Stereo Sound ONLINE ホーム > 特集 > ELAC NEW 50 LINE SERIES > VOL.2 : REVIEW by YOUSUKE FUJIWARA

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親しみやすいエントリーモデル。映画や音楽を“いい音で”より多くの人に楽しんでもらえる
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▲ 本サイトや月刊HiVi、季刊ホームシアターなどをお読みの方にはすっかりおなじみ、藤原さんの“とことんシアター”
 サイズを超えたスケール感溢れるサウンドと、存在感を主張する洗練されたデザインで、地元欧州の枠を越えて世界各国から高い評価を得ているスピーカーメーカー、独・エラック。 ベンディング・ウェイブ方式と言われるJETトゥイーターや、パルプとアルミニウムの組み合せによるハイブリッド振動板など、先進的、かつ個性的な技術を積極的に取り入れた高級スピーカーシステムというイメージが強いが、ここで紹介する50 LINEはより多くの人に、いい音で音楽や映画を楽しんでもらいたい、という思いを込めて開発されたエントリーモデルだ。

 フロントバッフル面を落ち着きのあるラッカー塗装仕上げとしたキャビネットをはじめ、ソフトドームトゥイーターと
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▲ 落ち着きのあるラッカー塗装仕上げのフロントバッフルが精悍な印象を与える50 LINEシリーズ(写真はFS 57.2)
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▲ 50 LINEのために新たに開発されたスピーカーユニット
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ELAC FS 57.2 ¥80,000(ペア・税別)

●形式:2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:ウーファー・14.5cmコーン型 × 2、トゥイーター・2.5cmシルクドーム型●クロスオーバー周波数:700Hz、2kHz●感度:89dB/2.83V/m●インピーダンス:4Ω●寸法/重量:W200 × H940 × D300mm/14kg

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ELAC BS 53.2(写真・左)
¥50,000(ペア・税別)

●形式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:ウーファー・14.5cmコーン型、トゥイーター・2.5cmシルクドーム型●クロスオーバー周波数:2.2kHz●感度:87dB/2.83V/m●インピーダンス:4Ω●寸法/重量:W170 × H285 × D235mm/5.5kg *iPhoneは付属しません

ELAC BS 52.2(写真・右)
¥40,000(ペア・税別)

●形式:2ウェイ2スピーカー・密閉型●使用ユニット:ウーファー・11cmコーン型、トゥイーター・2.5cmシルクドーム型●クロスオーバー周波数:2.5kHz●感度:84dB/2.83V/m●インピーダンス:6Ω●寸法/重量:W136 × H210 × D165mm/2.3kg *iPhoneは付属しません
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ELAC CC 51.2 ¥25,000(税別)

●形式:2ウェイバスレフ型●使用ユニット:ウーファー・14cm × 2、トゥイーター・2.5cmシルクドーム型●クロスオーバー周波数:2.2kHz●感度:89dB/2.8V/1m●インピーダンス:4Ω●寸法/重量:W445 × H160 × D280mm/7kg
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ELAC SUB 50 ESP ¥55,000(税別)
●形式:アンプ内蔵型サブウーファー●ウーファー:27cm × 1●クロスオーバー周波数:40 ~ 180Hz●周波数特性:28 ~ 240Hz●入力インピーダンス:Line = 35kΩ、LS = 200Ω●寸法/重量:W325 × H450 × D370mm/18kg photo
パルプ振動板を採用したウーファーによるユニット群、そして機種ごとに慎重に設計されたネットワークシステムと、どれも50 LINE専用に新開発された完全なオリジナル。

 日本よりも一歩先に市場導入された欧州、アジア地域では、すでにクラスを超えたサウンドパフォーマンスが高く評価され、普及価格帯の定番として定着しつつあるという。

 予想を上回る人気ぶりで、需要に供給に追いつかないという状況が続き、日本への出荷が遅れていたが、5月の連休開け、ようやくエア便で第一ロットが到着した。ダブルウーファー仕様のフロア型モデル、FS 57.2 、同じユニットを使用した2ウェイのブックシェルフ型モデル・BS 53.2 、そしてひと回り小さい密閉型の2ウェイ・BS 52.2と、主役の3モデルが揃い踏み。

 加えて、マルチチャンネル再生システムへの発展を想定したセンターチャンネル用のCC 51.2 と、パワーアンプ内蔵のサブウーファーシステム、SUB 50 ESPも同時にラインナップされ、通常のステレオ再生に止まらず、本格的なホームシアターシステムについても、エクスキューズ無しで対応できる体制が整ったことになる。

本格システムが顔をそろえる藤原家の試聴室でいよいよ50 LINEシリーズを聴く

 今回、わが家の視聴室、“とことんシアター”に運び込まれたのは、ブックシェルフ型の2ウェイ、BS 53.2 、BS 52.2 の2モデル。さらにセンターch用のCC 51.2 と、サブウーファー、SUB 50 ESPも一緒に用意され、マルチチャンネル再生のパフォーマンスについても、検証することとなった。

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▲ “とことんシアター”に50 LINEのラインナップで5.1chをセットアップ。リアにBS 52.2を用い、フロント(写真・左右)にBS 53.2、サブウーファーSUB 50 ESP(左から2番目)、センタースピーカーCC 51.2(写真中央)

 BS 53.2 、BS 52.2の2モデルを前にして、まず感じることは、その外観の仕上げが思いのほか立派なことだ。箱型のキャビネットにトゥイーターとウーファーを取り付けるというシステムは、このクラスの小型2ウェイとしては王道をいくものだが、キャビネットの黒とユニットのシルバーのコントラストが鮮やかで、安っぽい感じがしない。付属のメタルグリルも思いのほか堅牢で、単にスピーカーを隠し、保護する部材に止まるのではなく、スピーカーとしての存在感の演出に、少なからず貢献している。これで価格は5万円と4万円(いずれも税抜)。「世界的によく売れて、品薄状態が続いている」(エラック本社)という主張も納得がいく。

ピアノの音の立ち上がりの素早さ、ヴォーカルのニュアンス、とてもこのサイズのスピーカーが鳴らしているとは思えない

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▲ “とことんシアター”での50 LINEシリーズ、試聴トップバッターとなったBS 52.2
 では早速、2台並べると、ちょっと小振りなBS 52.2の音を聴いてみる。日頃から聴き慣れた曲をジャズ、ヴォーカル、クラシックと、続けて聴いてみたが、ピアノの立ち上がりの素早さ、ドラムスの躍動感、あるいはヴォーカルのニュアンスから、システムの非凡さが実感できる。特にスピード感には目を見張るものがあり、空間に放出される響きも上質だ。このクラスの2ウェイ密閉型モデルと言うと、輪郭のにじみを感じさせない引き締まった音像と引き換えに、上から押さえつけたような窮屈さが気になるケースが少なくないが、このBS 52.2の場合は、まったくと言っていいくらいそうした癖っぽさが気にならない。実に開放的で、スケール感があるのだ。

 さすがにグンと沈む低音はだせないが、腰の座った重みのある低域は柔軟性があり、表情も豊か。もし目隠しでこのサウンドを聴いたら、とてもこのサイズのスピーカーが鳴っているとは思えないような、落ち着きの有る堂々とした再現性なのだ。本体裏側に装備している壁掛け用のフック受けからして、マルチチャンネルシステムへの用途も想定しているようだが、どうしてどうして、中低域の充実した、安心感のある音は、通常のステレオ再生でも十分通用するクォリティと断言できる。

吹き上がりがよく、機敏に反応する低音。ヴォリュームを伴いながら躍動感溢れるサウンドがスポーツセダンを連想させる

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▲ ハイバワーのアンプとの組合せで、さていったいどう鳴る?! BS 53.2
 こうなると兄貴分、BS 53.2のへの期待もおのずと高まる。同じセッティングのまま、スピーカーセットだけを入れ換えて、再生スタート。キャビネットの容量が拡張され、同時にウーファーのサイズもひと回り大きくなったことで、中低域の描写に余裕が感じられ、ヴォリューム感もある。特別な色合いを感じさせないニュートラルな音調も通じるものがあるが、音の勢い、力強さといった部分では、不満が残る。ベース、バスドラ、チェロと、じっくりと聴いていくと、低音の量は確かに豊かになっているが、スピード感、分解能ともに、その量に圧されている感じなのだ。ただその音の様子からして、スピーカーとしての実力不足というよりも、本来の実力が引き出されていない、という印象。そこで急きょ、より駆動力のあるハイパワーのアンプを用意して、組み合わせの変更。そこで同じ曲を再度、再生してみると、予感は見事、的中。さっきまで、まるで借りてきた猫のように、遠慮がちに鳴っていたBS 53.2が、開放的に、気持ちよく鳴りだしたではないか。

 とにかく重みのある持ち前の低音も、吹き上がりが良く、機敏に反応する。ジャズトリオの再生では、ピアノの柔らかなタッチに加えて、ウッドベースのトランジェントの良さがきわだつ。中域から高域にかけてのつながりもスムーズで、ギターの響きも滑らか。豊かなきめ細かな響きで空間が満たされる感じで、バスドラは詰まった感じにはならず、グンと伸びる。聴き始めはクラリネットの高域がわずかに強めに感じられたが、時間の経過とともに落ちついて、ヴォリューム感豊かな中低域とのバランスの良さが実感できるようになった。

 BS 52.2 がトップスピードでコーナーに飛び込み、鋭くえぐるように曲がる2シーターのオープンカーだとすれば、BS 53.2 は硬めの足回りで、ボディー確実に支えるミドルサイズのスポーツセダンという印象。ある程度のヴォリームを伴いながら、瞬発力があり、コーナーもブレずに、ピタッと止まる。その気持ちのよさを連想させてくれる躍動感あふれるサウンドなのだ。

5.1ch再生によって得られる自然な包囲感と、「THIS IS IT」のリアルな空間描写

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▲ 基本的な音色に統一感を感じられるのは、同シリーズならではのメリット(写真は SUB 50 ESP)
 最後にフロント側にBS 53.2を、サラウンド側にBS 52.2をそれぞれ配置し、そこにセンタースピーカーCC 51.2と、サブウーファーSUB 50 ESPを加えた5.1チャンネル再生も試してみたが、音場の広がりといい、前後左右の音像の移動といい、空間の描きわけが実に意欲的で、かなりハイレベルだ。フロント、センター、サラウンドと、5本とも同じトゥイーターを装備し、ウーファーについても基本技術を共有しているため、基本的な音色に統一感があり、自然な包囲感が得られるのが魅力だ。

 そして「THIS IS IT」(BDソフト)の再生では、単に響きが豊かなだけでなく、ドラムス、ギター、ピアノと、多彩な楽器を確実に分離させながら、見通しのいい音場のなかにマイケルのヴォーカルを定位させていく。しかも、その声の微妙なニュアンスまでもが克明に表現され、まるで生き物が呼吸しているかのように伸縮する空間描写も実にリアルだった。

 何かとコストが限られる普及モデルは、高級モデル以上に、そのメーカーの技量が問われ、それがそのままクォリティの善し悪しに通じるケースが多い。今回の50 LINEのサウンドには、エラックの技術レベルの高さを証明するに、十分すぎるくらいの説得力があった。

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ELAC 2011 SPRING NEW 50 LINE SERIES
問合せ先:株式会社ユキム
TEL :03(5743)6202
http://www.yukimu.com/
▲ ELAC 50 LINE シリーズ:左からFS 57.2, CC 51.2, BS 52.2, BS 53.2, SUB 50ESP

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