HOME> ニュース> final、平面磁界型ヘッドホン「D8000」の発表会を実施。開発のコンセプトは「面白いことをやってみよう」
S'NEXTのfinal(ファイナル)ブランドの新製品、「D8000」の発表会が19日、都内で行なわれ、同社社長の細尾満氏のほか、今回の製品化に協業した各社のメンバー――ヤマハ(株)楽器・音響開発本部 旭保彦氏、NHラボ(株) 高田寛太郎氏、同 瓜生 勝氏、そしてS'NEXT(株) 顧問の森 芳久氏、同 音響技術部長の谷口晶一氏ら――が出席した。
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製品の詳細については上記記事を参照いただくとして、ここでは、細尾社長の語った開発ストーリーをかいつまんで紹介しよう。
D8000の開発が始まったのは2014年。日々の業務に追われる中で、何か面白いことをできないか、というのがそもそもの企画の始まりだったという。そこで遡上に上がったのが「理想のヘッドホンを作りたい」。
時まさに、バーチャル時代の走りであり、映像と音響の組み合わさった没入感(イマージブ エクスペリエンス)を得るためのシステムが各社から提案されていた中で、自社でできることは? と考えて出したのが、没入感を得られる音響システム(製品)開発。
没入感を得るための(音響の)仕組みを考察したとき、当時提案されていたものはソフト的な解析(DSP)によるものが多かったそうで、ならば、ハード屋である自分たちがハードの物理的な現象を制御することで、より自然な没入感を得られる製品を作ろうとして、今回のD8000の開発が始まったのだという。
平面磁界型については、他のダイナミック型やコンデンサー型との音質的な傾向や、開発の伸びしろ(改良の余地があるのか)を検討する中で、音質のよさ、そしてなにより改良の余地のある方式ということから選ばれた。
しかし、その開発は困難を極め、挫折しかかった時期もあったそうだが、そうした"面白そうな話"を聞きつけた、冒頭に紹介したメンバーが集まってきたことでブレイクスルーが起き、D8000の実現に大きく寄与した新技術「AFDS」(エアロフィルムダンピングシステム)が生まれた。
AFDSの肝は、振動板をパンチングメタル(細かい穴の開いた金属板)で挟み込むことにあり、その穴の数と位置、大きさが技術的要件となる。
平面型の振動板は、振幅(動き)の大きな低域の再現では、振動板が大きく動くため、マグネットとぶつからないようにすることで特性が悪くなってしまう。が、パンチングメタルを使えば、その間に存在する空気が緩衝剤となり接触を防いでくれる。その際の空気の流失の度合いのバランスが、前述した技術的要件となる。これは、計算によるシミュレーションと、実地のテストによるトライアンドラーを積み重ねることで、最適解を導き出したそうだ。
なお、D8000に搭載されている振動板は、ダイナミック型のものに比べて厚みで約半分(12μm)と軽量にまとめられているのも、今回のAFDSの実現の大きなポイントになった。
ちなみに、現在はイヤホンタイプの平面磁界型製品も開発中で、来春のヘッドフォン祭には参考展示ができるかも、ということだ。
D8000のモデルナンバー(型番)については、「社内の試作品のコードの8000をそのまま製品に使ったんです。あまりにも8000という名称が浸透しすぎて、変更できなくなってしまって......」とは細尾社長の弁。「D」については、「最近、ペットネーム(finalで言えば"SONOROUS"などの部分)の商標登録が難しくなってきたので、シンプルに英語を一文字付けました」とのことだ。
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