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HOME > J-WAVEけやき坂スタジオ

東京・六本木の「J-WAVE」のサテライト・スタジオ、「J-WAVEけやき坂スタジオ」。2003年暮れ、六本木ヒルズアリーナの隣りに開設された有名なサテライト・スタジオだ。小規模ながらサテライト・スタジオとしてはフル・スペックの機能を有し、六本木ヒルズ森タワーの33階にある「J-WAVE」本社とはシングル・モードの光ファイバー回線12本で結ばれている。
そんな「J-WAVEけやき坂スタジオ」が先頃、主要機材を大幅にリニューアル。スタジオの要となる新しいコンソールとして「ローランド」の「O・H・R・C・A M-5000(以下、M-5000)」が導入され、本社と音声をやり取りする伝送システムとしては、同じく「ローランド」の「Digital Snake」が設置された。そこで本誌ではリニューアル後間もない「J-WAVEけやき坂スタジオ」にお邪魔し、新システムの概要と機材の選定ポイントについて話を伺ってみることにした。取材に応じてくださったのは、「J-WAVE」放送技術局 放送技術部 副部長の新井康哲氏である。

2003年11月に開設されたJ-WAVEけやき坂スタジオ

開放感のあるブース。下にはけやき坂が見える
開放感のあるブース。下にはけやき坂が見える
PS この「J-WAVEけやき坂スタジオ」は立地が良いこともあり、ラジオ局のサテライト・スタジオとしてはかなり有名ですが、まずはどういった経緯で開設されたスタジオなのか、あらためておしえていただけますか。

新井 このスタジオを開設したのは2003年11月のことで、本社が六本木ヒルズに移転したのはそれより1ヶ月前の2003年10月のことになるんですが、実は本社の移転よりもこのスタジオを造る話の方が先に持ち上がっていたんです。森ビルさんの方から、「今度六本木にできる新しい施設にサテライト・スタジオを造りませんか」という話をいただき、このスタジオの計画がスタートしたんです。結果的に当時西麻布にあった本社の放送設備が更新の時期だったこともあり、本社も移転しようということになりました。サテライト・スタジオとしては、渋谷のHMVの中にも持っていたので、このスタジオが2つ目という感じでした(編註:「J-WAVE渋谷HMVスタジオ」は2009年9月に閉鎖)。

「J-WAVE」放送技術局 放送技術部 副部長、新井康哲氏
「J-WAVE」放送技術局 放送技術部 副部長、新井康哲氏
PS 新しいサテライト・スタジオを開設するにあたり、こんなスタジオにしたいというアイディアはありましたか。

新井 渋谷HMVのスタジオはブースだけのスタジオで、曲の送出などは本社側で行なっていたため、制作・技術共にスタッフを2重に配置する必要がありました。なので新しいスタジオは、曲の送出などにも対応したフル・スペックのサテライト・スタジオにしたいとは最初から思っていました。可能な範囲で(六本木ヒルズ森タワーの)33階にあるスタジオと同じことが行えるスタジオにしたいなと。サテライト・スタジオではあるんですが、ちょっと離れたところにある社内スタジオというのがコンセプトでしたね。

PS スペース的には十分だったんですか?

新井 いや、十分ではなかったですね。設計も森ビルさん指定の業者さんにお願いしなければならなかったり、完全に更の状態ではあったんですが、それなりに制約がありました。

PS このスタジオの使われ方というと?

新井 基本的には生番組で使っていて、あとは33階のスタジオでまかないきれない収録でも使用しています。現在レギュラーで使っているのは、毎週土曜日12時〜15時で放送している『SEASONS』という生番組など、2〜3番組ですね。

PS 大変立地が良いので、生番組の放送時には周囲に人が集まるのではないですか?

新井 いや、確かに立地は良いんですが、アナウンス・ブースは地表面からは1フロア高くなっていて、外から中の様子が見えるわけではないので、あまり人が集まることはないですね。でも、ナビゲーターさんやゲストの側からすると、すぐ下にけやき坂が見えたりするので、33階のスタジオでやるのとは気分が違うのではないかと思います。

PS 先ほど、“ちょっと離れたところにある社内スタジオ”がコンセプトとおっしゃっていましたが、実際に設備面も変わらない感じですか。

新井 そうですね。再生機や録音機などは、33階のスタジオと基本的に同じシステム構成になっています。電源も幹線は1本なんですが、UPS 3台で冗長化してあります。ブースはマックスで6人くらい入る広さですね。

PS 33階の本社とは、どのように音声をやり取りしているのですか?

新井 スタジオを開設する際に、シングル・モードの光ファイバーを12本、自前で引きました。外部の光ファイバーを利用すると、ランニング・コストがかかってしまうので、長く利用するスタジオですし、思い切って自前で引いてしまおうと。もちろん、導入コストはそれなりにかかったんですが、六本木ヒルズの工事が行われていた時期だったので、完成した建物に後から引くよりも導入コストを抑えることができました。シングル・モードの回線を導入したのは、マルチ・モードの方が導入コストは安かったんですが、距離が400メートルくらいあったからですね。光ファイバーの他にバックアップも兼ねてメタル線も用意してあります。

Studer 928をローランド M-5000に更新

PS そして今年2月、主要機材が更新されたそうですが、プランニングはいつくらいからスタートしたのですか?

新井 約1年半前ですね。このスタジオを開設したときから、大体15年くらいで機材を更新しようと考えていたんです。コンソールはスタジオ開設時に導入した「Studer 928」に替えて、新たに「ローランド」の「M-5000」を導入しました。

今回、「Studer 928」に替わるコンソールとして導入された「ローランド O・H・R・C・A M-5000」
今回、「Studer 928」に替わるコンソールとして導入された「ローランドO・H・R・C・A M-5000」
PS コンソールはシステムの要となる機材だと思うのですが、今回「M-5000」を選定されたポイントというと?

新井 大前提として、ここに入るサイズであることと、あとはフェーダー数。24本だと少し足りなくて、32本だとサイズ的にここに収まらなくなってしまう。24本と32本の中間がいいなと考えていたんです。なので、「M-5000」のチャンネル・フェーダー24本+アサイナブル・フェーダー4本、計28本というフェーダー数は絶妙でした。あとは機能や価格なども踏まえ、最終的に「M-5000」を選定した感じですね。コンソールと同時に伝送システムも入れ替えようと考えていたので、標準でREACに対応している点も良かったんです。
 「M-5000」に関しては以前から気になっていたんですが、ラジオ局のスタジオで使うとなると、機能面で物足りない部分があったのも事実なんです。外部機器の制御だったり、メーターのポイントだったり……。それを「ローランド」さんにお伝えしたところ、ファームウェアのアップデートでしっかり改善してくれた。そういった対応の良さも「M-5000」を選定した大きな理由です。
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