もあるんですが、そうなると48kHz運用という制限が出来てしまう。ミュージシャンの方からもレーテンシーを指摘されることがあり、ドラマーの方からは“叩いた瞬間に音が来ない”、アコースティック・ギターの人からも“ちょっと遅い”と何度か言われました」(上條氏)

 そんなときに発表されたのが「M-5000」で、上條氏は“「M-48」と高い親和性を持った96kHz対応のモニター・コンソール”として興味を持ったという。

「前回の徳永さんのツアーでデモ機を試させてもらったんですが、「M-48」とデジタルで接続するようになったからか、それまで感じていたストレスが無いんですよ。「M-5000」によって課題だったレーテンシーの問題が解決されたんです。試しに途中で48kHzに下げてみたんですが、それでもストレスが少ない。おそらく内部のプロセッサーの処理が速いんでしょうね。96kHzと比べると上の艶は減ってしまうんですけど、その分下が見えてくる。48kHzで使うのも悪くないと思いました。それと非常に便利なのが、「M-5000」上で「M-48」の設定が行えてしまう点です。ミュージシャンからはクリックをこっちに寄せてくれとか、そういうリクエストが頻繁にあるんですが、「M-5000」があれば目の前のツマミでパパッと設定することができる。これまではパソコンの設定ソフトを使ってやっていたわけですから、もの凄くラクになりました」(上條氏)

 そして「ヒビノサウンドDiv.」は昨年11月、「M-5000」と「Digital Snake S-4000S-3212」の組み合わせを2セット導入。モニター・コンソール兼「M-48」のコントローラーとして、既に徳永英明のライブ・ツアーでフル活用しているという。

「これまで「ローランド」の卓はほとんど使ったことがなかったので、最初はどうだろうと思っていたんですが、少し触れば問題なく使うことができる。基本的に他のデジタル・コンソールと大きく変わらないですね。最初にビックリしたのは、最大128chの範囲でインプットやアウトプット、バスなどを自由に設定できるところ。前回のツアーでは途中でメンバーが変わったりしたんですけど、インプットの数を自由に変えられる「M-5000」によって問題なく対応することができました。あれもこれもアサインしていくと最終的に1chくらいしか残っていなかったりするんですけど(笑)、これは本当に便利な機能ですね。あとは音もかなり良いと思います。最初に96kHzで使ったときは、あまりの音の良さに驚きました。ハイがもの凄く伸びているので、すべてが透けて見えるようになった感じで、最初は違和感を覚えるほどでしたよ(笑)。でも、こちらが狙った音がそのまま鳴ってくれるから、徐々に離れられなくなってしまいました。外部のクロック・ジェネレーターの違いも如実に音に出ますし、本当に音の良いコンソールだと思います」(上條氏)

 機能面では内蔵エフェクトを気に入っていると語る上條氏。中でもリバーブは特にお気に入りとのことだ。

「モニターでも結構ディレイを使ったりするんです。歌もディレイでバンバン飛ばしますしね。リバーブに関しては最初、慣れていたのでSRV-2000を試したんですが、普通のステレオ・リバーブが良いです。明瞭度が高く、濁らないので、ボーカルやギターに凄くいい。ちょっと足しただけで空間が広がり、いわゆるデジタル・リバーブのようないやらしさが無いのもいいですね。また、アサイナブル・フェーダーとアサイナブル・セクションもとても便利です。僕の場合、フェーダーにはボーカルやボーカル用エフェクターなどを固定し、エンコーダーには最初のページにHAの設定、2番目のページにエフェクターの設定、3番目のページに「M-48」の設定をアサインしています。「M-5000」は、音も内部構成も操作性も、使い方次第で本当にどうにでもなるコンソールですね」(上條氏)

ステージ袖のラック内に収納された2台の「Digital Snake S-4000S」
ステージ袖のラック内に収納された2台の「Digital Snake S-4000S」
「M-5000」の右上にはモニモニ用の「M-48」、左上にはiPadが載せられている
「M-5000」の右上にはモニモニ用の「M-48」、左上にはiPadが載せられている
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