テレビの鉄人 観たい映画を観たいように
Photo:Takayuki Kono
Illurstlation:Ryugo Ito

家庭で映画を楽しむ際、大切なのは映像イコライジングだけではない。映像を引き立て、その迫力や臨場感を存分に享受するうえでは、音声もひじょうに重要なファクターになる。今回はシャープのシアターラックシステムを使い、アクション映画の再生音にもこだわってみたい。もちろん、アクオスLC-46DX2による映像イコライジングも抜かりなく実施する。映像、音声ともに、今回のテーマは「乾きの再現」だ。採り上げる映画BD作品は、韓流西部劇「グッド・バッド・ウィアード」である。
第3巻 SHARP LC-46DX2×グッド・バッド・ウィアード 「物語の舞台となっている、砂漠の空気感をうまく再現しよう」 小原由夫
●鉄人の調整とアクオスオーディオ
使いこなし大公開
今回は「砂漠の空気感」を演出するために、白を強調する映像調整を行なっている。ふだんはあまり手をつけない「明るさ(バックライト)」を強く、そして「映像(コントラスト)」も強調した
24p(コマ)で記録されたBDソフトなどの視聴時、カメラのパンニングなどで映像がカクカクと不自然な動きを示すことがある。「フィルムモード」はコマ数をテレビ側で増やして、表示を滑らかにするもの。今回は強にした
「QS駆動」は液晶テレビにおける動画の応答性を改善するためのもの。「しない」は60Hz駆動。スタンダードは単純な120Hz駆動。初期状態では、120Hz駆動で、輪郭をややくっきりと見せる「アドバンス」が選ばれている
アクオスオーディオAN-AR510との組合せでファミリンクを使うためには、HDMIケーブルを接続しておく必要がある。なお、今回はBDソフトのマルチチャンネルサラウンド信号を取り出すため、光デジタル端子も接続している
AN-AR510の右チャンネル用スピーカー部。本機は3.1ch仕様なので、ラック前面に3つのスピーカーユニットがならんでいる。それらはすべてフルレンジの10cmユニット。また、10種類のサウンドモードは、蛍光管表示によって、前面パネルに示される
左が液晶テレビLC-46DX2の付属リモコン。右がシアターラックAN-AR510の付属リモコン。ファミリンクが働く状態なら、テレビのリモコンでAR510の電源や音量などをコントロールできる
LC-46DX2のここが使える!
  • 電源オフでも入力を切り替えなくても、ディスクを差し込めばとにかく映る
  • 録画用ディスクだけあれば、即、テレビ番組を録画できる
  • 画質劣化を抑えるトランスコーダー方式7倍録り:最大30時間/枚
  • フルハイビジョンでテレビコントラスト15,000対1、映画の味が引き出せる
  • 高画質マスターエンジンでいろいろなコンディションの映画ソフトも美しく
  • 白と黒、好みに合せてテレビ本体の色が選べる
〈前回わかったこと〉
  • 全体の色調を変化させずに顔色を調整できる「肌色補正」が使える!
  • 内蔵スピーカーで映画を観る時は「声の聞きやすさ」を調整しよう!
〈今回わかったこと〉
  • 映像調整項目をすべて少し上げ気味にすると砂漠のイメージに近づく
  • 滑らかな動きを求めるならフィルムモードは「アドバンス(強)」に
  • アクオスオーディオを使えば映像の迫力に音が負けることはない!

 映像の質感を表現する際、私たちは空気感というキーワードをよく使う。たとえば映画「ブレードランナー」の2019年のロスアンジェルスは、霧雨のような陰欝な雨が終始降り続いているが、その空気感はベターッとした強い湿り気を伴ったものだ。一方、「チャーリーとチョコレート工場」の入口すぐの庭園は、色とりどりのお菓子の甘い香りが漂っていそうだが、そこには濃密な空気感が充満していることを想像させる。

 空気感は、雨や風、香りや色だけでなく、「光」から感じることもある。では、西部劇の空気感とはどんなものだろうか。私が感じるそれは、「乾いた空気感」だ。

 容赦なく照り付ける陽光で土地は枯渇し、荒涼とした風が砂を巻き上げ、吹き抜ける。光を遮る木陰や岩山は極めて少なく、砂地に反射した光線が肌をジリジリと焼く。季節によっては、そこはまさに『灼熱地獄』と化すのだろう。「グッド・バッド・ウィアード」の多くのシーンでは、そんな乾いた空気感を味わうことができる。

 主演は、現在の韓国映画界を代表する人気俳優3人、イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンボ。監督は「クワイエット・ファミリー」で注目されたキム・ジウンだ。

 舞台は、さまざまな民族、人種が入り乱れた1930年代の満州。日本軍が残した「宝の地図」を巡り、ギャングとコソ泥、賞金稼ぎの3人が繰り広げる丁丁発止。さらにはそこに日本軍や馬賊、闇市のチンピラが入り乱れ、大陸を駆け巡っての大争奪戦が繰り広げられるという展開だ。

 まずはチャプター(以下、Ch.)2からCh.3にかけての大陸列車の襲撃シーンを見てみよう。抜けるような青い空に、眩しい陽光が降り注ぐ中、黄砂の大地を機関車が走り抜けていく。まさしく、カラッと明るい、乾いた空気感を彷彿させるシーンだ。実際のロケは、ゴビ砂漠(モンゴルに広がる世界4番目の面積の砂漠)で行なわれたようだ。

 私が考える「乾いた空気感」のキーポイントは、明るさの抜けと色の抜けの2つ。抜けとは、ピュアな透明感と言い換えることができる。強い光のその強さが何層もの空気層を突き抜けながらもダイレクトに感じられ、その光線を受けて、色も本来のテクスチャーをストレートに表すという感じだ。

 ここでポイントとなるのは、明るさとコントラスト。画質設定を「映画」ポジションとして、LC-46DX2の「明るさ」(液晶のバックライト調整)と「黒レベル」(ブライトネス調整)、「映像」(コントラスト)をコントロールすることになる。

 Ch.2と3で設定した「明るさ」と「黒レベル」、「映像」は、いずれもプラス方向。それが過剰な値であるかどうかを、Ch.6の闇市のシーンで再確認する。さまざまな民族が入り乱れるこのシーンは、さしずめ極彩色の原色図鑑という様相。カラフルというよりも、派手といった方がふさわしい色の競演だ。「色の濃さ」を思い切って上げ、色合いをわずかにマゼンタ方向に振ってみる。するとどうだろう、俄然色がイキイキと躍動的に見えてくるではないか! LC-46DX2の色再現の余裕がこういうところで見えてくるわけだ。

 今回私が調整したパラメーターは、最終的には右上写真の通りとなったが、注意したいのは、乾きに執着し過ぎて「明るさ」や「黒レベル」を上げすぎないこと。Ch.6の闇市の暗い場面で暗部が浮いていないかどうかチェックしよう。

 今回は重要な調整パラメータをもうひとつ紹介しておこう。「フィルムモード」がそれだ。〈右斜め下へ続く〉




BD録画/再生機能付き液晶テレビLC-46DX2の使い勝手にすっかり魅了された小原由夫氏。「別にBDプレーヤーやレコーダーなどを用意しなくても、手軽にBDソフトを楽しめるのが素晴らしい! 今回のようにシアターラックと組み合せても最小限の配線ですみますから、リビングなどでは本当に使い勝手がいいと思います」

「グッド・バッド・ウィアード」は底抜けに明るい砂漠が舞台。地面に落ちる影も濃い。そこで今回はコントラストを強調する映像調整を実施してみた。強い日差し、乾いた空気、そのテイストが感じとれればOKだ

馬が蹴り上げる砂塵。その粒子の細かさや、さらさらした感じの表現は、フルハイビジョンならではのものだ。それにしてもチョン・ウソンはカッコイイ。本作でも、あらゆるシーンでそのオーラが輝いている

〈左上より続く〉
 パンニング(撮影用カメラが横に移動)するシーンが多い本作のような映画では、フィルムの規則性をテレビ信号に変換する過程で生じがちな、カクカクした動きが目立ちやすい。実際に、ちょうど2時間ほど物語が進んだCh.17、3人が互いに射ち合うシーンでは、カメラは3人の顔をクローズアップしながら横にゆっくり動く。この時、LC-46DX2のフィルムモードが「しない」に設定されていると、画面は激しくカクカクと動く。「スタンダード」でもまだスムーズではない。ここは「アドバンス(強)」に設定し、より滑らかな動きで見たいところだ。

 乾いた空気感は、音の再現においても重要だ。今回はガンファイトもふんだんなアクション映画ということもあり、再生音を強化すべく、アクオスのAN-AR510を組み合せることとなった。AN-AR510は、230Wデジタルアンプと3.1chスピーカーを搭載したシアターラック システムで、HDMIケーブル接続で「アクオス・ファミリンク」が構築でき、LC-46DX2付属リモコンでの簡単操作が実現できる。

 設定はいたってシンプル。リモコンの蓋の中のファミリンク機能選択メニューの中から、「AQUOSオーディオで聞く」を選択すればよい。事前にHDMIケーブルや光デジタルケーブルの接続をお忘れなく。

 テレビ本体の内蔵スピーカーと聴き比べると、迫力の違いは明白だ。Ch.2では、内蔵サブウーファーの恩恵もあって、AN-AR510での再生音の方が機関車の重々しさが出るし、BGMのリズムもダイナミックだ。

 肝心の乾いた空気感は、銃声の反響感にはっきりと出た。Ch.14での合戦は、AN-AR510で再生した方が、砲撃音やさまざまな銃声の描き分けはもちろん、音の芯を醸し出しながら、反響が尾を引いて拡散する感じがしっかり再現された。この乾いた音が明瞭に出てこその西部劇なのである。


視聴は約129分のインターナショナル版で実施。約135分の韓国版との見比べも面白そう。音声はDTS-HDマスターオーディオ6.1chなので、本格サラウンドでも、ぜひ飛び交う弾丸の嵐を体験してほしい

BD 「グッド・バッド・ウィアード」
【初回限定】ブルーレイ コレクターズ・ボックス (2枚組) ¥7,980
ワーナー・ホーム・ビデオ
●発売日:2009年2月10日
●製作年度:2008年(COLOR)
●本編:DISC1 約129分(インターナショナル版) 約135分(韓国版) DISC2 約267分(映像特典)
●映像仕様:1080p MPEG4 AVC シネマスコープ
●音声仕様:DTS-HDマスターオーディオ 6.1ch(日本語/韓国語)、音声解説
●字幕:日本語、英語、日本語吹替え用字幕、音声解説用字幕
●ディスク:2枚 (Disc2はDVDとなります)
〈スタッフ〉
●監督:キム・ジウン
●脚本:キム・ジウン、キム・ミンスク
●撮影:イ・モゲ
●音楽:タルバラン
〈キャスト〉
●ユン・テグ:ソン・ガンホ
●パク・チャンイ:イ・ビョンホン
●パク・ドウォン:チョン・ウソン、他
●作品情報:http://www.whv.jp/database/database.cgi?cmd=dp&num=10159
(C)2008 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
LC-46DX2に大接近!
ディスクの読込み中は、テレビ画面に表示が現れる。今、LC-46DX2がどんな状態なのかがひと目でわかるので、あわてなくて済む
テレビの裏側を見ると、わりとコンパクトなユニットが眼に入る。もちろんテレビ本体の厚みのなかに収まっているので,邪魔にならない
外部のBDレコーダーなど、将来の機器追加にも安心な3系統のHDMI入力を持っている

小原由夫
おばらよしお・電気測定機メーカーのエンジニアから、オーディオビジュアル専門誌の編集者を経て、フリーライターへ。こんにちでは、親しみやすい語り口で多くの読者をひきつけている。月刊HiVi最新刊4月号では、特集《ダブルHDその先へ:音声篇》にて、サラウンド再生におけるさまざな工夫やこだわりを開陳。映画ソフトから感動を引き出す方法について、オーディオビジュアル評論家の高津修氏、同じく潮晴男氏と熱く語り合う姿が掲載されている。
ブルーレイ内蔵 液晶テレビ
SHARP AQUOS LC-46DX2 オープン価格(実勢価格 380,000円前後)
シアターラックシステム
SHARP AQUOS AUDIO AN-AR510 オープン価格(実勢価格 100,000円前後)
http://www.sharp.co.jp/aquos/
■第1巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×GOEMON
■第2巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×ココ・アヴァン・シャネル

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