HOME > 新製品レビュー > 新製品レビュー:マランツ「HD-CD1」幅304mmの本格CDプレーヤー
2016年9月13日/木村雅人
今回の「新製品レビュー」は、マランツ(Marantz)のCDプレーヤー「HD-CD1」(¥60,000、税別)を紹介する。本機は昨年の12月に発売されたUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「HD-AMP1」との組み合わせを想定して開発されたモデルだ。両製品ともコンパクトなボディに、上質なデザインとHi-Fiオーディオのパフォーマンスの融合を図った「Music Link」シリーズに位置づけられている。
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HD-CD1はこのクラスでもアナログ出力回路に、マランツの伝家の宝刀とも言える「HDAM」と「HDAM-SA2」を搭載している。DACチップは同社製品が多くのモデルで採用しているシーラスロジック社製CS4398だ。デジタル出力回路にはルビコン社製の薄膜高分子積層コンデンサーや、エルナー社製のシルミックデカップリングコンデンサーを用いて低歪な信号出力を可能としている。
振動対策面では、ダブルレイヤードシャーシや、アルミダイキャストインシュレーター等、コストに直接響く部品が奢られている。この価格帯であっても上級機譲りのノウハウを投入し、音質的に譲れない部分はしっかり押さえているブランドポリシーに好感が持てる。
試聴はいつも通り筆者の部屋で行なっている。スピーカーはダイヤトーンのDS-100ZV、プリメインアンプには先述のHD-AMP1を用意した。
まずはアナログ接続で聴いた後、デジタル接続も試している。なお、試聴時には別途ノイズフィルターを併用していることをお伝えしておく。
ソフトはソフィー・ミルマンの「Sophie Milman」から『Agua De Beber』と、「ステレオサウンド」200号記念特別付録SACD/CDハイブリッド盤のCD層から、シューマンの『交響曲2番3楽章』を選択した。
HD-CD1は同社らしいしなやかな質感を保ちつつ、低域に押しのあるサウンドが印象的だ。『Agua De Beber』の冒頭のドラミングをやや勢いのあるタッチで描きつつも、荒くなり過ぎないところがマランツらしい。ヴォーカルも程よい肉付きがあって聴き疲れしない傾向だ。『交響曲2番3楽章』では、シューマンらしいバイオリンの美しい旋律をていねいに描き出していた。この価格帯なら申し分のないクォリティと言えるだろう。
なお、本機はCD-TEXT機能を備えているので、対応ソフトなら曲目やアーティスト名がディスプレイ部に表示される。所有ディスクの新たな一面が見られるのも楽しい。
つづいて、デジタル接続にしたところ、情報量と音のキレが抜きん出ていい印象だった。HD-CD1/HD-AMP1を揃えた際には、ぜひアナログとデジタル接続の違いをご自身の耳で確かめて欲しい。
ファイルによる音楽再生環境が充実しつつある昨今、ディスクプレーヤーは少数派になりつつあるのかもしれない。そんな時代に誕生したHD-CD1は、現有資産であるCDを、場所を取らない手ごろなサイズで聴きたいという方に最適な1台だ。また、HD-AMP1とデザイン統一されたプレーヤーが欲しいと願う人にはうってつけの製品だろう。
<SPECIFICATIONS>
マランツ HD-CD1 ¥60,000(税別)
●ヘッドホン出力:28mV(32Ω)
●接続端子:アナログ音声出力(RCA)1系統、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準)、他
●消費電力:14W
●寸法/質量:W304×H109×D312mm/5.7kg
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真空管と採用パーツの変更で音質と安定性の向上を図った限定高音質仕様
エレハモ製6550EHと優れた特性のトランスが活きたパワーアンプ