HOME> ニュース> マランツのアンプの理想を実現。同社初のUSB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプ、HD-DAC1
マランツがこの秋の新製品発表会を開催し、その第一弾として、同社初となるUSB DAC機能内蔵ヘッドフォンアンプ、HD-DAC1をリリースした。定価¥108,000(税抜)で、10月上旬に発売される。
会場ではまず、同社のPresident, Consumer Strategic Business Unit、Tim Bailey(ティム・ベイリー)氏が登壇し、日本のユーザーが同社製品やB&W製品を愛用してくれていることについて感謝の意を述べた。
続いて同社の音質マネージャー、澤田龍一さんからHD-DAC1に関する商品説明が行なわれた。澤田さんによると、HD-DAC1はハイファイアンプで実現したかった仕様を盛り込んだ意欲的な製品なのだという。その回路構造は、マランツが求めてきたアンプの「ひとつの完成形」であり、かつUSB DACとしてもフラッグシップであるNA-11S1のテクノロジーを継承しているというのだ。
そもそも、同社が理想とするアンプ回路は、入力信号の電圧増幅とスピーカードライブを分け、それぞれを電流帰還型電圧増幅と無帰還型の0dBバッファーで構成するものだという。実際に以前のフラッグシップ機SC-7S2+MA-9S2ではこれに近い回路を搭載していたが、スピーカーという高い負荷を問題なくドライブするには0dBのバッファーというわけにはいかなかった。
しかしHD-DAC1では、増幅率が低いヘッドフォンが相手であり、理想のアンプ回路を実現できたわけだ。実際には独自の高速アンプモジュール、HDAM SA2を搭載した電流帰還型アンプとゲイン0dBの無帰還型バッファーアンプでヘッドフォンアンプ部を構成しているそうだ。なお、アンプ部のゲインは3段階で切り替え可能となっている。
そのアンプ部を活かすために、USB DAC回路にも同社らしい気配りがなされている。まず、入力信号としては、DSD 5.6MHzと192kHz/24ビット・リニアPCM信号にも対応。DSD再生はASIOドライバーによるネイティブ再生と、DoP方式の両方が可能だ。もちろんアシンクロナスモードにも対応済みで、PCM側のジッターの影響を受けない再生ができるという。
なおUSB DAC機能を使う場合は、ウィンドウズPC(Windows Vista/7/8)の場合はあらかじめ同社サイトから専用ドライバーをダウンロード&インストールしておく必要がある。マック(OS X10.6.3以降)については、ドライバーは不要だ。
読者諸氏が気にしているであろうDACチップは、シーラスロジックのCS4398を採用。NA8005を始めとする同社製品で採用例の多いICで、使いこなしを熟知している点も選択理由のひとつなのだろう。
その使いこなしのひとつとして、USB接続したPCや自身のデジタル回路から発生する高周波ノイズをカットするデジタル・アイソレーション・システムを搭載している。回路自体もNA8005の頃より進化して、今回は高速デジタルアイソレーターを8素子16回路(NA8005は6素子12回路)という構成だ。
なお、アイソレーターが増えた分は、D/A変換時のコントロール信号がこれまでアイソレーターを通っていなかったので、それがノイズ成分になる可能性があったが、今回はそのコントロール信号もアイソレーターを通すようにしたためという。
もうひとつ、高精度なD/A変換のために、超低位相雑音クリスタルをクロック回路に搭載している。44.1kHz系と48kHz系用にそれぞれ専用のクリスタルを搭載している点もNA-11S1やSA-14S1などの上位モデルと同じとなる。
接続端子は入力端子が、USB-B入力1系統、USB-A入力1系統、デジタル音声入力3系統(光×2、同軸×1)、3.5mmヘッドフォン入力1系統で、出力端子はアナログ音声出力2系統(固定、可変)とヘッドフォン出力1系統というもの。
そのうち同軸や光のデジタル入力もハイレゾ信号に対応しており(対応信号は以下の通り)、USB-B以外の端子から入力した信号に対してはD/A変換の前にジッター低減処理も加えられている。CDプレーヤーやTVからのデジタル信号をHD-DAC1につなぐことにより、さらなる高音質化も期待できるだろう。
●HD-DA1の対応フォーマット
USB-B:DSD(2.8MHz/5.6MHz)、
リニアPCM(32/44.1/48/88.2/
96/176.4/192kHz、16/24ビット)
同軸デジタル:リニアPCM(32/44.1/48/88.2/
96/176.4/192kHz、16/24ビット)
光デジタル:リニアPCM(32/44.1/48/88.2/96/
176.4/192kHz、16/24ビット)
USB-A:MP3/WMA/AAC/WAV
(最大48kHz、16ビット)
なお、アナログ出力端子は本機をUSB-DACとして使うための固定出力と、USB-DACとして付きプリアンプとしても使える可変出力を備える。それぞれの端子は独立して設けられているので、用途に応じて使う端子を選べばいい点も分かりやすい。端子には真鍮削りだしのピンジャック(金メッキ)が使われている。
その他にも、電源には大容量のEIコアトランスを搭載し、これをシールドケースに収めることで音質に悪影響を及ぼす磁束漏れを抑えている。回路的にも、デジタルオーディオ用、アナログオーディオ用、USBインターフェイス用、ディスプレイ用それぞれに専用の二次巻線を用い、回路間の干渉を排除しているとのことだ。
HD-DAC1の主な仕様
●接続端子:USB-B入力1系統、USB-A入力1系統、デジタル音声入力3系統(同軸×1、光×2)、3.5mmステレオミニ出力1系統、アナログ音声出力2系統(固定、可変)、ヘッドフォン出力1系統(ゲイン3段階切り替え)、他
●対応ハイレゾフォーマット:DSD(2.8MHz、5.6MHz)、リニアPCM(最大192kHz/24ビット)
●S/N:110 dB (可聴帯域)
●ダイナミックレンジ:106dB(DSD/192kHz、可聴帯域)
●高調波歪率:0.0012% (1kHz、可聴帯域)
●寸法/質量:W250×H90×D270mm/5kg
●消費電力:35W(待機時:0.3W)
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