LC-46LB3の視聴に取り組む小原鉄人
Photo:Takayuki Kono
Illurstlation:Ryugo Ito

大画面の録画テレビがすっかり定着した感のある2010年。シャープAQUOSは、クアトロン3DにBDドライブを搭載したクアトロン第4弾モデル、LBシリーズを11月にリリースした。もちろんそれは、番組録画に便利な装備であるわけだが、BD-ROMを観ても、そのパフォーマンスの高さは充分実感できる。今回は話題の最新作「インセプション」で、LC-46LB3のクォリティをじっくりチェックするとしよう。
第7巻 SHARP AQUOS LC-52LB3×インセプション 小原由夫
●LC-46LB3に大接近!

BDXL対応のブルーレイドライブ
本機はクアトロンとしては最新かつ最高級シリーズ。3D再生機能に加えて、BDXL対応のブルーレイドライブを搭載している。電子番組表を開いて、目的の番組欄を選んでクリックするだけで録画予約が行なえる。ドライブはずいぶんと薄くなった
HDMI入力は3系統装備
接続端子などは、他のクアトロンとほぼ同じ構成。HDMI入力は3系統装備されている。HDMI入力1は、オーディオリターンチャンネル(ARC)機能付き。アナログRGB入力も装備しているので、手持ちのPCも接続できる
BDライブ対応端子
BDドライブ内蔵機だけに、その付随機能を実現するための接続端子が追加されている。BDソフトとインターネットを結びつけて、最新特典コンテンツなどを取得するBDライブもそのひとつだ。録画用の外部ハードディスクもここに接続
ガンマ設定調整項目
「インセプション」は、暗部階調がやや沈み気味。とはいえ、明るさを+方向にふれば、情報は見えてくる。小原鉄人は、ガンマ設定を+2とすることで対処した。ちなみに+2は設定の上限だ
LC-46LB3のここがすごい!
  • 電源オフでも入力を切り替えなくても、ディスクを差し込めばとにかく映る
  • 録画用ディスクだけあれば、即、テレビ番組を録画できる
  • 画質劣化を抑えるトランスコーダー方式10倍(地デジの場合約7倍)録り:最大87時間/枚
  • R,G,Bに加えてY:黄色のサブ画素を追加し、色再現範囲を大幅に拡大した
  • 1つのメイン画素が4つのサブ画素によって構成されることになり、映像の滑らかさと精密感が向上
  • LEDバックライトの光を効率よく映像に反映させるUV2A技術を搭載
  • 液晶パネルの倍速駆動、撮影カメラのパンニングボケ検出機能、LEDバックライトの高速オン/オフにより、動画もクッキリハッキリ
  • コントラストは一気に5,000,000対1へ、煌めく黄金から闇の漆黒まで幅広く再現
  • ノスタルジックに映画を楽しめる「クラシックモード」がおもしろい!
  • 外付けのUSBハードディスクにテレビ番組を保存できる
  • 液晶画面を囲むように配置したARSS(アラウンドスピーカーシステム)で映像と音の一体感を実現
  • 2つのウーファーを対向配置して、低振動かつパワフルな低音を楽しませてくれるDuo Bass搭載

 まずはAQUOSクアトロンの特徴の復習。独自の「UV2A技術」液晶パネル採用で、バックライトの利用効率を大幅に高めることに成功し、さらにRGBの3原色の他にY(黄色)のサブピクセルを加えた4原色技術によって、3原色液晶パネルとの従来比で約1.8倍明るい映像を実現している。LC-46LB3はそこにBDレコーダーを内蔵したことで、高画質と高機能性を両立させたというわけだ。

 LBシリーズのもうひとつのトピックスは、世界初の「THX 3Dディスプレイ」の認証取得。そこには、ルーカスフィルムの推し進めるTHXディスプレイ規格制定と、シャープの3D対応技術の綿密な連携もあったわけだが、今後の3Dテレビのひとつの指針という点では、業界全体にとっても有意義な事象ということができよう。

 さて、その3D映像の印象に関しては、対応ソフトにて別途ご報告するとして、今回は2DソフトでもLC-46LB3が素晴らしい画質を見せてくれることをお伝えしよう。

 視聴したコンテンツは、映画「インセプション」。時系列の交錯が自家薬篭中のクリストファー・ノーラン監督最新作だ。レオナルド・ディカプリオと渡辺謙の共演も話題だが、既成概念を打ち破る驚異の映像と音響デザインが圧巻だ。BDの音声は5.1chのDTS-HDマスターオーディオで収録されている。あらかじめお断わりしておくが、その音響効果の醍醐味は決してテレビ内蔵スピーカーでは享受できない。ぜひ5.1ch以上のサラウンドスピーカーシステムで聴いていただきたいところだ(そうはいっても、今回の視聴リポートではそれは叶いませんが……)。

 物語は、他人と夢を共有することで、その人の秘密を引き出すという特異な才能を持つ主人公コブと、それを利用して逆に相手の潜在意識に負の要素を植え付けようと企む実業家のサイトーを中心に、ライバル企業の御曹司の潜在意識に入り込むが、相手が防御能力を持っていたことで計画が予想だにしなかった深みにハマッていくというもの。やや難解な部分もあるが、スピーディな展開と特殊効果を多用した映像が視聴者を釘付けにし、あっという間の2時間半という印象だ。CGに頼らず、極力実写で通したディレクションも、物語の現実味を補完する働きをしている。私も既に3回ほど観たが、未だに時系列を正しく理解できないでいるものの、奇想天外なストーリーは純粋におもしろい!

 BDは、冒頭からしばらく色が濃いめに出る。黒もややつぶれがちだ。高画質BDではあるが、部分的にイコライジングを施してやることで、より良好な画調になりそうだ。今回はAVポジション「映画」にて、カラーマネージメントとガンマ設定を駆使し、「インセプション」を小原流に観るというアプローチで視聴して行こう。 〈右下へ続く〉

「インセプション」場面1
「インセプション」場面2
映画全体を通じてアンバー系のフィルムトーン。そのなかで、ときどきハッとさせられるような色彩が展開される。そのため、色濃度を抑えすぎると映画の面白みまで抑えてしまうので要注意。暗部をやや黒に引き込む傾向の映像なので、再生するディスプレイはガンマ補正などで、暗い部分の映像をすくいあげるよう常に意識しながら映像調整を行ないたい

 〈左上より続く〉  Ch.1の屋敷の中、いかにもクアトロン向きの金色の内装だ。ここでは、その輝かしさはキープしながら、暗部階調を引き出す方向にまとめたい。 まず、基本的な映像調整項目から、「明るさ」を<-3>、「黒レベル」を<+2>に設定した。この段階で、Ch.2の暗い室内でのコブとサイトーの攻防が見やすくなった。

 次に、メニューからさらに深い階層の「プロ設定」に入り、カラーマネージメントを調整する。その前に、高精細感を出す「フルハイプラス」は<する>、シーンに応じたコントラストの自動調整「アクティブコントラスト」は<しない>、「ガンマ設定」は暗部階調を重視した<+2>とした。その他の設定はデフォルト値のままである。

 Ch.4辺りまで見たところで、LC-46LB3で見るBD「インセプション」の色は、肌色や赤系がやや強く、特に暗部でのそれらの色合いが強調気味に映るように感じられる。また、Ch.10のエレベーターホールのシーンも全体に暗いので、暗部の色付きや情報量に留意したい。こうした暗い場面と、雪山の眩しい白銀世界が交互に展開することもあって、なかなか難攻不落なBDなのである。

 そこで、カラーマネージメントの「彩度」と「明度」の2項目について、別掲のような調整を施してみた(色相は動かしていない)。国際色豊かな俳優が多数登場していることから、特定の人種の肌色に合わせることの難しさを感じたが、ディカプリオが日焼け顔にならないよう、あるいは渡辺謙の顔が緑っぽくならずに、という意識で追い込んでみた。全体に明るめの映像調整といえるが、LC-46LB3ならではの魅力がさらに引き出せたのではないかと思う。


インセプション BDジャケット
本盤は、ブルーレイ2枚+DVDというたいへんに贅沢な構成のディスク。2枚のBDは、1枚が本編、残る1枚が特典。それに本編+特典のDVDが付く。映像はVC-1によるエンコードで1080p仕様となっている。なお、右の写真はプレミアムボックス(4,980円)のもので、劇中に登場する「トーテム」(コマ)などが付属している
BD & DVDセット 「インセプション」¥3,980

●発売日:2010年12月7日
●製作年度:2010年(COLOR)
●本編:約148分 BD映像特典:約43分+約113分 DVD映像特典:約11分
●映像仕様:シネマスコープサイズ スクイーズ(BD、DVDとも)
●BD音声仕様:DTS-HDマスターオーディオ 5.1(英語)、ドルビーサラウンド(日本語)、
●字幕:日本語,英語、吹替え用
●ディスク:3枚 (片面2層BD×2+DVD)
〈スタッフ〉
プレミアムボックス ●監督:クリストファー・ノーラン
●製作:クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス
●脚本:クリストファー・ノーラン
●音楽:ハンス・ジマー
〈キャスト〉
●ドム・コブ:レオナルド・ディカプリオ
●サイトー:渡辺謙
●アーサー:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
●モル:マリオン・コティヤール
●アリアドネ:エレン・ペイジ、他

●公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/

●鉄人の調整大公開
基本5項目の調整
カラーマネジメント 色相
カラーマネジメント 彩度
カラーマネジメント 明度
小原さんがインセプションのいくつかの場面を再生しながら調整した、基本項目の結果。ベースは「映画」。ここにある「明るさ」は、バックライトの輝度調整のこと。白トビはその「明るさ」で抑え、暗部は黒レベルを少し持ち上げることで情報量を確保している
「インセプション」の画調に合せて、シャープAQUOSクアトロンシリーズが搭載する専門的な色調整「カラーマネジメント」に挑戦してみた。これはRGBYMCの6軸で、色相、彩度、明度をそれぞれにコントロールするもの。小原さんは、色相は調整しなかった
彩度については、小原鉄人はなかなか大胆にパラメーターを動かしている。この結果から読めるのは、全体的に赤系統の色を減じていること。そして相対する青系統を強めていること。ややクールなトーンにもっていこうという意図のようだ
明度、つまり各色の明るさをコントロールするプログラム。本文中でも語られているが、主役のレオナルド・ディカプリオの顔が赤ら顔にならぬよう、また渡辺謙の顔が緑色にならないよう配慮して調整された。Rを+9。つまり赤を明るくしている
オーディオビジュアル評論家 小原由夫先生

小原由夫
おばらよしお・電気測定機メーカーのエンジニアから、オーディオビジュアル専門誌の編集者を経て、フリーライターへ。親しみやすい語り口と素朴なテーマで多くの読者をひきつけた連載「AV奮闘記」で一躍スター(!)の座を築く。海辺のがけっぷちに構えたAVルームも今は昔。現在では場所を移して「開国シアター」として大幅グレードアップしている。
アクオス クアトロン LC-46LB3
quatron.png液晶テレビ
SHARP AQUOS LC-46LB3 オープン価格(実勢価格 ¥400,000前後)
http://www.sharp.co.jp/aquos/
■第1巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×GOEMON
■第2巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×ココ・アヴァン・シャネル
■第3巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×グッド・バッド・ウィアード
■第4巻 SHARP AQUOS LC-52LX3×シャーロック・ホームズ
■第5巻 SHARP AQUOS LC-46LV3×タイタンの戦い【3D】
■第6巻 SHARP AQUOS LC-52LX3×かいじゅうたちのいるところ
■「テレビの鉄人」コンテンツ一覧ページへ

▲ ページトップへ