LC-46LB3の視聴に取り組む小原鉄人
Photo:Toshikazu Aizawa
Illurstlation:Ryugo Ito

エッジライト方式LEDに、4原色テクノロジー「クアトロン」を採り入れた最新型AQUOS。今回は46型のLC-46Z5を使い、ちょっと古い映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を観た。この不朽の名作を、果してAQUOSクアトロンはどう映し出してくれたのか。より良好な画質で観る術はあるのか。じっくり腰を据えて取り組んでみよう。
第8回 SHARP AQUOS LC-46Z5 × ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ ちょっと古い映画をよい画質で楽しむための基本的映像イコライジング
●LC-46Z5に大接近!

横から見るとその薄さが際立つ本機。そのスタイルに合せて、4系統あるHDMI端子はすべてサイドから差し込むタイプだ。入力1はオーディオ・リターン・チャンネル対応。AVセンターからの出力をここにつないでおけば、本機内蔵チューナーの音声をデジタルのままAVセンターへ送り返すことができる
今やオーディオビジュアル用のアナログ入力は1系統のみ。入力6はパソコン用。ステレオミニジャックによる音声入力端子(写真下方)と連携している。最新モデルらしく、USB端子2系統を装備している点も特徴だ
付属のリモコンは小さく、シンプルなデザインのニュータイプに。ただし、表記されている文字,数字などは拡大されたようで、視認性はあがっている。下方の扉内には、外部ハードディスクへの録画ボタンなどが並んでいる
LC-46Z5のここがすごい!
  • R,G,Bに加えてY:黄色のサブ画素を追加し、色再現範囲を大幅に拡大した
  • 1つのメイン画素が4つのサブ画素によって構成されることになり、映像の滑らかさと精密感が向上
  • LEDバックライトの高効率利用に貢献するUV²A技術を改善。さらに高速化したハイスピードUV²A技術採用
  • 入力される映像信号に応じてコントラストやノイズ除去量を制御する高画質アクティブコンディショナー
  • 基本画質に視聴者の好みを反映できる好画質センサー機能
  • 明るく鮮やかで動きの不自然さを除去した3D映像表示
  • 外付けのUSBハードディスクにテレビ番組を保存できる
  • 生活関連情報を閲覧できるAQUOSインフォメーション
  • Yahoo JAPAN for AQUOSなど、フルハイビジョンのインターネット動画配信に対応
  • 3D対応HDMI接続端子装備。うち1系統はオーディオリターンチャンネル対応
  • ホームネットワークで利用できるDLNAプレーヤー機能
  • USBケーブルで電源供給できる3Dグラスをオプションで用意(3色あり)

 Zシリーズは、「AQUOSクアトロン3D」と銘打った4サイズが揃う。3Dメガネを別売とした3Dレディ機で、ベゼルを細くし、厚みを極限まで薄くした点が見逃せない。私がよく言及することだが、画面のフレーム外のものは視聴時にすべてノイズとなるので、少ないに越したことはない。画面に集中できるからだ。また、エッジライト方式と新開発モジュールの組合せによって実現した最薄部2.7cmという厚みは、壁掛け時の突出が少ない点が好ましい。

 さて、このLC-46Z5で今回観るBDは、ロバート・デ・ニーロ主演作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」だ。セルジオ・レオーネ監督の遺作となった、1984年制作のギャング映画の名作である。

 BDの中身は、時系列の複雑さを理由に大幅なカットを強いられた劇場公開版ではなく、約4時間にもおよぶ完全版。今回のテーマは、この少し古い映画を最新のLEDテレビで観る際の攻略法を見出だすことである。

 冒頭からいきなり厳しいシーンである。デ・ニーロ扮するヌードルスの恋人が部屋に戻った場面。真っ暗な中に圧縮ノイズが散見される。暗闇に浮かぶ女の顔、家具調度品、この暗部を果してどこまで分解できるだろうか……。

 こういう少し古い映画コンテンツに対する、映像調整の“深追い"は禁物である。何故ならば、最終的なその画調は特殊なパターンに陥りがちだからだ。他のコンテンツを再生した際に、往々にして珍妙なムードの絵になってしまう。したがって、ベーシックなパラメーターのみを調整して追い込んでいくのがベターといえる。

 ここで私は今回の方針を決めた。「この作品では、さまざまなシーンで絵にインパクトをもたらしている赤をテーマにイコライジングしてみよう」と。

 恋人の白いブラウスを染める血、執拗な殴打で顔面血だらけのファット・モー、ヌードルスの着けるネクタイのサイケな柄、さらには後のシーンになるのだが、故郷に戻ってきたヌードルスが巻くマフラーやレンタカー店の窓口の男のネクタイ、女性店員のコスチューム……。ハッと気を引く赤がとても多いのである。また、往時の豊かな国アメリカを彷彿させるマホガニー調の室内装飾や家具類でも、赤や茶系の再現が肝となろう。 〈右下へ続く〉


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視聴中の小原先生。少女の頃のジェニファー・コネリーの美しさに感動していた。少し古い映画の映像イコライジングは、1ステップ毎の映像の変化を見逃さないように追い込んで行くのがポイントと語ってくださった

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 〈左上より続く〉  ここまでのシーンを戻ったり進めたりしながら、暗がりの顔がソラリゼーションを起こす(暗部が反転する)ことなく、「コントラスト(映像)」と「ブライトネス(明るさ)」「黒レベル」をまず調整。「色の濃さ」と「色合い」で赤色の按配を見ながら、最終的には別掲の写真のような調整値に落ち着いた。

 AQUOSクアトロンは、初代機から、文字通り4原色のサブピクセル追加の効果によって金色や黄色の描写に目を見張るものがあったが、LC-46Z5はそれに加え赤色の微妙な色合いやテクスチュアの表現力が一歩進み、なかなか巧みな描き分けができるようになっている。

 例えば、ヌードルスのマフラーは、フランネルのような滑らかな生地だ。ごく短いその毛足の質感に注意しながら、やや朱に近い赤の色合いをうまく引き出したい。

 画質調整の詳細設定では、別掲の4つのパラメーターを動かしたのみ。Ch.11、ジェニファー・コネリー(少女時代のデボラ、実に可愛い!)が、「アマポーラ」をバックに踊るシーンを観ながら、「QS駆動」を<しない>、「フィルムモード」を<スタンダード>に設定した。必要以上に滑らか過ぎないよう、映画フィルム特有のカクカクとしたジャダー感を残しながら違和感のない動きを目指しての調整だ。

 Ch.22、霧の港湾シーン。圧縮映像処理がもっとも苦手とするのがこうした霧や水しぶきだ。パラメーター上では、「画質」によって尖鋭感との按配を見ながら調整をする。ノイズっぽくならないよう、その粒状性に注意したい。

 Ch.26、仲間3人の新しい墓碑の内部のシーンは、暗部の表現力が問われるパート。ドアの重厚感、プレートの光沢感などを見ながら、影になっているシーンが反転しないよう、「明るさ」と「黒レベル」のバランスを見つつ、「映像」をあまり上げ過ぎないことだ。

 Ch.40、貸切レストランにて、デボラと共に踊るシーン。白を基調としたゴージャスなシーンだが、やはり古い作品だけに、褪せた印象に陥りやすい。白っ茶けたムードにならないよう工夫したいところだ。ここでも、ブライトネス調整に当たる「黒レベル」の設定が肝だ。

 LC-46Z5は、基礎体力のしっかりしたテレビだ。ただし、コントラストレンジや輝度のレンジがグッと圧縮されたような古いコンテンツでは、その広い調整域をフルに使い切っての思い切った調整は施しにくい。だからこそ、1ステップの変化を見ながらの慎重な追込みが望まれるのである。


月刊HIVIでもレーザーティスク時代に視聴ソフトとしてたびたび使われていた懐かしの作品。名手レオーネ監督がていねいに紡ぎ出す映像は、時代を感じさせない鋭さと、不思議な暖かさとノスタルジーを感じさせてくれる。ただし、完全にフィルムで撮影された映像だけに、現代のテレビにとっては意外に手強い画質である。過度な映像調整は禁物で、素材の個性を尊重したきめ細かいコントロールが要求される1本だ
BD「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」¥2,500

●発売日:2011年1月26日
●製作年度:1984年(COLOR)
●本編:約229分 映像特典:約20分
●映像仕様:ビスタスコープサイズ スクイーズ
●BD音声仕様:DTS−HDマスターオーディオ 5.1(英語)、ドルビーサラウンド(日本語)
●字幕:日本語,英語、吹替え用、音声解説用
●ディスク:1枚 (片面2層)

〈スタッフ〉
●監督:セルジオ・レオーネ
●製作:アーノン・ミルチャン
●脚本:セルジオ・レオーネ
●音楽:エンニオ・モリコーネ

〈キャスト〉
●ヌードルス;ロバート・デ・ニーロ
●マックス:ジェームズ・ウッズ
●デボラ:エリザベス・マクガバン
●デボラ(少女時代):ジェニファー・コネリー
●フランキー:ジョー・ペシ、他

●公式サイト:http://www.whv.jp/database/database.cgi?cmd=dp&num=1124

●鉄人の調整大公開
QS駆動とはクイックシュート駆動の略で、動きの速い映像をいっそう見やすくするためのもの。今回小原鉄人が選んだのは「しない」で、通常60コマの映像そのままを表示している。またフィルムモードは、24コマからなる、映画ソースの各コマにおける表示時間を揃えるもの。映画館と同じ条件のコマ数表示となる「スタンダード」が選ばれている
小原鉄人が、「ワンス〜」を観ながら決めた基本5項目の最終的な調整値。ここで「明るさ」と表示されているのは、LEDバックライトの輝度のこと。本作の視聴では、明るさを抑え、黒レベルと映像(コントラスト)のバランスを取りながら、映像が白っちゃけないよう追い込むのがポイント。金属や木質のテクスチャーが失われないようにしよう
オーディオビジュアル評論家 小原由夫先生

小原由夫
おばらよしお・電気測定機メーカーのエンジニアから、オーディオビジュアル専門誌の編集者を経て、フリーライターへ。親しみやすい語り口と素朴なテーマで多くの読者をひきつけた連載「AV奮闘記」で一躍スター(!)の座を築く。海辺のがけっぷちに構えたAVルームも今は昔。現在では場所を移して「開国シアター」として大幅グレードアップしている。
アクオス クアトロン LC-46Z5
quatron.png液晶テレビ
SHARP AQUOS LC-46Z5 オープン価格(実勢価格 ¥260,000前後)
http://www.sharp.co.jp/aquos/
■第1巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×GOEMON
■第2巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×ココ・アヴァン・シャネル
■第3巻 SHARP AQUOS LC-46DX2×グッド・バッド・ウィアード
■第4巻 SHARP AQUOS LC-52LX3×シャーロック・ホームズ
■第5巻 SHARP AQUOS LC-46LV3×タイタンの戦い【3D】
■第6巻 SHARP AQUOS LC-52LX3×かいじゅうたちのいるところ
■第7巻 SHARP AQUOS LC-52LB3×インセプション
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